2005.03.21

僕とヘルニア友人とみゆちゃんとーエピローグー

そして物語は、再度みゆちゃんの家の近くにある中華料理店へ・・・・

「ところでさ~。明菜ちゃんは最近どうしてるの?」

僕はみゆちゃんに尋ねた。

「フランス人の会社は一年たったかたたないかでやめて、別の会社につとめたみたい。」

「まだ連絡はあるんだ。」

「当然でしょ?友達なのよ!!」

「でも鉄朗メーテルとは連絡ないっていってたじゃん。」

「・・・・・・・・」

「明菜ちゃんをなんとかしてあげたい。」

「すごい執念だな。」

じゅんさいのスープを飲みながらヘルニア友人が言った。

「明菜ちゃんが怒ってしまったのは、我が友のせいだというのに、みゆちゃんは全然信じてくれない。オレがシーマンなんかになるからだといはるし。ここは再度明菜ちゃん社交デビュー会を開いて汚名を挽回したい。」

「オレは遠慮するからにい~。」

ヘルニア友人タカさんが素早く逃げた。

「あなた達には期待していません。」

「だから新メンバーでいこう。まずは天使系の和田さん。OK?次に義弟のかずちん。OK?さらにどんな困難でも克服できる臨機応変さをもった魔人ケンチ。OK?そして、とりあえず気弱な故に、明菜ちゃんの前でも、普段と同じように振る舞えると予想されるヒロポン。OK?」

僕は一年ほど前に、第二次明菜ちゃん社交デビュー会の為に、みゆちゃんにヒロポンとケンチを紹介しておいたのだった。

「とりあえず和田さんがいるなら大丈夫かしら?ヒロポンくんはそつなく良い子みたいだし、ケンチくんなら明菜ちゃんを自己開示させられるかもしれないわね。カズ君は円君と血がつながってないだけあって、常識ある子だしねっ。」

ケッ常識がなくて悪かったな。キミの友達の為にシーマンにまでなってやったのによっ!!

「でさ、場所はみゆちゃんちの庭で、バーベキューパーティにしようよ。子供も混ざっていれば、明菜ちゃんも警戒しないだろうし。」

「子供が混じってなくても、あんたらさえいなければ、警戒なんかしないわよ。」

「で、盗聴器を仕掛けて、オレとタカさんは、表の駐車場に車入れて、ウヲッチね。ケンチには受信機ももってもらって、なんとか明菜ちゃんが自己開示できるように、必要があれば指示を出す方向で。」

「あ、それなら俺も混ざる。」

タカさんが楽しそうに言った。

「いい加減にしなさいよ。なんで私のうちに盗聴器つけてまでパーティをウヲッチするのよ!!」

「責任感が強いからな。円は。」

「必要ありません。円君の責任感は。どこまでが責任感なのか、ただ、おもしろがっているだけなのかわかりゃしない。」

「まだまだ未熟だなチミは。どこまでも責任感に思えたら重っくるしいだろ?だからあえて、おもしろがっているように演出している訳ですよ。おもしろがるだけなら、他にもっとリスクが少ない事がいっぱいある。明菜ちゃんにこだわるのは、責任感と罪滅ぼしなんだな。まあ、明菜ちゃんが怒った時に、みゆちゃんが逆ギレして『円君はそんな人じゃないわよ。なんとか盛り上げようと思って、シーマンにまでなってくれたんじゃない!!』って言ってくれれば、明菜ちゃんも納得して、罪滅ぼしをする必要もなかったのだが」

「いいわよ。そうやって私のせいにしておけば。フン!!」

調理場から唐揚げにされた魚に、黒酢のソースをかけた料理が出てきた。

おいしい。すごくおいしい。

「ところでさ、なんでみゆみゆ稲荷に油揚げを奉納することになったわけ?悪魔の円が。」

タカさんが尋ねた。

「それは、油揚げおくるから奉納しておいてって言ったら、カラスや野鳥が来て散らかすからイヤだとかいうから。みゆちゃんが。」

「あなたが、変な夢見て、それがうちの稲荷のせいだとかいうからでしょう?」

「夢みたの?」

僕はうなずいた。

「怖い?」

「いや。」


そう。去年の初夢に、僕はフルカラーのすっごく不思議な夢を見た。

夢の中で、目の前には稲穂をぎっちり実らせた田んぼが広がっており、そこに裃(かみしも)をつけた人がたっていたのだ。

近寄ってみると、それは人ではなくて、狐だった。

日本昔話のように、狐が裃をつけて、金色の田んぼにたっていて、稲穂が風にそよいでいるのだ。

狐は、漫画調ではなく、毛の一本一本がはっきりと見える実写版で、それはかなり異様な風景だった。

そして、僕が呆然として狐を見ていると、裃きつねが「こっちゃこ~い。こっちゃこ~い」と手招きしたのである。

そこで目が覚めた。

何故キツネが裃を・・・・

というか、何故キツネが田んぼに・・・・

僕は翌日みゆちゃんの携帯に夢の内容をメールした。

「なんでウチのお稲荷さんに疑惑がかかるのよ!!お稲荷さんなんて一杯あるでしょ!!」

「んなこと言ったって、オレんとこに『こっちゃこ~い』なんて呼びかけてくるような狐を抱えている稲荷はみゆちゃんとこのお稲荷さんくらいしかいないんだよ!!大体裃をつけているリッチな狐だっていうのが、お宅の狐の証じゃん。普通お稲荷さんの狐は裸なんだから。」

「・・・・」

「うちの会社の近くに有名な豆腐屋がある。そこで油揚げ買って宅急便でおくるからお供えしてよ。」

「イヤよ。カラスとかが来て大変なんですからねっ!!」

その二週間後。僕はいきなり膵炎にかかって、内臓が溶け始め入院し、さらに検査の結果胆嚢がずっと前から機能していないことがわかり、胆嚢切除の手術まで受けるハメになった。

僕は点滴をはずされ、重湯を食べられるようになると携帯でみゆちゃんにメールした。

「みゆちゃん!!あんたのとこの狐は死神かっ!!『こっちゃこ~い』ってオレをあの世に呼んでいるのかっ!!洒落にならん!!」

退院してから、僕はすぐに、みゆみゆ稲荷にお参りしようと思った。

だが、僕の家からみゆちゃんの家までは同じ都内といえども遠い。

膵炎も手術も無事にすんでしまうと、わざわざでかけるのもおっくうだった。

秋になり、たまたま中華の会が行われる店の場所をチェックしていると、みゆちゃんの家の沿線であることに気づいた。

「このお店って、みゆちゃんちの駅の近くじゃない?」

「駅の反対側よ。おいしかったら教えて」

しかも、二年前に開通した地下鉄のおかげで、僕の自宅からは一度だけ乗り換えれば行けるということがわかった。

そして僕等は今日、ヘルニア友人の就職祝いをかねて、みゆちゃんの家の稲荷にお参りをしてこのお店で中華料理を食べる事になったのだった。

「でもさ~。今回みゆちゃんの家のお稲荷さん見て不思議に思った事があるんだけど。」

「何?」

「お稲荷さんって、インドの夜叉だかなんだかのダキニ天だと思ってたんだよね。でもさ、あのお稲荷さんには鏡が祀ってあったでしょう?ってことは神道の神様って事でしょう?」

「さあ?おじいさんが伏見稲荷から勧請したんだけど、そういうことは私詳しく知らないから。」

「俺もダキニ天だと思ってた。だから祀るのやめたりすると祟るんだろ?」

タカさんが怯えたように言った。

「家帰ったら調べてみよっと。」

僕等はデザートまで7品を食べると、思いっきり満足して家路についた。


(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)


家に帰ってから調べると、稲荷には二系統あり、一つは僕が思っていたとおり、ダキニ天を祀る豊川稲荷系だが、もう一つは、宇迦之御魂大神を祀る伏見稲荷大社の系統だった。

つまりみゆみゆ稲荷は宇迦之御魂大神を祀ったお稲荷さんな訳だ。

この神様の眷属が狐なのである。

だが、宇迦之御魂大神を調べた僕は、騒ぎの発端になった夢が、全然洒落になっていない事に気づいたのだった。

宇迦之御魂大神はスサノオと神大市比売命との間の子であり、穀物神、特に稲の精霊とされるというのである。

なんで狐が稲穂がたわわに実る田んぼに立っているのか、意味がわからなかったのだが・・・

稲の精霊とされる穀物神のお使い狐なら、当然だよな(-_-)。

僕はみゆちゃんに報告をした。

「・・・・・・・」

やっぱりみゆちゃんのとこの狐じゃね~かっ!!

っていうか、僕の夢は夢っていうよりも一種の霊夢じゃね~かっ!!

「こっちゃこ~い!!こっちゃこ~い!!」って、裃キツネよ!!僕をどこへ連れて行こうとしてるんだっ!!

ああ、恐ろしすぎる・・・・・


実は、この話にはキツネがキツネを呼ぶ、更なる後日談があるのだが・・・・

あまりにオカルトなネタなので、かけないっ(>_<)

と言うわけで、この話はオチもないままこれでおしまい!!

ではっ!!

The End

NEXT 「海は欲情する」

Uploads on coming monday!!

see you (^_-)

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2005.03.13

僕とヘルニア友人とみゆちゃんと(11)

凄まじい盛り下がりぶりの明菜ちゃん社交デビュー会。僕はついに自らブランディングを打ち壊し、シーマンになって笑いをとるが・・・


この日、初めて僕等のテーブルに涼やかな笑いが満ちあふれた。

僕はユラユラと体をゆらしながら、シーマンの口調で続けた。

「あきな~ それで最近彼氏はどうだ?」

「か、彼氏ですか・・いないです・・」

「そうか~。あきなは彼氏いないのか~。恋はしてないのか~?」

「は、はい・・・」

「ん~。それはよくないな~。彼氏がいなくても恋はできるぞ~。恋のない人生なんて、海苔がないタラコスパゲティーみたいなもんだぞ~」

「何よ。その海苔のないタラコスパゲティーっていうのは。」

「いや、シーマンはそういう一理ありそうでなさそうなこと言うんだよ。」

みゆちゃんにモトちゃんが答えた。

そうだみゆ!!おまえは黙ってオレの話術をきいていろ!!今、オレが、明菜ちゃんの誰も見ることができなかったユニークな側面を表に出してやる!!たとえ、容姿に問題があっても、それをネタに漫才コンビとして世に受け入れられている女性は一杯いるじゃないかっ!!人間は姿形ではないっ!!中身をいかにうまく出すかなのだ!!

「そ、そうでしょうか・・・」

「ん~。あきなは恋、したくないのか~?」

「そ、そんなことはないですけど。」

「そうだろ~。恋がなくても、毎日生きていけるが、恋をしていると毎日がウキウキと楽しくなるぞ~。タラコスパゲッテイーに海苔がなくても食べられるし、栄養もさしてかわりがないが、海苔があると、とってもおいしく食べられるのと同じじゃないか?」

「そ、そうかもしれませんね。」

「シーマン。シーマンは恋してるの?」

「ん?誰だ?他にも誰かいるのか?」

「サキだよ。」

「サキか~。おまえ、確かモトの奥さんだよな~」

「そうだよ。」

「どうだ。モトと結婚して幸せか~?毎日モトは愛してくれるか~?」

「それよりシーマンは恋してるのかい?」

モトちゃんがあわてて話を切り替えた。

何故だ?

「あきな~。おまえ今日は友達が一杯いるみたいだな~」

「シーマンは恋をしているかどうか答えたくないらしいぞ。」

ヘルニア友人タカさんが言った

「シーマン。答えなさいよ。恋をしているの?」

みゆちゃんだ。

僕は無視して体をゆらゆらとさせた。

「シーマンが怒った。」

モトちゃんが笑いながら言った。

「明菜ちゃんが話しかけないと、返事しないぞ。きっと。」

ヘルニア友人タカさんが言った。

「シーマンはどんな女の子が好きなんですか?」

明菜ちゃんがきいた

僕はしばらく体をユラユラさせてから答えた。

「どんなって言われても困るけど、みゆみたいな女は嫌いだな。」

「シーマン!!なんでだよ?」

ヘルニア友人がクスクス笑いながら言った。

「メーテルを紹介するって言って、鉄朗を紹介するからに決まってるだろ。」

みゆちゃんと、事情を聞いていない明菜ちゃん以外はみな大笑いだ。

「な、なんですか?」

明菜ちゃんがみゆちゃんにきいた

「い、いいのよ。明菜ちゃんは知らなくて。シーマン。あんたが、私の事嫌いなのはよっくわかったから、どんな女の子が好きなのか言ってみなさいよ!!」

そういうみゆちゃんの顔は怒っていなかった。

ただ一言、嘆願するような目つきで「言って!!明菜ちゃんに自信をつけてあげて!!」と訴えかけていたのだ

また・・・・・

人に清水の舞台から飛び降りろというようなことをキミは・・・・

だからキライなんだよっ(>_<)

僕は体をゆらゆらさせて沈黙した。

「シーマンはどんな女の子が好きなんですか?」

再び明菜ちゃんがきいた。

僕はみゆちゃんの顔を見た。

みゆちゃんは、祈るような顔で僕を見ていた。

高くつくからな・・・・・

キミの友達の為とはいえ、すっごく高くつくからな・・・・・

「そうだな~。まあ、明菜みたいなのもいいと思うぞ。」

言った瞬間、シュガケンは、飲んでいたワインを吹き出しそうになり、モトちゃんはニヤリと笑みをうかべ、明菜ちゃんは・・・・・

耳まで真っ赤になった・・・・

その時。

ウエイターが、エビのソテーを持ってきた。

「今日はお誕生日だそうで、お店からのサービスです。」

「え?誰が?」僕はシュガケンを見た。

「知りませんよ。私は」シュガケンもいぶかしげな顔をした。

「もしかするとチヒロの彼女の誕生日だったのでは?電話しよう。」

もう、店を出て30分以上たっていた。チヒロに電話をかけて確認したって戻ってくる訳ではなし、食べてしまえばいいのだが、僕には電話をかける理由があった。

あの男が、婚約者に食事をご馳走してきれいにサヨナラするはずがない。

今頃は、彼女の服を脱がして、元を取ろうとしているに違いない!!

