2010.05.16

トウヒシタイトシゴロ

すっごい久しぶりだったんで、とりあえず小ネタから書いていく事にしました(^_^;)

2009年の年末。

翌日の仕事に備えて早寝をしようとしている僕の携帯が、コタツの上で細かく震えた。

「神田明神の初詣いついく?」

我が友チヒロからのメールだ。

僕の会社は元々は秋葉原にあった。

その頃の僕の初詣は、出勤初日の帰りの神田明神だった。

数年前の厄払いの時、どこで厄払いをうけようかと迷っていた我が友をつれ、元旦に出かけたのだった。

するとその年。厄年にもかかわらず、我が友は家を建てることができた。

はじめて神田明神にお参りにいって、その年に家を建てることができた我が友はしきりに感動した。

「すげえよ。まえからチズルちゃんと、車で通るたびに、「このあたりに家たてられたらいいねえ~」といってた場所に家がたったんだから。しかも不動産屋の手数料なしだから、周りの家より何百万も安く買えた。神様っているんだな~」

それ以来、年末になると必ず我が友は、「今年の初詣いついく?」とメールしてくる。

一方の僕も、数年前、毎年入院するような災難続きだったが、神田明神でお祓いをしてもらって以来、ピタリと入院騒動が止んだ為に、その後は毎年神田明神にでかけるし、二年前からは神宮大麻に神田明神大串と氏神の香取神社の御札を三社でまつっている。

悪魔とまでいわれた男が、神棚に神様まつっていいのかという気もするが、入院費用の請求書を見れば背に腹はかえられない。

それに神田明神といえば、平将門。

僕等の世代の東京都民なら誰でも、社会科見学でバスが大手町の首塚の前を通るときに、その恐ろしい呪いの力にまつわる話をきかされているはずだ。

神田明神くらい、僕が祀るのにふさわしい神社はないではないか。

(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)

それはともかく。

2010年の三が日のとある日。

神田明神での参拝を終えた僕と我が友は、某ファミレスで食事かたがた話をしていた。

すでに結婚して、子供もいる我が友とは恋バナをするわけでもなく、去年は双方の植木事情に関してだった。

しかし、今年の彼は違った。

「去年PSP買ったんだよね。」

我が友が楽しそうなウキウキした顔で僕に言った。

「お前、そんなもん買ってもゲームする時間なんかないだろ?」

某シンクタンクで働いている彼は10年前は社畜状態で、いまでも似たりよったりな状況だったはずだ。

「いや、ゲームはほとんどしないな。」

「PSPってポータブルのゲーム機だろ?ゲームしないで何するんだよ?」

「円。お前、すっかり出遅れているな。単なるおっさんだなあ~。PSPが単なるゲーム機だと思っているのか?PSPではなあ~ PSPでは、録画していたテレビ番組を見ることができるのだ!!」

「そ、そうなのか?甥姪はDSばっかで、PSPはもってないからな。」

「忙しいオレには必須なのだよPSPが。因みにipodだと画面が小さくて、文字が見えないのだ。最近老眼気味で。」

「そういえばお前、髪の毛黒くなったな。この前はなんかすごい半白髪だったじゃないか。」

「染めたのだ。今年大学の軽音楽部を復活させてな。半白髪で大学生と一緒にいると目立つだろ?大体お前だって染めてるんだろっ!!」

「いや、オレは染めてないぞ。かわりに夕食のお味噌汁にたっぷりワカメ入れてるが。」

「なんだそれは!!そんなんで白髪にならないのかっ!!何故教えてくれなかった!!」

「キミがきかないから。いいじゃないか。総白髪にすればシャアみたいになって、かえって大学生にウケるかもしれんぞ。」

「今はシャアを知らない大学生の時代だ。仮面ライダーと言えば、平成ライダーで、セーラームーンといえば実写版の世代なんだよ。円君」

我が友が実写特撮ヲタだと言うのは知っていたが、セーラームーンまで触手を伸ばしていたとは・・・

「そうか。するとマクロスといっても、フロンティアなんだな?」

「そうだ。フロンティアだ。だがそれはいい。最初のマクロスよりもフロンティアの方がずっと完成度が高いからな。最初のマクロス語れなくてもフロンティアを語る事ができれば合格だ。」

何に合格なんだよ(^_^;)

まさか軽音楽部では、音楽の知識より、アニメや、実写特撮の知識が問われているのではないのだろうな?

「いや、フロンティアの話がでてきたから、話をもどそう。おれはだなあ。PSPでこういうのを見ているのだ。」

我が友はいきなり鞄からPSPを出すと、操作をして動画をうつしだし、僕に手渡した。

こ、これは。

「渡り鳥化したパンツ・・・・『そらのおとしもの』か(-_-)?」

「おおっ!!円!!お前ただのおっさんじゃなかったな!!これを見て『そらのおとしもの』とわかるとは!!」

「いや、それは別にいいのだが、PSPには全編入っているのか?」

「当然だろ。パンツが渡り鳥になって飛んでいるところだけ見て何が面白い。中学生じゃあるまいし。」

「で、それをどこで見るのだ?」

「まあ行き帰りの電車だな。」

「他には何を見ている?」

「う~ん。『ファントム』『うみなこの鳴く頃に』そうそう、お前に教えてもらった『化物語』はよかったな。それに『クイーンズブレイド』か。」

「それを電車で見ているのか?」

「おう。だって『クイーンズブレイド』や『そらのおとしもの』を家ではみれないだろ?ウチは女房と五歳の女の子なんだから。『ファントム』や『化物語』も怪しい。『うみねこ~』はまあいいとしても。」

たしかに家でみないのは正解だと思うが、電車の中ってどうよ?

まわりの人は「こいついい年してアニメ?しかも何?この意味もないボインボイン(-_-)」とかおもってないか?

はっきりいって、仮に我が友が電車のなかで『クイーンズブレイド』を見ていたとして、となりにたったのがOLさんだったとしたら、どう考えてもイヤな顔というか軽蔑した顔すると思うぞ。

「電車の中だと、となりの人とかにみられないか?」

僕は我が友の表情を伺うようにしてきいた。

「そういう事は一切考えないようにしている。」

我が友はキッパリといいはなった。

恐るべし我が友。

通勤電車でハーレムアニメの類を見まくりとは!!

「いいか円。会社をでれば何をしてもいいお前とちがってだなあ。オレは会社ではマジメに仕事しなきゃならないし、家に帰ったら、旦那として、父として、しっかり役割をはたさんといかんのだ。では、オレがオレであれる時間は一体どこにある?お風呂だって早く帰れば娘と一緒に入らなければならんのだ。オレがオレであれる場所は、今やトイレと会社の行き帰りの電車のなかにしかない。会社の帰りに自分を取り戻そうとしても、珈琲一杯飲んだら終電に乗れなくなってしまうのだ。このつらさがわかるか?現実のあまりに平凡な生活から逃れる方法は、今の時代たった一つ。ハーレムアニメの類を見ることだ。ハーレムアニメはエッチしないからな。どこまでも楽しいのだ。エッチをしたら最後、結婚か修羅場かの二つに一つ。オレはもうそれを知ってしまった。リアルドラマでは今や必ずエッチしてしまう。その瞬間にオレは思うのだ。「そっから先は退屈な平凡か修羅場だぞ」と。ちょいエロであってもエッチをしないハーレムアニメにはそんな心配は無用だ。女の子とつきあってもエッチなんてなかった中学生の頃の汚れなき自分に戻れる世界。それがハーレムアニメなのだ!!」

ううっ!!それは確かに一理あるのかもしれん。

だが、僕には電車でアニメを見ることはできないぞ!!

とりわけハーレムアニメは。

「まあどうでもいいが、オレは今の仕事と家庭をもった平凡だけど幸せな生活を噛みしめながらも、そのマンネリ感から逃避したいのだよ。」

「そ、それはわかるが・・・。大学生相手に指導しているんだから、軽音楽部の女子大生相手に逃避したらどうだ?」

「バカかお前は。リアルな女子大生相手にエッチしないで、何をするんだ?エッチしたら結婚か修羅場だといったろうが?女子大生相手にエッチしたら、家庭を大事にしつつマンネリからの逃避をするという目的がまったく果たせないではないかっ!!」

なるほど。確かにそうだ。

ということは、やはり家庭を大事にしつつ、マンネリ生活からの脱却を目指そうとすれば、二次元ハーレムアニメの世界に逃避するしかないのだろうか?

もしかするとハーレムアニメが深夜1時すぎなのは、奥さんや子供が寝静まった夜、ベットから起きだしたお父さんがこっそり見るためだったのだろうか?

「ところで円。来期はなにがおもしろそうなんだ?」

「ん?そうだな化物語つながりで『刀語』、『ダンス・イン・ザ・バンパイアバンド』『デュラララ』それに『聖痕のクエイサー』と『おまもりひまり』かな?」

 

 

あれ?もしかして僕も思いっきり逃避中?


2007.11.26

口げんかではかなわない(おまけ)みゆみゆ稲荷の恩返し?

さて。

桜がやってきたのは、僕がみゆちゃんの家にお供え用の自家製梅干しと稲穂少々を送った日の晩だった。

11月上旬までに送付と、10月の20日頃に連絡が来ていたのに、11月半ばになってもこないので、そろそろ確認のメールを入れようと思っていたのだが、会社からお供えを送ったその後にいきなりやってきたのである。

桜はとりあえずベランダに出して、水をたっぷり与えて週末まで放置しておいた。

そして日曜の晩、バケツに入れた水に、ビニールのポットをはずした桜の根を一晩漬け、月曜の朝、きちんとしたポットに植え替えてあげた。

大きさ70センチ、しだれ枝は最大40センチで、13本もついている。

咲いてくれれば十分満足できる大きさだった。

できれば1.5mくらいで成長がとまってくれれば、ずっとベランダにおいておけるのだがなあ~。

そんな事をかんがえつつ、その晩はベットに入った。

そして明け方。

人の気配がするので、ベットから出て、居間にいくと、母親がサッシの前にたって、ベランダの桜を見ていたのだ。

え?

まだ七時前だよ?

