2004.12.06

僕とヘルニア友人とみゆちゃんと(プロローグ)

三カ国語をネイティブに話す才女。そして二児の母。立派な職場で働いているけど、それがどこかは言えないみゆちゃんと、ヘルニア友人&僕の物語。

みゆちゃんの家の近くにある、小料理屋のような、とてもおいしい中華料理店。

前菜の三品盛り合わせとともに、ヘルニア友人とみゆちゃんの生ビールと、4月の手術以来、飲むとジンマシンが出てしまう僕の為の、冷たいウーロン茶が運ばれて来た。

「じゃ、とりあずかんぱ~い!!」

みんなで乾杯するとみゆちゃんが言った。

「今日はモトちゃんどうしたの?」

「モトちゃんは日曜日バンドの練習。」

「また、パンクバンド復活させたの?」

「いまさらデビューを目指す訳でもあるまいし。三十も半ば過ぎてバンド活動を再開させるなんて、あの男、何を考えているんだか」

ヘルニア友人が、辛く味をつけたイカを食べながら言った。

結婚してから極めて真面目になったモトちゃんだが、若い頃は「山口のセックス・ピストルズ」と言われた男である。

その彼が今更ながら再開したバンド活動に、僕等は一抹の不安を感じていた。

なんといってもモトちゃんの奥さんはいい人である。

僕もヘルニア友人も、この二人が末永く幸せであってほしいと、心から祈っているのだ。

「そういえばさあ、モトちゃんがこの間メールで言ってたんだけど、男は毎日自分ですると、前立腺ガンとか、インポとかになりにくいんだってさ」

僕がそう言った時、隣のテーブルには30代前半と見える6人組みの男女が座った。

「げっ!!そうなの?」

ヘルニア友人が真顔になっていった。

「もう人生も下り坂ですからね。使わない機能からどんどん衰えていくのよ。女だけじゃなくて、男もね。」

みゆちゃんがイヂワルそうな顔をして言った。

去年僕のうちでやった新年鍋パーティで、みゆちゃんは娘をつれてきた。

そして僕に「こうやってならべるとさ、やっぱ肌とかにはっきり差が出るよね。親子でも」と言われ、「あなたねえ~!!まだ4歳の当然処女のうちの娘と、二人の子供産んだ母親の私とを、女として同じまな板にのせて比較しないでくれるっ(>_<)」とキレたのだった。

その時の事を、まだ根に持っているらしい。

「俺、自分でするの嫌いなんだけど・・・」

ヘルニア友人がとなりの席のグループの耳を気にして小さい声でいった。

「だったら風俗でもいけばいいじゃん。定期的に」

僕も同じような小さな声で言った。

「いや、風俗とかで、あったばっかりの女の子とするのもイヤなんだよ」

「じゃあ、彼女つくらないと」

「今のところアテがない。本当に使わないとインポや前立腺ガンになるのか?」

「こないだ新聞に出てたわよ。つかわないでいると、本当に彼女が出来たときに使い物にならなくなるわよっ!!」

何故かイライラしながら、みゆちゃんが言った。

10歳上の旦那を持つみゆちゃんが言うと、なんとなく現実味があるような・・・

「う~ん。でも、自分でやるのも、風俗にいくのも嫌いな俺はどうすればいいんだ・・・」

ヘルニア友人のその一言でみゆちゃんはキレた。

「やるのよ!!オナニーするの!!自分でゴシゴシとねっ!!イヤだろうが、なんだろうが、風俗行きたくないなら自分で出しなさい。私はもう友達紹介したりはしないからねっ!!そうしないと本当に立たなくなっちゃうわよっ!!」

みゆちゃんの声はとなりのテーブルの男女にも届いていた。

僕がそっと横目で隣のテーブルを見ると、六人全員が、みゆちゃんの過激な発言内容に、メニューを前にして固まっていた。


(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)


その日。

正月の初夢に、みゆちゃんのうちにある稲荷が深くかかわっていると確信させるような奇怪な初夢を見た僕は、ミユミユ稲荷(仮称)の調査(?)をしたついでに、ヘルニアが治り、再就職したヘルニア友人のお祝いをやっていたのだった。

ミユミユ稲荷というのは、みゆちゃんの実家の庭(まあ、そこにみゆちゃんの家もたっているのだが)にあるお稲荷さんの事だ。

話は5年ほど前にさかのぼる。

新築祝いをかねて、ぼくらはみゆちゃんの新居にお邪魔した。

冬の6時過ぎに、みゆちゃんの家に集合だったため、周囲はすでに暗くなっていた。

門から実家のわきを通り、庭に出た。

その庭の左側に、「お庭に子供のためのお勉強部屋をたてましたの」って感じで、みゆちゃんの家がたっているのだが、立っているのは六畳プレハブの勉強部屋ではなく、40畳はあろうかというリビングをもつ、一戸建である。

だが、僕の視線は、みゆちゃんの家にはほんのわずかに注意を払っただけで、庭の中央にある黒く沈んだ木々の茂みに集中した。

「あの木陰には何かある・・・」

若い頃、気功をかじったことのある僕は、幽霊が見えたりはしないものの、「気」は感じる事が出来る。

昔、混み合った大通りを信号待ちしていて渡ろうとしたところ、むこうから異様なまでに強力な気が近づいてくるのがわかった。

「何だこりゃ?」

そう思っていると、人混みの中からあらわれたのは、若き日(それでも現役はとっくに引退してたけど)のガッツ石松だった。

最近は試していないのでわからないが、昔はコンセントのところから、壁に手をあてると、壁のなかの電気配線がどこを通っているかわかったものだ。

その僕の鋭敏な感覚は、みゆ家の庭の一画にある茂みのなかに、なんらかの尋常でない存在をとらえていたのだった。

挨拶を終え、食事をして、ヘルニア友人ともども、みゆちゃんの家をガサ入れして、リビングにある薪ストーブをとりあえず「これくれない?」と頼んでみて、「これだけはダメ!!」と断られたあとで、僕等はおいとますることにした。

そして庭に出ると、やはり先ほどの一画から強烈な気を感じる。

あまりにも気になったので、僕はみゆちゃんにきいてみた。

「あのさ、来たときから感じていたんだけど、あの木の茂った所の向こう側に何かあるよね?」

「えっ?」みゆちゃんが驚いた顔をした。

「わかるの?」

「うん。結構すごい気が出てるような。何があるのかわからないけど」

「そうなんだ。実はね、あそこには、古いお稲荷さんがあるのよ。おじいちゃまの代からあるんで、そのまま祀ってあるんだけど。やっぱわかるんだ。」

「うっ!!学生時代から非常識にでかい家だと思っていたら、庭にそんな妖しげなものを祀っていたのか!!」

オカルトは大の苦手なヘルニア友人が、気味悪そうな顔をして、茂みを見た。

「でもさあ、俺の気功は独学だし、別に神社があるたびに感じる訳じゃないから、その稲荷は相当強力だと思うよ。だってこの庭に入って来た途端に感じたもん。こんなこと今まで一度もなかったし」

門のところでみゆちゃんと別れ、僕とヘルニア友人は歩き出した。

駅までぶらぶら歩きながらヘルニア友人が言った。

「あのさ、みゆちゃんてナニゲに友達甲斐がないと思わね?」

「ん?」

「普通さ、大学時代からの男友達が、30過ぎて結婚してなければ、適当に良さそうな友達見繕って、紹介してくれたりしないか?」

「まあね。でもしてくれた事あったじゃん。○さん気に入らなかっただけで」

ヘルニア友人は大学では同期だが、年齢的には僕よりも上だ。

従い、長幼の序をわきまえた礼儀正しい僕は、彼を「さん」付けで呼ぶ。

「銀座で会った女の子と明菜ちゃんだろ?あれはしょうがないジャン。悪いけどさあ、俺がこの歳になるまでに知り合った女の子のワースト2があの二人だぞ」

「でも、銀座で紹介してもらった子は性格よかったじゃん」

「でも、おまえ、『ドルフィンスイムですか?私もいきたいなあ~』って言われた時、誘わなかったじゃん」

「いや、それはみゆちゃんが、〇さんに紹介してくれた女の子だから悪いかなと思って・・・・」

この突っ込みは痛かった。

話が拡大しないうちにまとめなければヤバい感じだ。

「でも、まあ、みゆちゃんも俺達の好みはしってるはずだから、それなりに好みに合わせた女の子を紹介してくれてもいいよね(^_^;)」

「そうだろ?俺とみゆちゃんの付き合いはおまえとみゆちゃんより2年長いんだぞ?別に大好きな中山美穂みたいな女の子を紹介してくれとは、俺だって言ってないし。ごくごく普通の女の子を紹介してほしいんだよ。偏差値でいえば45、いや43以上でいいや。美人って訳ではないけど、見るのもイヤになるほど不細工でもない、性格もすっごく良いって訳でもないけど、あきらかに悪くもない。そういう普通の子を紹介して欲しい訳よ。俺としては。」

「まあ、普通は難しい事ではないよね」

「それでも、俺が女性の前でチェーンスモーキングしたりしたときには、文句言ってくれっていいたいわけよ。俺としては。」

電車にのり、10分ほどして僕等は別れた。

一人になった僕は、満員電車のなかで、周囲を知らない人達に囲まれ、することもないまま、思い出していた。

数年前の銀座でおこった「忍法隠れ身の術」事件を。

そして、今や仲間内で伝説にまでなっている「明菜ちゃん事件」を・・・


To be continue.