ケダモノめっ!!

僕がシーマンになってまで、場を盛り上げようとしているのに、そんなおいしい思いを、ヤツにだけさせてたまるか!!

「もしもし」

「おう」

声がでかい。

僕は携帯を少し耳からはなした。

「シェフが、誰かのお誕生日だとかで、サービスの料理を出してくれたのだが、キミも知っての通り、僕の誕生日はキミと同じ月だ。誕生日なのはキミの彼女か?」

「違う」

「そっか。ならいい。料理が出るのが遅れて、キミ達が帰ってしまったのかと思った。キミの婚約者のお誕生料理を食べてしまっては申し訳ないからな。」

「そんなことはどうでもいい。常識だと思うが、オレは今忙しい。大体俺らが店出てから一時間近くたつのに、電話してきてどうする?その一皿の為に店に戻ると思うか?オレのお腹はすでにいっぱいなのだ。彼女のお腹はまだ入るが、それはエビではない。別のものだ。」

「だと思って、嫌がらせで電話した。気にしないで彼女を満腹にさせてくれ。んじゃ。」

僕は携帯を切ろうとした。

その時。

「ちょっとまて!!」

携帯を切ろうと耳から離しても、チヒロの声は聞こえた。

あとで、携帯の受信音量を小さくしなければ。

「ん?」僕は携帯を耳から少し離れた位置にもどした。


「話にはきいてたけど、明菜ちゃんて

すごいな!!

ありゃ、マジでコケシだわ!!」


ピシーッ(-_-)!!

明菜ちゃんが座っている、僕の隣の席から、凄まじい殺気がいきなり放たれた。

我が友チヒロの声は、モトちゃん、サキちゃん、ヘルニア友人には聞こえていたのがわかった。三人とも、いきなり無表情になったからだ。

もちろん明菜ちゃんにも聞こえたはずだ。

で、なければ、あの殺気は・・・・

僕は黙って携帯のスイッチを切った。

「よくわからないけど、チヒロ達の料理ではないそうです。みんなで食べましょう。」

その後、明菜ちゃんは一言も口をきかなかった。


僕もあえて、話しかけようとしなかった。


デザートとエスプレッソを平らげ、僕等は解散した。

(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)


僕とモトちゃん、そして奥さんのサキちゃんは快速電車に乗り込んだ

「いや~円ちゃんがあそこまで頑張るとは。」

モトちゃんが口を開いた。

「だって、みんなちっとも明菜ちゃんに話しかけないんだもん。」

「いや~。ああいうコは、あまりいないからねえ~。流石の僕も・・・」

モトちゃんが苦笑いした。

「そお?大抵クラスに一人くらいはいますよ。」

サキちゃんが言った。

「そうだよねえ?いるよね?クラスに一人くらいは。」

「うん。私が高校生の時、となりに座ってた子と良く似てた。」

「そうなんだ。じゃあ、サキちゃん明菜ちゃんの友達になってよ。」

「イヤ」

おいっ!!

「なんでさ!!」

「だって一緒に洋服とか買いに行けなさそうだもん。」


(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)


「いや~円君。今日は頑張ったね。」

家にたどりつくとヘルニア友人から電話があった。

「タカさんもえらかったね。タバコすわないで。」

「はっはっはっ キミにも僕のジェントル加減がようやくわかったようだね。」

「まあ、もう少し、しゃべってくれればよかったんだけどね。」

「いや~。それはすまんと思っているよ。円君がシーマンにまでなって、場を盛り上げようとしてくれているのに。でも、あれはダメだは。オレには。すごすぎるって明菜ちゃん。あれに比べれば鉄朗メーテルなんて、全然かわいいよ。みゆちゃんが必死の顔でお願いしてたのはわかったけど、円君が「明菜みたいなのもいいな」って言ったときには、本当におまえって友達思いなんだなって思ったよ。オレにはできん。だけど、今日のおまえの姿は真の漢(おとこ)の姿として終生心に刻むわ。でもさ、チヒロさんの声、明菜ちゃんに聞こえたんじゃない?」

「・・・・・・」

「ま、今日はご苦労さん。楽しかったし、おいしかったよ。円君はそうでもないかもしれないけど。じゃあにい~。」


(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)


月曜日。

お昼前に会社でメールチェックすると、みゆちゃんからメールが来ていた。

「明菜ちゃんからメールが来てないんだけど。こういう事には、けっこうしっかりした子で、会社の飲み会の翌日なんかは必ずお疲れ様でしたってメールくれるんだけどな。」

僕は、あのとき、明菜ちゃんが座っていた場所から放たれた猛烈な殺気を思い出した。

ヤバイ・・・・

案の定、午後になってみゆちゃんから送られて来たメールは猛烈な抗議状だった。

夜、僕はみゆちゃんの家に電話した。

「・・・・・・・」

「あのねえ、誤解があると思うのだけど。」

「何よ。」

「いや、明菜ちゃんが怒っているのはオレのせいではないと思うんだよね。」

「明菜ちゃんの評価ききたい?」

「はあ。」

「モトちゃんと奥さん。とってもいい人。タカさん。いい人。」

「よかったじゃん。みんないい人で」

「最後までききなさいよ。」

「はい。」

「シュガケンさん。円さん。サイテー。」

がっくし・・・

常に女性からするとサイテー男であるシュガケンがサイテーといわれるのはともかくとして、何故僕が・・・

「一人でがんばったのに、何故そのような評価に・・・」

「頑張り方の方向性が違うでしょう?なんで、女の子の前で、いきなりシーマンになる必要があるわけ?」

「他にどういう方向性があったというのだ?あの状況で。」

「それを考えるのがあなたの仕事でしょ?」

仕事ってあなた・・・・

わたしゃ、ホストクラブのホストじゃないんだから(-_-;)

「あのね、みゆちゃんは、明菜ちゃんを挟んでいたから聞こえなかったかもしれんけど、悪いのはオレのシーマンじゃなくて、チヒロが電話で『明菜ちゃんすげ~。ホントこけしだわ』とか言ったのが聞こえたからだと思うんだよね。それまではさあ、明菜ちゃんだって、みゆちゃんだって、みんなだって、ウケてたじゃんオレのシーマン。」

「知らないわよ、そんなの。明菜ちゃんが、シーマンなんてちょっと失礼って言ってるのよ?本人が言ってるんだから間違いないでしょ?」

「そりゃ、こけしみたいって、言われたからなんて言えないもん。因みにこけしって言い出したのはみゆちゃんだから。」

「それがなんだって言うのよ!!こけしって言い出したのが私でも、私は明菜ちゃんを不愉快にしてないんですからね!!私と明菜ちゃんの友情をどうしてくれるのよっ!!」

「いいじゃん。別に。女の子の友達なくすのなんて、今度が初めてじゃないし。」

「あなたね~っ!!」

「はいはい。わかりましたっ!!おいらを悪者にして、明菜ちゃんとの仲を取り戻せばいいでしょ。いいですよ。どうせ一生明菜ちゃんとは会うこともないだろうから、一生悪者で。」

「当然よ!!今度焼き肉おごってもらいますからねっ!!」

ガチャン。

当然よ!!まではともかくとして、何故最後に「焼き肉おごってもらいますからね」が・・・


(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)


僕は我が友に電話をかけた。

なんであんなに努力したのに、明菜ちゃんに「サイテー」呼ばわりされなければならんのだ?

総てはヤツが悪い。

チヒロが余計な事をいわなければ、明菜ちゃんもシーマン芸を身につけて、みんなの明るい仲間になれたのだ。

「おう!!」

何も知らない我が友は明るく電話にでてきた。

週末しっかり彼女をお腹いっぱいにしたので、本人的にも機嫌がいいらしい。

「おまえのおかげで、とんでもないことになった。」

僕は状況を説明した。

「う~ん。」

「う~んじゃないだろ?オレが折角シーマンにまで身をやつして、明菜ちゃんを喜ばせようとしたのに、おまえの一言で、こんな事に・・・」

「そういわれてもな。考えてみろ。シェフがサービスといって、好意で料理を出してくれたとき、素直にそれをうけとり、食べていればそんなことにはならなかったのだろう?それをお前は、オレが婚約者を、お腹いっぱいにするのを邪魔してやろうという邪念をもって電話をかけてくるからこういう事になった。違うか?」

「・・・・・・」

「あきらめろ。いわば天罰だ。オレが悪いのではない。オレはいわば神の使者として、人の好意をも他人に対する妨害工作に利用しようとするお前の邪な姿に対して天罰を与えたのだ。いわばオレは天使ってやつだな。うん。オレを呪うヒマがあったら神を呪うのが筋だ。」

「・・・・・・」

「そういう訳だから。みなさんに宜しく。おお、ミチルが、『円さんて、思ったよりずっといい感じの人ね』っていってたぞ。それだけは伝えておく。そのうち披露宴の招待状送るから。じゃあな」

電話を切たら12時近かった。

ずっと電話をしていたので、トイレにいきたかったが、早くシーマンの水槽の温度をあげないと、折角育てたシーマンが死んでしまう!!

僕はゲーム機のスイッチを入れると水槽の温度をあげた。

これで大丈夫。

「あ~寒かった」「死ぬかと思った」

シーマンはブツブツと言っていた。

僕はトイレにはいり、小のあとで大にうつった。

すると・・・・

「おいっ!!」

はあ?

「おいっ!!餌をよこせ!!」

シーマンが怒鳴っている

「おい!!餌をよこせっていってるんだよ!!」
「お~い!!いないのか?餌をよこせ!!飼い主の責任を果たせ!!」
「お~い!!何してんだ!!早くしろ!!飼い主だろ!!責任をはたせっていうんだよ!!おい!!おーい!!」

僕は出かけた大をおなかにしまい込むと、パンツとズボンをあげてシーマンに餌をあげた。

「早くよこせばいいんだよ。」

しょうもない亭主をもった妻の気持ちが、今はじめてわかった気がした。

正直泣きたくなった。

何故ゲーム機のAIに怒鳴られないといかんのだ。

僕はシーマンのスイッチを切り、トイレにトボトボと歩いていくとお腹のものを全部出し切った。


(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)


明菜ちゃんは、そのあと一年くらいして会社をやめた。

「ふ~ん。で、どうしてるの?」

「なんだかフランス系の商社に見習いではいってるらしいの。」

みゆちゃんが言った。

フランス系か。外資系のボスなら、東洋人の美醜はあまり関係ないかもしれん。

「でね、明菜ちゃん、珍しいことに習い事はじめたのよ。」

「へ~っ。まあ、いい事じゃない?人前に積極的に出るようになったのは。」

「それがね、何習い始めたと思う?」

「お茶とか生け花?」

「う~ん。ちょっと近いかな。」

「日本舞踊?」

「はずれ。」

「じゃ、何?」

「弓道。」

「(-_-)・・・・・・」

「きいてる?」

「なんで弓道なんて習うわけ?」

「なんでかしらねえ?」

「まさか、毎日、的におれの顔を思い浮かべて射っているとか?」

「さあ。でも一年くらいしたら気をつけたほうがいいかもよ。家の中に火矢とかがズコン!!って打ち込まれるかもしれないから。」(注:これはマジです)

たとえ大事な友人に頼まれたとしても、他人を助けてあげようなどと思わない方がよい。

苦労なんて報われないものだ

感謝されずに憎まれるのがオチなのだ

この事件から、僕の悪魔性は徹底したものになった。

嫌いだ!!人間なんて!!

大嫌いだ~っ(>_<)

To be continue.

Uploads on coming monday!!

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2005.03.07

僕とヘルニア友人とみゆちゃんと(10)

あえて例えるなら、アンガールズ山根君に似ている明菜ちゃんを前にして、沈黙する一同の中で、孤軍奮闘する僕。気まずい雰囲気をシーマンに変身した僕は救えるのか?