「何勝手に入ってきてんのさっ!!」

実家は近いが、僕は一人暮らしで母親と同居しているわけではないので、母親に向かってそういった。

その瞬間、僕はベットの上で目を覚まし、それが夢であることに気付いた。

一応、居間にでてみるが、当然の如く誰もいなかった。

まあ、僕が「水菜が食べきれないほど生えた」とか、「桜が来た」と言っていたので、母親は見せて見せてと言っていたから、それでそんな夢をみたのだろうと思い、僕はまたベットに戻り寝てしまった。

数十分後、目覚まし時計の音で目をさましたが、ベットの中でグズグズしていたおかげで遅刻ギリギリの時間になってしまった。

鞄に携帯やら何やらを詰め込み、枕元においてあったメガネを、メガネケースにいれようとするとメガネケースがない。

そいや、土曜日はディバックだったと思いだし、ワークルームにディバックをとりにいくと・・

ブラインドを閉じていて薄暗い部屋のなか、机のパソコンの前に、メガネケースがあった。

昨日は二時くらいまでネットしていたので、こんな所にメガネケースはなかったはずだが・・・・・

僕は会社に行くときは裸眼ででかけ、会社でメガネをかけて、帰りもメガネをかけて帰ってくる。

で、家でもメガネで、寝る時には枕元のメガネ立てにいれるから、土曜日ディバックに入れてでかければ、月曜日にメガネケースは当然ディバックの中にあるわけで・・・

まあ、これでもいいかと手にとると、中でカラカラと音がした。

あれ?メガネが入っている?

僕がメガネケースをあけるとそこには僕のモノではないメガネが入っていた。

!!

僕はあわてて部屋中の窓とドアのロックを確認した。

昨日の夜二時になかった他人のメガネが、朝、机の上にあったとしたら、それは寝ている間に、誰かが入ってきて忘れていったということではないか!!

しかし玄関のドアも窓も、すべてロックがかかっており、誰かが侵入した形跡はない。

一応机の上においておいた財布の中身も確認したが、クレジットカードから銀行カード、保険証に至るまで、ちゃんとあった。

ということは・・・・このメガネは何?

 

(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)

 

会社にメガネをもって来た僕は、とりあえず腐れオヤジにメガネを見せた。

「これ知ってる?」

すると腐れオヤジは

「おっ!!これ探していたんだよ!!どこにあった?」

なんとメガネは腐れオヤジのモノらしい。

「昨日の夜二時にはなかったのに、今朝おきたら机の上にあった」

「会社のか?」

「いや自宅。」

「なんで?」

「それはこっちがききたい。昨日の二時過ぎ、こっそりうちに忍び込んだだろう?」

「なんでオレが真夜中の二時過ぎにお前の家に忍び込まなきゃならんのだ!!」

母親に聞いてみても、夜中に僕の内に忍び込んだりはしていないようだった。

「あんた日曜日にうちにカレー食べに来たとき、間違ってもっていったんじゃないの?」

母親はそういうが、日曜日カレーを食べにいったときには、僕はお財布ももたず、ジーンズにシャツ、それにキーケースだけもって食べに行き、食べた後速攻で帰ってきたので、間違えてもって帰るはずがない。

手ぶらでいき、手ぶらでかえってきたのだ。

大体自分がメガネかけているのに、人のメガネもっていってどうする?

「いや、このメガネは先々週、目医者にいったときもってこいと言われてなかったから、日曜日にもっていったということはありえないな。」

腐れオヤジがえらそうに言った。

まさか母親がこっそり忍び込んできたのでは?

あれは夢ではなくて、僕が幽体離脱したのかもしれん!!

「なんで私が明け方にあんたの家にこっそり忍び込んで、旦那のメガネおいてこないといけないのよっ!!あたしはストーカーでいじめっ子かっ!!」

母親が怒った。

おこられてもなあ~

たとえば会社で僕が間違えて持っていったとしてもだ。

鞄の中ではなく、机の上にあったということは一度鞄から出したということだ。

鞄から出したということは、メガネをかけようとしたからで、それならばメガネケースをあけて他人のメガネであることは気付くはずなのだ。

メガネっ子とはそういうものだ。

しかし僕にはそういう記憶がまったくない。

しかも昨夜二時にはこのメガネケースはなかった。

なぜなら僕のパソコンの前にはマウスパットとマウスがあり、メガネケースはその上においてあったからだ。

メガネケースがあればマウスはうごかせないから、絶対に昨日の二時には、そこにメガネケースはなかったのだ。

はっ!!

もしやっ・・・・・

 

 

お供えをあげると桜が来た。

桜をきちんと植え替えると夢で母親がそれを見に来て、何故かあるはずのない親父が無くしたメガネが机の上においてあった。

これは・・・・

  

①みゆみゆ稲荷のお使い狐が、将来献上される桜を見に来た。
②でも、私に見つかってしまい、あわてて私の母親に化けた。
③お供えをもらったので、来たついでに恩返しをしようと、オヤジの無くしたメガネを机の上においていった。

 

こ、これなら・・・・

なんといっても、みゆみゆ稲荷だし・・・・

僕はみゆちゃんにメールをおくった。

「ぎゃあ~っ!!超オカルト事件発生!!」

めずらしくみゆちゃんからはすぐ返事が来た。

「何か起きた?ちゃんとお供えしたけど。やっぱオキツネさまに梅干しはまずかったんじゃない?」

まあイレギュラーなお供えではあるが、みゆみゆ稲荷は伏見稲荷である。

狐はお使いで、まつられているのは宇迦之御魂大神(うかのみたまのおおかみ)という五穀豊穣の神だから、自分ではじめてつくった梅干しをお供えしたってまずいことは何もない。

むしろ日本の伝統食を自分でつくりはじめて、きちんと奉納した僕をほめてくれてもいいはず。

それはともかく、僕はお供えを送ったその日に、期限通りにこなかった桜が来たことから、後の事情をメールした。

みゆちゃんからの返事はたった一言。

「うちは関係ありません」

いや、関係あるだろ?

絶対ある!!

僕は再度メールした。

「最終的に我が家ではこういうことになりました。奉納するからといわれた桜が来たので、
みゆみゆ稲荷のお使いがそれを見に来た。でも、私が誰かがきたことに気付いて見にいったので、あわてて私の母親に化けた。で、直接自分の目で見て、桜を気に入ったので、オヤジが無くして困っていたメガネを、お礼の先払いとして机の上においていった。さすがみゆみゆ稲荷!!」

送信すると一分もたたずに返事が来た。

「だから桜は自分で育てなさいってっ!!」

ぼくも負けずに返事を返す

「いや、育てるけどさぁ~。神様が直接やってきてご所望されると私もあげないって訳にはいかないと思うんだよねえ。ウカノミタマは鷹揚でも、お使いの狐がそうだとは限らないし、しかもこれまでのような夢に出てくるなんてレベルじゃなく、こんな物質現象おこされちゃうと、いうこと聞かなかったら、いったいどうなることかと・・・・」

「どうにもならないわよっ!!」

『ならいいけどさ。でも、これだけすごいことしてのけるんんだから、多分何年かすると今度はみゆちゃんの枕元に狐が立って「お前あの桜もらってこ」とか言うと思うよ。オキツネさまからすると、すでにお礼は先払いしているわけだし』

「(* ̄□ ̄)」

そのあとみゆちゃんからは何も言ってこなかった。

2~3年は僕が育てるから、ここを見ていたら、天罰が下る前に、ちゃんと引き取るようにね(^_-)


2007.11.19

口けんかではかなわない(3)

すると珍しく五分もしないで返事が来た。

「ど~したの?いきなり日本人であることに目覚めたの?私は今朝から海外からのお客さんのアテンドで高山にお仕事。でも明朝一番でオフィスに戻らなきゃならないんで観光気分にはなれないわ」

どうやら出張で高山にいるらしい。

でも高山ってどこだ?飛騨だろうか?飛騨高山木菟寺の仁王像にはキカイダー01が隠されていたのだが、漫画で子供の頃読んでいたのを覚えていただけなのでそもそも飛騨がどこらへんだかわからない。

出不精な僕の日本地図の知識は里田まいのそれに毛が生えたようなものではないかと最近気になっているくらいなのだ。

とりあえずこの感じだと、桜も梅もいらないとは書いてはいない。

僕はたたみかけるように返事を書いた。

「なんじゃ?日本人にめざめたって?むかしさ~、四谷の中華料理屋さんで食べた餃子の皮覚えてる?あれは絶対発酵させてると思ったんだけど、老麺という天然酵母を使ってるんじゃないかとまではわかったんだよ。

でも中国でもほとんど使ってないみたいで、作り方調べたけどわかんなかったんだけど、ようやく林弘子ってひとが本書いているのみつけて、今酵母おこしているところ。

で、その林弘子ってひとが発酵食なんかの本を書いていたりして、それを読んだら色々保存食とか発酵食をつくってみたくなったんだよ。

今は糠漬けもやってるし、梅干し、ガリとかもつくってるよ。

ま、それはともかく、タカさんに桜も梅も、おっきくなったらみゆちゃんの稲荷に奉納しようって言ったら、悪魔だとかいわれたけど、やっぱあれくらいの庭があれば世界一ゴージャスな桜や梅をもらったら嬉しいよね?どんなに綺麗でも栗の木はいやだろうけど。」

僕等の大学の裏門の向かいには栗畑があった。

栗の花が咲く時期になると、顔をしかめる女子を見て、「あいつはフェラ経験者だ」とかしょうもないことを言っていたのだ。

そのあとみゆちゃんからの返事はこなかった。

僕は夜になってタカさんにメールした。

「別にみゆちゃんはいらないって言わなかったよ。やっぱあれだけの庭があると木の一本や二本増えてもどうってことないんだよ。それにお稲荷さんに奉納するっていったから。やっぱ奉納っていうと勝手に断れないんじゃない?とりわけ私はお稲荷さんから直に呼び出しくらった口だし。」

 

 
(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)

 

翌朝早く、みゆちゃんからメールが来た。

電車で都内に戻る途中でヒマらしい。

「梅もよくなって美味しくきれいなのが、桜は彼岸桜と、公園から飛んできて育ったのがあるよ。追加はなくていいと思うんですが。両方とも虫がつくし。」

はあ?何言ってんの?桜が公園から飛んでくるのか?タンポポじゃねえんだからっ!!そりゃお前盗んできたんだろう?

って桜って種できんの?まあ、サクランボは桜の子だろうが、ソメイヨシノとかにサクランボがぎっしりなっているところは見たことがない。

サクランボ以外の桜の種も見たことがない。

そういえばどうやって桜は増えるんだ?

人間が接ぎ木とかして増やした場合を除いて?

タンポポみたいに種が飛んでいくのだろうか?

いくらなんでもそりゃないだろ?

いや、それよりも肝心なのは虫だ。

みゆちゃんちでは、どうせ庭師かなんかをやとって薬蒔いたりするんだろうが、こっちは大問題だ。

そういえばこないだニュースの特集でチャドクガをやっていた。

本体に触らなくても、毛虫からはがれて空中を飛んでいる毛にふれただけでブツブツしたりするらしい。

そんなのが大量につくようなら、大きくなる前でもみゆちゃんの家に移さなければっ!!