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2004.12.13

僕とヘルニア友人とみゆちゃんと(1)

僕とみゆちゃんの「ヘルニア友人結婚紹介プロジェクト」がはじまった。相手の女性は・・・・


僕とみゆちゃんは、僕の馴染みのお寿司屋さんで、お寿司をつまみながら話していた。

馴染みといっても、会社がお昼のお客さんへの出前や、夜のちょっとした接待なんかに使うからって言うだけで、個人で顔なじみという程ではない。

話はみゆちゃんの当時のお仕事に関するシリアスな悩みで下ネタではない。

僕等が下ネタ話をするのは、僕等以外の人達が一緒にいる時だけである。

二人だけの時は、極めてシリアスな話をしていることが多い。

いくら旦那よりも長い付き合いといっても、そこは男と女。

相手の知性と人格に対する全幅の信頼がなければ、下ネタ話を楽しむことはできない。

変態呼ばわりされて嫌われてしまうか、いつの間にやら人目をさける仲になりかねないのである。

話が終わった後、当時女性に関しては特に困っていなかった僕はみゆちゃんに言ってみた。

「タカさん(ヘルニア友人の事)も二年もすれば30半ばになるじゃん?結婚するような話、聞いた?」

「全然。別に女性の出入りがない訳じゃないと思うけど、そういう発展性のある仲にはならないみたいねえ」

「やっぱさあ、モトちゃんも結婚したことだし、タカさんもそろそろ結婚とか考えた方がいいんじゃない?みゆちゃん友達で適当なのいないの?なんつってもみゆちゃんが一番付き合い長いんだし、友達の一人や二人、今はいるんでしょ?」

「あなた失礼よっ!!もうあれから何年たったと思ってるの?私だって、いつまでも同じ過ちを繰り返したりしないんですからねっ!!」

ムッとしてみゆちゃんが言った。

それは僕等が学生の頃。

みゆちゃんのグループの女の子の一人がブランドものの指輪をみんなに見せていた。「バイトしてやっと買ったんだ。12万もしたのよ」

へ~っ。いいわね。すごいわねと言っていた女の子達の一人がみゆちゃんの指輪に気づいた。

「みゆちゃんもステキな指輪してるわね。それって高いでしょう?」

当時、みゆちゃんの家の非常識なまでの広さは、まだ、皆に知られていなかった。

もし、それを知っていたら、みゆちゃんが身につけているものの値段に関して質問すれば、庶民にはショッキングなまでの答えが返ってくるということは想像がついたはずだ。

「ん?これはたいした事ないの。こないだのお誕生日におとうさんに買ってもらったものだから」

いつも家では父親の事を「お父様」と呼んでいるみゆちゃんだが、この庶民派大学でそのような呼び方をすれば、周囲が引きまくるくらいはわかっていた。

「ねえねえ、いくらくらい?」

若さ故にしきりに金額を聞こうとするみゆちゃんの友人。

「うん?」

金額=バイトの報酬=札束ではなく、金額=小切手帳もしくはカード決済の用紙の数字としかイメージできていなかった、当時は労働とは無縁のみゆちゃんは、指輪を見ながら平然と言った。

「300万くらいかな?」

そして翌日からみゆちゃんには女の子の友達が一人もいなくなった。

これを「みゆちゃん300万円指輪騒動」という。

「いや、別に昔の事の当てこすりをしたわけじゃ・・・・今はきちんと働いて、お金というのが紙の上にかかれた数字ではないと言うことは理解してると思ってるし」

「そのいい方が当てこすりでしょっ!!」

「いや、決してそんなことは・・・」

「ふん。まあ、良いわよ。そのかわり今日はおごりだからね。」

「はあ・・・・いいですけれど」

「そう?本当に?ご馳走になっていいの?嬉しい。すいません。中トロを追加してください。あと穴子とキュウリを一緒に巻いてもらっていいですか?」

くっ!!いいよ。次回はおごってもらうから。財布の中身が足りなければ明日会社に集金に来てもらうからっ!!

「そういえば、一人紹介してもいい子がいるわ」

「え?それって友達なの?みゆちゃんの?」

「失礼ねっ!!あたしは、もう、昔とは違うっていったでしょ!!友達の一人や二人いますよっ!!」

「えっと・・・いくつくらい?」

30代にはいった男が結婚に関して思うこと。

それは「出来れば20代の女性と結婚したいっ!!」

世間ではこれをもってして、「男ってイヤね。女の価値といえば若さしかないと思って」という。

でも違うのだ。

子供を育てるには凄まじい体力が必要とされる。

仕事でへとへとにならざるを得ない30代男性にとって、女性の側に子供を育てるのに十分な体力があるかないかは、重大な問題なのである。

走り回る子供を追っかけ回し、きっちり躾るにはそれ相応の体力がいる。

母親にその体力がなければ、男は仕事でへとへとになったあげく、子供の世話までしなければならない。

下手をすると育児疲れで倒れた奥さんの面倒までみないといけないではないか。

10代、20代の頃には「年上の女性っていいなあ~」と思っている男性が、30代になったとたん、結婚するなら20代の女性!!と思い出すのは、エロではない。

自分の衰えはじめた体力を自覚した上での、子孫繁栄の智恵なのだ。


それはともかく・・・・

「そんな心配そうな顔しなくても大丈夫よ。25だから。それに子供も好きだし。この前まで勤めていたんだけど、今はステップアップでもしようかって英会話ならっているの。で、パートタイムでうちの子のナニーをしてもらってるのよ。」

「ナニーって、えっと親が留守の時子供の面倒見る、ベビーシッターみたいな奴?」

「そうそう。いいでしょ?25歳。子供好き。30代中盤を迎えようとしている彼にはぴったしじゃない?」

ナニーか。僕はかなり好きなエリザベス・シュー主演の「ベビーシッターアドベンチャー」を思い出していた。

ナニー。いいかもしれない。

「なるほど。それはなかなかいいかもね。で、身長とかは?タカさんは170くらいだと思ったけど」

みゆちゃんはちょっと考え込んだ。

「う~ん。その点に関していえば、円君に紹介したほうがいいのかなあ・・・」

うっ!!やはり条件が悪くないと思ったら・・・まさかバレーボールの選手みたいな身長だっていうんじゃないだろうな?

「そこまでは高くないわよっ!!170ちょっとはあるかも。いや、ないかな・・・と、ともかくそのくらいよっ!!」

僕の心の中で、危険信号がぴこ~んぴこ~んと鳴り出した。

なんだかこれはやばい気がする・・・・

「とりあえず俺は、今女性に関しては困っていないんで。あくまでタカさんにということでお願いしたいんだけど」

「だ、大丈夫よっ!!化け物じゃないんだからっ!!タカくんだって相手が25歳なんだから、身長が同じくらいか、ちょっとくらい高くても我慢すればいいのよっ!!当然よ!!それくらい」

あやしい・・・・これは絶対あやしい・・・・・

僕が急に質問をやめて、ネギトロ巻きをムシャムシャ食べ始めたのを見て、みゆちゃんはあわてて言った。

「あ、円君、今、引いたわね?妖しいとか思っているんでしょう?知らないわよ。私がこれから言うこと聞いて『やっぱ俺に紹介してくれっ』って言っても。彼女にはすごい武器があるんですからねっ」


へ~え。ムシャムシャ・・・・


「そう、そういう態度なの?いいわよ。タカくんだけに紹介するから。あなたは隣で見ていなさい。口説いたりしたら殺すからね?いい?彼女は確かに背が高いけれど髪も長いのよっ!!それも半端じゃないわよ。腰まであるんですからねっ!!」

な、なんですとっ?

腰まである長い髪?

「そうよ。腰まであるのよ。しかもすっごくきれいな髪なんだから。見たことある?腰まである髪を持つ女?それで25歳よ。ちょっとくらい背が高いからって文句ある?」

「ない。見たことない。松本零士のマンガでしか見たことない」

「そ、そうよっ!!彼女は松本零士のマンガにでてくるような人間なのよ。メーテルよ!!」

彼女はメーテル!!

腰まである髪をもつ女!!

僕は思わず想像してしまった。

170センチの女性の髪が腰まであるとしたら、70センチくらいはあるぞ。髪の毛。

だったら、ベットの上で、その髪の毛で彼女と自分をまきつけながら一体感を味わったり、長い髪を手綱のようにして・・・・・・

いいかもっ!!いままで味わった事のない感動が全身を包み込むかもっ!!

「タカくんに紹介するんだからね」

え?

「言ったわよね。あなたは見てなさい。タカくんに紹介するから」

みゆちゃんはいじわるそうな顔をして言った。


(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)


「んなわけで、みゆちゃんが女の子紹介してくれるっていうのだけどど~よ?」

僕が握っている受話器の向こうにいるのはヘルニア友人だ。

「背が高いんだろ?おれ、あんまし好きでないかも」

ヘルニア友人がそれほど乗り気でない感じで答えた。

「でもさ、髪の毛が腰まであるっていってたよ。松本零士のマンガの人物みたいだって。メーテルみたいな髪だってさ」

「なに?松本零士のマンガの世界?しかもメーテル髪の女?」

ヘルニア友人の声がかわった。

ぼくらの世代にとって、「メーテルのような女」は理想の女性なのだ。

アニヲタであろうがなかろうが、ぼくらの世代にとって「メーテルのような女性を紹介する」といわれて断れる男はいない。

絶対に

「俺に紹介するんだな?おまえは見てるだけなんだな?」

ヘルニア友人は僕に尋ねた。

「ってみゆちゃんは言ってるけど・・・」

「みゆちゃんはいい。大事なのはおまえだ。メーテル髪の女は俺に紹介する。おまえは見ているだけ。そうだな?」

「う、うん。それでいいよ。兄としたってるタカさんだし」

僕は渋々答えた。

「よし。時間と場所をつめろ。俺が空いているのは・・・・」


こうして僕とみゆちゃんの「ヘルニア友人結婚紹介プロジェクト」ははじまった。

何度かみゆちゃんと電話のやりとりしたあと、翌週、ぼくとヘルニア友人とみゆちゃんと、メーテル髪の女性は、大人の街、銀座で会うことにきまったのだった。

僕はヘルニア友人に電話して、それを伝えた。

「うん。その日で大丈夫だけど、ちょっと遅れるかも。でもおまえは見てるだけだからな。場を盛り上げておくように。できれば俺に関する好意的な会話も交えて。みゆちゃんに監視するようにいっておくから。」

ヘルニア友人のテンションはかなり高かった。

そう

僕等のような松本零士に直撃された世代では、誰も「メーテル」という言葉には逆らえないのだった・・・

絶対に・・・・・・


To be continue.
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2004.12.20

僕とヘルニア友人とみゆちゃんと(2)

ヘルニア友人=タカさん

ヘルニア友人のお見合い(?)飲み会の日がやって来た。

僕は待ち合わせ場所が見える場所に待機すると、みゆちゃんとメーテル髪の女性がすでに来ているかチェックした。

何人かが待ち合わせているなか、二人はすでに来ていた。

メーテル髪の女性は僕に背をむけてみゆちゃんと話しをしている。

たしかに腰まである美しい髪だ。

だが八頭身とはいかない。

まあ、日本人だからな。

それにしてもあの髪は素晴らしい。

背後から彼女を通り過ぎる男性の半分以上が、軽く振り返って彼女の顔を見ていた。

背も高い。

彼女と並ぶと、160センチ前後のみゆちゃんは、ちっさく見える。

まあ、僕より高いということはなさそうだが、ヘルニア友人よりは高いかもしれない・・・・

みゆちゃんの視線は、僕かヘルニア友人を捜して時々キョロキョロとしている。

背を向けているメーテル髪の女性の表情は見てとれない。

携帯がなった。

「あ、円?俺だけど」ヘルニア友人だ。

「やっぱ一時間くらい遅れるや。わりい。作戦通り宜しく頼む。7時になったら携帯に電話するから。店のなかはとどかないかもしれないんで、電話がなかったら、俺の携帯にかけて。7時に」

作戦か・・・・

僕は心の中でニヤリと笑った。

もちろん僕は兄と慕うタカさんを裏切ったりしない。

だが、タカさんは、「俺の印象を良くしておくように」とは言ったが、僕の印象は悪くするようにとは言わなかったし、僕が彼女に対して好印象をもたれてはいけないとも言わなかった。

1時間。

タカさんを売り込みながら、僕自身をも売り込むには十分な時間だ。

だって相手はメーテルなのだ!!