「はじめまして」

明菜ちゃんが席についた。

明菜ちゃんの前にすわった、ヘルニア友人タカさん、モトちゃん、モトちゃんの奥さんのサキちゃんは、ひどく居心地の悪そうな雰囲気で挨拶を返した。

まずい・・・・

やはりここは自分が明菜ちゃんの正面に座るべきだったのか?

「明菜ちゃん羊は好き?」

いきなり沈黙に走ったテーブルを救うべく、みゆちゃんが明菜ちゃんに話しかけた。

「羊ですか・・・あまり食べた事は・・・」

「そう?きっとおいしいと思うわよ。円君がねえ、シェフと相談して生まれたばかりの仔羊を用意してくれたの」

「そうなんですか・・・」

モトちゃんとヘルニア友人の二人は、明菜ちゃんから微妙に視線をはずし、目を伏せるワケでもなく、何もいない空間をそわそわとながめている。

どうしたモトちゃん!!キミほどの男でもダメなのか?

その時、ヘルニア友人の手が、テーブルの上のタバコへと無意識に伸びた。

僕が咳払いをすると、ヘルニア友人は僕の顔を見て、みゆちゃんの顔を伺うと、手をテーブルの下に下げた。

ウエイターが料理を出し始めていいかと聞きにきたので、シュガケンの事はほっといて、僕は料理をお願いした。

この気まずい雰囲気。

料理でも出てくれないとやってはいられん・・・

前菜のイチジクの生ハム巻きが出た。

「あらおいしそう。メロンじゃなくて、イチジクなのね」

みゆちゃんが沈黙を破っていった。

そう。良く熟れたイチジクに生ハムはすごく合う。

だが、話はそこで途絶えた。

皆が生ハムを巻いたイチジクを黙って食べた。

次の料理が出るまでの間、明菜ちゃんに話しかけたのは、サキちゃんだった。

「明菜さんは東京の出身?」

えらいぞ!!

亭主を助けるのは妻の役目!!

美しいだけではなく、見事な妻ぶりだ!!

「いえ、今は神奈川ですけど、育ったのはXXです」

温泉で有名な土地の名前を明菜ちゃんは言った。

「いいとこだよね~XX。オレも昔、出張でいった事あるさ」

モトちゃんがようやくきっかけをつかみ、明菜ちゃんに話しかけた。

流石は夫婦!!見事なコンビネーションプレイ!!

「そうですか?」

あ・・・なんか明菜ちゃんの言葉の雰囲気で話が失速しそう・・

「温泉で有名じゃん?あれって一般家庭にもひけるのかなあ~」

僕は失速しそうな話題をなんとか加速させるべく、会話に入っていった。

「はい。」

「じゃあ、いつも温泉はいれるんだ」

ヘルニア友人も、会話にはいってきた。

いける!!これで見事この明菜ちゃん社交デビュー会は空へとまいあがるぞ!!

「でも、うちはXXのはじっこなんで、引かれてなかったんですけど」

落ちた・・・・

折角飛びあがった会話の飛行機がおちたよん(-_-)

その時、ピザがやってきた。

僕の大好きなゴルゴンゾーラのピザだ。

ピザ生地の上に、生クリームに溶いたゴルゴンゾーラと、シュガケンが言うには魚のフォンをちょびっと混ぜてあるらしい。

「まあ、ゴルゴンゾーラのピザね。おいしそう」

チーズには目のないみゆちゃんが目を輝かせた。

「うん。ここのゴルゴンゾーラのピザはおいしいんだよね。大好き」

僕はそういうと率先して切り分けた。

皆が自分のお皿にとり食べ始めたが、明菜ちゃんだけは取らなかった。

「明菜ちゃんとってあげようか?」僕は明菜ちゃんに話しかけた。

「いいです。私、カビの生えたチーズ食べれないから。」

確かにゴルゴンゾーラは癖のあるチーズだ。

カビも生えている。

しかし、このピザは、その辺の事を考えて匂いがしないようにつくってある。

こないだも同じ事を言った友人がいたのだが、一口食べて「おいしい。私ゴルゴンゾーラ好きになるかも」と言っていた。

僕だって鬼ではないのだから、いくら自分が好きでも、こんな席で癖がある料理は出させない。

「ここのシェフは元XXXのシェフだった人なんだ。ちょっと事情があって今はここでやってるんだけど。ほとんどゴルゴンゾーラの癖もないから、一口だけでも食べてみたら?」

僕は明菜ちゃんに言ってみた。

「いいえ。いりません。嫌いですから」

ビキッ!!

一瞬脳の血管が切れたような音がした気がしたが、それは多分気のせいだろう。

ヘルニア友人の手が、またタバコに伸びた。

今度はみゆちゃんが咳ばらいをして、ヘルニア友人は、あわててタバコから手を放した。

「じゃあ、私がいただこうかしら。とってもおいしいし。」

残ったピザはみゆちゃんのお腹の中へと入った。

その時、シュガケンが階段をあがってきた。

我が友と婚約者のミチルさんに挨拶をしてから、こちらのテーブルにやってきてみゆちゃんとヘルニア友人の間に椅子を持ってきてかけた。

このころにはテーブルは満席で、それをみたシュガケンの機嫌もすこぶる良かった。

だが、僕が一人ずつ紹介していくと、明菜ちゃんを紹介した瞬間、笑顔だったシュガケンの顔から、、あからさまに笑みが消えた。

凍ったような表情で「どうも」とだけ言う。

やばい・・・・

援軍どころか、足を引っ張る奴が来てしまった・・・

「チヒロさんの彼女かわいいじゃないですか」

シュガケンが僕に話しかけた。

だが、シュガケンの視線は、チヒロの方を見たままだ。

それは僕の方を見ると、明菜ちゃんも視界に入ってしまうからだろうか?

次の料理が出たとき、我が友チヒロがテーブルを立った。

会計をすませると、僕等のテーブルのところへ来て挨拶をした。

シュガケンをのぞいて、会うのははじめてだが、お互いに噂はきいている仲なので、きわめて自然な感じで挨拶はすすみ、明菜ちゃんを紹介したときも、我が友は非常に愛想よく振る舞った。

他の3人とは大違いだ。

流石は我が友!!

我が友の退場と共に、魚料理が出された。

シュガケンは黙ってそれを食べ、そのあとで、タバコをふかしはじめた。

ヘルニア友人はそれを見て、自分もタバコに手を伸ばしたが、みゆちゃんが、怖い顔で睨んだので、今度はタバコをポケットにしまった。

もちろんシュガケンは、みゆちゃんの怖い顔には気づいていない。

みゆちゃんは僕や明菜ちゃんと同じ側にすわっており、僕を見れば明菜ちゃんが視界に入るように、みゆちゃんをみても明菜ちゃんが視界にはいる。

そのためかどうか、彼はいつも反対側。オープンキッチンの方を見ていた。

一応オーナーなので、そちらを見ていてもおかしくはないのだが、組まれた足は、思いっきりオープンキッチンの方へむけられており、それはボディランゲージ的に言うと、僕や、みゆちゃんや、明菜ちゃんに向かって「NO!!」と言っているのと同じ意味がある。

みゆちゃんの怒りの表情と、明菜ちゃん他の沈黙の中、ついにこんがりと焼けた仔羊がフレンチラックのまま出てきた。

他のお客さんも羨望のまなざしで見ている。

肉には切り分ける為の大きなナイフとフォークがついていた。

「シュガケン、切り分けてよ」

僕はシュガケンに言った。

「え?」

シュガケンはようやくこちらを見た。だが、明菜ちゃんが視界に入ったのか視線を泳がせる。

「円さんが切ればいいじゃないですか。」

シュガケンは再度オープンキッチンの方を向こうとした。

「オーナーが切ってみなさんにサーブするのは当然でしょ」

ついにみゆちゃんが口を開いた。

その言葉には微妙に怒りの雰囲気があふれている。

モトちゃん、サキちゃん、タカさんの三人が、今日はじめて面白そうな、表情をした。

みゆちゃんの口調に含まれた怒気は、流石にシュガケンにも伝わったのか、タバコを消すと、彼は立ち上がり、ナイフとフォークを手に取った。

そして、骨と骨の間ではなく、骨をはずすようにナイフを入れた

「!」
「!」

僕とみゆちゃんが、同時に声にならない声を発した。

「何をやってるんですかっ!!」

オープンカウンターの中から様子をうかがっていたシェフがいつの間にかやってきて、シュガケンからナイフとフォークを取り上げた。

シェフが骨付きのまま、正しく切り分け、骨からなかばはずされた一つをシュガケンの皿においた。

「ダメじゃないですか。オーナーなのにフレンチラックの切り方しらないのは」

僕はシュガケンに言った。

みゆちゃんは蔑むような目でシュガケンを見て、仔羊を食べ始めた。

またテーブルに沈黙が戻った

(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)

メインを食べ終わったところで、僕はこのままではいけないと思った。

なんとかして、明菜ちゃんの良い面をみんなに披露しなければ。

何よりも、この沈黙を打破しなければ!!

「あのさ~最近オレ、シーマンはじめたんだよね」

僕は話を振った。

「円ちゃんもはじめたんだ」

僕等の仲間内では一番はじめにシーマンをはじめたモトちゃんが絡んで来た。

「面白いですよねシーマン」

サキちゃんも加わった

「いきなり貝が血をブシュ~って吹き出すところが最高」

「あれはびっくりするよね。何事かと」

「で、円は何匹シーマンになったんだ?」

ヘルニア友人もうまく相乗りしてきた。

「三匹だったんだけど、結局一匹だけ大きくなって、今養ってる」

「夜の12時前に水温あげないと死んじゃうんだよね~」

「そうそう。それで一匹死んじゃった」

「あの~。シーマンってなんなんですか?」

明菜ちゃんがはじめて積極的に絡んで来た。

「え~とね。対話型の育成ゲームで、しゃべる人面魚を育てるの」

「おもしろそうですね」

おおっ!!やっと調子がでてきたのか?明菜ちゃん。

「うん。何回か変態するんだけど、大人になると自分の昔話とかもしてくれるんだ。」

「やってみたいな~」

「そう?じゃあ、オレがシーマンになってみるから、ちょっとやってみる?」

「ええっ!!」

僕は無表情になると体をゆっくりとゆらしはじめた。

そして低い感情があまりこもっていない声で明菜ちゃんに語りかけた。

「あきな~ 最近どうなんだよ。」

「・・・・・・」

「シーマン。明菜ちゃんに優しくはなしかけてあげてね。」

みゆちゃんが口をはさんだ。

僕はからだをゆらゆらとゆらしながら、明菜ちゃんの目を見て言った。

「あきな~ おまえ最近焼き肉くいにいったろ?」

「に、似ている・・」
「そっくりです。」

モトちゃんとサキちゃんが同時に言って笑った。

「ええ、いきましたけど」

ようやくほぐれた周囲の雰囲気に後押しされたのか、明菜ちゃんも会話に乗ってきた。

「その時一緒だった男さあ~ どう思う?」

「い、いい人だったと思います。」

「そうだよな。あいつは俺も、昔から知ってるけど、いい奴だよな・・」

この日はじめて、全員が笑った。

シーマン作戦は大成功の予感だ。

だが、僕がついに成功への切符をつかんだと思ったその時。

オープンキッチンからは、当初の説明にはなかった料理が僕等の前に出されようとしていた。

破局へのカウントダウンは、静かにはじまっていたのだった・・・


To be continue.

Uploads on coming monday!!