「あのさ、虫がつくってどんな虫がつくのさ?それにさ、みゆちゃんちは虫がつくっていってもどうせ庭師みたいなの雇って処理するんだから関係ないじゃん。自分のうちが一杯なら、親戚が新居たてるときにお祝いにあげれば喜ばれるよ。桜だし。」

とりあえず梅は話からはずすことにした。

高山から東京に戻る列車のなかでヒマしているみゆちゃんからはすぐに返事が来た。

「桜切るバカ、梅切らぬバカだからね~。梅は風通しよくしとかないとすぐ病気やカラ虫(貝殻みたいなのが幹にぎっしりつくのよ)アブラムシみたいなのにやられるよ。桜は毛虫が有名。でも、種類によってちがうから、植木やさんに聞いといたほうが無難。自分で育てるのに殺虫剤使って梅酒や梅干しつくるのいやだしねえ。根巻きしたままで大きくしないとか。虫や病気は他の鉢にうつったりするしね。頑張れー」

なんだやカラ虫ってっ(>_<)!!

虫なのか、貝殻なのかはっきりしろっ!!

っていうか、私はウロコ恐怖症なんだから、そんなのがびっしりついたら怖いだろ!!

っていうかすでに頭とか首とか痒くなってるんですけどっ(>_<)!!

「え~と。それは『北の国から』の吾郎さん見習って木酢液でシュッシュとやればなんとかなるの?とりあえず毛虫はなんとかできると思うのですがカラ虫はいやです。そんな訳で、もし梅の木にカラ虫がついたら、みゆちゃんの家の前に捨て子ならぬ捨て木するので、立派に育てて、なっちゃん(みゆちゃんの娘)が嫁入りするときに嫁入り道具の一つとしてもたせてあげてください」

梅切らないのはバカなんだそうである。

じゃあわざわざ買ってしまった私はどうなるんだっ!!

僕はバカではないし、かといって鬼でもないので、切ることはせず、自分の家においておくこともせず、みゆちゃんの家で育ててもらうことにした。まあ一方的にだが。

全然ヒマなみゆちゃんからはまたしてもすぐ返事がきた。

「木は子供育てるみたいに手間暇かかるらしいよ。私なんて母がいなくなったらこの庭どうしたもんか本気で悩むもん。でもやはりあると嬉しいでしょ。がんばって~」

切れ!!悩むなら切れ!!更地にして売りだしたら楽勝で億単位の金になるからっ!!

でもそんなことはこの際、どうでもいい。

とりあえずなんとかしてみゆちゃんに桜と梅の木をひきうけてもいいと言わさなければ。このままだと逃げられてしまうっ!!

「大丈夫。旦那が土いじりしたい年になっているから。旦那が喜んでやるよ。なっちゃん植木屋に嫁に出すって手もあるし。おいらはもう九十九里浜あたりで庭付き一軒家でも買って半ば自給自足でサーフィンとかやりながら楽隠居したいです。出不精なおいらは本もCDもDVDも、今はAmazonで送ってもらえるので、都内にすむ必要はほとんどないような気がする。一生日本と海外をいったり来たりすると思ってたからマンションにしたけど、こないだチヒロの家にいって、池袋から20分くらいのところにこれだけ農地みたいのあるんだったら、こういうところに畑つきの家たててもよかったと思ったよ。子供の頃爺さんが群馬に精密機械の工場もってたけど、そこは母屋を中心にして左側が精密機械の工場で、右側は広い畑になっていた。子供心に、最新の精密機械工場やっているおじいちゃんが、なんでお百姓さんみたいに畑もやってるんだろうと思ったけど、最近その気持がわかる気がしてきたよ。」

六年前に病気をしていらい、僕の生活は年々シンプルになってきている。

人間は一度でも死に直面すると、自分にとって必要なモノと欲しいモノの区別がつくようになるらしい。

「年取った証拠よ。それ!!だから今、北海道とかの地方長期滞在お試し企画に中高年が殺到してるんじゃない。うちの旦那もしばらく前にそんな話ししてたわよ。」

っておめ~の旦那は私より11も上じゃね~かっ!!

勝手に年とった証拠とかいうなっ!!

結局のところ、みゆちゃんから引き取りの言質をとることはできなかった。

それにしても腹が立つ。

せっかく春には梅につづいて桜がさき、そのあと梅の、実がなり、夏前には梅干し漬けて土用干しという楽しいベランダ未来図が、みゆちゃんのせいで、毛虫の大群とカラ虫だらけの不気味な梅の木が巣くう地獄絵図へと変わってしまった。

仕事をすませて家に帰る途中ひさしぶりにメラメラと怒りが燃え上がって来た。

みゆちゃんめえ~っ!!

「ちっ!!折角お花好きの天使になったのに、悪魔のみゆちゃんにボコボコにされたせいで楽しい気分がきえちまったよっ!!でも、帰ったらお茶の木の花が咲いてなぐさめて
くれました。もうすぐ20年越しの友人になるみゆちゃんより、こないだ来たお茶の木の方が私に優しいとはこれ如何に?」

僕はそう書いて、お茶の花の写真を添えてメールしてやった。

「きれいじゃない。育てて花さくとほーんと嬉しいよね。おめでと。私は悪魔じゃ
ないわよ?」

育ててないです~っ。数日お水あげただけですぅ~っ!!

「じゃあ極悪人(-_-)」

「はあ?大体あんたが育て方を確認してから買えばいいじゃん。私のせーじゃないもんねっ」

「子供は誉めて育てよという言葉をしらんのかっ!!二児の母の癖にっ(>Д<)」

「だ・か・らぁ~それは私のせいじゃなくて、あなたが苗木を誉めて育てればいいことじゃん。私は親切に病気になりやすかったりするから気ぃつけた方がいいよって経験者のアドバイスをしたにすぎんとよ!!ま、がんばって!」

ウソつけ!!このネガティブ悪魔めっ!!なんだその「~とよ!!」って。お前は何人だ?高山人かっ!!一日いったくらいで訛りうつされてるんじゃね~よっ!!

こうなった以上、とびっきりの捨てぜりふを吐いてやるっ!!

「ふんっだっ!!フンフンフンのフンドシだいっ(>ε<)」

もちろんみゆちゃんから返事はなかった。

 

(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)

 

それから一ヶ月後、桜はやってきた。

国産なのに楊貴妃という名の品種らしい。

70センチほどの大きさで、しだれ枝が13本出ている。

枝の長さは20センチから40センチもある。

春になれば、この13本の枝が、花をつけるわけだ。

それがさぞかし美しいであろうことは容易に想像がつくわけで。

 

僕は今、うまれてはじめて春が来るのを待ち遠しく思っている。

 

The end.
Uploads on coming monday!!
see you (^_-)


2007.11.11

口げんかではかなわない(2)

え~。先週は自宅黒ミサがありまして、午後五時で終わるはずだったのですが居残り組が夜まで粘ったので、更新できませんでした。すんませんm(_ _)m

そ、そ、そうかっ!!

植物もこれだけたくさんあると、自ら気を放って、僕を癒してくれるわけだ。

ガーデニングおそるべしっつ!!(何が?)

こうなった以上、ベランダに植物をいっぱい植え、ますます強力な気を放つようにすれば、僕の健康にもすこぶる良いに違いない。

そう考えた僕は、再びホームセンターに向かった。

すると・・・・

南高梅の苗が半額の540円になっている・・・・

南高梅といえば、梅干し。

が、その前に。

春になると桜より先に可憐な花を咲かせてくれる。

もしベランダに梅の木があって、春の訪れをその可憐な花で知らせてくれたらどんなに素敵だろう。

何故か僕は乙女チックになっていた。

これも植物の放つ気に影響されているせいだろうか?

買いだ!!500円ちょいだし!!花屋で1000円だして花束買っても1週間で枯れる。

でも今、500円だしてこの梅を買えば、毎年春になると可憐な花を(といっても梅の花なんて花札でしかみたことないけど)咲かせてくれる上に、梅干しだってできるのだっ!!

僕は直径が40センチもある一番でかいポット800円とともに南高梅の苗を買った。

家にもどり、煮干しの粉と腐葉土と黒土をまぜて梅を植え、その上から赤土をかぶせた。

これで春の訪れはベランダで梅の木が伝えてくれることになった。

もしかすると鶯がベランダにやってくるかもしれない。(都内でそれはない)

そう思ったとき、僕のなかでまた新たな思いがムクムクとわきあがってきた。

春のおとずれは梅が教えてくれるとしてだ。本格的な春を楽しむには桜があったほうがいいのではないだろうか?

いやいや、流石にベランダで桜は無理だろ?

そんなの見たことないし。

でも僕は一応サカタのタネのHPにいき、桜を検索してみた。

流石サカタのタネ。

ちゃんと桜の苗も扱っている。

そのなかにひときわ華やかな桜をみつけ、僕はその画像をクリックしてみた。

しだれ八重桜だ。

え?

え?

ポット植も可って書いてあるぞ!!

ってことはベランダでも育てられる?

春になるとサッシの窓の外には、このゴージャスなしだれ八重桜が満開になるってこと?

買いだっ!!3800円買いっ(>_<)!!

僕は迷うことなく、購入ボタンを押していたのである。

 

(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)

 

これで僕のベランダは、来年になるとイチゴができ、今年同様バジルや唐辛子、ゴーヤができ、春になると梅、桜と花を咲かせ、そのあとはラズベリー、そしていつかはコーヒーの木も実をつけるようになるかもしれない。

すごい!!こんなベランダ日本中を探してもないぞっ!!(そんなことはない)

だが、瞬間的にお花畑に頭をもっていかれることがあっても、僕はちゃんとした現実主義者だ。

コーヒーやラズベリーはともかくとして、梅と桜は3年以上したらやばい状況になるのはわかっていた。

いや、場合によっては5年かもしれない。

いずれにせよ、いつかベランダの高さよりはでかくなってしまう。

その時の備えをしなければ・・・・

とりあえず魔人ケンチにきいてみた。

「あのさ、梅と桜ならさ、ケンチのお客さんのつてとかで欲しい人とか出るよね?」

「え~。区の公園とかに寄付すればいいんじゃないですか?特に桜はそうすればみんなで楽しめるし」

そっか。最悪そういう手もある。だが、今から「おっきくなったら引き取って下さい」と頼んでおくことはできない・・・・

我が友チヒロの家の庭には桜を植えるスペースはないし。

そうだ!!いでっちの家はたしか秋川渓谷あたりにある一軒家だぞ!!

「あのさ~。今回桜と梅買ったんだ。でっかくなってベランダに入らなくなったら、いでっちにあげるよ。毎年春になると美しい梅と、美しい桜が庭に咲くようになるんだよ。うつくし物好きのいでっちならよだれジュルジュルでしょ?」

そう書いてメールをおくったが、返事自体来なかった・・・・

まだまだうつくしもの好きとしての修行がたりんなっ(>_<)!!