人生に二度もメーテルに会える男がいると思うか?

約束は守る。

だが、人生に一度しかないチャンスはそれなりに大事にしなければならない。

それこそ、宇宙に生きていく男の掟だとキャプテン・ハーロックも言っている(言ってないです)

僕はゆっくりと彼女の後ろから近づいていった。

あと5mというところで、みゆちゃんが僕に気づいて、手をふった。

黒いぬばたまのメーテル髪が、僕の心を捉えた。

僕の魂は、肉体を離れて、肉体の3m先へグンッと飛びだした。

「メーテルぅ~」

僕の魂は叫んだ。

その時、メーテル髪の女性はその美しい髪をサラサラと流して振り向いた。

みゆちゃんありがとう!!

まさかキミが僕にメーテルを紹介してくれるなんて!!

僕の魂は、振り返った彼女に抱きつこうとしていた。

「メ~テルぅ~ 僕のメ~テルぅ~」

が、

彼女が完全に振り返った時・・・・・

「・・!!」

体を離れて彼女に駆け寄っていった僕の魂は、彼女から5m離れた肉体に戻っていた。

そして5m先には・・・・

メーテルの髪と星野鉄朗の顔を持った女性が佇んでいた・・・

これは・・・・・・

「一人銀河鉄道999!!」


(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)

だが、彼女が星野鉄朗に似ていたのは顔だけではなかった。

性格もだ。

メーテルの髪とメーテルのような身長と、星野鉄朗の顔と性格をもった、ある意味究極の「一人銀河鉄道999」なのだった。

ともかく、メーテル50%。鉄朗50%なので、バランスはとれている。

常識で考えれば100%メーテルな日本人なんているわけがない。

三人で和食系の居酒屋に入ったが、彼女は、みゆちゃんがタカさんに紹介すべくつれてきた女性なので、僕はもっぱら彼女の星野鉄朗の部分との会話を楽しんだ。

楽しかった。

だが、男同士の友情は岩よりも硬い。

鋼鉄ジーグよりも硬い。

だからして、タカさんの好印象を彼女の中につくりあげるべく、僕は最大限の努力をしなければならない。

僕は、タカさんが学生時代、模擬店の屋台を仲間をひっぱり3日で作り上げた事を話し、「ちょっと見た目にはやる気があるのかないのかわからないけれど、いざと言うときには必ずやる男。それがタカさん」という話を、彼女を楽しませながら、話してあげた。

楽しそうに話している僕等二人に、適当に相づちいれながら、みゆちゃんも満足気だった。

彼女がトイレに行ったとき、みゆちゃんが僕にきいた。

「ねえ、どう?」

どうってあなた・・・・・

「彼女すごく楽しそうよ」

オマエハオレガタノシイカドウカハキニナランノカ・・・・

僕は内心の声を押し殺した。

そして、「タカさんに紹介するって話だからさ。僕はノーコメント」とだけ言った。

冷凍食品を温めているだけとしか思えない料理がまずいので、僕等はヘルニア友人が来たら店を変えることにきめた。

みゆちゃんが良い店をしっているという。

銀座はみゆちゃんのショバらしい。

メーテル髪の彼女が帰ってくると、携帯がなった。

「円?今どこ?」

僕は店を変わるとこだから迎えにいく、そこで待っていてと伝え、電話を切った。

みゆちゃんと一人銀河鉄道999な彼女を次の店におくりこむと、僕は駅にむかった。

「で、ど~よ?」

ヘルニア友人は挨拶も抜きで、僕にきいた。

僕はとりあえず無言でジャパニーズスマイルを浮かべることにした。

兄と慕うヘルニア友人にウソはつきたくないが、本当の事をいって、「俺、帰る」とか言われても困る。

「なんだよ!!その笑いは?」

「え?えへへへへ・・・」

「本当にメーテル髪なんだろうな?」

「うん。ツヤツヤのサラサラ。見たこともないくらいきれいな髪」

「そ、そうか!!本当のメーテル髪なんだな?」

「保証する。背も高いけど、タカさんより高いってことはないと思うよ。同じくらいじゃない?」

「ん?そうか、同じくらいか・・・」タカさんのテンションがちょっと下がった。

「いや、ほら、女の子はヒールとかあるから、裸足になったら低いかも。ともかく髪と顔に気をとられちゃって、何履いているかまでは見てなかったからさあ~」

「おお、そうだな。ヒールがあったな。そうか、おまえが見とれるほどの髪と顔だったのか!!」

気をとられたとは言ったが、見とれたとはいっていない。

もうタカさんの頭のなかは、背の高さと素晴らしい髪ときいただけで、顔は自動的にメーテルな顔が挿入されているのだ。

恐るべし!!松本零士シンドローム!!


「で、作戦はちゃんと実行したんだろうな?」

「ばっちしだよ。ウソだと思ったら、みゆちゃんに後で電話してきいてもいいよ(^_^;)」

「そうか・・・」

そう言ったヘルニア友人はすでに僕の顔を見ていなかった。

彼の魂は、一時間前の僕と同様、幻想のメーテルに向かって加速装置を全開にしてぶっ飛んでいっているに違いない。

外からお店の中が見えたが、メーテル髪の彼女は丁度良い事に、こちらに背を向けていた。

みゆちゃんはこちらを向いていたが、僕等には気づいていない。

僕はヘルニア友人に、あの後姿がメーテルだよと教えてあげた。

「おいっ!!おまえ!!本当にメーテル髪じゃないかっ!!」

「そうだよ。駅前で待ち合わせしたときも、ほとんどの男が振り返って彼女の事見ていたもん」

「よしっ!!俺、めっちゃやる気が出てきた」

僕はみゆちゃんと、彼女が斜めに座っているのを確認した。

これはどうあっても、メーテル髪の彼女の隣、みゆちゃんの正面の席をゲットしなければならない。

はりきるヘルニア友人に「タカさん落ち着いて。俺が先に入って、タカさんを紹介するから」というと、僕は先に店内にはいった。

そして、すばやくみゆちゃんの正面の席をゲットすると、マフラーに手をかけたヘルニア友人をメーテル髪の彼女に紹介した。

「こちらがさっきから噂になってたタカさん」

「どうも」と言って軽く会釈したメーテル髪の彼女の正面にヘルニア友人は立った

彼の笑顔は瞬時に消えた。

そして、口をぽかんと開けたまま、静かに凍りついたのだった。

銀座の長い夜のはじまりだった。


To be continue.

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2005.01.09

僕とヘルニア友人とみゆちゃんと(3)

僕とヘルニア友人とみゆちゃんの、銀座での長い夜がはじまった・・・・・

テーブルについた僕は、飲み物を注文し、みゆちゃんがすでにオーダーしておいた料理に手をつけた。

前の店では、しゃべるのに手一杯で、料理に手をつけるヒマがなかったのだ。

でも、もうヘルニア友人が来たから大丈夫。

僕は空腹を満たすべく、追加オーダーをして、ガンガン食べまくった。

ふと気づくと・・・・

周囲のざわめきのなか、僕等のテーブルは気まずい沈黙が支配していた。

その沈黙のなかを、時々みゆちゃんと、メーテル髪の彼女の声がする。

ヘルニア友人の声は「ああ」「うん」だけだ。

僕はヘルニア友人を見た。

彼は僕等の背後の窓に目を向けて、正面にいるメーテル髪の彼女の事は見ていなかった。

僕はみゆちゃんを見た。

苦々しい顔でヘルニア友人をちらりと見て、なんとかしろと僕に目配せする。

「あっ・・えっと、夏前に御蔵島にドルフィンスイムしに行こうと思っているんだ」

「あら、東京でイルカと泳げるの?」みゆちゃんがつなぐ。

「三宅島にいって、そっからマスクとフィンもってボートでドルフィンスイムにいくらしいんだけど」

「伊豆七島でできるんですか?」

気まずい沈黙に居場所をなくしていたメーテル髪の彼女も話しに乗ってきた。

「うん。夜、竹芝桟橋からでて、明け方早く三宅つくんだけど。で、当日は三宅でダイビングして、翌日日帰りで御蔵島にいくらしいよ」

「いいですねえ~イルカと泳げるのかしら」

「私も行ったことないけど、話聞く分にはけっこう近くまで来るらしいよ」

「いいなあ~ 私も行きたい」メーテル髪の彼女が言って、僕は思わず言葉をつまらせた。

「連れて行ってもらえばいいじゃない。うちも家族でいこうかな」

みゆちゃんが「誘え!!」という顔をする。

ちょっとまってくれ!!おまえ本当に家族でこれるんだろうな?僕が彼女一人を誘ったとなると、同行のメンバーのなかで、色々と問題がおこるんだぞ!!

「タカさんも行こうよ。イルカかわいいよ」

僕は保険の意味をこめてヘルニア友人を誘った。

「イカネ」

ヘルニア友人は冷たい目で僕をみると、凍り付きそうな無愛想な声で言った。

そしてポケットからタバコを出すと吸いはじめた。

一本・・・二本・・・三本・・・四本・・・

すごい勢いのチェーンスモークだった。

店の空調が良くないのか、彼の周囲は冗談抜きで、タバコの煙につつまれた。

姿が見えないのだ!!

「ゴホゴホゴホ」

メーテル髪の彼女が耐えきれずに咳をした。

「ちょっとタカ君!!」みゆちゃんが怒った声を出した。

「あっ?」

もの凄く横柄な声を出すとヘルニア友人は煙の中からみゆちゃんを見た。

「タバコ吸ってもいいからチェーンスモークはやめなさい!!」

「そう?」

ヘルニア友人はタバコをやめた。

「ねえ、円君。イルカはいつぐらいいくの?」

「ん?多分6月くらいじゃない?」

ヘルニア友人がウエイターを呼んだ。

「ウオッカ。ストレート。ダブルで」

僕もみゆちゃんもヘルニア友人の顔を見た。

すでに彼は、生ビールの中ジョッキを3杯は飲んでいる。

確かに酒には強いが・・・・

まさか酔い潰れる気じゃないだろうな?