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2005.02.28

僕とヘルニア友人とみゆちゃんと(9)

僕が完璧なまでにセッティングした「明菜ちゃん社交デビュー会」。メンバーは続々とあつまり、最後に明菜ちゃんが・・・・


その日。

僕は6時10分前に店にはいった。

ドアをあけると、そこは急な階段になっており、その階段を登ると店内になる。

僕はオープンキッチンの向こうにいるシェフに声をかけた。

「シェフ。今晩は。」

「ああ、円さん。早いですね。まだ一時間くらいありますよ。」

「いや、羊どんな感じかなと思ったんで。見たら時間までシュガケンのお店の方で時間つぶします。」

カウンターの上には岩塩やら、ハーブをまぶしたと思われる仔羊のフレンチラックがどしんとおかれていた。

生まれてまもない仔羊故に、そんなにでかいわけではないが、若々しい華のある雰囲気はすばらしかった。

かわいそう。でも、おいしそう。

「どうです?」

「おいしそうです。」

「気に入っていただけましたか!!今日のメニューなんですが・・」

僕はメニューの説明を受け、満足したあと、向かいにあるシュガケンのコーヒーショップへと向かった。

その途中、いくら羊が安いとはいえ、この値段で儲かるのだろうか?とふと思ったが、それはシュガケンが考える事で、僕が考える事ではない。

「早いじゃないですか。」

子供の頃書いた「かわいいコックさん」のような白いコックコートの短ラン(学ランの)のような服を着たシュガケンがコーヒーを入れているカウンターの前に僕はすわった。

「僕は友人の為なら、最善を尽くす男ですから。見ました?あの見事な仔羊のフレンチラック。みゆちゃんも明菜ちゃんも喜ぶこと間違いなし。」

「見ましたよ。あれ、仕入れにいくらかかってるのかなあ?あとで確認しなきゃ。今日の予算でちゃんと収支あってるのか心配になってきた。」

「セコイ事いわないでくださいよ。あってなかったら、他の客であわせればいいじゃないですか。パスタの量控えめにするとか、コツコツとやれば今月で調整できますよ。」

「ダメでしょ。それは。」

「ダメですけど、寿司屋は毎日やってますよ。今日の仕入れ+ノルマの粗利=その日の売り上げ目標でしょ。誰でいくら儲けるかなんて気分次第です。」

「うちは寿司屋じゃないんだから。」

そうこう話しているうちに、ヘルニア友人が店に入るのが見えた。

「あ、タカさんが来ました。もういかなくちゃ。」

「私も七時にいきますから。円さん!!」

「え?」

「伝票。アイスティーの。」

チッ!!サービスかと思ったのに!!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

店に入ると、いつの間にか我が友チヒロが、女性と一緒に席に着き食事をはじめていた。

シュガケンと話していて、入ったのに気がつかなかったらしい。

僕はチヒロと、上品な磯野キリコといった感じの婚約者のミチルさんに簡単に挨拶をすると、一人で僕等のテーブルにすわっているヘルニア友人のところにむかった。

「円!!よかった!!もしかしておまえのことだから、明菜ちゃん意外には30分くらい遅らして連絡しておいて、俺と明菜ちゃんを二人っきりにするつもりかと・・・・」

ヘルニア友人ことタカさんは、真面目な顔で言った。

そのとき、階段をズシズシときしませて、みゆちゃんが顔を出した。

靴は軽登山靴だ。

「あら、二人だけ?」

「まだ早いから。明菜ちゃんと待ち合わせしてないの?」

「うん。私時間がよめなかったから。服は温泉のあとで、着替えたんだけど、靴はこれじゃまずいかしら?」

「かまわないでしょ。レストランじゃないし。でも、本当は駅で明菜ちゃんと待ち合わせしてる所を、人に見られたくなかったんじゃないの?」

僕は意地悪く言ってみた。

「ちょっとまて。明菜ちゃんがこけしに似ているという話はきいたが、みゆちゃんが駅で待ち合わせして一緒にいるところを誰かに見られると恥じるほどの女だとはきいていない。」

ヘルニア友人が無表情のなかにも、瞳に若干のおびえを見せて言った。

「なんで私が、友達と一緒にいるところを見られて恥じるのよっ!!円君のいつものいじわるにきまっているでしょっ!!あんたたち、前回だけでは飽きたらず、今度も私の友達を侮辱しようってワケ?」

「別に。俺はただ、円のいった言葉を確認しようとしただけだから。文句があったら、円に言えば?」

「いい?二人とも良くきくのよ。明菜ちゃんを侮辱する事は私を侮辱する事ですからね。良くおぼえておくように。モトちゃんは同行する奥さんの手前、そういう失礼な態度はとらないでしょうけど、あなた達二人には念を押していっておきます。特にタカ君。今日はタバコ控えなさいね。大体食事中タバコをふかすのは失礼よ。大人としての良識をわきまえなさい。あなたが一番年上なんですからねっ!!」

「あの~。おいらは鉄朗メーテルにも優しかったし、こないだ明菜ちゃんにあったときもちゃんとしてたんで、注意する必要はないと思うけど。」

僕は言った。タカさんと一緒にされては困る。

「それはそうだけど、あなたはとんでもないおもしろがり屋でしょ?昔、十二指腸潰瘍おこして、血吐いて倒れて、まだ数日しかたってないのに私と一緒に焼き肉屋いって、『貧血だからレバ刺し三人前』とか注文して、それが一皿に山盛りにされて出てきたら『絶対ウエイターの奴、あの男一人であんなにレバ刺し喰って、一緒の女と今夜何発やる気なんだ?とか思ってるぜ』とかいってクスクス笑ってたでしょ?私はなんで、数日間の下血につづいて吐血までした人間が、病院もいかないまま焼き肉屋でシモネタ言って喜んでいるのか、理解に苦しんだわよっ」

「しょうがないじゃん。あのころはモテモテで、一緒に食事しても体力を消耗しない安全パイは人妻のみゆちゃんしかいなかったんだから。ほかの女の子と行って、あれだけのレバ刺し食べたら『今夜私はヤリ殺されてしまうかも』とか期待させてしまうし。」

「そういう事言っているワケじゃないでしょう?病気の時は寝てる。食べる時は食べる。礼儀正しくするときは礼儀正しくする。そういうことを私は言っているの。大体あなたは、一人の時はいいけど、モトちゃんや、タカさんみたいな触媒になる人間がいると、いつもはしゃぎすぎるでしょ?もう二十代じゃないんだから言動には注意しなさい」

「というワケで、タカさん。タバコを吸い過ぎないように。今日は飲み会じゃなくてお食事会ですから。」

「え?」いきなり話をふられたタカさんの手にはタバコの火が・・・

「話を他人にふって逃げない!!タカ君はそれを最後にするのよ?デザートの時まで禁煙。わかった?」

タカさんは手にしたタバコをくわえ、1センチくらいタバコが灰になる勢いで吸うと、ぷは~っと大きく吐き出し、灰皿で、残りをねじ消した。

「これでいい?」

タバコはテーブルの上においたまま、しまう様子はみえなかった。

みゆちゃんはムッとした顔をしたが、何も言わなかった。

まあ、この二人の仲は、僕よりも長い。

ある種の腐れ縁だ。

その時、階段を上がる音がまた聞こえた。

地味目のパンクファッションに身をつつんだモトちゃんと奥さんだった。

「うい~っす」

モトちゃんがヘルニア友人の隣にすわり、その隣、僕の正面に奥さんが座った。

「こんにちは」

僕は奥さんを見た。

「今日は化粧してるんだ。」

「はい。」

「ふ~ん。」

この時まで、僕はモトちゃんの奥さんにしては地味なひとだなあ~とずっと思っていたのだが、それは間違いだった。

さすがはモトちゃん。村西カントクをリスペクトする男。

奥さんは化粧をしないと地味目だが、ちょっと化粧をしただけで、かなりの美人だ。

見直した。

「なんですか?」

「いや、率直に言って、地味な子だなあ~とずっと思っていたんだけど、今日見て見直した。美人だ。浮気したくなったら電話して。」

「円ちゃん。どうしてキミは旦那のボクがいるまえで、女房を口説くかね?」

「いや~。旦那の前だからでしょう。かくれてやってたら、全然洒落にならないし。」

「ほら、またはしゃぎだした!!だから油断できないのよ。あなたはっ!!」

みゆちゃんがあきれたように言った。

「い~え。僕はうつくしモノ好きの会にはいっているんで。美しいモノを見たときには率直に美しいと言うんです。それにここはイタリアンの店だし。イタリアンにふるまって悪いですか?今日はイタリアンルールでいこう。女性のことを誉めて誉めて褒めちぎろう。みゆちゃん、さっきから気がついていたけど、そのピアスすっごくいいね。似合ってるし。派手ってワケじゃないけど、なんか存在感があるデザインだよね。いままでそんなピアス見たことないけど?」

「あら、そお?」

「うん。オシャレ」

「流石はうつくしモノの会ね。これは知り合いのデザイナーさんがつくってくれたものなの。でもこれピアスじゃなくてイヤリングなの。見てみる?」

みゆちゃんはイヤリングをはずそうとした。

「円ちゃん。いつのまにそんなに凄腕に。あぶない。女房の正面に座らせておくの心配になってきた。」

モトちゃんがそういい、みゆちゃんはハッと気づきイヤリングをはずす手をとめたが、僕とヘルニア友人はしらけた顔でモトちゃんを見た。

「なんですか?二人とも。いやだな~。なんでそんな顔でボクをみるのかな~」

モトちゃんがちょっとあわてたように言った。

この男が何故明菜ちゃんの正面の席にすわらされているのか?

それは僕も、ヘルニア友人も、もし、明菜ちゃんや鉄朗メーテルをも、心地よくさせてベットどころか天国にだって送り込める男がいるとしたら、それはこの男しかいないと内心思っているからだ。

ああ、彼の学生時代の対女性に関する勝利の記録といったら・・・・

だけど、そういう男だからこそ、奥さんには普段は地味な感じで、あまり目立たないがちょこっと化粧しただけで、見違えるような美人に変わる堅い女性を選ぶのだな。

一生そいとげる女房を、見てくれと職業的ブランドだけで選び、10年もしないで多大な慰謝料を払って離婚するような知人には教えてやりたい。

本当に女を理解している男は、女房にはこういう女を選ぶのだと。

そんなことを思っていると、また階段を上がってくる音がした。

皆が顔を見合わせた。

明菜ちゃんだ。この軽い足音は、明菜ちゃんに違いない。

階段を上がりきり、赤いカーディガン(?)に身をつつんだ明菜ちゃんを僕とみゆちゃんは見た。

みゆちゃんは小さく手を振り、僕もにこやかに笑みを浮かべた。

そして、ヘルニア友人とモトちゃんは、背後から近づく明菜ちゃんの足音をききながら、真剣な面持ちで、僕の顔をみていた。

そして、テーブルの横まで来た明菜ちゃんを、みゆちゃんが三人に紹介した。

だが、モトちゃんの奥さん以外は、その声が聞こえていなかったに違いない。

僕は見た。

予想通りとはいえ、ヘルニア友人の顔の血の気が引いているのを・・・

そして。

頼みの綱のモトちゃんですら、微妙に顔を引きつらせているのを・・・

僕は直感した。

この会はとんでもないことになる。

そう。

かの名匠、ブライアン・デ・パルマの名作ホラー「キャリー」のラストのような。


だが、その時は思いもしなかった

そんな僕の顔を、すこし離れたテーブルから婚約者越しに、興味深そうに見ている男。

婚約者と夕食を楽しむ、我が友チヒロ!!


彼こそが、最後に豚の血をステージ上のキャリーにぶちまけることになる、最悪の、そして最高の助演男優にキャスティングされていることに!!

To be continue.

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2005.02.21

僕とヘルニア友人とみゆちゃんと(8)

明菜ちゃん社交デビュー会。果たして成功するのか?

シェフに対する僕の要請は当然のごとく却下された。

「オーナーからは円さんもオーナーの一人であるときかされていますが、ちょっとその要請は・・・」

もちろん僕はオーナーではない。シュガケンに頼まれて、乏しい貯金のなかから、一時的に運転資金を貸してあげただけだ。だが、シュガケンはお金を返してくれたあとも、シェフには「オーナーの一人だから」といっておいてくれたのである。ありがとうシュガケン。今はもうない店だけど。