こうなったらでっかくなったときに区に相談するしかないか・・・・

その時・・・

僕の頭に、一人の人物が浮かび上がった。

いたぞ!!

都内に住んでいるにもかかわらず、庶民から見ると非常識な土地をもっている友人が!!

みゆちゃんだ!!

あそこの庭なら桜や梅の一本や二本、余裕で植わるはずだ。

僕はとりあえず一安心した。

でも、流石に二人の友人に色よい返事をもらえなかった今となっては、言い方にも注意が必要だ。

そこでとりあえずタカさんに話を振って意見をきいてみることにした。

「最近の趣味はガーデニングになった私。夏にはゴーヤ、唐辛子、バジル、獅子唐、大葉などを育て、今はバラ、イチゴ、梅、柚子、カシス、ラズベリー、コーヒーの木も育てています。で、こないだついつい、しだれ八重桜も注文してしまいました。他はともかく、梅と八重桜はでかくなるのでその時はみゆちゃんにあげようと思います。」

返事

「え~ うそ~と思っちゃったですよ。円がイチゴ、梅だもん。苗だもん。育てるんだもん。悪魔が菜園?ガーデニング?まるで私が(はあと)絵文字をメールに使うみたいに驚いた。でも、でかくなったらみゆちゃんにあげよで、やっぱり悪魔だと安心」

そういう感想を求めている訳ではないのだがな・・・・

そうこうしているうちに、またもや植物が増えた。

やぶきた茶の苗だ。

アーモンド好きな僕は、あとはアーモンドの苗が欲しいなあ~と思っていたのだが、どこも売り切れ。

で、あちこち探しているうちに、たまたまお茶の木が売られているのをみてしまった。

800円。

お茶なら実なんかならず、葉がでればそれを蒸して酵素の活動をとめて、そのあと乾燥させていけばいいんだから、コーヒーの木よりは、使えそうだ。

まあうまいお茶ができるとは思わないが、その時は粉砕して抹茶にすれば良いじゃない?

時期的にもそろそろ、みゆみゆ稲荷に何かを奉納する時期なので、ここは思い切って桜の話しもきりだしてみることにした。

「今年のおいらは生まれてはじめて梅干しを漬けたので、自分が口をつける前にお稲荷さんにお供えしてほしいです。 近々2=3粒おくりつけるので宜しくお願いします。

昨日お茶の木を購入したので、順調に育てば、来年はお茶を奉納しようと思います。

更にしだれ八重桜も注文してしまったので、ベランダに収まらなくなったら、丸々奉納させていただきたく思います」

そ・う・し・んっ!!

To be continue.

Uploads on coming monday!!

see you (^_-)


2007.10.29

口げんかではかなわない(1)

僕にも新しい趣味ができた。

ガーデニング!!

去年の春にバジルを育てる事に成功して以来、バラ、柚子、クコとベランダにうえつけ、今年の春にはゴーヤ、青紫蘇、唐辛子、獅子唐、茗荷と植え付け、見事に育て上げた。

このあたりで趣味ガーデニングとか言ってもいいのではないかと思ったのだが、なんといっても、腐葉土と黒土を入れて苗を植えるだけである。

趣味というにはあまりにもシンプルだ。

やはり趣味にはマニアックに語れる側面がなければいけない気がする。

で、本職は魔神・・ではなく芝生屋さん(多分)のケンチにきいてみた。

「土壌とかやると面白いですよ」

ヒマな時にネットでちょこちょこと調べ、Amazonで検索して、趣味と実益をかねそうな『生ゴミ堆肥ですてきに土づくり』という本を購入した。

これは「ぼかし」といわれる有機肥料を家庭で土嚢袋(洪水なんかのときに土入れて、水をふせぐヤツね)のなかでつくる為の本だ。

ぼかしは有機質肥料を山土なんかと混ぜて発酵してつくる肥料で、骨粉やら鶏糞、油かすなんかを土と混ぜてつくる。

土嚢堆肥は刈り取ったゴーヤの葉と茎を適度に刻んで、土と、糠を混ぜ、そこに適度な湿り気をくわえる。

数日で発酵をはじめ40度以上になり、その温度が下がったら日々の生ゴミ、野菜の皮やら魚肉の残りなんかを糠にまぶして放りこんでいけば良い。

袋のなかの微生物がそれらを腐敗させずに発酵、分解するので、ある程度の量になったら、袋からだしてプランターに埋め込めば、一ヶ月ほどで完熟して肥料になるのだ。

そうしてできた土壌は、栄養分はもちろん、微生物やアミノ酸も豊富になり、植物も良く育つという。

実際にやってみると、匂いもほとんどでないし、この時期なら虫もこない。

うん。これなら趣味にガーデニングをくわえてもかまうまい。

なんといったって、趣味は?ときかれ、「スキューバダイビングと射撃です」などと答えたら「ネイビーシールズかっ!!」などとつっこまれ、思いっきりひかれてしまう。

しかし「スキューバダイビングとガーデニング」と答えれば、なんかとってもオトメンな穏やかな人のように思えるではないか。

たとえ正体が悪魔だとしても・・・

 

(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)

 

さて、こうなってくると、小物の野菜みたいなものではなく、大物を育ててみたくなる。

なんたって、土嚢有機肥料が僕にはあるのだ。

できあがるのは年明けだが、苗なんかは秋にかわねばならない。

まず僕は、ほぼ一駅はなれたホームセンターに向かった。

ここにはあれこれと色々な種類の苗がおいてあるのだ。

まず試してみたいのはイチゴ。

去年畑を住宅地にした場所に家をたてた我が友が植えて、成功したといっていた。

そして、梅、ブルーベリー、ラズベリー、オリーブ、カシスといったところが目についた。

でもオリーブは実がなってもオイルを絞れる程にはならないだろう。

ブルーベリーは一昨年植木市で買って、一週間で枯らしたから×。

梅はでかくなるよなあ・・・・・

とりあえず僕は、イチゴと安くなっていたラズベリー、それにカシスを買って帰ってきた。

そしていままで同様、鉢に腐葉土と煮干しの頭を粉砕したものと黒土を混ぜて植える。

この時点で、僕のベランダはゴーヤこそ刈り取ったものの、春からいまだに花を咲かせて残っている獅子唐と唐辛子、バジル、バラ、柚子、茗荷、それに夏の終わりに植えたブロッコリーに水菜、やはりホームセンターで300円で投げ売りされていたコーヒーの苗、我が友が余ったのをくれた島ラッキョウに今回買ったイチゴ、ラズベリー、カシスと13種類の食物が繁るちょっとした野菜ジャングルになっていた。

 

(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)

 

どの植物も順調に育ったが、カシスだけは別だった。

買ったときから元気がなかったのだが、徐々に葉もしおれてきた。

季節が季節だけに葉が落ちる時期なのかもしれず、ダメになったのか単に冬ごもりなのか、なんとも言い難い。

で、僕はふと思いついて気功を試して見ることにした。

気を送り込んで見れば元気になったりするのではないだろうか?

カシスを植物群の中央におき、気を送り込んでみた・・・

すると。

かなり強烈か気が、送り返されてきたのだ!!

ベランダの植物群全体から!!

 

 

To be continue.
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see you (^_-)


2006.07.23

ガガガでポン!!

それは昨年のこと。

某公共事業が、配管の交換の為に僕の会社のあるビルの一階を工事させてほしいとやってきた。

話自体は1ヶ月くらい前からあったのだけれども、一階は店舗になっている為に、工事は店舗の休日の日に。

内容は店舗の入り口の30センチ四方の床を削って、中に埋まっている配管を交換するという単純なもの。

時間通りにやってきた工事のおにーちゃんは、坊主頭で、高校球児がそのまま就職して4~5年経験を積んだって感じの、なかなか精悍な雰囲気。

床を掘り返した時の粉塵が、店舗の奥深くにはいりこまないように、おっきなビニールを張りだす。

オイオイ。会社から出られねーよ(^_^;)

ビニール張りを終えたおにーちゃんは、「じゃあ電源おかりしま~す」といって掘削機を動かしはじめ、ガガガガガ!!と掘削をはじめた。

見ていた僕も、あまりにうるさいので三階のデスクに戻ったのだが、しばらくして天井の電気が一瞬、本当に気がつかないほどの間消えた。

それから数秒後。

下で工事のおにーちゃんの、怒鳴る声がする。

うっせ~な!!怒鳴ってないで、ちゃんと相手のとこいって話せ!!とか思っていると、その怒鳴り声は三階までやってきて、「すいません!!すいません!!」と。

「なんですか?」

「すいません!!掘削してたら、なんか電気使いすぎたみたいで、メーターから煙でてるんですけど、ブレーカー落としてくれませんかっ!!」

はあ~?

タコ足配線している電源じゃなく、壁のコンセント貸したんだぞ?

おにーちゃんの動揺した顔を見ながら一階に下りると、確かに強烈なゴムの焼ける匂いと、ほのかな煙が・・・・

でも、中ではないみたい。

外に出ると、外壁にとりつけてある、電柱からビルへの引き込み線の電気メーターが、思いっきり煙を吐いていた。

うわっ!!会社が萌えてる!!じゃなくて燃えてるっ!!

「早くブレーカーを!!」

といわれても、電柱から引き込みのメーターまでのブレーカーなんて、ビルの中にあるのか?いや、あるわけないだろっ!!

そう思いながら燃えている電気メーターを見ていると、今度はメーターから電線までのぶっといケーブルがブスブスブスッっという音とともに溶けていくではないかっ!!

「消防署に連絡しろ!!」

「中の人間に出てもらえ!!建物に引火するぞ!!」

他の工事の人達が、恐ろしいことをいいだしますヽ(> <)ノ

とりあえず溶けてきている電線側は当然の如くコンクリートなんで延焼はないと思ったのだけれど、店内のブレーカー落として、消火器を持ち出し、再度ビルの外に。

メーターの煙はおさまりつつあるものの、ケーブルはどんどん上へと溶けていっており周辺にはゴムのやけるヤバイ匂いが充満しています。

これは一体どうなるんだろ?このまま電柱のてっぺんまで焼けて、さらに左右に拡がったら、このあたり一帯が停電しちゃって大顰蹙だなあ・・・・・

とりあえず消火器を工事のにーちゃんに渡して(いや、とりあえず会社の方には延焼せず、電柱に向かって延焼しているので、責任は彼だろ?)自分は階段を戻り、二階、三階のブレーカーの場所をチェック。四階のオヤジに「メーター燃えてるから外に出てっ!!」と内線電話でいいましたが、あれ?電気の大元がやけているのに、何故内線電話が通じるの????