(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)

店を出たとき、ヘルニア友人は全然酔っていなかった。

僕とみゆちゃんは、心配そうな顔をして出てきた。

ヘルニア友人もだが、メーテル髪の彼女がうなだれるような感じになってしまったからだ。

その姿を後ろから見ていると、何か自分の体の中にムクムクと立ちあがってくるものがあるような気がする。

「あっ。俺、あそこで飲んでいくわ」

スタンドバーを見つけたヘルニア友人がいった。

「ん?じゃあ、俺も一杯だけ付き合おうかな?」

僕がいうと、みゆちゃんもヘルニア友人に説教するつもりらしく、「私も」と言った。

するとメーテル髪の彼女も「じゃ、じゃあ、私も」

こうして僕等はまた4人で、しずか~に店の外にでたテーブルを囲む事となった。

「ウオッカ。ストレート。ダブル」

四杯目だぞ。ウオッカのダブル。

流石に途中で、ヘルニア友人の顔は青くなり、目も据わって来た。

こ、こわい(>_<)・・・

みゆちゃんもメーテル髪の彼女の前でヘルニア友人を説教する訳にはいかず、黙り込んでいる。

僕も流石に話すネタがなくなってきた。

メーテル髪の彼女はますます居づらい雰囲気にしょげてしまっていた。

正面からそのしょげた表情を見ると、僕の中でムクムクと立ち上がってきたものは、おとなしくなった。

時間も真夜中になった。

ヘルニア友人がグラスを開けたと同時に、僕は会計を頼み、全額払った。

自分の分を払おうとする三人に「いや、もう電車の時間があるし、今度で」

そういって駅に急いだ。

ヘルニア友人達はみな地下鉄。

僕はJRだった。

上野まで来ると電車は終電になった。

僕はタクシーをつかまえ、深夜料金もコミで6000円近く払って家に帰った。

シャワーをあびて、ベットに入った時には、3時近かった。

「一体、今日はなんの為に・・・・」

僕は終電過ぎるまで飲む事はない。

11時過ぎて満員電車にのるのがイヤでタクシーに乗ることはあっても終電を逃して乗ることはない。

なんだか人生で最大の無駄な時間を過ごしたような気分になっていた。

8時間前には、メーテル髪に、心を躍らせていたのだが・・・・

To be continue.

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2005.01.17

僕とヘルニア友人とみゆちゃんと(4)

ぐったり疲れた夜から2日。僕がヘルニア友人に電話すると・・・・

翌日。そして翌々日。

ヘルニア友人は何も言ってこなかった。

みゆちゃんもだ。

みゆちゃんはともかく、ヘルニア友人の事は気になった。

すっごく 怒っているかもしれない(-_-)

僕はヘルニア友人に電話をかけることにした。

「もしもし。円だけど」

「あ?」

やばい(>_<)!!怒ってそうだ!!

「円です」

「ああ」

携帯の向こうでタバコに火をつける音がした。

家にいるようだ。

僕は単刀直入にきいてみた。
「もしかして、御機悪?」


「いいと思うか?」


「(-_-)・・・・・・・」

やばい・・・・

かなり怒っている。

1ヶ月くらいしてから電話すればよかった~っ(>_<)!!

とりあえずは僕も被害者面して(実際そうだし)同情を買うことにした。

「いや~。あのあと、電車が終電になっちゃって、タクシーで帰ったんだ」

「・・・・・」

うっ。ダメか?

「6000円くらいかかっちゃってさ~。ばっかみたいだよね?」

「・・・・・」

全然ダメみたい・・・

「で、」
「たしかにメーテルだったな」

ヘルニア友人がいきなり言った。

「そ、そ、そうでしょ?メーテルだったでしょ?」

「髪はな」

沈黙・・・・・

「そ、そうだね。髪だけだったけど、メーテルだったよね。みゆちゃんの言ったとおり

僕は「みゆちゃんの言ったとおり」の部分を強調した。

「おまえ、言わなかったよな」

「え?何が?なんか言い忘れてた?俺?」

みゆちゃんに怒りを振り向けるのには失敗したみたい(-_-;)

「髪はメーテルだけど、顔が鉄朗だって事をだよっ!!」

グッ・・・・・

ここは・・・ここはなんとかしなければ。少なくとも、言ったら帰られるから言わなかったとは気づかれないように・・・

「い、いやあ~。言ってもよかったんだけどさあ~。やっぱ珍しいじゃん?髪がメーテルだけど、顔が星野鉄朗ってキャラは・・・」

「・・・・・・・」

「い、言ってみれば、一人銀河鉄道999じゃん?一生記憶に残るコラボを先に話しちゃ悪いかな~と思ったんだよ(^_^;)」

「プッ」

「?」

「プププププッ!!一人銀河鉄道999?それは言えてる」

良かった!!笑いをとれたぜ!!

「でもさ~。タカさんも、あの煙は不味かったと思うよ?」

僕はちょこっとだけ攻撃に出た。

「ん?」

「いや、まあ、しょうがないかもだけど・・・」やっぱ下手にでよっと。

「だろ?」

「う~ん。でも、彼女も人間だし。あまり露骨に態度に出すのはかわいそうな気も・・」

「じゃあ、俺は失礼な事されていないとでも?」

「いや・・・別にそんな事は・・・それは彼女では、男としてちょっとという気持もわからない訳ではないけど、もうちょっと優しくしてあげても・・・」

「そういうおまえは優しくしてあげてたのか?彼女がイルカ行きたいっていったとき、誘ってやらなかっただろ?俺は煙に身を隠していても、みゆちゃんが、おまえに合図したのは見逃さなかったぞっ!!」

「いや、それは・・その・・・」

「俺だってなあ、たとえばおまえとみゆちゃんと三人で飲もうと約束していて、みゆちゃんが『友達と一緒なんだけど彼女も一緒でいい?』っていう話で、彼女と会ったら、煙に身を隠したりはしないんだよ。だけどな、こないだは、俺にいい女の子を紹介してくれるって話だろ?あれが俺に丁度良い女だと、おまえもみゆちゃんも思って紹介したわけ?」

「いや、僕は、実物みてなかったもんで、みゆちゃんは知らないけど・・・」

「みゆの奴、一体どう考えているんだ?」

「いや、多分だけど、みゆちゃんは同性の友達が少ないから・・・」

「俺はな、別に彼女が鉄朗顔だったから怒っている訳ではないぞ。また鉄朗顔だったから、煙に身を隠したのではない。彼女が俺にピッタリの相手だと思っているおまえ達に腹をたてていたのだ!!」

それは・・・

なんかこの数日の間にうまく理論武装したような気が・・・

「うっ・・確かにそれはそうだね。すまんかった!!でもおいら、実物は見てないから・・もし、事前に写真でも見ていたら、みゆちゃんにこれは無理っていったんだけど」

「俺はな、大好きな中山美穂みたいなのつれてこいって言っている訳ではないんだぞ?わかってるか?一緒に食事行ったり、映画見にいったりできる、普通の顔の女の子を紹介してくれと言っているのだ」

「いや、映画にいくくらいは・・・」

「はあっ?」

「いや・・その・・・」

「いけるのか?おまえは?泊まりでイルカにはいけなくとも映画くらいはいけると?」

「いや・・」

「いいか?おまえが答えやすいように言ってやる。ヨネクラおぼえているよな?ゼミの同期の。奴は男だが、おまえは奴と一緒に映画や食事にいけるか?友達として」

「ヒッ!!」

ヨネクラというのは、僕とヘルニア友人が大学3年の時のゼミの同期だ。

どんなかと言うと、、まずスパイダーマンの悪役ゴブリンを演じたウイリアム・デュフォーを想像してほしい。あの顔色を真っ白にして、唇を薄いピンクに。そして目を心持ち大きくしてウイリアム・デュフォーが目にはらんだ狂気を3倍増しにすればほぼヨネクラになる。

彼のでかい目はいつも狂気を孕んでいたのだ。あ、あと、頭はいつも寝癖。1限目に見ても、5限目にみても、寝癖ヘアーだ。寝てる時もそうなのかは誰も知らない。僕等が4年になる前に、壺売り宗教にはまってしまい、退学した幻のゼミ生だ。

「どうなんだよ?」

「いや・・・・無理・・・」

「だろ?俺の言うことは間違ってないだろ?容姿が人間の総てではないけど、ヨネクラは、見た目が思いっきりアブない奴だけど、やっぱ一緒に歩ける奴とそうでない奴がいるだろ?男女にかかわりなく?」

「ま、まあそうだね・・・」

「確かに態度に問題があったかもしれん。だが、情状酌量はされて当然だと俺は主張する」

「おっしゃる通りで」

「みゆちゃんに良くいっとくように」

「はは~m(_ _)m」


電話を切られてしまった(-_-;)

やっぱまだ怒っているみたいだ。

でも僕も多大な経済的損失を受けている。

なんか僕だけが怒られているのは納得できない。

僕はみゆちゃんに電話した。


「あら、円くん」

「・・・・・・」

「どうしたの?自分から電話かけてきて、黙り込んだりして」

くそっ!!みゆちゃんがわかっていないはずない。こいつ、とぼけまくる気だな?

「こないだのはひどすぎ」

「はあっ?」

うっ!!なんかこわいぞ?

「タカさんが怒っていたよっ!!」

僕はタカさんに責任をおしつけた上で怒りをみゆちゃんにぶつけた。

「メーテルじゃなかったっていうの?」

「髪だけじゃん!!顔は鉄朗じゃん!!」

「言ってないわよ。メーテルみたいな顔しているなんて」


「そりゃそうだけど」


「ほら!!あんた達が勝手に髪がメーテルなら顔もメーテルだと思いこんだんでしょ?そのシワよせを私にもってこないで。それより何よ。タカ君のあの態度。忍者にでもなったつもり?」

「いや、それは・・」

「そりゃあねえ、私だってあんたの最初のリアクション見たときにダメか?とは思ったわよ。だけどね、あれはないんじゃない?そりゃあ、美人じゃないかもしれませんけどね、彼女は私の友達なのよ?あんた達は、私の友達に対して、とってもとっても失礼な態度をとったのよ?あんな態度今までの人生のなかで、一度も見たことないわよっ!!あんたは私と私の友達を思いっきり侮辱したのよ?わかってるの?」

「ちょ、ちょっとまってよ。俺は少なくとも普通に話したじゃん。彼女も楽しく話していたじゃん。タカさんがくるまでは・・・」

タカさんすまん!!でもこのときのみゆちゃんの剣幕は、正論で対抗するにはあまりにも恐ろしく・・・・

「でも、私がイルカ誘ってって合図したのに誘ってあげなかったわよね?」


「い、いや、それは・・・イルカにも好き嫌いがあるからだよ(>_<)!!」

僕は自分でも訳のわからないことを口にしていた。

「はあっ?彼女はイルカに嫌われるっていうの?あんたイルカの好みがわかるの?あんたのお父さんはイルカだとでもいうの?」

あああああああ~っ(>_<)

「うるさいなっ!!ドルフィンスイムでは長い髪は厳禁なんだよっ!!昔、長い髪でドルフィンスイムやって、イルカに髪くわえられて、深い所につれこまれて、おぼれ死んだ奴がいるんだよ!!だけど髪の毛が自慢の彼女に『髪切れ』とはいえないから、誘わなかったの!!」

もちろんウソだ。イルカに髪をひきずられておぼれた人なんていない。長い髪はまとめればいいだけだし。だけど僕だってキレたいのだ。

いくらみゆちゃんが相手でも、一方的にキレられてたまるかっ!!すでにヘルニア友人にキレられているんだからなっ!!こっちは。

「そ、そうだったの・・・それは知らないで悪かったわね。」

僕のキレっぷりに、みゆちゃんはちょっと引いた。

「まあ、円君はがんばったわよ。タカ君がちっとも役にたたないばかりか、足をひっぱる中で。それは認めるわ」

「そうでしょ?がんばったでしょ?文句ある?」

「ないない。円君にはない。問題はタカ君よ」

「確かにあの態度は問題だったと思うけどさ。でもみゆちゃんだって悪いよ。タカさんはみゆちゃんがタカさんの好みは良く知っているからって信用して任せたのに。彼女はタカさんの好みからはずれてるじゃん。タカさんの態度は悪いけど、タカさんの信用を裏切ったみゆちゃんだって悪いよ」

「そ、それは・・・」

「タカさんだって、何も大好きな中山美穂みたいな子を紹介しろって言ってるんじゃないと思うよ。やっぱ、人に紹介するなら、もうちょっと平均的な所にしといたほうが」

「うっ・・・それはそうかもね。悪かったわよ。ちょっとだけ

ちょっとだけかよっ!!