だが、そんなことはどうでもいい。

みゆちゃんは現在に至るまで、「円君は明菜ちゃんを使って楽しんだだけ。真面目に明菜ちゃんを社交デビューさせる気はなかった」といいはる。

果たしてそうなのか、そうでないのか、ぶらBファンの皆様。その目で確認の上、判断してください。

さて、明菜ちゃんの社交デビューの為に、僕はスペシャルな料理を準備したいと思い、シェフに相談した。

「全部で6人。あとからオーナーもくるんで、7人になると思うのですよ。なんかいいものないですかね?」

「7人ですか・・・仔羊はどうです?まだ乳しかのんでない仔羊が手にはいりそうなんですが」

仔羊はみゆちゃんも僕も大好物だ。

明菜ちゃんが好きかどうかは知らない。

でも嫌いだったら、明菜ちゃんの分は僕とみゆちゃんで食べるから無駄にはならない。

ここで一言いっておく。

こないだの焼き肉は、みゆちゃんが払うといったが、僕が払った。

明菜ちゃんに聞かずに、メインを仔羊にする十分な権利が僕にはあると思う。

乳しかのんでない乳児な羊を食べてしまうのはかわいそうだが、仔羊よ、勘弁してくれ。僕はキミの分まで立派に生きる。いや、生きている。多分。

「じゃあ、それを骨付きでローストしてください」

「もちろんです。まかせてください」

「んじゃ、メインはそれで。他はすべてお任せします。予算はこれくらいで」

「わかりました。期待していてください」

こうして、明菜ちゃん社交デビュー会の料理は決まった。

次はメンバーに確認をとる。

まずはモトちゃんのうちに電話をした。モトちゃんはまだ帰っていず、奥さんが出た。

「明菜ちゃん社交デビュー会なんだけど」

「なんですか、それ?ああ、例のイタリアンの店で明菜ちゃんを紹介する話ですか。」

「そう。みゆちゃんが、明菜ちゃん社交デビュー会ってつけたんだ」

「はあ。」

「メインディッシュはラムチョップです。仔羊好き?」

「ジンギスカンしか食べた事ありません」

「ジンギスカンとは違う。まだお母さんの乳しか飲んでない羊の喉をぱっくりと裂いて、血をどくどく流して熟成させた最高級仔羊肉だから」

「本当ですか?」

「最高級仔羊肉なのは本当だし、乳しか飲んでないのは本当だけど、〆方は知らないから想像」

「わかりました。ともかく美味しいって事ですね。旦那に伝えます」

「楽しみにしてきて下さい。」

そういったあと、僕はこの前のおでんの器が家におきっぱなしなのに気づいた。

「あ、当日、あのホーローのタッパーみたいなの返すから」

僕は言った。はっきり言って、邪魔なのだ。でかすぎて。

「結構です。もっててください。返さなくてもいいですから」

電話は切れた。

いらないのか?あの巨大なホーロー鍋のようなタッパー。

次にみゆちゃんに電話をかけた。

「料理なんだけど、まだ乳しか飲んでない仔羊が入るっていうんでそれをローストしてもらうようお願いしたから」

「でかしたわ円君。仔羊大好き。ラムチョップ大好き。骨付きの肉大好きよ」

「そう思った。でも明菜ちゃん大丈夫かな?羊」

「特に好き嫌いがあるってことは聞いてないけど。でも大丈夫。明菜ちゃんが食べなければ私が食べるから。明菜ちゃんが足りなければピザでもとってあげましょう」

仔羊がピザになるのもどうか?と思うが、シェフがつくるゴルゴンゾーラのピザは美味しい。僕は大好きだ。

「当日私は、軽くハイキングしてくるけど、時間までにはお店につくようにするから。」

「了解」

「タカ君にはもう電話した?」

「まだ」

「しっかり念をおすように。モトちゃんは女慣れしているから大丈夫だと思うけど、あの人は心配だわ。前例があるし」

みゆちゃんの心のなかでは、やっぱり悪いのは自分ではなく、タカさんのままらしい。

みゆちゃんとの電話を切って、僕はタカさんに電話をした。

「はじまりますか。こけし鑑賞会」

不吉だ・・・・この発言。

「明菜ちゃん社交デビュー会だから。こけし鑑賞会じゃなくて」

「わかった。明菜ちゃんデビュー会だな?で、歌は何を歌う?こきりこ節とかか?」

「兄者・・・・」

「冗談だよ。」

「みゆちゃんがタバコには注意するようにってさ」

「今回はデビュー会なんだろ?俺への彼女紹介じゃなくて。だったら大丈夫だ。心配するなといっといてくれ」

「頼みますよ」

「頼まれるにあたって席はきまっているのか?まさか俺が正面じゃないだろうな?」

「こっち側はみゆちゃんとおいらとで、明菜ちゃんを挟む形にして、明菜ちゃんの正面に、激しく女慣れしているモトちゃん。俺側に奥さん。みゆちゃん側にタカさん。で、モトちゃんに話をひっぱらせて、つまったら、おいらとみゆちゃんで、なんとか話をつなぐから。」

「うん。完璧だな。モトちゃんなら、なんとか会話がつづくだろう。例え本当のこけしだったとしても」

「いや、だから、こけしみたいな雰囲気で、本当のこけしってことはないから」

「そっか。でもこけしなんだろ?大丈夫。俺の記憶にある限り、俺はこけしを見ながらタバコを吸ったことはない。最初からこけしみたいだと言われていれば、がっくりくることもない。料理がうまければタバコふかすヒマもない。完璧だ円。おまえに仕切らせてよかった」

本当か?

「メインの料理は母親のおっぱいしか口にしていない仔羊のローストだから」

「生まれたばかりの乳飲み子を喰うのか?かわいそうだな」

頼むヘルニア友人よ。その仔羊にもてる哀れみを、明菜ちゃんにも・・・

「大丈夫だ。心配するな。おまえは俺を誤解している。俺は悲しいぞ。明菜ちゃんが社交デビューするその日、おまえは俺の本来のジェントルマンな姿をみることになる。保証する。安心しろ」

これでとりあえず仕込みは終わった。

いや、まだヤツがいた・・・

僕は我が友に電話をした。

「で、何時からはじめるの?」我が友がいった。

「6時45分。シュガケンが7時にならないとあがれないっていうし、みゆちゃんがハイキングに行った帰りになるので、すこし余裕みてっていうから」

「ふ~ん。俺らは6時からだから、顔はみれるな。こけしちゃんの」

「明菜ちゃん。こけしちゃんじゃなくて」

「明菜ちゃん。そう明菜ちゃん。」

「そういえば彼女の名前なんていうんだよ?」

「それは当日紹介する時間があったら教える。余計な情報を与えると、おまえは待ち伏せとかして話しかけようとするかもしれんからな。そんなことはさせない。おれも明菜ちゃんに話しかけたりはしないから、おまえも許可なく、ミチルに話しかけないように」

「そうか。ミチルというのか」

受話器の向こうで、我が友が「はっ!!」という声が聞こえた。

「話しかけるなよ!!絶対に!!」

何故、そんなにも私が婚約者にはなしかけるのをイヤがるのだ?我が友よ。

「店に花束かっておいてもらって、客がそこそこ増えたときに、この二人は婚約いたしました。申し訳ないがお客様拍手を!!ってやってあげようか?」

「いらんことするなっ!!」

「いや、キミの奥さんとなる人なら、友好的な関係を築いておきたい、女の子なら、亭主の親友がそのようにこっそり手配してくれるのは嬉しいはずだ」

「おまえが築こうとしなくても、俺が築いてやる。ミチルとおまえの間の橋は、俺が設計し、俺が築く。おまえは何もするな。心配御無用だから。」

「心配だ。すっごく」

「俺の女房だ。おまえが心配することは何もない。おまえはこけしちゃんの心配でもしていろ」

「こけしちゃんじゃなくて、明菜ちゃん」

「そんなことはどうでもいい。俺の女房に、許可なく触れるな。話しかけるな、エロい目でみるな。それだけはいっておく」

「前の二つはともかく、エロイ目で見るなはシュガケンにいっておけ。彼の専売特許だから」

「それもそうだ。おまえは好奇心たっぷりの目で見ることはあっても、エロい目でみることはなかったな。シュガケンに電話していっておこう。ミチルが不快な気分になるとかわいそうだからな」

我が友は電話を切った。

これで完璧だ。

あとは当日をまつばかり。

だが、僕の思考は、明菜ちゃんのことではなく、骨付きの仔羊をかぶりつく自分の姿へと飛んでいた。

ああ、仔羊。

素敵な仔羊。

おまえは僕に食べられる為に生まれてきたんだね!!

メエエ~ッ

To be continue.

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2005.02.14

僕とヘルニア友人とみゆちゃんと(7)

ヘルニア友人もモトちゃんも信じてくれないが、明菜ちゃんが僕に心を開いてくれたのは真実であり・・・

二日後。

みゆちゃんから電話がかかってきた。

「明菜ちゃんは土曜日ならいつでもいいって。私はこの日と~」

みゆちゃんが都合のいい日を何日か指定した。

僕はモトちゃん夫妻とヘルニア友人との間でスケジュール調整をすることを約束した。

「で、どう?」

みゆちゃんが聞いた

「どうって何が?」

「明菜ちゃんよ。」

「明菜ちゃんが何か?」

「いや、女にしてあげられそうかなって」

「タカさんが?」

「違うわよっ!!円くんがにきまってるでしょっ(>_<)!!」

この女。

僕がXファイルのジリアン・アンダーソンが好きと知っていて聞くか?

「あのお~。僕、男なんでこけしは必要ないです。女性なら必要かもしれんけど。こけし」

「明菜ちゃんがこけしみたいだからイヤだってわけ?明菜ちゃんは『円さんて流石はみゆさんの昔からの友達だけあっていい人ですね』って言ってたわよ」

何故か「流石はみゆさんの」の部分だけ心持ち声が大きくなっていた。

「いや、こけしみたいな外見だからじゃないんですが。明菜ちゃんの持っている知識は、所詮本から得たものじゃないですか。で、今のようになってしまったのも、彼女のなかに、人と人との間で得られる知識なんかより、本を通じて得られる知識の方が高級みたいな思いこみがあるからでしょう?そういうのって、世間知らずだと思うし、彼女がもっている知識は、本からも仕入れられるので面白みがないんです。僕的には、本からは得られない類の知識をもっている女性とおつきあいしたいと思っているので。だってその女性とおつきあいしないと得られないわけでしょ?彼女のもっている知識とか、視点みたいなものって。まさにそういう彼女は僕にとっての知の泉だと思うのです」

「円君。あなた私にウソついているでしょ?」

「なんででしょう?」

「私がわからないと思うの?あなたが私に対して、妙に他人行儀な言葉使いをするときは、必ずといっていいほど、私にウソをついてごまかそうとしている時なのよ!!」

(>_<)!!

「いや、ウソなんてついていませんが。」

「ほら、また他人行儀な口調になってる!!ウソをついている証拠ね。」

「うるさいなあ~ウソなんてついてないっていってるだろっ!!大体ねえ、女の方が男より10倍も気持いいなら、みゆちゃんが明菜ちゃんに肌と肌をあわせて教えてあげればいいだろ~がっ!!そいでもって、『男の人とならもっと気持いいわよ』とでも言って教えてあげれば、自分から積極的に相手の男探す気になるでしょうがっ!!」

「段々本音がでてきたわね。でも、残念でした。私はノーマルですからっ。女の子には興味ありませんっ!!」

「そんな事いって、本当は、明菜ちゃんがこけしみたいだから興味ないんでしょ?」

「ちがうわよ!!私はこけしだろうと、マリリン・モンローだろうと、女には興味ないの。まあ、10代なら違ったかもしれないけど。成熟した性感をもつ女は、女なんかに興味もたないのっ!!」

「Gスポットが開発されているからって自慢するなっ!!」

「開発されていて悪いか!!熟女の特権じゃ!!」

「熟しすぎなんじゃ!!おのれはっ!!」

「どれだけ熟しているか知らんあんたに熟しすぎなんていわれてたまるかっ!!」

「知りたくないわい!!水もはじかない肌の熟し具合なんかっ!!」

「水ははじかんが、肌はすいつくんじゃいっ!!文句あるかっ!!」

ハアハア
ハアハア

「不毛だわ。こんなやりとり」

「確かにいい年して、息を切らしてやる事ではないな」

「ともかく、私は円君に関してはパンツの中身以外は知り尽くしているんだからね。みえみえのウソをつくのはやめなさい」

「人妻のあんたに、パンツの中身まで知られてたまるかっ!!オレは貞操観念強いんじゃ!!」

「はあっ?昔、『ほかのしょうもない男と浮気するより、後腐れない俺と浮気した方が、彼女にとってはいいんじゃないかな?』とか言って、相談してきたのは誰よっ!!」

―(T_T)→ サクッ

確かに昔、そんなことがあった気が・・・

「で、でも相談しただけで浮気の相手なんかしてないもんねえ~」

「それはあなたが高い貞操観念をもっていたからではなくて、オスとしての冒険心にかけていたからでしょっ!!」

「ふ、ふんっ!!悪かったな。オスとしての冒険心にかけていて」

「まあ、ゾウアザラシの雄みたいに、オスとしての冒険心だけでできてたら困るけどね」

くっそお~。

決して、みゆちゃんより頭が悪いわけではないのだが、なんかいつも言い合いでは負けている気がする(>_<)

「冒険心はなくても、精力はゾウアザラシのオス並なんじゃ(>_<)!!能あるタカはツメを隠す。能あるゾウアザラシも精力を隠すんじゃ!!」

「そう?今の言葉忘れないからね。彼女紹介してもらったときには、必ず訊かせてもらうから。円君はゾウアザラシ並の精力家なの?って」

「まて。私はゾウアザラシ並の精力家だが、ゾウアザラシのようにハーレムの維持に命をかけているわけではない。私の精力はヨガの秘法により昇華されて、お仕事他のクリエイティブな事に使用されているので、実際に女性に対して、その精力の総てを傾ける事はないのだ」

僕は昔、とある人に言われたことを思い出したのだ。「20代で結婚すると、毎晩でもやりたくなるものだ。でも、そこで我慢して週イチ、いや週二回くらいにしておきなさい。毎晩なんて求めると、浮気したときに、毎晩相手してやれなくなってすぐバレる。浮気してなくても、仕事やなにやらで考えることがいっぱいあり、そんな気分にならなくなっただけで、浮気してるんじゃないかと疑われる。夫婦生活を長くつづけていくのに大切なのは、『私の夫はタンパク』くらいにおもわせておくことなんだ。」

いかん。みゆちゃんに「精力絶倫」なんてチクられたら、この作戦が使えなくなる。というより、「なんでみゆさんがそんなこと知っているの?」なんて方向に話が転がらないとも限らない。そんなとき、昔、シモネタでこんな話をしたといって、信じてもらえるだろうか?