そう思ってビルの外に出ると、無数のサイレンが四方から聞こえてきて、うちの会社の前にも消防車がとまりました!!

あわてて下におりると、どうやら電線のメラメラブスブスも消えた模様。

消防車からはホースが出され、若い消防隊員が近くの消火栓に接続。

「いつでも放水できます!!」

ってあなた。放水なんかしないでいいですから・・・・

火は消えてますから・・・・・

とりあえず火は消えたし、まるで人間を発見したゾンビの群れのように野次馬もあつまってきはじめたので、二階に退却。

すると女性消防官が消防車のマイクつかって「ただいまXXX丁目で火災が発生いたしました。」と絶叫。

いや、あなた見てもわかるとおり、もう鎮火してるし、火災でなくボヤですから!(>_<)!

ますます集まる野次馬。

そりゃそうです。

私だって立場が逆なら、間違いなく野次馬する!!

ともかく外には出られない感じなので、二階で携帯だして、友達にメールすることに

件名:ナイスネタ?
今日は某局が配管とりかえるっていうんで、コンクリート掘り返すガガガって機械でウチの電源使ってほりかえしたのですが、始めた途端に電柱から引き込んでいる電線が燃え始めました(--)私がわたした消火器を工事の人がぶっかけたのか、事なきをえましたが、今、消防車が来て大変です。会社の外は野次馬でいっぱいさっ!!

 

自分でもこんなことやってていいのか?と思いながら、友人数名に送信(^_^;)

すると消防士さんが二人階段をあがってきて、壁に手をあてて、壁のなかで漏電、発火していないか確認してブレーカーをみつけ落としていきます

「4階までですか?」

「屋上にも倉庫があります。」

「いくぞ!!」

「あのお~」

「なんですかっ!!」

とりあえず会社は燃えなかったし、火をつけたのも工事会社なので、のほほんとした僕に比べ、消防士さんはマジです。怖いです。

「電柱から電気を引き込んでいる所のメーターが焼けたんですよね?なのになんで各階のブレーカー落とすまで電気ついているんでしょうか?このビルに給電してるケーブルが焼けたならこのビルの電気は皆消えちゃうと思うのですが・・・」

「あっ・・・」と消防士の一人。

「そういえば、そうだな・・・」ともう一人。

一瞬妙な顔をしましたが、二人は三階に向かいました。

すると今度は女性消防官がやってきました。

「こちらのビルの方?」

「はい。そうです」

「消火器出したのは?」

「自分です」

「こちらには何名がお住まいですか?」

「住んでいません。一階は店舗だけど、それ以外は事務所ですから。」

「状況を話していただけますか?」

「えっと工事がはじまったので、三階にいたら、電気が一瞬消えたようになって、しばらくしたら工事の人が電気使いすぎたらしく、煙が出てきたのでブレーカー切って下さいと。」

「それで?」

「一階に行ったら煙とゴムがやける匂いがして、外に出たら壁のメーターから煙が出ていました。そのうちケーブルがブスブスと溶け始めたので消火器をもっていって工事の人に渡して、社内の人に外に出るようにいいました。」

「わかりました。お名前と住所お願いできますか?」

下におりると消防隊の隊長さんが、「東電は来るんだろうな?」と部下に確認中。

もう、周辺一帯が消防車とやじうまで一杯です(>_<)

あちこちで赤い回転灯がまわってるし、さらに遠方から消防車が近づいて来る音がするし、火事なんかより、うちのビルを取り囲む消防車とやじうまの威圧感の方がはるかに怖いですっ!!

屋上までチェックしたさっきの二人組みの報告によると、とりあえずうちの会社は燃え出す心配はないようで一安心。

そこに大人になったのび太君のような東京電力の人が来て、電柱からのケーブルを閉鎖して、調査をはじめました。

「え~結論からいうと、燃えているメーターはこちらの会社ではなく、となりの会社です」

「あ?じゃあどうしてここの会社のコンセントから電気引いて工事してて、となりの会社のメーターが燃えるんだ?」と消防隊長。

「もうちょっと調べてみないとわかりませんが、掘削機の配線以外に原因があるかと。」

「おい!!となりのビルに誰かいないか確認しろっ!!。燃えたのは隣のビルの配線だ。中の状況チェック!!」

となりはお休みです。消防士さんがうちの屋上からとなりの屋上へうつり開けようとしますが、ダメだったようで。

テキパキと報告が隊長の所におくってこられます。

「他の車両は帰せ。うちらは隣のビルの内部確認するまで帰れないぞ!!まず連絡つかないか確認。連絡つかない場合は一階のシャッターか屋上のドアかどちらかを選んでこじ開けて入る。以上!!」

おおっ!!日本の消防隊ってなかなか優秀だぞ!!しかもカッコイイッ!!

僕も消防士さんになればよかった!!

女性消防官に「向かいのお店のおばさんが、隣の社長さんの自宅の電話番号知ってるかも。お互い古いから」というと、女性消防官は向かいへ。

そんなこんなしているうちに、東京電力の人が隊長に「わかりましたよ」と。

掘削していたとこを指さし、

「取り替える配管の上に、となりへの電気ケーブルが通っていたんですよ。で、掘削機で穴ぶちあけちゃって、ショートしたと。」

「なんで隣のビルのケーブルがこのビルの地下とおっているんだ?」

「このビルは構造上は一つで、縦に三軒にわってあるんです。このビルが建てられた頃は一つのビルには一つの引き込み口という決まりがあったんで、引き込みはこちらのビルの壁からして、ケーブルを埋設してとなりに持って行ってたんです」

そうしているうちに隣のビルの人もやってきて、消防隊が中を確認。

「え~。電話でお宅が燃えてるっていわれてふざけんな!!と思ってきたけど燃えてないじゃん?」

「いや、燃えていたのはそちらだそうです。」

「マジ!?なんでっ?」

シャッターを開けると、案の定電気はつかず、消防隊員二名ライトをつけ突入!!

結局特に異常もなく、発生から2時間くらいで消防隊は帰っていきました。

「いや~。お前大活躍だったな。」とオヤジ。

そう。こいつは、私に言われてビルを出た後、何喰わぬ顔で、野次馬に紛れて、この騒ぎを楽しそうに眺めていたのでした。

コノウラミハラサズオクベキカ・・・・・・・

(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)

 

「申し訳ありませんでしたっ!!」

消防車が帰った後、工事のおにーちゃんがやってきました。

もちろん某局の工事責任者も一緒です。

「いや、まあ配管の上に電気配管があるなんて知らなかったんだからしょうがないですよ。でも隣のビルは電気つかないでしょ?早く工事してやらないと大変だよ。隣のオーナーは私みたいに優しくないから。明日の営業ができなくなったりしたら、小一時間じゃすまないくらいグチグチ言われるよきっと。」

「はい。それは今、東電の方にお願いしていますっ。」

「うちの前に仮設ケーブルとか通すなら、商売の邪魔にならない限り、うちの許可はいらないから。今夜中にやってあげて。」

「わかりましたっ。」

「あと、今確認したら、ショートしたときにうちの館内交換機が初期化されちゃったのか、電話通じないからこの修理の費用は負担して下さい。修理の人はこちらで呼ぶ?」

「はい。お願いします。費用は保険がありますので大丈夫です。」

今度は工事責任者。

「特に実害はないので、慰謝料の類はいりませんから。工事の方は、応急処置だけしてもらい、できるだけ早く、工事をすますなり、中止して現状に戻すなりしてください」

「今日は砂をつめて、元にもどさせます。明日中にどうするかと言うことをご連絡さしあげるということでよろしいでしょうか?」

「はい。まあ、おにーさんもあんまり気をおとさないでね。」

二人は深々と頭を下げて出て行った。

そう。僕はすごくいい人なのだ。相手にもよるけど。

責任者にグチグチ文句いえば、あとでそれだけこのおにーちゃんが責任者から文句言われるだけだからなあ~。

 

(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)

え~ 今回はオチも何もありません。

ただ一言。

建物が燃えているからと言って、その建物の持ち主や使用者が火を出したとは限りません。

逆に被害者って事もあるんで。

そこんとこ夜露死苦!!

see you (^_-)

(来週はお休みします。次回は「今時の女子(おなご)」)

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2006.05.22

円海@スパイ?(下)

僕はお茶を飲むと、改めて二人の顔を見た。

二人とも真剣なまなざしで、単なる世間話としてこの話題を持ち出したのではないことは明らかだった。

「別にどうする気もないけど。」

僕は楊総の顔を見ながらいった。

「俺達は、別に付き合うなと言っている訳ではない。ただ彼女は土地の人間ではないし、お前の会社とうちの会社は代理店契約をしている。もしお前に彼女と友達以上になるつもりがあるなら、こちらで彼女のことをきっちり調べるから結果が出るまで待て。」

なるほど。

彼らとしては、ウチと彼らの会社の関係のなかに、彼らの地元以外の中国人がはいって来ることはあまり望ましくないということらしい。

まあ、中国人は、我々日本人からみると、本当に「中国人」という概念が彼らにあるのだろうか?と思うくらい、地域性が強い。

その辺は台湾において、もともと台湾にいた内省人と戦後台湾に本土からやってきた外省人との間だがいまだにしっくりいってないことでもわかると思うが、下手をすると同じ省内でも、市が違えば「あいつらは信用できない」なんて言っていることが普通だったりする。

そしてこの土地はそんな中国のなかでも、もっとも地域性が強いと言われている地域の一つだ。

もちろん単に地域性の問題だけでなく、僕は彼らの企業の日本に対する貿易額などを把握できる立場にあるから、その辺も含めて、わけのわからない中国人が絡む可能性は排除したいと言うことなのだろうなと僕は理解した。

「ああ、そういう心配はいらないから。私は中国人と結婚するつもりないし、当然素人の女性と不用意に関係持つ気もないから。相手が部屋にやってきていきなり服でも脱ぎ出さない限り、心配するようなことは起こらないから」

一応国際関係学専攻だったので、共産圏のツバメ攻撃の怖さは知識としてもっていたし、そうでなくても台湾でハメをはずして、価格ネゴやクレーム処理の話し合いになって決裂しそうになると、台湾側が「あんたがこっちに女いること日本の奥さんに言ってもいいのか?」なんて言いだして、会社が損するのを承知の上で不利な条件を飲まざるをえなかった担当者の話なんてゴロゴロしている。

「本当にそれでいいんだな?」

楊総は念を押すようにして言った。

「うん。私が女性関係で問題おこしたなんて話は聞いてないでしょ?」

「それならそれでいいが。もし状況が変わるようなら、その時は俺に言ってくれ。」

「了解。この会社の財布の一部を預かってるってことは自覚してるから心配しないで。」

楊総はうなずき、自称中国パパは嬉しそうに笑った。

 