「まあ、いいけどね。友達だから。今度から気をつけるように」

僕はエラそうにいうと、速攻で電話を切った。

長引くとまた反撃されそうだったからだ。


(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)


そして2ヶ月後。

みゆちゃんから電話があった。

「あのね。円君を見込んでお願いがあるのよ」

「なあに?」

「えっとね。私の友達で、28歳の子がいるんだけど・・・」

「メーテル髪なの(-_-)?」

「ははははは(^_^;)・・・違う違う。今度は紹介するって話じゃないのよ。お願いなの。円君を見込んだ」

「どんな」

「その子ね、高校卒業してから、うちの会社にはいったんだけど、うちは半官半民みたいなもんじゃない?勤めている男性もおじさんが圧倒的に多いし、女子校から、恋もしないうちに、いつの間にか10年たっちゃって28になっちゃったのよ。どう?悲しいと思わない?」

「ふ~ん(-_-)」

「な、なによっ!!テンション低いわねっ!!私はそれきいて可愛そうになったのよ。だって男と違って女の快感はエンドレスだもの。そんな喜びをまったく知らないで28になっちゃうなんて悲し過ぎると思うの」

「エンドレスなんだ。女の快感」

「そう。しかも男より10倍はいいわね。女の方が。まあ、エンドレスというのは、男がエンドレスでせめてくれればだけど」

おまえは男になった事があるのかと小一時間問いつめたい。

「でもね、彼女の場合、ともかく同年代の男の子と話した事さえあんまりないの。そんな状態だからいきなり男の間にでていってもダメだと思うのね。だから円君に彼女の友達になって欲しいの」

「はあ(-_-)」

「あんたね~っ。もうちょっと乗り気になれないわけ?28よ?そりゃあ、若さピチピチって訳じゃないかもしれないかもしれないけど、これから女として熟す良い頃よ」

「はあ(-_-)」

「しかも世間知らずで男なれしてない処女なのよ?処女。あなた処女の友達いる?」

「知らない。一々女の子に処女ですか?なんてきかないし。男の友達は絶対処女じゃないし。それにおいらはどちらかといえばSだと思うけど、事の最中に「痛い!!痛い!!」なんて絶叫された日には役立たずになっちゃうもん。きっと。処女嫌いかも」

「ね~ね~円君。少しやる気出してよ。こういうことなの。育てて欲しいのよ。清らかな乙女を。それなりに男の間にでてもいいように」

みゆちゃんは僕のウイークポイントをついてきた。

父性愛あふれる僕は「育てる」という言葉に弱いのだ。だが、この前のメーテル髪の彼女を思い出すと・・・・

「ん~。まあねえ」

「お願い。彼女に女の喜びを教えてあげてとは言わない。でも、ちょっとでも男慣れして男の子のなかでも自然に振る舞えるようになれるよう協力してあげて」

「会社の同僚なの?」

僕はみゆちゃんにきいた。よく考えればみゆちゃんが勤めているのは、だれでも知っている一流企業だ。当然そこの人事課が面接をして採用している。前回の鉄朗メーテルのような事はないかもしれない。

「そう。やる気になってくれた?」

「まあ、ちょっとは」

「やっぱり円君はたよりになるわあ~。彼女、明菜ちゃんっていうんだけど・・」

明菜という名前を聞いて僕の心は大きく動いた。中森明菜はデビュー当時から好きだ。

きちんとした会社の人事課の採用試験やら面接を受けて、採用された28歳の男慣れしていない処女。明菜ちゃん・・・・

僕は合弁パートナーの一部上場水産会社に出入りしてたが、地味目の水産といえども、流石に一部上場。若い子はもちろん、おばさんに至るまで、「ひどい・・・」と思うような女性はいなかった。これは、意外な拾い物かも知れない・・・

僕の心の中で、マイ・フェア・レディな炎が燃えあがった。

そして金色の瞳がゆっくりと開き・・・

《喰っちゃえ!!その処女くっちゃえ!!そして、あんな事や、そんな事や、こんな事も教え込んで、メーテル髪の彼女の時の損失を償うのだっ!!悪魔系処女狩りだっ!!》


「わかった。その話、受けるよ。具体的に教えてくれる?明菜ちゃんの事」


(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)


その時の僕は、数分前の低いテンションがウソのように、とびっきりのハイテンションになっていた。

この一言が、先行きヘルニア友人や、モトちゃんとその奥さん。そして我が友チヒロまでを巻き込んだ、大事件に発展するとは知らずに・・・・


To be continue.

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2005.01.31

僕とヘルニア友人とみゆちゃんと(5)

みゆちゃんの依頼はつづく


「そうね~。身長は、こないだみたいな事はないわね。男の子の好きな150センチ台ね」

みゆちゃんが受話器の向こうで言った。

「男って150センチ台が好きなの?オレはもうちょい高い方が・・・」

この女、自分がそれくらいの身長だからって勝手につくってないか?

「うるさいわね。男は150センチ台の女が好きなのよ!!それくらいの大きさが、抱きしめた時に丁度頭のてっぺんが男の鼻くらいに来て、女性の方からしても男の胸の所に顔がきて、安心できるのよっ!!」

男も、女性の胸に顔をうずめると安心するぞ。

つまりみゆちゃんの、男は150センチ台の女が好きというのは、女、いや、自分の都合のような・・・・

でも僕はそれを黙って胸に納めた。

なんといっても悪魔系処女狩りの為の大事なミーティングなのだ。

6000円の深夜料金タクシー代を取り返すことができるかどうかがかかった、大事なミーティングだ。

「骨も細いの。まあ、円君的には好みなんじゃないかな?」

うん。女子校卒、処女。身長150センチ台。骨細。

「まあ、好みかどうかは別として、ごく標準的な日本女性ではあるね。ちょっと小さい気がするけど」

僕は言った。

「あのね?あなたの小さい気がするっていうのは、あなた個人の好みでしょ?外国で、なんで日本人の女の子の人気が、他の国の女性にくらべて高いかわかる?日本の女の子は小さくて、背が小さいってことは、比例してあそこも小さいから締まりがいいっていうのが、人気のうちなのよ。知ってた?」

「いや・・・・でも中国の北方いくと確かに170センチ台の女性は普通にいるけど、南のほういくと、日本人と同じくらいだし、タイとかの女の子も小さいんじゃないかと思うんだけど・・・・」

「はあっ?なんかうるさいわね!!何もそれだけが人気の秘密っていってないでしょ!!人気のうちっていってるでしょ?」

そっか。たしかにそうだ。

「で、髪の毛はどうなの?また長いの」

「ショートよショート。短いわよ。メーテルじゃないわよ。安心して」

150センチ台でメーテル髪っていうのは全身が髪の毛みたいで怖いからな。

「どう?今度は普通でしょ?28歳、150センチ台、骨細、ショートヘア、しかも汚れのない処女。彼女の、最初の男性の友人になってほしいの。文句ある?」

見事なまでに、前回とは逆の女性を見つけてきたな。

「まあねえ。でも、顔はどんな感じ?」

「・・・・・・・・・」

ん?なんだ?この沈黙は?

「すいません。顔はどういう感じなんですか?」

「顔?まあ、想像してよ。明菜ちゃんなのよ」

「明菜ちゃんなのは知っているけど」

だが、僕はこのとき、決して悪い方向にはとらえてなかった。

前回、あれだけきっちりみゆちゃんにも言ってあげたし、なんといっても、一流企業の面接をうけて、採用されているのだ。

たとえ、みゆちゃんが、明確にどんな感じといえなくても、それはみゆちゃんの表現力の貧しさに問題があるのであって、見栄えは良いとはいえないにしても地味なかんじとか、美人とか、かわいいとまではいえないけど、まあ、普通ってことだと思うのだ。

でも、肝心の顔の部分がブランクになってては、攻略のイメージがわきにくい。

「まあ、名前が明菜ちゃんなのはわかったけど、芸能人でいうとどういう感じ?多少なりとも顔のイメージがわかないと攻略方法もなかなか・・・」

「う~ん・・・」

みゆちゃんは考えていた。

「そっくりとかでなくて、なんとなく、誰々みたいな雰囲気っていうのでいいんだけど」

「こけし」

(-_-)?

「こけし?」

「そう、こけし」

「・・・・こけしって、あの民芸品なんかのこけし?電動とかではなくて?」

「あんたねえ~。私の友達をバカにする気?どこに電動こけしみたいな顔した女の子がいるのよっ!!それじゃ、目も鼻も口もないのっぺら坊じゃない!!私の友達は、のっぺらぼうの上、いつも頭をウインウインいわせながら回してるっていいたい訳?いるわけないでしょ!!そんな女の子!!バカじゃないの?」

みゆちゃんはキレかけていた。やばい!!

「冗談だよ、冗談。ちょっとシモネタふってみただけだって(^_^;)なにもそんなに怒らなくていいじゃん。だいたい、芸能人じゃないし。こけしは。具体的なイメージが欲しいのに、すごいおおざっぱなもん言われたこっちの身にもなってよ」

「ふんっ!!いい加減にしなさいよ!!相手は女子校卒の汚れのない処女なのよ?処女の友達を、電動こけしみたいな顔とか言われたら、いくら私だってキレるわよ!!」

それはそうだ。すまんかった。

「じゃあ、こけしっていうのは、素朴なというか、まあ、ぶっちゃけ、あか抜けないっていう意味でとっていいわけ?お化粧とかもあんまししない、色気のない感じ?」

「そうね。本とかは良く読んでいるみたいだけど。化粧はあんまししてないわね。あ、そうそう。そのせいか、肌はすごくきれいよ。やっぱり化粧しないと肌はきれいなのね。」

肌はすごくきれい

その言葉は、いたく僕の心を動かした。

本を良く読み、あか抜けないけど、150センチ台の身長で、骨細でショートカットで女子校卒で、一流会社の面接を合格して、10年つとめ、処女で、肌がきれいな明菜ちゃん。

これは、磨けば光る珠と僕は読んだ。

いや、絶対光る。

光らせてみせる!!