「あんたまた変に他人行儀になっているの自覚してる?進歩ないわねえ・・・」

だめだっ!!勝てない(-_-)

「どうでもいいけど、モトちゃんやタカくんにちゃんと連絡つけてよねっ。私の大事な友達のいわば社交界デビューなんだから。それからタカくんにタバコは吸うなっていっときなさいよ。明菜ちゃんをメーテルの時みたいな目にあわせたら、承知しないからね。あれから彼女、連絡なくなっちゃったんだからっ!!」

それはあなたが、どう考えてもタカさんが女性と意識できないような人物を紹介したからであり・・・・

「ちょっと。ちゃんと聞いてる?」

「聞いてますよ。」

「また他人行儀・・・」

だが、今回は言い合いにならずに電話は切れた。

僕はタカさんとモトちゃん夫妻に電話をして、日にちをきめた。


(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)


それから一週間後。

我が友チヒロから電話があった。

「で、ど~よ。こけしギャルは?」

「うまくいったよ。明菜ちゃんは見事に自分の殻から出て、今度みんなとシュガケンの店で一緒に食事することになった。これがうまくいったら、今度はキミや、魔女系にも紹介して彼女の友達の輪を本格的に広げるから」

「ふ~ん。それでどういう風にこけしだったわけ?」

「全体的に。個別にどこがこけしチックってわけではないけど、全体として見た時に、こけしに似ているとしかいいようがない。どこがどうってことは言えない」

「イメージわかないなあ」

「でも逢えばわかる。女の子を100人並べて、明菜ちゃんはこけしににてますという情報を与えて、誰が明菜ちゃんか当てさせたら10人中9人は確実に当てる」

「そんなにこけしなのか?」

「間違いなくこけしだ」

「人間なのに、非生物にそっくりなのか?」

「そうだ。みたいか?」

我が友は少し考えた。

「実は俺、結婚する事にしたから。」

「はあっ( ̄◇ ̄;) ?」


「いや、まったくいわんのも悪いと思って、おまえには温泉に行くとか、ナニゲに情報をリークしておいたのだが」

そういえばそんな事が・・・

鶴の湯での恐怖がトラウマになっていて、僕とは一緒に行きたくないだけだと思っていたが、確かに一人で温泉にいくような男ではなかった。我が友は。

「折角だから、彼女もつれていこう。俺もみゆちゃん他は、話は聞いていたが会ったことないし。結婚したらあまり出歩けなくなるかもしれんから、この機会を逃すと、一生会えんかもしれんし」

そっか。

しかし、結婚を僕に黙ってすすめていて、タダで済むとは思っていまいな?

(-_-メ;) 許さん・・・

「あ、いっておくけど、テーブルは別にするから。それも一番離れたとこに。なんかしでかそうとしても無駄だからな」

くっ!!

さすが20年近い友人歴を誇る男。

全部お見通しかっ!!

「まあ、いいや。とりあえずおめでとうといっておこう。そうか。俺はこけし少女の社交会デビューの立ち会いで、キミは婚約者とディナーか・・・やっぱお祝いをしてあげたいので、キミは別の日にしろ。三人で飯を食おう。キミと僕とキミの婚約者で。シェフに頼んでスペシャルな料理を用意してもらうから」

「いいや、キミと三人で食事するとしたら、それは式が終わってからだ。危険だからな。何を言い出すかわかったもんじゃない。おまえ、魔人ケンチ、かまやつの三人とは絶対に結婚式前に会話はさせん。しようと試みたら絶交する。いいな?」

そういうと勝犬になった我が友は電話を切った。

くっそお~。

忙しい、忙しいって、仕事じゃなくて、結婚の準備で忙しかったんじゃね~かっ!!

とにも、かくにも、こうして、「明菜ちゃん社交デビューパーティ(仮称)」の日取りはきまった。

我が友の婚約者発表の日もだ。

僕はシュガケンのトラットリアに電話してシェフを呼び出して、僕等のテーブルを予約した。

そして。

「ああ、それから、チヒロが同じ日に予約いれると思いますがテーブルは離してください。それから、彼の為にスペシャルメニューを入れておいてほしいんですよ。辛子がたっぷり入ったような、ヤバイ方にスペシャルなメニューですが・・・


(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)


そしてついに「明菜ちゃん社交デビューパーティ」の日がやってきた。

To be continue.

Uploads on coming monday!!

see you (^_-)

注:このストーリーはフィクションです。とりわけ今回の会話部分にはかなりの脚色が・・・

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2005.02.07

僕とヘルニア友人とみゆちゃんと(6)

明菜ちゃんとの衝撃の出会いから28日後。

僕とヘルニア友人ことタカさんは、モトちゃんの家で、奥さんが作ったおでんと紫蘇ワカメおにぎりを食べていた。

帰りは車なので、酒はない。

当時ヘルニア友人は車のディーラーをやっており、モトちゃんに売った、車の定期点検か何かのために代車をもって、引き取りにきたのに僕はつきあったのだった。

来る途中怖いことがあった。

高速を走っているとき、いきなり天井にどかん!!という何かが衝突したような音がしたのだった。

もちろん陸橋などはなかった。

「今、なんかぶつかった音しなかった?」

ヘルニア友人が僕の顔を見た。

心なしかその顔は青ざめている。

「した。上から人が飛び降りて、屋根に激突したようなすごい音がした」

僕がそういうと、ヘルニア友人は、車をとめて確認するどころか、スピードをあげた。

「屋根確認しなくていいの?」

「人を跳ねたりはしていない。陸橋があって、上から何かを落とされるような場所でもない。天井に穴は空いてない。では、ぶつかったのは何?」

「い、隕石?」

僕が真面目にいうと、ヘルニア友人は青ざめた顔で僕を見ながら言った

「だったらいいな。本当に」

僕はヘルニア友人がオカルトが大嫌いなことを思い出した。

「よくあるんだよ。こういうあり得ない事がさ・・・」


(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)


煮玉子をつつきながら、ヘルニア友人が言った。

「で、明菜ちゃんど~よ?」

僕はくわえていたちくわぶを、思わず詰まらせた。

28日前。

明菜ちゃんを男慣れさせる為の焼き肉会は、9時半には終わったが、僕はヘルニア友人に電話はしなかった。

そして、来る時の車のなかでは、僕の所有する通称「呪いのミュージックテープ」が出てきた話をしていたので、明菜ちゃんの話をするのは忘れていた。

「大丈夫ですか?」

モトちゃんの奥さんが冷たいウーロン茶をくれた。

モトちゃんより六歳年下のおとなしい感じの奥さんだ。

「やっぱり・・・・」ヘルニア友人が哀れな奴め!!という顔で僕を見て言った。

「みゆちゃんの事もおこらせたんだろ?」

それは心外だ。僕は紳士なのである

「そりゃあ、明菜ちゃんは、やっぱりだったさあ。でもみゆちゃんは喜んでいたから。翌日電話をかけてきて、『ああ、やっぱり円君に頼んでよかった。明菜ちゃん、すっごく喜んでいたわよ。多分これで自信がついたと思うの。』って言ってたし。」

みゆちゃんがその時、「最初は彼女の行動問題ありだったかもしれないけど」と言ったことは伏せておいた。

僕は28日前の事を思い出していた

(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)


その日、明菜ちゃんは僕と同じ事を考えていた。

一生懸命肉を焼くということで、せめてもの好印象を残そうと考えたのだった。

しかし一点だけ僕とは違う点があった。

僕の焼き肉焼いちゃうぞ作戦は、話がはずまない時の最後の手段だが、明菜ちゃんは最初からその策をとったのだった。

しかも都合の悪い事に、何故かタン塩より先に、特上カルビが来た。

明菜ちゃんはあつく焼けた網の上に、ぎっしりとカルビをのせた。

当然一気に並べられた特上カルビが、一気に焼けていく。

僕はみゆちゃんの顔を見た。

「喰え」と表情が言っている。

「今は文句を言わずに、とりあえず喰え!!」と。

確かにそうだ。

明菜ちゃんは一生懸命肉を焼いてくれているのだ。

それに出会い頭に、いきなり「焼きすぎ(>_<)」とか言ったら、明菜ちゃんは余計に萎縮してしまう。

僕とみゆちゃんは、肉が焦げる前にすごい勢いで、網の上のカルビを食い始めた。

すると僕等が肉をとって、空いた場所に、明菜ちゃんがまた肉をのせた。

僕はカルビをくわえながらみゆちゃんを見た。

150センチ台なのに、僕よりも喰うみゆちゃんも、カルビをくわえながら明菜ちゃんが肉をおいているのを横目で見た。

そして僕の顔を見る。

「食べて!!ともかく今は食べて!!この子の気持ちを無にしないで!!」

その表情は語っている。

そのうち肉が焦げてきた。

見事なサシが入った特上カルビが黒こげになっていく・・・

僕はあわてて二枚をまとめてとると、口に入れた。

みゆちゃんもすごい勢いで口にした。

そこに明菜ちゃんがまたカルビを・・・・

わんこ蕎麦ならぬ、わんこカルビとなり、食事をはじめてから10分足らずで、僕とみゆちゃんで、計7000円を超える特上カルビを食べ終えてしまった。

裏側が真っ黒になった一枚を僕が取り上げた時に、タン塩がやってきた。

僕が最後の一枚を「ガンになるかも・・・」と思いながら口にいれ、みゆちゃんがビールをごくごくと飲み干していると、また明菜ちゃんが網の上にタン塩をおきはじめた。

僕はみゆちゃんを見た。

みゆちゃんも、明菜ちゃんの手元をギョッとしたように見ている。

「言え!!言うんだみゆ!!」

僕はみゆちゃんに表情で伝えた。

みゆちゃんは泣きそうな顔をして、「お願い。食べてあげて」と同じように表情で伝えた。

僕は明菜ちゃんの視線が網の上のタン塩に集中しているのを確認した上で、みゆちゃんに思いっきり激怒の表情をみせた。

そのうちに明菜ちゃんが「や、やけてます!!」と言った。

タン塩はカルビより火の通りが早い。

僕はみゆちゃんをにらみながらも、タン塩をくわえた。

みゆちゃんもくわえた。

すかさず明菜ちゃんが、空いたスペースにタン塩をおいた。

僕とみゆちゃんが同時に、「うっ!!」と小さくつぶやいた。

タン塩ではなくなっっている。

タンたれになっている・・・・

僕の大好きな上タン塩が、上タン塩たれになっている・・・

明菜ちゃんのせいで・・・

コノウラミ・・・・

僕の瞳は、黒から金色に変わろうとしていた

コノウラミハラサデオク「明菜ちゃん!!」

僕の瞳が金色に変わろうとしているのを見てみゆちゃんが明菜ちゃんに声をかけた。

「私が焼いてあげるから、今度は明菜ちゃん食べなさい。すいません。網替えてもらえますか?」

そういって網を替えてもらうと「あったまるまでちょっと待たないとね」とみゆちゃんは言ってビールを飲んだ。

僕はカクテキをつまんだ。

みゆちゃんが僕を見ながら言った。

「とってもおいしい上カルビだけど、タン塩より先にもってくるのはどうかしら?従業員の教育が悪すぎよ。この店。さってと。あたしはミノもらおっかな」

(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)

グツグツグツグツ

おでんがテーブルの上で煮えている。

モトちゃんの奥さんが席を外した隙に僕はモトちゃんに言った。

「くえるじゃん。おでんもおにぎりも」

「おしえたんさ~。俺が」

モトちゃんは得意げに言った。

おくさんが、別の鍋をもってきて、おでんの鍋にどぼどぼと入れた。

(-_-;)

おでんが強制的に追加された。

ぼくらはお腹一杯だった。

「あの~。サキちゃん。これは誰が食べるのかな?」

僕はモトちゃんの奥さんに聞いてみた

「円さんとタカさんでしょ」

お腹一杯なのに・・・・

「いや~。もうちょっと早く来るかとおもったからさ~。4人で食べようと、いっぱいつくらしたんだけど、おそいからさっき俺らカップ麺たべちゃったんだよね」

だから余っているわけか。

実は僕も、タカさんが二時間もおくれてきたので、我慢できずカップ麺を自宅で食べてしまっているのだが。

タカさんが、僕とモトちゃんの視線を感じて言った。

「あまったら円がもってかえるよ。円は一人暮らしが長いから、ここに来て手料理喰うの楽しみだっていってたもん。」

え?

確かにそれは言ったけど。

「そう?じゃあ、余ったら帰るとき、タッパーにいれてあげる」

サキちゃんの顔は笑っていたが、内心がどうであるか考えるのは怖かった。

なんといっても僕等は、いや、タカさんは「8時にはつくっしょ」とモトちゃんにいっといて、ついたのは10時ちょっと前だ。

そんな時間に飯を食いにやってくる(代車をもってきたとはいえ)旦那の友達が良い扱いをうける訳がない。

食べ物を出してもらっただけでありがたいと思わねば。

「で、明菜ちゃんはどうだったんよ?」

モトちゃんがニヤニヤしながら聞いた。

ここでサキちゃんを怒らせると、後で厄介になるのはモトちゃんなのだ。

「いや~。まあ一言でいうと、一生懸命本を読んでいる女の子かな。『私たいていの事は本で学んだ』って言ってたから」

確かに僕も焼き肉はタン塩から焼け。タレものは後と書いた本を読んだ記憶がない。

だから明菜ちゃんの言ったことは事実なのだろう。

「そうじゃなくて、容姿だろ。が・い・け・ん」

薩摩揚げを食べながらヘルニア友人が言った。

「それは・・・地味目な・・・」

「地味っていっても色々あるっしょ。芸能人でいうとどんな感じ?」

芸能人でいうと?