(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)

 

仕事は順調にすすみ、仕事が終わると、僕はアイミンと食事をして、コーヒーショップでお茶をして、会社が事務所として借りている二間つづきのスィートルームで本をよんで寝て、朝になるとまた仕事という毎日を繰り返した。

そんなある日。

いつものようにアイミンと食事をして、その日は階上のナイトクラブで評判のいいショーがあるからということで二人で見にいき、11時すぎに部屋に戻った。

遅いのでバスタブにお湯は貯めず、シャワーだけあびてベットに入った。

夜中にふと目が覚めた。

ここに来てから、夜中に目を覚ますなんてことは一度もなく、変だなと思い枕元の時計を見ると3時過ぎだった。

もう一度寝直そうと寝返りをうった時、不意に「カチャカチャ」と音がした。

ドアを開ける音だと直感した僕の動きは、自分でも信じられないほど素早かった。

がばっと飛び起き、隣の居間との境のドアをあけて、部屋のドアへと動き出したのだった。

こんな時間に部屋の鍵を開けようとするのは泥棒しかいないにきまっている。

このホテルのキーはカードキーなので、自分が鍵をもっているから安心ということにはならない。

ちょっとしたコネがあればコピーをつくるなんて何でもないことだ。

僕は普段はドアの内側に椅子をおいておき、万が一の場合でもいきなり入りこまれないようにしておくのだが、このホテルでは安心しきっていて、それも忘れていた。

こういう場合、部屋に入り込まれてドアを閉められたら8割方相手の勝ちだ。

なんとしても部屋に入られる前にドアを押さえなければならないが、僕がドアへとつづく通路に来た時点で、解錠された音がした。

ドアまでの距離は3メートル。

ドアが開き、廊下の光が室内にはいってきた。

ダメだ!!間に合わない!!

その瞬間、僕のなかで何かがキレた。

「キエーッ」っと自分でも想像もしない奇声をあげると、開きかけたドアに向かい、一切の容赦のない跳び蹴りを放ったのだった。

一瞬、開きかけたドアの向こうで、顔をひきつらせた男の顔が見えた。

そして僕に蹴られたドアはまるで爆発音のようなすごい音を発して閉まり、衝撃で鍵が壊れたらしく反動でちょっとだけ開いた。

僕はそのまま身体をドアにぶつけて閉め、ノブをしっかり押さえた。

心臓が爆発しそうなくらいどっくんどっくんといっている。

廊下をエレベーターの方に向かって遠ざかる足音がすると、僕は呼吸が整うまでまった。

あぶなかった。

まさに危機一髪。

呼吸が整うと、居間の単座のソファをドアの前まで運び込み、とりあえず開かないようにした。

これなら鍵が壊れていても、一人で外からあけることはできない。

何人かで押さないと無理だ。

僕はとりあえずベットに戻った。

部屋は暗いままだ。

その方が興奮が治まった。

しばらくして電話がなった。

受話器をあげると、女の子の声で、「フロントです。ご免なさいご免なさい」といっている。

状況がわからないけど、どうもなにかの手違いで泥棒ではなかったらしい。

でも女の子は泣きじゃくっていて、言っていることがよくわからなかった。

「ああ、とりあえず泥棒じゃなかったのはわかったから後にして。」

そういって電話を切った。

僕が大学時代に授業で2年ほど合気道を習った先生は、若い頃中村天風という人の鞄持ちをしていた。

その中村天風の軍事探偵時代の話で、ある日、直心新影流の使い手が派遣されてきて、これは助かると思ったら、夜も一睡もせずにいて、「どうした?」と聞いたところ、彼は「いや、襲われないように起きていた」と答えた。

そんなの寝ていても、危険がせまれば自然と目が覚めるもんだと中村天風は答え、こりゃだめだ。使い物にならんと思ったら、案の定ダメだったという話を思い出した。

真の達人というのは、眠っていても危機を感知し、めざめるものなのだ。

もしかして私も達人級に(^_^;)?

そんなことを思っているとまた電話がなった。

アイミンだった。

「ご免なさい。うちの広州の事務所から時々出張でスタッフがくるんだけど、部屋が一杯だと、普段は人のいないあなたの部屋に泊めることがあるの。で、今夜の当直の女の子が、今、あなたがいるの忘れて、キーを彼に渡してしまったみたいなんだけど。」

「ああ、なるほどね」

「勝手なこと言って悪いけど、グループ本社の方には今夜のこと黙っていてくれると助かるのだけど。グループの大事なお客様にこれだけの失礼があったとなると、当直の女の子がクビになるのは確実だし・・・・」

管理と運営を委託されている彼女の会社と、このホテルの所有者である楊総の会社が必ずしも仲がいいわけではないのは僕も感じていた。

ここは事務所といっても、日本の代理店であるウチが、ここに事務所がないというのも問題だと楊総が言いだして看板をおいてあるだけで、オヤジの服がおいてあるくらいで会社としての資料の類がおいてあるわけではなかった。

「ああ、それはわかったから。後、部屋の方も以後気をつけてくれればいいから」

こういう場合、派手に文句をいっても、自分の気が晴れるだけで、実利は何もない。

実害がそれほどない以上、ここは相手の言うとおりに解決してやり、相手に対して貸しをつくった方がずっといい。

そうすることでアイミンはホテルのスタッフに貸しをつくることができるし、場合によっては管理運営を預かっている自分の会社の上司に対しポイントを稼ぐことができる。

そして僕自身も、事を内密にすませたということで、ホテルのスタッフに感謝されるし、どうせこのホテルに勤めている以上、本社グループ幹部の誰かの親戚に違いない当直の女性とその一族からも感謝されるのだ。

結果、僕は今まで以上に快適なホテル生活がおくれるようになり、うまくいけば本社グループの幹部の誰かが、僕に対して非常に好意的になる訳で。

ここは丸くおさめてしまうほうが、実利があるのだった。

「そういってもらうと助かるわ。朝食ごちそうするわね。じゃあおやすみなさい。」

そういうとアイミンは電話を切った。

まだ4時過ぎで、とりあえず押し込み強盗に襲われたわけではないとわかったので、僕は寝室の鍵をかけると一応椅子をドアの前において、眠りについた。

 

(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)

 

6時半に目がさめた僕は、シャワーをあび、着替えて工場にいく準備をはじめた。

8時には迎えの車がくるので、それまでに食事をして、必要があれば日本への報告をファックスしておかなければならないので、海外にいるときは日本にいるときよりも早起きだった。

7時5分過ぎに部屋のチャイムがなり、ソファをどかしてドアをあけると、そこにはアイミンと何度かフロントで見たことがある女の子が立っていた。

アイミンが女の子を謝らせ、僕はそれなりに可愛い子だったので、思いっきり笑顔で心配しないでいいからと言って安心させてあげた。

可愛い女の子には、どうしようもなく頭が悪いということがわからない限り、親切なのが僕のスタイルなのだ。

女の子を先に帰すと、アイミンは鍵どころかシリンダーまでが壊れているドアをあきれたように確認した。

「食事いきましょう。今日は私にごちそうさせて」

僕等は中華レストランにおりて、飲茶の朝食をとった。

ワゴンがまわってくると、僕は皮蛋粥とエビと叉焼の腸粉、春巻きを頼んだ。

その間に、フロントからスタッフを呼んだアイミンは、僕の部屋の鍵を交換させるように指示を出していた。

「すごいわね。カードキーの部分だけでなく、ドアシリンダー自体ガタきてたわよ。あれだと使わない部屋のドア外して付け替えた方が早いかも。いったいどんな力で蹴ったのよ。」

「さあ。」

「まあ、私たちの方が悪いんだけど。あなたが蹴ったのがドアで一安心よ。あんな力で人間蹴ったら大けがするわよ。出張者の話きいた?」

「いや。指でもドアにはさんでた?」

「怪我はしてないわよ。でもフロントにおりてきて、「人がいた・・・」って呆然としてたそうよ。しかもズボンに・・・」

アイミンが急に笑いをかみ殺した。

「どうかしたの?」

「黒いシミつけてたの。あまりの恐ろしさにおしっこもらしちゃったみたい」

「はあ・・・」

僕だって夜中の三時にようやくホテルについて、部屋の鍵をあけたとたん、なかから凄まじい奇声があがり、ドアが爆発するような勢いで閉まれば漏らししてしまうかもしれない。

「それは悪かった。まあ、男じゃなくて女ならもうちょっと控えたんだけど。どう?今夜部屋に忍んで来てみる?もらしちゃったらパンツ替えてあげるから」

アイミンはケラケラと笑うと「やめとくわ」といった。

「でもねえ。」

そういうと彼女は急に真剣な目になって僕を見た。

「夜中の三時でしょう?ベットで寝ていたら、絶対ドアが開く前にベットからドアまではたどり着けないと思うのだけど。というかあそこはスィートだから居間が間にあって、普通は気がつかないで寝たままだと思うのだけど、なんでドアが開く前にたどりつけたのかしら?」

これをどう説明したらいいものか。

「忍者知ってる?」

僕はアイミンに言ってみた。

「知ってるわよ。映画とかにでてくる黒い服きたやつでしょ?」

「そうそう。実をいうとオレの先祖は、忍者なんだよ。」

「ふ~ん」

そういうとアイミンは僕から視線をはなさないまま、自分がとった叉焼包を口にした。

そして面白そうに笑った。

僕も同じように笑った。

 

(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)

 

僕等は仲の良い友人だが、お互い無条件に総てを信じている訳ではない。

ただお互いどこまで相手を信じられるかに関して、正しく認識しているだけだ。

僕の方はともかく、彼女の方は、その一線を越えた問題の処理に関しては、おそらく個人的な感情が入り込む余地はないだろう。

だが、その一線を替えない限りは、可能な限り友好的に処理してくれる。

それが彼女の僕に対する人間としての誠意なのだった。

そして僕の彼女に対する誠意は、その一線を越える問題を彼女に持ち込まない、そして抱え込まさないことなのだった。

僕等が男と女の関係になるようなことがあれば、間違いなく、彼女は一線を越えた問題を抱え込むことになるだろうと、僕は思っていた。

食事を終えて僕は迎えの車にのり、工場に向かった。

その後も僕等の時間は楽しく過ぎ、出張の目的も無事に終わり、僕はアイミンに対して日本人に生まれりゃよかったのにと思いながら日本に戻った。

 

The end.