「わかった。じゃあ、焼き肉にしようよ。網の上の肉を一緒につまめば、なんとなく親しい感じになるし」

こうして僕と明菜ちゃんは、みゆちゃんの紹介で会うことになった。

(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)


だからといって、僕がみゆちゃんの言うことを完全に信じたわけではない。

どんな時にも保険は必要だ。

友人同士は、苦労も喜びも分かち合ってこそ友人。

ぼくはヘルニア友人に電話をした。

「みゆちゃんがさあ~。会社の女の子紹介してくれるんだって。女子校卒で肌がきれいな処女だって。タカさん処女好き?」

「嫌いじゃないけど面倒くさい。おまえは好きなのか?」

「いや、全然だけど、みゆちゃんが、極端に男慣れしてないから、友達でいいからなってっていうからさ。やっぱこないだは悪かったと思うから、今度は一緒に素朴な女の子と食事しようよ」

「みゆちゃんの紹介だろ?本当に悪いという気持があるなら、おまえがまず見てきて、それなりにオッケーだと思ったら誘ってくれ。いきなりいくと『悪い』ですんでいたおまえの気持ちが『悪いX2』になる可能性もあるからな。こと女に関しては、俺はおまえの評価は信じても、みゆちゃんの評価は信じないことにした。」

「でもさあ、前回は100%みゆちゃんの評価に頼った結果、ああなったと思うんだよね。今回は、いうなればみゆちゃんの会社が保証している訳でしょ?この前みたいにタカさんを怒らせるような結果にはならないと思うけど」

「い~や。俺はみゆちゃんも、みゆちゃんの会社も信じない。おまえだけ信じる。だから必ず会え。あって帰ったら、すぐ俺に電話して報告しろ。ウソはダメだぞ。俺はそのあと、すぐみゆちゃんに確認の電話して、裏をとるからな」

ガチャンと電話はきれた。

ヘルニア友人の言葉は、僕を不安にさせた。

やはり初対面だから、可愛いか可愛くないかより、会話が成立するかどうかという問題もあるし。

僕は28歳の処女と話したことがない。

いや、あるかもしれないが、意識して話した事はない。

男はみんな狼!!みたいな、警戒心剥き出しでこられたら、どうすればいいのだろう?


僕は我が友チヒロに電話して事情を話してみた。

「あ?いいんじゃない?会ってみれば。ダメだったらダメで元々じゃん。」

「いや、そういうことを聞いているんじゃなくて、一緒にいってくれないかなと。」

「おまえな~。今おれが、毎日何時に帰るかしってる?11時だよ!!6時半の焼き肉屋なんて無理にきまってるだろ。今俺は社畜状態なのよ」

そっか。

まあ、いいや。

みゆちゃんもいることだし。

焼き肉のいいところは、手持ち無沙汰になったら、肉を焼けばいいということだ。

そうだ。いざとなったら肉を焼こう。

なんか話とか、あんまりはずまなかったけど、一生懸命肉をやいてくれた素敵な鍋奉行ならぬ網奉行という作戦でいけばいい。

翌日の晩、みゆちゃんから電話があり、金曜の夜に約束の焼き肉屋でという話になった。


(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)


約束の10分前に僕はついた。

時間になっても、二人はあらわれなかった。

さらに10分。

先にあらわれたみゆちゃんが、僕をみつけて、手をふった。

そして後ろを向いて、何か言っている。

明菜ちゃんも一緒にきているのだろう。

そして、確かに身長150センチ台。ショートカットで、骨細の感じの女の子があらわれた。

僕は学歴にはあまり興味ないので、女子校卒かどうかはどうでもいい。

処女かどうかは、当然確認できなかったが・・・・・

もう一つだけ、たしかにみゆちゃんの言うとおりだと確認できた事があった。

そう、彼女は、いままで僕がみたことがないくらいに・・・

どこがどう似ているとは、言えないのだけれども・・・

間違いなく、こけしに似た女の子だったのだ・・・


今日のイベントは、悪魔系処女狩りじゃなくて、悪魔系こけし狩りですかあ~ (;´д` )?

To be continue.

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2005.02.07

僕とヘルニア友人とみゆちゃんと(6)

明菜ちゃんとの衝撃の出会いから28日後。

僕とヘルニア友人ことタカさんは、モトちゃんの家で、奥さんが作ったおでんと紫蘇ワカメおにぎりを食べていた。

帰りは車なので、酒はない。

当時ヘルニア友人は車のディーラーをやっており、モトちゃんに売った、車の定期点検か何かのために代車をもって、引き取りにきたのに僕はつきあったのだった。

来る途中怖いことがあった。

高速を走っているとき、いきなり天井にどかん!!という何かが衝突したような音がしたのだった。

もちろん陸橋などはなかった。

「今、なんかぶつかった音しなかった?」

ヘルニア友人が僕の顔を見た。

心なしかその顔は青ざめている。

「した。上から人が飛び降りて、屋根に激突したようなすごい音がした」

僕がそういうと、ヘルニア友人は、車をとめて確認するどころか、スピードをあげた。

「屋根確認しなくていいの?」

「人を跳ねたりはしていない。陸橋があって、上から何かを落とされるような場所でもない。天井に穴は空いてない。では、ぶつかったのは何?」

「い、隕石?」

僕が真面目にいうと、ヘルニア友人は青ざめた顔で僕を見ながら言った

「だったらいいな。本当に」

僕はヘルニア友人がオカルトが大嫌いなことを思い出した。

「よくあるんだよ。こういうあり得ない事がさ・・・」


(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)


煮玉子をつつきながら、ヘルニア友人が言った。

「で、明菜ちゃんど~よ?」

僕はくわえていたちくわぶを、思わず詰まらせた。

28日前。

明菜ちゃんを男慣れさせる為の焼き肉会は、9時半には終わったが、僕はヘルニア友人に電話はしなかった。

そして、来る時の車のなかでは、僕の所有する通称「呪いのミュージックテープ」が出てきた話をしていたので、明菜ちゃんの話をするのは忘れていた。

「大丈夫ですか?」

モトちゃんの奥さんが冷たいウーロン茶をくれた。

モトちゃんより六歳年下のおとなしい感じの奥さんだ。

「やっぱり・・・・」ヘルニア友人が哀れな奴め!!という顔で僕を見て言った。

「みゆちゃんの事もおこらせたんだろ?」

それは心外だ。僕は紳士なのである

「そりゃあ、明菜ちゃんは、やっぱりだったさあ。でもみゆちゃんは喜んでいたから。翌日電話をかけてきて、『ああ、やっぱり円君に頼んでよかった。明菜ちゃん、すっごく喜んでいたわよ。多分これで自信がついたと思うの。』って言ってたし。」

みゆちゃんがその時、「最初は彼女の行動問題ありだったかもしれないけど」と言ったことは伏せておいた。

僕は28日前の事を思い出していた

(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)


その日、明菜ちゃんは僕と同じ事を考えていた。

一生懸命肉を焼くということで、せめてもの好印象を残そうと考えたのだった。

しかし一点だけ僕とは違う点があった。

僕の焼き肉焼いちゃうぞ作戦は、話がはずまない時の最後の手段だが、明菜ちゃんは最初からその策をとったのだった。

しかも都合の悪い事に、何故かタン塩より先に、特上カルビが来た。

明菜ちゃんはあつく焼けた網の上に、ぎっしりとカルビをのせた。

当然一気に並べられた特上カルビが、一気に焼けていく。

僕はみゆちゃんの顔を見た。

「喰え」と表情が言っている。

「今は文句を言わずに、とりあえず喰え!!」と。

確かにそうだ。

明菜ちゃんは一生懸命肉を焼いてくれているのだ。

それに出会い頭に、いきなり「焼きすぎ(>_<)」とか言ったら、明菜ちゃんは余計に萎縮してしまう。

僕とみゆちゃんは、肉が焦げる前にすごい勢いで、網の上のカルビを食い始めた。

すると僕等が肉をとって、空いた場所に、明菜ちゃんがまた肉をのせた。

僕はカルビをくわえながらみゆちゃんを見た。

150センチ台なのに、僕よりも喰うみゆちゃんも、カルビをくわえながら明菜ちゃんが肉をおいているのを横目で見た。

そして僕の顔を見る。

「食べて!!ともかく今は食べて!!この子の気持ちを無にしないで!!」

その表情は語っている。

そのうち肉が焦げてきた。

見事なサシが入った特上カルビが黒こげになっていく・・・

僕はあわてて二枚をまとめてとると、口に入れた。

みゆちゃんもすごい勢いで口にした。

そこに明菜ちゃんがまたカルビを・・・・

わんこ蕎麦ならぬ、わんこカルビとなり、食事をはじめてから10分足らずで、僕とみゆちゃんで、計7000円を超える特上カルビを食べ終えてしまった。

裏側が真っ黒になった一枚を僕が取り上げた時に、タン塩がやってきた。

僕が最後の一枚を「ガンになるかも・・・」と思いながら口にいれ、みゆちゃんがビールをごくごくと飲み干していると、また明菜ちゃんが網の上にタン塩をおきはじめた。

僕はみゆちゃんを見た。

みゆちゃんも、明菜ちゃんの手元をギョッとしたように見ている。

「言え!!言うんだみゆ!!」

僕はみゆちゃんに表情で伝えた。

みゆちゃんは泣きそうな顔をして、「お願い。食べてあげて」と同じように表情で伝えた。

僕は明菜ちゃんの視線が網の上のタン塩に集中しているのを確認した上で、みゆちゃんに思いっきり激怒の表情をみせた。

そのうちに明菜ちゃんが「や、やけてます!!」と言った。

タン塩はカルビより火の通りが早い。

僕はみゆちゃんをにらみながらも、タン塩をくわえた。

みゆちゃんもくわえた。

すかさず明菜ちゃんが、空いたスペースにタン塩をおいた。

僕とみゆちゃんが同時に、「うっ!!」と小さくつぶやいた。

タン塩ではなくなっっている。

タンたれになっている・・・・

僕の大好きな上タン塩が、上タン塩たれになっている・・・

明菜ちゃんのせいで・・・

コノウラミ・・・・

僕の瞳は、黒から金色に変わろうとしていた

コノウラミハラサデオク「明菜ちゃん!!」

僕の瞳が金色に変わろうとしているのを見てみゆちゃんが明菜ちゃんに声をかけた。

「私が焼いてあげるから、今度は明菜ちゃん食べなさい。すいません。網替えてもらえますか?」

そういって網を替えてもらうと「あったまるまでちょっと待たないとね」とみゆちゃんは言ってビールを飲んだ。

僕はカクテキをつまんだ。

みゆちゃんが僕を見ながら言った。

「とってもおいしい上カルビだけど、タン塩より先にもってくるのはどうかしら?従業員の教育が悪すぎよ。この店。さってと。あたしはミノもらおっかな」

(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)

グツグツグツグツ

おでんがテーブルの上で煮えている。

モトちゃんの奥さんが席を外した隙に僕はモトちゃんに言った。

「くえるじゃん。おでんもおにぎりも」

「おしえたんさ~。俺が」

モトちゃんは得意げに言った。

おくさんが、別の鍋をもってきて、おでんの鍋にどぼどぼと入れた。

(-_-;)

おでんが強制的に追加された。

ぼくらはお腹一杯だった。

「あの~。サキちゃん。これは誰が食べるのかな?」

僕はモトちゃんの奥さんに聞いてみた

「円さんとタカさんでしょ」

お腹一杯なのに・・・・

「いや~。もうちょっと早く来るかとおもったからさ~。4人で食べようと、いっぱいつくらしたんだけど、おそいからさっき俺らカップ麺たべちゃったんだよね」

だから余っているわけか。

実は僕も、タカさんが二時間もおくれてきたので、我慢できずカップ麺を自宅で食べてしまっているのだが。

タカさんが、僕とモトちゃんの視線を感じて言った。

「あまったら円がもってかえるよ。円は一人暮らしが長いから、ここに来て手料理喰うの楽しみだっていってたもん。」

え?