困った。

「こ、こけし?」

ヘルニア友人が口をぽかんとあけて、「おまえ大丈夫か?」という顔をした。

「円。こけしは芸能人ではない」

そんな事はわかっている。

だが、あえて例えるならこけし。

「髪の毛がおかっぱとかなんですか?」

おでんを総て出し終えて、ようやく座ったサキちゃんが言った。

「いや。ショートだけどおかっぱではない」

「じゃあ、浴衣来て下駄かい?」

モトちゃんが言う。

「会社の帰りだから、そんな格好はしてないよ!!家では知らないけど・・」

「じゃあ、こけしじゃないじゃん」

昆布を囓りながらヘルニア友人が言った。

「うるさいなあ~!!こけしって言ったらこけしなんだよっ!!明菜ちゃんはそんじょそこいらの女の子とは違うの!!完全にオリジナルなんだよっ!!誰にも似てない明菜テイストな女の子なんだよ!!」

「なんじゃそれ?」

ヘルニア友人が紫蘇わかめおにぎりを食べながら言う。

その時僕の頭の中に、良い考えがひらめいた。

携帯を取り出して、電話をかけた。

「もしもし。みゆちゃん?今大丈夫?」

「円君。どうしたの?子供は寝たから大丈夫だけど」

「いまさあ、タカさんとモトちゃんの家にいるんだけど、こいつら俺が明菜ちゃんを丁寧にもてなして、本人も大満足だってこと信じないんだよ。ちょっと言ってやってよ」

僕はモトちゃんに携帯を渡した。

タカさんは鉄朗メーテルの事をまだ根にもっているらしく、そっぽを向いたからだ。

「おひさしぶりです。おげんきですか?」

モトちゃんの声はすごく魅力的だ。さすがは元パンクバンド。ドラマーだけど。

「そう?円君が。人間かわるもんだね。うん。そう?で、こけしに似ているっていいはるんだけど。マジ?どこが?全体的に?本当にこけしなの?浴衣も着てないしおかっぱでもないのに?」

モトちゃんとサキちゃん、それにヘルニア友人が顔を合わせて不思議そうな顔をした。

「貸して!!」僕はモトちゃんから携帯をひったくった。

「みゆちゃん。俺は思うんだけどさ、前回で明菜ちゃんがどれくらい男に慣れたか、ここはやはり確認するべきだと思うんだ。シュガケンがトラットリアはじめてるじゃん?そこで食事しようよ。俺と、タカさんとみゆちゃん。それにモトちゃんとサキちゃんと明菜ちゃんで」

「はあ?」
「おいっ!!」
「私もですか・・・・」

三人はそれぞれ僕の顔を見て言った。

「そうねえ~。イタリアンなら焼きすぎる事もないから、いいかもね」

みゆちゃんは乗り気だった。

「明菜ちゃんに話してみるわ」

電話が切れると、ヘルニア友人が言った。

「円。なんで俺がこけしみたいな女の子を見にいかなければいかんのだ?」

「だって、見たことがないんでしょ?おかっぱでもなく、浴衣も着てないのに、こけしな女の子。」

「それを言ったのはオレじゃない。モトちゃんだ」

「い、い、いや、僕は・・・・」

「言った」
「言った」

僕とヘルニア友人の声がハモった。

「言いましたね」

サキちゃんがとどめをさした。

「いいじゃん。5人の中に、一人新顔が入るくらい。パンクロッカーに車のディーラーでしょ?何を小娘の一人や二人にびびってる訳?」

「私、イタリアンは1年くらい食べてない」

サキちゃんも言った。

えらいぞサキちゃん。シェフに言ってスペシャルなデザートつくってもらうからな。

こうして、僕等全員は、僕のダイビング生活におけるリーダー的存在、シュガケンの店で明菜ちゃんと対面することになった。

11時ちょいまえ、代車をひきとるモトちゃんとヘルニア友人につづいて僕が部屋をでようとするとサキちゃんが、僕を引き留めた。

「はいこれ。」

ホーローの洗面器のような大きさのタッパーにはいったおでんと、紫蘇わかめのおにぎりが三個。

つまり今日の残りの総てだった。

「あのさあ、サキちゃん。俺一人暮らしなんだよね。これ、どう考えても4人分はあると思うけど」

「ん?」サキちゃんは僕の顔を見た。

「明日の朝、明日の昼、明日の夜、明日の夜食で丁度終わりますよ。」

僕はサキちゃんの顔を見た。

まじまじと見た。

彼女は真顔だ。

「もしかしてオレ等が遅れてきたこと怒ってる?」

「全然」

「俺の事キライ?」

「いいえ」

「タカさんの事は?」

「嫌いじゃないですよ」

彼女はとくにこれと言った表情を見せずに言った。

「因みに血液型は何型?」

「Bですよ。悪いですか?」

「いや、俺もB。同じだね!!ハハハハハ」

僕はサキちゃんの瞳が金色になる前に外に出て、玄関のドアを閉めたのだった。


To be continue.

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2005.01.31

僕とヘルニア友人とみゆちゃんと(5)

みゆちゃんの依頼はつづく


「そうね~。身長は、こないだみたいな事はないわね。男の子の好きな150センチ台ね」

みゆちゃんが受話器の向こうで言った。

「男って150センチ台が好きなの?オレはもうちょい高い方が・・・」

この女、自分がそれくらいの身長だからって勝手につくってないか?

「うるさいわね。男は150センチ台の女が好きなのよ!!それくらいの大きさが、抱きしめた時に丁度頭のてっぺんが男の鼻くらいに来て、女性の方からしても男の胸の所に顔がきて、安心できるのよっ!!」

男も、女性の胸に顔をうずめると安心するぞ。

つまりみゆちゃんの、男は150センチ台の女が好きというのは、女、いや、自分の都合のような・・・・

でも僕はそれを黙って胸に納めた。

なんといっても悪魔系処女狩りの為の大事なミーティングなのだ。

6000円の深夜料金タクシー代を取り返すことができるかどうかがかかった、大事なミーティングだ。

「骨も細いの。まあ、円君的には好みなんじゃないかな?」

うん。女子校卒、処女。身長150センチ台。骨細。

「まあ、好みかどうかは別として、ごく標準的な日本女性ではあるね。ちょっと小さい気がするけど」

僕は言った。

「あのね?あなたの小さい気がするっていうのは、あなた個人の好みでしょ?外国で、なんで日本人の女の子の人気が、他の国の女性にくらべて高いかわかる?日本の女の子は小さくて、背が小さいってことは、比例してあそこも小さいから締まりがいいっていうのが、人気のうちなのよ。知ってた?」

「いや・・・・でも中国の北方いくと確かに170センチ台の女性は普通にいるけど、南のほういくと、日本人と同じくらいだし、タイとかの女の子も小さいんじゃないかと思うんだけど・・・・」

「はあっ?なんかうるさいわね!!何もそれだけが人気の秘密っていってないでしょ!!人気のうちっていってるでしょ?」

そっか。たしかにそうだ。

「で、髪の毛はどうなの?また長いの」

「ショートよショート。短いわよ。メーテルじゃないわよ。安心して」

150センチ台でメーテル髪っていうのは全身が髪の毛みたいで怖いからな。

「どう?今度は普通でしょ?28歳、150センチ台、骨細、ショートヘア、しかも汚れのない処女。彼女の、最初の男性の友人になってほしいの。文句ある?」

見事なまでに、前回とは逆の女性を見つけてきたな。

「まあねえ。でも、顔はどんな感じ?」

「・・・・・・・・・」

ん?なんだ?この沈黙は?

「すいません。顔はどういう感じなんですか?」

「顔?まあ、想像してよ。明菜ちゃんなのよ」

「明菜ちゃんなのは知っているけど」

だが、僕はこのとき、決して悪い方向にはとらえてなかった。

前回、あれだけきっちりみゆちゃんにも言ってあげたし、なんといっても、一流企業の面接をうけて、採用されているのだ。

たとえ、みゆちゃんが、明確にどんな感じといえなくても、それはみゆちゃんの表現力の貧しさに問題があるのであって、見栄えは良いとはいえないにしても地味なかんじとか、美人とか、かわいいとまではいえないけど、まあ、普通ってことだと思うのだ。

でも、肝心の顔の部分がブランクになってては、攻略のイメージがわきにくい。

「まあ、名前が明菜ちゃんなのはわかったけど、芸能人でいうとどういう感じ?多少なりとも顔のイメージがわかないと攻略方法もなかなか・・・」

「う~ん・・・」

みゆちゃんは考えていた。

「そっくりとかでなくて、なんとなく、誰々みたいな雰囲気っていうのでいいんだけど」

「こけし」

(-_-)?

「こけし?」

「そう、こけし」

「・・・・こけしって、あの民芸品なんかのこけし?電動とかではなくて?」

「あんたねえ~。私の友達をバカにする気?どこに電動こけしみたいな顔した女の子がいるのよっ!!それじゃ、目も鼻も口もないのっぺら坊じゃない!!私の友達は、のっぺらぼうの上、いつも頭をウインウインいわせながら回してるっていいたい訳?いるわけないでしょ!!そんな女の子!!バカじゃないの?」

みゆちゃんはキレかけていた。やばい!!

「冗談だよ、冗談。ちょっとシモネタふってみただけだって(^_^;)なにもそんなに怒らなくていいじゃん。だいたい、芸能人じゃないし。こけしは。具体的なイメージが欲しいのに、すごいおおざっぱなもん言われたこっちの身にもなってよ」

「ふんっ!!いい加減にしなさいよ!!相手は女子校卒の汚れのない処女なのよ?処女の友達を、電動こけしみたいな顔とか言われたら、いくら私だってキレるわよ!!」

それはそうだ。すまんかった。

「じゃあ、こけしっていうのは、素朴なというか、まあ、ぶっちゃけ、あか抜けないっていう意味でとっていいわけ?お化粧とかもあんまししない、色気のない感じ?」

「そうね。本とかは良く読んでいるみたいだけど。化粧はあんまししてないわね。あ、そうそう。そのせいか、肌はすごくきれいよ。やっぱり化粧しないと肌はきれいなのね。」

肌はすごくきれい

その言葉は、いたく僕の心を動かした。

本を良く読み、あか抜けないけど、150センチ台の身長で、骨細でショートカットで女子校卒で、一流会社の面接を合格して、10年つとめ、処女で、肌がきれいな明菜ちゃん。

これは、磨けば光る珠と僕は読んだ。

いや、絶対光る。

光らせてみせる!!

「わかった。じゃあ、焼き肉にしようよ。網の上の肉を一緒につまめば、なんとなく親しい感じになるし」

こうして僕と明菜ちゃんは、みゆちゃんの紹介で会うことになった。

(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)


だからといって、僕がみゆちゃんの言うことを完全に信じたわけではない。

どんな時にも保険は必要だ。

友人同士は、苦労も喜びも分かち合ってこそ友人。

ぼくはヘルニア友人に電話をした。

「みゆちゃんがさあ~。会社の女の子紹介してくれるんだって。女子校卒で肌がきれいな処女だって。タカさん処女好き?」

「嫌いじゃないけど面倒くさい。おまえは好きなのか?」

「いや、全然だけど、みゆちゃんが、極端に男慣れしてないから、友達でいいからなってっていうからさ。やっぱこないだは悪かったと思うから、今度は一緒に素朴な女の子と食事しようよ」

「みゆちゃんの紹介だろ?本当に悪いという気持があるなら、おまえがまず見てきて、それなりにオッケーだと思ったら誘ってくれ。いきなりいくと『悪い』ですんでいたおまえの気持ちが『悪いX2』になる可能性もあるからな。こと女に関しては、俺はおまえの評価は信じても、みゆちゃんの評価は信じないことにした。」

「でもさあ、前回は100%みゆちゃんの評価に頼った結果、ああなったと思うんだよね。今回は、いうなればみゆちゃんの会社が保証している訳でしょ?この前みたいにタカさんを怒らせるような結果にはならないと思うけど」

「い~や。俺はみゆちゃんも、みゆちゃんの会社も信じない。おまえだけ信じる。だから必ず会え。あって帰ったら、すぐ俺に電話して報告しろ。ウソはダメだぞ。俺はそのあと、すぐみゆちゃんに確認の電話して、裏をとるからな」

ガチャンと電話はきれた。

ヘルニア友人の言葉は、僕を不安にさせた。

やはり初対面だから、可愛いか可愛くないかより、会話が成立するかどうかという問題もあるし。

僕は28歳の処女と話したことがない。

いや、あるかもしれないが、意識して話した事はない。

男はみんな狼!!みたいな、警戒心剥き出しでこられたら、どうすればいいのだろう?