NEXT「めざせ!!ムシ成金!!」

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2006.04.17

円海@スパイ?(中)

そんな中国駐在生活も五年で終了し、1年間日本で過ごした後、僕は再度中国入りすることになった。

今回は代理店をしていた工場が日本からの注文をうけるにあたっての生産立ち会いだった。

ここの工場は、僕が中国に最初に入った時に機械の設置をした(もちろん僕がやったわけではなく、日本の技術者がやったのだけど)ところで、それから五年以上の月日がたっていた当時、すでに工場のラインは3つになり、他の地域にも工場をつくりはじめていた。

当時のこの会社は飛ぶ鳥を落とす勢いで、品質向上にも熱心だったから、仕事はやりやすかった。

主なスタッフは最初に工場を建てた時のスタッフが残っていて顔見知りだったし、グループの社長も、工場を建てた時からの顔見知りで、めったに顔を合わすことはなかったが、家族のような付き合いで、顔をあわせばお互い遠慮無く話すことができた。

僕は会社が年間契約しているホテルのスィートルーム(といっても、応接室とベットルームが別々になっている二間の部屋ってだけだけど)に泊まって、朝、工場に出勤して、夕方七時くらいには帰ってきた。

夕食は工場のスタッフと一緒にすることもあったし、ホテルに帰ってから、同じフロアにすんでいるサクちゃんと一緒にすることもあったが、大抵は僕が帰る頃にフロントにいるアイミンが、ご飯食べた?と聞くので、食べていなければ二階のバイキングで一緒に食べることになった。

ホテルの幹部スタッフは、夕食に二階のバイキングが無料で利用できるのだった。

食事が終わると、お互いすることがないので、一階のカフェでお茶したり、近くのボーリング場にいったりした。

時にはサクちゃんも一緒にいった。

僕はアイミンが単なるホテルスタッフで、僕に恋をして常に一緒にいたがっているとはまったく思っていなかった。

相手もこちらが気づいているということには、気がついていたと思う。

そんななかで、一緒に食事したり、遊びに出かけたりするのは楽しかった。

ずっと日本に住んでいるなら外国人の奥さんをもらうというのも悪くないと思えるのかもしれないが、僕は5年間海外生活をして、仕事で外国語を使い、外国の習慣にある程度会わせて生活するのは仕方ないとあきらめていたが、一歩家に入ったら、非日本的なものは一切ゴメン被りたかった。

中国人に限らず、外国人の奥さんは論外だ。

そんな僕にとっては、現地の女の子と仲良くなっても、結局最後は相手が悲しい思いをするのは目に見えていたし、かといって、まったく女っ気がない日々をおくれば、客をダシにして遊びたい取引先が放ってはおかない。

おねーちゃんがいるカラオケに毎晩でもつれていかれてしまう。

ところが僕ときたら、仕事が終わった後、カラオケにいって、見も知らぬおねーちゃんと中国語で会話するなんてまっぴらゴメンなのだ。

大体何度かいけば「私を中国の妾にしてくれ」とかいう話になるのはわかり切っている上、カラオケはホテルの最上階にあるので、女の子がヒマな時はいつでもホテルの内線電話で呼び出されてしまう。

この連中ときたら上がりは夜の2時3時だから、下手するとそれくらいの時間に電話がいきなりなって、「カフェでなんか食べようよ」とかいってくるのだ。

そんなことに付き合っていたら、僕の部屋も、結局はサクちゃんの部屋のように、出勤前のカラオケねーちゃんのたまり場になってしまう。

その点アイミンと仲良くしているのは便利だった。

まず、頼んでおけば完璧に夜中のカラオケからの内線電話をオペレーターに言ってつながなくしてくれる。

カラオケのおねーちゃんも、「奴はどうもホテルのマネージャーの特別な友達らしい」となると、電話をかけるのは躊躇した。

それはホテルのスタッフも同様で、それまでも十分親切だったが、アイミンと一緒に食事をするようになってからは、それまで以上に丁寧になった。

それにアイミンが何を目的として僕に接近してきたのかわからないが、とりあえず僕の方にやましいことがない以上、一番身近においておけば、僕がシロだとわかるだろうというのがあった。

僕等は恋人以上になることがない、友達以上恋人未満の関係を楽しんだ。

初めから騙せないとわかっている相手を騙す必要はない。

アイミンにしてみれば裏があるとしても、僕にウソをつく必要がないのだった。

僕等は仲のいい同性の友人同士のようだった。

 

(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)

 

そんな毎日も3週間が過ぎたとき。

土曜日で午前中に仕事が終わった僕は、昼前にホテルに戻ってきた。

部屋に上がろうとすると、グループの副社長が僕に声をかけた。

「楊総が、仕事の状況ききたいっていってるから上いこう。」

楊総というのは楊総経理。中国では社長は経理と呼ばれるので、つまりこのグループ全体の社長である。

50を過ぎた副社長は、妙に憎めない不思議キャラの人で、いわば僕のオヤジの、この地における接待役みたいな立場にある人だった。

大変な美食家で、彼がオーダーする料理がまずかったことは一度もなかった。

僕も仲がよかったが、弟に対して彼は「私を中国人のパパと呼びなさい」といっていた。

その中国人のパパが弟に一番最初に教えたのは「いいか。商売女との付き合いは、シャワーの水との関係のようなものだとおもえ。シャワーの水は自分がさっぱりしたら、そのまま下水にながす。誰もその水をとっておいてまた使おうとは思わない。バスタブにためておくのは女房だけ。遊んだ女は遊びが終わった時点で下水に流すつもりでさっぱり忘れるべし!!こんなの男の常識だが、お前のオヤジを見ているとどうもわかっていないようだ。だからお前は忘れるな。」ということだったそうだが(^_^;)

僕が総経理室にいくと、若き日のスターにしきのに似た楊総経理がデスクから立ち上がり僕にソファをすすめ、自分もその向かいに座った。

楊経理のとなりに、副社長も座ったが、彼はチェシャ・キャットのように、面白くてしょうがないという顔をしていた。

僕は二人に工場の生産が順調にすすんでいること、いくつか問題はあったが、現場レベルですでに対処してもらっていること、将来的に直す必要があると思われる点は、生産が終わるまでにレポートにして出すこと、そして日本のマーケットの状況などについて話した。

彼らはその話をきき、満足するとお茶をいれ、僕にすすめた。

そして、6年前初めてここに来た頃は食事に慣れなかったらしいが、最近はどうか?などという世間話をはじめた。

世間話が一段落ついたころ、楊総がナニゲに僕に聞いた。

「ところで、最近ホテルのマネージャーと仲良くしてるそうだな?」

「うん。」

「で、どうするつもりだ?彼女のことを」

僕は楊総の顔を見た。

真剣な顔だった。

でも彼が真剣な顔をするのは珍しくない。

僕が真剣にならざるをえなかったのは、楊総の隣にすわる副社長の顔から面白そうな笑いが消え、真剣な表情になったのを見たからだった。

並はずれたおもしろがりやで、必ずしも社内の評判が良くない彼が真面目な顔になるときは、冗談抜きで、誰もが真剣に取り組まなければならない問題が起こった時なのだった。

To be continue.

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2006.04.09

円海@スパイ?(上)

80年代末。

中国に住み始めたころ、当然の如く僕は中国の公安の監視対象になっていた。

20代で、僕の住んでいた市では最大の日系企業の役員に就任した僕に対して、その契約直前、省政府は文句を言ってきた。(中国では省→市→県)

この規模の合弁会社の役員としては若すぎるというのだった。

だが市政府と担当局は「当市は北京の直轄下にあり、この件に関して省政府の意見を考慮する必要を認めない」として、省政府の意見を却下した。

そのかわり僕は、担当局の局長より直々に呼ばれ、「おまえも20代だから女とも寝たいだろう。だがこの国はそういうことをする国ではない。そういうことがやりたければ、いつでも休暇をやるから香港にいけ。自分はお前が抱える仕事上の問題に関しては協力を惜しまないが、女関係で問題をおこした時にはとりあわない」と言われることになった。

今の中国からは想像もできないことだが、当時の中国では北京や上海は別として地方都市では外国人が売春婦をみかけることはなかったし、また市政府の役人も立派な人間が多かった。

局長はやせて目がおっきなごま塩頭の人で、役人というよりも大学の教授のような雰囲気だった

僕は一目見て、この目玉のでかい酒好きの局長が好きになったので、中国に住んでいた五年間、(ものすっごくモテたのだけど)彼のいいつけを守った。

一方で市も、ホテルの従業員、会社の共産党員をつかって僕を看視していた。

まあ、大学は国際関係学科だし、僕の大学はどちらかというと右よりだし、教授にはラマ僧になってチベットに潜入していた人やら、ソ連から出入り禁止を申し渡されている人がいた。

実際には学生達は果てしなくノンポリだったのだけれども、そういう大学を出た人間が、まだ20代の若さで特別区に入って来たとなっては、現地の公安だって一応看視しないわけにはいかないらしかった。

まあ、看視されているといっても、賭博ができるわけではなく、女が買えるわけでもなく、悪いことしたくても、なにもできないのだから別にどうと言うことはない。

ただ何度か「やべ~なあ~」と思ったことがある。

たとえば天安門事件の時。

日本に帰ってきていたら、いつの間にか天安門事件がはじまってしまい、中国に戻れなくなった。

で、事件が片づいてすぐに中国入りしたのだが、数日後エレベーターをおりて自分の部屋にいこうとすると、途中の部屋のドアがあいていて、部屋の中ではホテルのマネージャー達が3人いてなにやら話し合っている。

「ニイハオ」と挨拶して、部屋に向かうと、一番仲がよかった中年の女性マネージャーがちょっとこい!!と合図する。

部屋に入ると、いきなり「お前天安門をどう思う?」と僕に聞く。

「はあ~」といって、これはどう答えるべきかと考えていると、「私たちは台湾のテレビも見ているから大丈夫だ。お前の意見を言ってみろ」という。

流石に話の方向性を誘導するような言い方に、僕はヤバイと感じた。

「う~ん。オレは事件が片づいてすぐ来ちゃったからよくわからないんだよね。日本の新聞も郵便局で止められてるみたいだし。まあ、会社はこの国が共産主義国家なのは承知の上で投資してるから、仕事が契約どおりできるなら、特に意見はないんだけど。」

「ふ~ん。そうか」

「うん。」

それでこの部屋からは、解放された。

得意になって「日本の新聞では何百人も学生が戦車にひき殺されたといってる」なんていった分には、どうなったことかわかったもんじゃない。

実際この当時は、現地の新聞に、しばしば台湾人のスパイを捕まえたという記事が出ていたし。

この手のあやしいフリは他にもあった。

工場の管理オフィスで、みんなで世間話していたときに、軍事関係の話になり、スタッフの一人が、友人がミサイル基地で働いているけれども、基地にいくときは必ずヘリに乗る前目隠しをされてつれていかれるので、何処にあるのか自分でもわからないと言っている。でも、こんなことするんだからきっと核ミサイル基地に違いないと言いだしたのだ。