確かにそれは言ったけど。

「そう?じゃあ、余ったら帰るとき、タッパーにいれてあげる」

サキちゃんの顔は笑っていたが、内心がどうであるか考えるのは怖かった。

なんといっても僕等は、いや、タカさんは「8時にはつくっしょ」とモトちゃんにいっといて、ついたのは10時ちょっと前だ。

そんな時間に飯を食いにやってくる(代車をもってきたとはいえ)旦那の友達が良い扱いをうける訳がない。

食べ物を出してもらっただけでありがたいと思わねば。

「で、明菜ちゃんはどうだったんよ?」

モトちゃんがニヤニヤしながら聞いた。

ここでサキちゃんを怒らせると、後で厄介になるのはモトちゃんなのだ。

「いや~。まあ一言でいうと、一生懸命本を読んでいる女の子かな。『私たいていの事は本で学んだ』って言ってたから」

確かに僕も焼き肉はタン塩から焼け。タレものは後と書いた本を読んだ記憶がない。

だから明菜ちゃんの言ったことは事実なのだろう。

「そうじゃなくて、容姿だろ。が・い・け・ん」

薩摩揚げを食べながらヘルニア友人が言った。

「それは・・・地味目な・・・」

「地味っていっても色々あるっしょ。芸能人でいうとどんな感じ?」

芸能人でいうと?

困った。

「こ、こけし?」

ヘルニア友人が口をぽかんとあけて、「おまえ大丈夫か?」という顔をした。

「円。こけしは芸能人ではない」

そんな事はわかっている。

だが、あえて例えるならこけし。

「髪の毛がおかっぱとかなんですか?」

おでんを総て出し終えて、ようやく座ったサキちゃんが言った。

「いや。ショートだけどおかっぱではない」

「じゃあ、浴衣来て下駄かい?」

モトちゃんが言う。

「会社の帰りだから、そんな格好はしてないよ!!家では知らないけど・・」

「じゃあ、こけしじゃないじゃん」

昆布を囓りながらヘルニア友人が言った。

「うるさいなあ~!!こけしって言ったらこけしなんだよっ!!明菜ちゃんはそんじょそこいらの女の子とは違うの!!完全にオリジナルなんだよっ!!誰にも似てない明菜テイストな女の子なんだよ!!」

「なんじゃそれ?」

ヘルニア友人が紫蘇わかめおにぎりを食べながら言う。

その時僕の頭の中に、良い考えがひらめいた。

携帯を取り出して、電話をかけた。

「もしもし。みゆちゃん?今大丈夫?」

「円君。どうしたの?子供は寝たから大丈夫だけど」

「いまさあ、タカさんとモトちゃんの家にいるんだけど、こいつら俺が明菜ちゃんを丁寧にもてなして、本人も大満足だってこと信じないんだよ。ちょっと言ってやってよ」

僕はモトちゃんに携帯を渡した。

タカさんは鉄朗メーテルの事をまだ根にもっているらしく、そっぽを向いたからだ。

「おひさしぶりです。おげんきですか?」

モトちゃんの声はすごく魅力的だ。さすがは元パンクバンド。ドラマーだけど。

「そう?円君が。人間かわるもんだね。うん。そう?で、こけしに似ているっていいはるんだけど。マジ?どこが?全体的に?本当にこけしなの?浴衣も着てないしおかっぱでもないのに?」

モトちゃんとサキちゃん、それにヘルニア友人が顔を合わせて不思議そうな顔をした。

「貸して!!」僕はモトちゃんから携帯をひったくった。

「みゆちゃん。俺は思うんだけどさ、前回で明菜ちゃんがどれくらい男に慣れたか、ここはやはり確認するべきだと思うんだ。シュガケンがトラットリアはじめてるじゃん?そこで食事しようよ。俺と、タカさんとみゆちゃん。それにモトちゃんとサキちゃんと明菜ちゃんで」

「はあ?」
「おいっ!!」
「私もですか・・・・」

三人はそれぞれ僕の顔を見て言った。

「そうねえ~。イタリアンなら焼きすぎる事もないから、いいかもね」

みゆちゃんは乗り気だった。

「明菜ちゃんに話してみるわ」

電話が切れると、ヘルニア友人が言った。

「円。なんで俺がこけしみたいな女の子を見にいかなければいかんのだ?」

「だって、見たことがないんでしょ?おかっぱでもなく、浴衣も着てないのに、こけしな女の子。」

「それを言ったのはオレじゃない。モトちゃんだ」

「い、い、いや、僕は・・・・」

「言った」
「言った」

僕とヘルニア友人の声がハモった。

「言いましたね」

サキちゃんがとどめをさした。

「いいじゃん。5人の中に、一人新顔が入るくらい。パンクロッカーに車のディーラーでしょ?何を小娘の一人や二人にびびってる訳?」

「私、イタリアンは1年くらい食べてない」

サキちゃんも言った。

えらいぞサキちゃん。シェフに言ってスペシャルなデザートつくってもらうからな。

こうして、僕等全員は、僕のダイビング生活におけるリーダー的存在、シュガケンの店で明菜ちゃんと対面することになった。

11時ちょいまえ、代車をひきとるモトちゃんとヘルニア友人につづいて僕が部屋をでようとするとサキちゃんが、僕を引き留めた。

「はいこれ。」

ホーローの洗面器のような大きさのタッパーにはいったおでんと、紫蘇わかめのおにぎりが三個。

つまり今日の残りの総てだった。

「あのさあ、サキちゃん。俺一人暮らしなんだよね。これ、どう考えても4人分はあると思うけど」

「ん?」サキちゃんは僕の顔を見た。

「明日の朝、明日の昼、明日の夜、明日の夜食で丁度終わりますよ。」

僕はサキちゃんの顔を見た。

まじまじと見た。

彼女は真顔だ。

「もしかしてオレ等が遅れてきたこと怒ってる?」

「全然」

「俺の事キライ?」

「いいえ」

「タカさんの事は?」

「嫌いじゃないですよ」

彼女はとくにこれと言った表情を見せずに言った。

「因みに血液型は何型?」

「Bですよ。悪いですか?」

「いや、俺もB。同じだね!!ハハハハハ」

僕はサキちゃんの瞳が金色になる前に外に出て、玄関のドアを閉めたのだった。


To be continue.

Uploads on coming monday!!

see you (^_-)

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2005.02.14

僕とヘルニア友人とみゆちゃんと(7)

ヘルニア友人もモトちゃんも信じてくれないが、明菜ちゃんが僕に心を開いてくれたのは真実であり・・・

二日後。

みゆちゃんから電話がかかってきた。

「明菜ちゃんは土曜日ならいつでもいいって。私はこの日と~」

みゆちゃんが都合のいい日を何日か指定した。

僕はモトちゃん夫妻とヘルニア友人との間でスケジュール調整をすることを約束した。

「で、どう?」

みゆちゃんが聞いた

「どうって何が?」

「明菜ちゃんよ。」

「明菜ちゃんが何か?」

「いや、女にしてあげられそうかなって」

「タカさんが?」

「違うわよっ!!円くんがにきまってるでしょっ(>_<)!!」

この女。

僕がXファイルのジリアン・アンダーソンが好きと知っていて聞くか?

「あのお~。僕、男なんでこけしは必要ないです。女性なら必要かもしれんけど。こけし」

「明菜ちゃんがこけしみたいだからイヤだってわけ?明菜ちゃんは『円さんて流石はみゆさんの昔からの友達だけあっていい人ですね』って言ってたわよ」

何故か「流石はみゆさんの」の部分だけ心持ち声が大きくなっていた。

「いや、こけしみたいな外見だからじゃないんですが。明菜ちゃんの持っている知識は、所詮本から得たものじゃないですか。で、今のようになってしまったのも、彼女のなかに、人と人との間で得られる知識なんかより、本を通じて得られる知識の方が高級みたいな思いこみがあるからでしょう?そういうのって、世間知らずだと思うし、彼女がもっている知識は、本からも仕入れられるので面白みがないんです。僕的には、本からは得られない類の知識をもっている女性とおつきあいしたいと思っているので。だってその女性とおつきあいしないと得られないわけでしょ?彼女のもっている知識とか、視点みたいなものって。まさにそういう彼女は僕にとっての知の泉だと思うのです」

「円君。あなた私にウソついているでしょ?」

「なんででしょう?」

「私がわからないと思うの?あなたが私に対して、妙に他人行儀な言葉使いをするときは、必ずといっていいほど、私にウソをついてごまかそうとしている時なのよ!!」

(>_<)!!