その場にいたスタッフは皆、「チチチチ」と舌を鳴らして「絶対そうだよな~」などと言っていたが、僕としては「こりゃ絶対餌なげられてるわ」と思わざるをえなかった。

配属されたスタッフでさえ、目隠しをされて出勤する秘密の核ミサイル基地。

スパイだったら絶対無関心ではいられないもんなあ~(^_^;)

こんな時に下手な発言して、「円海はこの話に非常に興味を示した」なんて報告された分にはたまったもんじゃない。

次にはもっと具体的な餌がまかれて来るに違いない。

「狙うのは台湾にしとけっていっとけよ。日本狙うなら東京以外狙えって。」

黙っているのもまた不自然なので、僕はそういうと工場へ入っていった。

そのほかに、「ああ~やられた~」と思ったのは、スーツケースに100円ショップで売っているような、キッチンで色々な道具をひっかける金網をいれて持ち込んだときだ。

当時はまだ持ち込みの電化製品なんかは、入国時に申請して、帰国時には持ち帰ることが義務づけられていて、僕のように中国在住となると毎回ワープロなんかを持ち出さなければならなかったりして面倒になり憂鬱だった。

で、預けた荷物がクレーンでまわってくるのをまっていると、顔見知りの空港スタッフが「よおっ!!」とやってくる。

急な用事で出国しなければならないとき、正規のルートでチケットがとれないと、僕は空港勤務の彼に頼むのだが、空港内で会ったのはそれがはじめてだった。

珍しい事もあるもんだなと思いながら世間話をしていると、僕のスーツケースがでてきたので、それを取ろうとすると「これお前のか?」といって、彼がとってくれた。

それだけでなく「他に荷物は?」ときくので、これだけと答えると、「じゃあいこうぜ!!」とガラガラとひきづって、税関も彼が「よう!!」と手をあげるだけで、ノーチェックで出ることができた。

僕が空港に迎えにきていた運転手をみつけると、彼は自分が運ぶという運転手に、いいよオレが運ぶからといって、会社の車のトランクにスーツケースを積むと「じゃあな」と手を振った。

「あれ、空港の職員だろ?なんでわざわざ車まで荷物運んでくれたんだ?」

運転手が僕に聞いた。

「いや、空港長の秘書室につとめているっていってて、時々チケットとか頼むんだけどね。どうしてだろ?税関もフリーパスで通してくれたんだよね。」

「ふ~ん」

運転手も合点がいかないようだった。

だが、部屋にスーツケースを運んでもらい、自分であけようとしたときに理由がわかった。

スーツケースの鍵がドライバーかなにかをつかって強引にこじ開けられていた。

僕は中身を確認したが、ノート型のワープロを始め、盗まれているものはなかった。

どうやら香港でチェックしたときに、網がひっかかったらしかった。

つまりスーツケースの蓋のポケットにいれておいたので、まさか壁にお玉や菜箸をひっかける為の金網とは思わず、ノートワープロ型の通信装置に、スーツケースがアンテナか何かになってるスパイ装備だと疑われたに違いなかった。

香港で泥棒があけたなら、当時最新だったノート型のワープロが盗まれていないわけないし、それ以外には考えられなかった。

で、中国側があけて調べたら、わけのわからない網だったので、僕の知り合いがよばれて、ともかく空港で騒ぎにならないように税関もフリーパスで通したに違いない。

やれやれだぜ。

つまり僕がこの市内ででかけるような所には、空港だろうとレストランだろうとホテルだろうと会社だろうと、僕を担当する人間がいて、彼らは僕の友人であり、僕が中国という国に対して、不愉快に思わないように色々便宜を図ってくれる反面、僕の監視者でもあるらしかった。

まあそれが共産圏の現実ってもんだわな(^_^;)

To be continue.

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2006.03.27

長老よっしーの復活

一年前末期卵巣ガンで入院した長老よっしーの一年後。

その病院の離れには、理髪店とけっこう有名な洋食屋の支店がある。

僕と長老よっしーは、お客のいない午後4時の洋食屋の窓際の席にすわっていた。

長老は一年まえより痩せていたが、三階の病室から元気にここまで歩いてきていた。

顔色は抗ガン剤の副作用なのか不健康に黒い気がするが、目の輝きは以前のままだ。

長老はコーヒーを頼み、昼食を食べてなかった僕は、タラコスパゲティのセットを頼んだ。

「でね、取り出したガン細胞を私はみてないんだけど、見た姉がいうには両手に余るほどおっきかったんですって」

「卵巣って小指のさきっぽくらいなんじゃないですか?」

「そんな大きさのものが、赤ちゃん並に育ってていやねえ。」

「卵巣そのものが、赤ちゃんになってたわけですな。長老の身体が単性生殖を試みて、失敗した結果が今回の卵巣ガン騒動なんじゃないですか?」

僕はウエィトレスのおばさんがもってきてくれたタラコスパゲッティをフォークに巻きながら言った。

「知らないわよそんなの。で、腸に癒着しているかもしれないから人工肛門にするかもしれないとかいってたんだけど、開腹してみたら全然癒着なんかしてなくて、簡単にとれたんですって。」

「よかったですね。うんこバッグ腰に下げて生活しないですんで。それならシンクロナイズドスイミングもダイビングも継続できますね」

「まあね。先生もしばらくは体力がないから無理だけど、秋くらいになったら水泳でも、ダイビングでもやっていいですよっていってるわ。」

「よかったですね。」

「でも一つ問題があるのよ。」

「なんですか?」

「今度の手術で体重が35キロになっちゃったの」

「元々は何キロくらいあったんですか?」

「48キロ」

「なるほど。体重が軽くなって何か問題でも?」

「水着がきられない・・・」

僕はタラコスパゲッティをくわえながら長老の身体をマジマジと見た。

「じゃあ、小学校三年生用くらいのスクール水着買ってあげますよ。」

「はあっ?身長だけ合えばいいってもんじゃないでしょっ!!」

「他に何か?」

「胸よ!!むねっ!!あんた私の美乳を見たでしょ!!」

「長老。いくらお客さんがいないからって、でかい声でおっぱい見たとかいわないで下さいよ。ロリコンと見られるのもイヤだけどババコンと思われるのもイヤです。それに見たっていったってレントゲン写真ですよ。僕が見たの。」

「レントゲンでも見たにはかわりないじゃない。」

「そうですけど。あれでいくつあったんですか?」

「84よっ!!」

僕は長老の胸をじ~っと見た。

「今はいくつなんですか?」

「72。」

「じゃあ小学校三年生のスクール水着で十分じゃないですか。」

「いやよっ!!なんで74にもなってスクール水着着なきゃならないのよっ!!そっちの方がよっぽど変態に見えるじゃないっ!!」

「いいじゃないですか。死んでいたら変態も糞もないんだから。変態と周囲から思われても、生きているだけでマシって考えないと」

「せっかく死神から身をかわしたのに、なんで変態にならないといけないのよっ!!」

「そんな事僕にいわれても。変態なスクール水着しか着られない身体になった長老が悪いんだし。」

「いいわよ!!毎日食べに食べて、もとの美乳を取り返してやるからっ!!」

「ちゃんと乳につくんですかね?第二次性徴の時期外してるから腹にしかつかない気がしますが。まあがんばって下さいよ。ところで髪の毛は生えてきたんですか?」

長老にはニッセンでカツラを買ってあげたのだが、今日は頭にバンダナを巻いている。

バンダナのわきからは白い毛がはみ出ているが、中がどうなっているのかはわからなかった。

「昨日先生が来て、この後は3ヶ月に一度抗ガン剤を点滴すればいいっていってたんだけど、ちょぼちょぼって生えてきても抗ガン剤うつと抜けちゃうのよね。」

「プール行くにせよ、海でダイビングするにせよ、水中ではズラって訳にはいかないのでは?」

「・・・・・・・」

「バンダナじゃあ、海賊だしなあ~」

「・・・・・・・」

「まあ、スクール水着の海賊とか、スクール水着のスキンヘッドというのもなかなかマニアックでいいと思いますけどね。」

「そんなマニアに好かれても嬉しくない。」

長老が僕を睨みつけた。

僕はあわてて食後のコーヒーを頼んだ。

ウエイトレスのおばさんが、タラコスパゲッティの皿を下げていった。

「そういえば、今ふとおもいついたのですが」

「何よ」

「頭の毛が抗ガン剤で抜けるのはわかったけど、それ以外はどうなんです?いや、別にエロではなくて、真面目な医学的質問で聞いているのですが」

いきなり長老が「クックックッ」と笑い出した。

ウエイターのおばさんがコーヒーをもってきてくれた。

「それがね、手術の前に看護婦さんが剃毛に来てくれたんだけど」

僕はコーヒーを飲んだ。酸味が強い。

『じゃあパンツ降ろしてくださいね~っていうから降ろしたのよ。そしたら看護婦さんが、「あ・・・・必要ないですね」って』

抜けるのかよっ!!

「いや、腹水がたまっておなかがパンパンに張りだしていたから、日常生活では見えなかったし、かといってこんなにやせ細っていたら鏡も見たくなかったから全然気がつかなかったのよっ!!」

コーヒーが僕の食道でなく気管支に入り、僕はむせた。

「なにもむせることないじゃないのっ!!」

「いや、すいません。でもせっかくパイパンになるなら、せめて30代前半くらいまでになってくれればねえ。それくらいまでならギリギリ喜んでくれる男もいると思うんですよ。74歳になってパイパンになられても見てくれる男性もいないからいかがなものかと思ってしまったもので。」

「見てくれる人がいるとかいないとかっていう問題じゃないのっ!!私はあるべきところに毛がなくなったのが哀しいの!!」

「はあ、そうですか。でも小学校三年生のスクール水着着るのには丁度いいのでは?」

「だから着ないっていってるでしょ!!」

「でも胸もないし、体重もないし、股間の毛もないし。」

「生えてくるわよっ!!体重だって食べれば増えるわよ!!見てなさいよ!!夏までにもとの胸取り戻してみせてやるからねっ!!」

「いや、みたくないですよ。取り戻したらネコのパフィに見せてあげて下さい。」

コーヒーを飲み終わると、僕は窓の外を見た。

冬の終わりというよりは強く、春のはじめというにはやや弱い夕暮れの光が病院をやわらかく照らしていた。

もう二週間もすれば、この景色のなかに桜の淡い色が加わるだろう。

まずは非常に結構(パーカーのパクリ!!)

 
 
To be continue.

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