「いや、ウソなんてついていませんが。」

「ほら、また他人行儀な口調になってる!!ウソをついている証拠ね。」

「うるさいなあ~ウソなんてついてないっていってるだろっ!!大体ねえ、女の方が男より10倍も気持いいなら、みゆちゃんが明菜ちゃんに肌と肌をあわせて教えてあげればいいだろ~がっ!!そいでもって、『男の人とならもっと気持いいわよ』とでも言って教えてあげれば、自分から積極的に相手の男探す気になるでしょうがっ!!」

「段々本音がでてきたわね。でも、残念でした。私はノーマルですからっ。女の子には興味ありませんっ!!」

「そんな事いって、本当は、明菜ちゃんがこけしみたいだから興味ないんでしょ?」

「ちがうわよ!!私はこけしだろうと、マリリン・モンローだろうと、女には興味ないの。まあ、10代なら違ったかもしれないけど。成熟した性感をもつ女は、女なんかに興味もたないのっ!!」

「Gスポットが開発されているからって自慢するなっ!!」

「開発されていて悪いか!!熟女の特権じゃ!!」

「熟しすぎなんじゃ!!おのれはっ!!」

「どれだけ熟しているか知らんあんたに熟しすぎなんていわれてたまるかっ!!」

「知りたくないわい!!水もはじかない肌の熟し具合なんかっ!!」

「水ははじかんが、肌はすいつくんじゃいっ!!文句あるかっ!!」

ハアハア
ハアハア

「不毛だわ。こんなやりとり」

「確かにいい年して、息を切らしてやる事ではないな」

「ともかく、私は円君に関してはパンツの中身以外は知り尽くしているんだからね。みえみえのウソをつくのはやめなさい」

「人妻のあんたに、パンツの中身まで知られてたまるかっ!!オレは貞操観念強いんじゃ!!」

「はあっ?昔、『ほかのしょうもない男と浮気するより、後腐れない俺と浮気した方が、彼女にとってはいいんじゃないかな?』とか言って、相談してきたのは誰よっ!!」

―(T_T)→ サクッ

確かに昔、そんなことがあった気が・・・

「で、でも相談しただけで浮気の相手なんかしてないもんねえ~」

「それはあなたが高い貞操観念をもっていたからではなくて、オスとしての冒険心にかけていたからでしょっ!!」

「ふ、ふんっ!!悪かったな。オスとしての冒険心にかけていて」

「まあ、ゾウアザラシの雄みたいに、オスとしての冒険心だけでできてたら困るけどね」

くっそお~。

決して、みゆちゃんより頭が悪いわけではないのだが、なんかいつも言い合いでは負けている気がする(>_<)

「冒険心はなくても、精力はゾウアザラシのオス並なんじゃ(>_<)!!能あるタカはツメを隠す。能あるゾウアザラシも精力を隠すんじゃ!!」

「そう?今の言葉忘れないからね。彼女紹介してもらったときには、必ず訊かせてもらうから。円君はゾウアザラシ並の精力家なの?って」

「まて。私はゾウアザラシ並の精力家だが、ゾウアザラシのようにハーレムの維持に命をかけているわけではない。私の精力はヨガの秘法により昇華されて、お仕事他のクリエイティブな事に使用されているので、実際に女性に対して、その精力の総てを傾ける事はないのだ」

僕は昔、とある人に言われたことを思い出したのだ。「20代で結婚すると、毎晩でもやりたくなるものだ。でも、そこで我慢して週イチ、いや週二回くらいにしておきなさい。毎晩なんて求めると、浮気したときに、毎晩相手してやれなくなってすぐバレる。浮気してなくても、仕事やなにやらで考えることがいっぱいあり、そんな気分にならなくなっただけで、浮気してるんじゃないかと疑われる。夫婦生活を長くつづけていくのに大切なのは、『私の夫はタンパク』くらいにおもわせておくことなんだ。」

いかん。みゆちゃんに「精力絶倫」なんてチクられたら、この作戦が使えなくなる。というより、「なんでみゆさんがそんなこと知っているの?」なんて方向に話が転がらないとも限らない。そんなとき、昔、シモネタでこんな話をしたといって、信じてもらえるだろうか?

「あんたまた変に他人行儀になっているの自覚してる?進歩ないわねえ・・・」

だめだっ!!勝てない(-_-)

「どうでもいいけど、モトちゃんやタカくんにちゃんと連絡つけてよねっ。私の大事な友達のいわば社交界デビューなんだから。それからタカくんにタバコは吸うなっていっときなさいよ。明菜ちゃんをメーテルの時みたいな目にあわせたら、承知しないからね。あれから彼女、連絡なくなっちゃったんだからっ!!」

それはあなたが、どう考えてもタカさんが女性と意識できないような人物を紹介したからであり・・・・

「ちょっと。ちゃんと聞いてる?」

「聞いてますよ。」

「また他人行儀・・・」

だが、今回は言い合いにならずに電話は切れた。

僕はタカさんとモトちゃん夫妻に電話をして、日にちをきめた。


(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)


それから一週間後。

我が友チヒロから電話があった。

「で、ど~よ。こけしギャルは?」

「うまくいったよ。明菜ちゃんは見事に自分の殻から出て、今度みんなとシュガケンの店で一緒に食事することになった。これがうまくいったら、今度はキミや、魔女系にも紹介して彼女の友達の輪を本格的に広げるから」

「ふ~ん。それでどういう風にこけしだったわけ?」

「全体的に。個別にどこがこけしチックってわけではないけど、全体として見た時に、こけしに似ているとしかいいようがない。どこがどうってことは言えない」

「イメージわかないなあ」

「でも逢えばわかる。女の子を100人並べて、明菜ちゃんはこけしににてますという情報を与えて、誰が明菜ちゃんか当てさせたら10人中9人は確実に当てる」

「そんなにこけしなのか?」

「間違いなくこけしだ」

「人間なのに、非生物にそっくりなのか?」

「そうだ。みたいか?」

我が友は少し考えた。

「実は俺、結婚する事にしたから。」

「はあっ( ̄◇ ̄;) ?」


「いや、まったくいわんのも悪いと思って、おまえには温泉に行くとか、ナニゲに情報をリークしておいたのだが」

そういえばそんな事が・・・

鶴の湯での恐怖がトラウマになっていて、僕とは一緒に行きたくないだけだと思っていたが、確かに一人で温泉にいくような男ではなかった。我が友は。

「折角だから、彼女もつれていこう。俺もみゆちゃん他は、話は聞いていたが会ったことないし。結婚したらあまり出歩けなくなるかもしれんから、この機会を逃すと、一生会えんかもしれんし」

そっか。

しかし、結婚を僕に黙ってすすめていて、タダで済むとは思っていまいな?

(-_-メ;) 許さん・・・

「あ、いっておくけど、テーブルは別にするから。それも一番離れたとこに。なんかしでかそうとしても無駄だからな」

くっ!!

さすが20年近い友人歴を誇る男。

全部お見通しかっ!!

「まあ、いいや。とりあえずおめでとうといっておこう。そうか。俺はこけし少女の社交会デビューの立ち会いで、キミは婚約者とディナーか・・・やっぱお祝いをしてあげたいので、キミは別の日にしろ。三人で飯を食おう。キミと僕とキミの婚約者で。シェフに頼んでスペシャルな料理を用意してもらうから」

「いいや、キミと三人で食事するとしたら、それは式が終わってからだ。危険だからな。何を言い出すかわかったもんじゃない。おまえ、魔人ケンチ、かまやつの三人とは絶対に結婚式前に会話はさせん。しようと試みたら絶交する。いいな?」

そういうと勝犬になった我が友は電話を切った。

くっそお~。

忙しい、忙しいって、仕事じゃなくて、結婚の準備で忙しかったんじゃね~かっ!!

とにも、かくにも、こうして、「明菜ちゃん社交デビューパーティ(仮称)」の日取りはきまった。

我が友の婚約者発表の日もだ。

僕はシュガケンのトラットリアに電話してシェフを呼び出して、僕等のテーブルを予約した。

そして。

「ああ、それから、チヒロが同じ日に予約いれると思いますがテーブルは離してください。それから、彼の為にスペシャルメニューを入れておいてほしいんですよ。辛子がたっぷり入ったような、ヤバイ方にスペシャルなメニューですが・・・


(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)


そしてついに「明菜ちゃん社交デビューパーティ」の日がやってきた。

To be continue.

Uploads on coming monday!!

see you (^_-)

注:このストーリーはフィクションです。とりわけ今回の会話部分にはかなりの脚色が・・・

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2005.02.21

僕とヘルニア友人とみゆちゃんと(8)

明菜ちゃん社交デビュー会。果たして成功するのか?

シェフに対する僕の要請は当然のごとく却下された。

「オーナーからは円さんもオーナーの一人であるときかされていますが、ちょっとその要請は・・・」

もちろん僕はオーナーではない。シュガケンに頼まれて、乏しい貯金のなかから、一時的に運転資金を貸してあげただけだ。だが、シュガケンはお金を返してくれたあとも、シェフには「オーナーの一人だから」といっておいてくれたのである。ありがとうシュガケン。今はもうない店だけど。

だが、そんなことはどうでもいい。

みゆちゃんは現在に至るまで、「円君は明菜ちゃんを使って楽しんだだけ。真面目に明菜ちゃんを社交デビューさせる気はなかった」といいはる。

果たしてそうなのか、そうでないのか、ぶらBファンの皆様。その目で確認の上、判断してください。

さて、明菜ちゃんの社交デビューの為に、僕はスペシャルな料理を準備したいと思い、シェフに相談した。

「全部で6人。あとからオーナーもくるんで、7人になると思うのですよ。なんかいいものないですかね?」

「7人ですか・・・仔羊はどうです?まだ乳しかのんでない仔羊が手にはいりそうなんですが」

仔羊はみゆちゃんも僕も大好物だ。

明菜ちゃんが好きかどうかは知らない。

でも嫌いだったら、明菜ちゃんの分は僕とみゆちゃんで食べるから無駄にはならない。

ここで一言いっておく。

こないだの焼き肉は、みゆちゃんが払うといったが、僕が払った。

明菜ちゃんに聞かずに、メインを仔羊にする十分な権利が僕にはあると思う。

乳しかのんでない乳児な羊を食べてしまうのはかわいそうだが、仔羊よ、勘弁してくれ。僕はキミの分まで立派に生きる。いや、生きている。多分。

「じゃあ、それを骨付きでローストしてください」

「もちろんです。まかせてください」

「んじゃ、メインはそれで。他はすべてお任せします。予算はこれくらいで」

「わかりました。期待していてください」

こうして、明菜ちゃん社交デビュー会の料理は決まった。

次はメンバーに確認をとる。

まずはモトちゃんのうちに電話をした。モトちゃんはまだ帰っていず、奥さんが出た。

「明菜ちゃん社交デビュー会なんだけど」

「なんですか、それ?ああ、例のイタリアンの店で明菜ちゃんを紹介する話ですか。」

「そう。みゆちゃんが、明菜ちゃん社交デビュー会ってつけたんだ」

「はあ。」

「メインディッシュはラムチョップです。仔羊好き?」

「ジンギスカンしか食べた事ありません」

「ジンギスカンとは違う。まだお母さんの乳しか飲んでない羊の喉をぱっくりと裂いて、血をどくどく流して熟成させた最高級仔羊肉だから」

「本当ですか?」

「最高級仔羊肉なのは本当だし、乳しか飲んでないのは本当だけど、〆方は知らないから想像」

「わかりました。ともかく美味しいって事ですね。旦那に伝えます」

「楽しみにしてきて下さい。」

そういったあと、僕はこの前のおでんの器が家におきっぱなしなのに気づいた。

「あ、当日、あのホーローのタッパーみたいなの返すから」

僕は言った。はっきり言って、邪魔なのだ。でかすぎて。

「結構です。もっててください。返さなくてもいいですから」

電話は切れた。

いらないのか?あの巨大なホーロー鍋のようなタッパー。

次にみゆちゃんに電話をかけた。

「料理なんだけ