僕は我が友チヒロに電話して事情を話してみた。

「あ?いいんじゃない?会ってみれば。ダメだったらダメで元々じゃん。」

「いや、そういうことを聞いているんじゃなくて、一緒にいってくれないかなと。」

「おまえな~。今おれが、毎日何時に帰るかしってる?11時だよ!!6時半の焼き肉屋なんて無理にきまってるだろ。今俺は社畜状態なのよ」

そっか。

まあ、いいや。

みゆちゃんもいることだし。

焼き肉のいいところは、手持ち無沙汰になったら、肉を焼けばいいということだ。

そうだ。いざとなったら肉を焼こう。

なんか話とか、あんまりはずまなかったけど、一生懸命肉をやいてくれた素敵な鍋奉行ならぬ網奉行という作戦でいけばいい。

翌日の晩、みゆちゃんから電話があり、金曜の夜に約束の焼き肉屋でという話になった。


(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)


約束の10分前に僕はついた。

時間になっても、二人はあらわれなかった。

さらに10分。

先にあらわれたみゆちゃんが、僕をみつけて、手をふった。

そして後ろを向いて、何か言っている。

明菜ちゃんも一緒にきているのだろう。

そして、確かに身長150センチ台。ショートカットで、骨細の感じの女の子があらわれた。

僕は学歴にはあまり興味ないので、女子校卒かどうかはどうでもいい。

処女かどうかは、当然確認できなかったが・・・・・

もう一つだけ、たしかにみゆちゃんの言うとおりだと確認できた事があった。

そう、彼女は、いままで僕がみたことがないくらいに・・・

どこがどう似ているとは、言えないのだけれども・・・

間違いなく、こけしに似た女の子だったのだ・・・


今日のイベントは、悪魔系処女狩りじゃなくて、悪魔系こけし狩りですかあ~ (;´д` )?

To be continue.

Uploads on coming monday!!

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2005.01.17

僕とヘルニア友人とみゆちゃんと(4)

ぐったり疲れた夜から2日。僕がヘルニア友人に電話すると・・・・

翌日。そして翌々日。

ヘルニア友人は何も言ってこなかった。

みゆちゃんもだ。

みゆちゃんはともかく、ヘルニア友人の事は気になった。

すっごく 怒っているかもしれない(-_-)

僕はヘルニア友人に電話をかけることにした。

「もしもし。円だけど」

「あ?」

やばい(>_<)!!怒ってそうだ!!

「円です」

「ああ」

携帯の向こうでタバコに火をつける音がした。

家にいるようだ。

僕は単刀直入にきいてみた。
「もしかして、御機悪?」


「いいと思うか?」


「(-_-)・・・・・・・」

やばい・・・・

かなり怒っている。

1ヶ月くらいしてから電話すればよかった~っ(>_<)!!

とりあえずは僕も被害者面して(実際そうだし)同情を買うことにした。

「いや~。あのあと、電車が終電になっちゃって、タクシーで帰ったんだ」

「・・・・・」

うっ。ダメか?

「6000円くらいかかっちゃってさ~。ばっかみたいだよね?」

「・・・・・」

全然ダメみたい・・・

「で、」
「たしかにメーテルだったな」

ヘルニア友人がいきなり言った。

「そ、そ、そうでしょ?メーテルだったでしょ?」

「髪はな」

沈黙・・・・・

「そ、そうだね。髪だけだったけど、メーテルだったよね。みゆちゃんの言ったとおり

僕は「みゆちゃんの言ったとおり」の部分を強調した。

「おまえ、言わなかったよな」

「え?何が?なんか言い忘れてた?俺?」

みゆちゃんに怒りを振り向けるのには失敗したみたい(-_-;)

「髪はメーテルだけど、顔が鉄朗だって事をだよっ!!」

グッ・・・・・

ここは・・・ここはなんとかしなければ。少なくとも、言ったら帰られるから言わなかったとは気づかれないように・・・

「い、いやあ~。言ってもよかったんだけどさあ~。やっぱ珍しいじゃん?髪がメーテルだけど、顔が星野鉄朗ってキャラは・・・」

「・・・・・・・」

「い、言ってみれば、一人銀河鉄道999じゃん?一生記憶に残るコラボを先に話しちゃ悪いかな~と思ったんだよ(^_^;)」

「プッ」

「?」

「プププププッ!!一人銀河鉄道999?それは言えてる」

良かった!!笑いをとれたぜ!!

「でもさ~。タカさんも、あの煙は不味かったと思うよ?」

僕はちょこっとだけ攻撃に出た。

「ん?」

「いや、まあ、しょうがないかもだけど・・・」やっぱ下手にでよっと。

「だろ?」

「う~ん。でも、彼女も人間だし。あまり露骨に態度に出すのはかわいそうな気も・・」

「じゃあ、俺は失礼な事されていないとでも?」

「いや・・・別にそんな事は・・・それは彼女では、男としてちょっとという気持もわからない訳ではないけど、もうちょっと優しくしてあげても・・・」

「そういうおまえは優しくしてあげてたのか?彼女がイルカ行きたいっていったとき、誘ってやらなかっただろ?俺は煙に身を隠していても、みゆちゃんが、おまえに合図したのは見逃さなかったぞっ!!」

「いや、それは・・その・・・」

「俺だってなあ、たとえばおまえとみゆちゃんと三人で飲もうと約束していて、みゆちゃんが『友達と一緒なんだけど彼女も一緒でいい?』っていう話で、彼女と会ったら、煙に身を隠したりはしないんだよ。だけどな、こないだは、俺にいい女の子を紹介してくれるって話だろ?あれが俺に丁度良い女だと、おまえもみゆちゃんも思って紹介したわけ?」

「いや、僕は、実物みてなかったもんで、みゆちゃんは知らないけど・・・」

「みゆの奴、一体どう考えているんだ?」

「いや、多分だけど、みゆちゃんは同性の友達が少ないから・・・」

「俺はな、別に彼女が鉄朗顔だったから怒っている訳ではないぞ。また鉄朗顔だったから、煙に身を隠したのではない。彼女が俺にピッタリの相手だと思っているおまえ達に腹をたてていたのだ!!」

それは・・・

なんかこの数日の間にうまく理論武装したような気が・・・

「うっ・・確かにそれはそうだね。すまんかった!!でもおいら、実物は見てないから・・もし、事前に写真でも見ていたら、みゆちゃんにこれは無理っていったんだけど」

「俺はな、大好きな中山美穂みたいなのつれてこいって言っている訳ではないんだぞ?わかってるか?一緒に食事行ったり、映画見にいったりできる、普通の顔の女の子を紹介してくれと言っているのだ」

「いや、映画にいくくらいは・・・」

「はあっ?」

「いや・・その・・・」

「いけるのか?おまえは?泊まりでイルカにはいけなくとも映画くらいはいけると?」

「いや・・」

「いいか?おまえが答えやすいように言ってやる。ヨネクラおぼえているよな?ゼミの同期の。奴は男だが、おまえは奴と一緒に映画や食事にいけるか?友達として」

「ヒッ!!」

ヨネクラというのは、僕とヘルニア友人が大学3年の時のゼミの同期だ。

どんなかと言うと、、まずスパイダーマンの悪役ゴブリンを演じたウイリアム・デュフォーを想像してほしい。あの顔色を真っ白にして、唇を薄いピンクに。そして目を心持ち大きくしてウイリアム・デュフォーが目にはらんだ狂気を3倍増しにすればほぼヨネクラになる。

彼のでかい目はいつも狂気を孕んでいたのだ。あ、あと、頭はいつも寝癖。1限目に見ても、5限目にみても、寝癖ヘアーだ。寝てる時もそうなのかは誰も知らない。僕等が4年になる前に、壺売り宗教にはまってしまい、退学した幻のゼミ生だ。

「どうなんだよ?」

「いや・・・・無理・・・」

「だろ?俺の言うことは間違ってないだろ?容姿が人間の総てではないけど、ヨネクラは、見た目が思いっきりアブない奴だけど、やっぱ一緒に歩ける奴とそうでない奴がいるだろ?男女にかかわりなく?」

「ま、まあそうだね・・・」

「確かに態度に問題があったかもしれん。だが、情状酌量はされて当然だと俺は主張する」

「おっしゃる通りで」

「みゆちゃんに良くいっとくように」

「はは~m(_ _)m」


電話を切られてしまった(-_-;)

やっぱまだ怒っているみたいだ。

でも僕も多大な経済的損失を受けている。

なんか僕だけが怒られているのは納得できない。

僕はみゆちゃんに電話した。


「あら、円くん」

「・・・・・・」

「どうしたの?自分から電話かけてきて、黙り込んだりして」

くそっ!!みゆちゃんがわかっていないはずない。こいつ、とぼけまくる気だな?

「こないだのはひどすぎ」

「はあっ?」

うっ!!なんかこわいぞ?

「タカさんが怒っていたよっ!!」

僕はタカさんに責任をおしつけた上で怒りをみゆちゃんにぶつけた。

「メーテルじゃなかったっていうの?」

「髪だけじゃん!!顔は鉄朗じゃん!!」

「言ってないわよ。メーテルみたいな顔しているなんて」


「そりゃそうだけど」


「ほら!!あんた達が勝手に髪がメーテルなら顔もメーテルだと思いこんだんでしょ?そのシワよせを私にもってこないで。それより何よ。タカ君のあの態度。忍者にでもなったつもり?」

「いや、それは・・」

「そりゃあねえ、私だってあんたの最初のリアクション見たときにダメか?とは思ったわよ。だけどね、あれはないんじゃない?そりゃあ、美人じゃないかもしれませんけどね、彼女は私の友達なのよ?あんた達は、私の友達に対して、とってもとっても失礼な態度をとったのよ?あんな態度今までの人生のなかで、一度も見たことないわよっ!!あんたは私と私の友達を思いっきり侮辱したのよ?わかってるの?」

「ちょ、ちょっとまってよ。俺は少なくとも普通に話したじゃん。彼女も楽しく話していたじゃん。タカさんがくるまでは・・・」

タカさんすまん!!でもこのときのみゆちゃんの剣幕は、正論で対抗するにはあまりにも恐ろしく・・・・

「でも、私がイルカ誘ってって合図したのに誘ってあげなかったわよね?」


「い、いや、それは・・・イルカにも好き嫌いがあるからだよ(>_<)!!」

僕は自分でも訳のわからないことを口にしていた。

「はあっ?彼女はイルカに嫌われるっていうの?あんたイルカの好みがわかるの?あんたのお父さんはイルカだとでもいうの?」

あああああああ~っ(>_<)

「うるさいなっ!!ドルフィンスイムでは長い髪は厳禁なんだよっ!!昔、長い髪でドルフィンスイムやって、イルカに髪くわえられて、深い所につれこまれて、おぼれ死んだ奴がいるんだよ!!だけど髪の毛が自慢の彼女に『髪切れ』とはいえないから、誘わなかったの!!」

もちろんウソだ。イルカに髪をひきずられておぼれた人なんていない。長い髪はまとめればいいだけだし。だけど僕だってキレたいのだ。

いくらみゆちゃんが相手でも、一方的にキレられてたまるかっ!!すでにヘルニア友人にキレられているんだからなっ!!こっちは。

「そ、そうだったの・・・それは知らないで悪かったわね。」

僕のキレっぷりに、みゆちゃんはちょっと引いた。

「まあ、円君はがんばったわよ。タカ君がちっとも役にたたないばかりか、足をひっぱる中で。それは認めるわ」

「そうでしょ?がんばったでしょ?文句ある?」

「ないない。円君にはない。問題はタカ君よ」

「確かにあの態度は問題だったと思うけどさ。でもみゆちゃんだって悪いよ。タカさんはみゆちゃんがタカさんの好みは良く知っているからって信用して任せたのに。彼女はタカさんの好みからはずれてるじゃん。タカさんの態度は悪いけど、タカさんの信用を裏切ったみゆちゃんだって悪いよ」

「そ、それは・・・」

「タカさんだって、何も大好きな中山美穂みたいな子を紹介しろって言ってるんじゃないと思うよ。やっぱ、人に紹介するなら、もうちょっと平均的な所にしといたほうが」

「うっ・・・それはそうかもね。悪かったわよ。ちょっとだけ

ちょっとだけかよっ!!

「まあ、いいけどね。友達だから。今度から気をつけるように」

僕はエラそうにいうと、速攻で電話を切った。

長引くとまた反撃されそうだったからだ。


(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)


そして2ヶ月後。

みゆちゃんから電話があった。

「あのね。円君を見込んでお願いがあるのよ」

「なあに?」

「えっとね。私の友達で、28歳の子がいるんだけど・・・」

「メーテル髪なの(-_-)?」

「ははははは(^_^;)・・・違う違う。今度は紹介するって話じゃないのよ。お願いなの。円君を見込んだ」

「どんな」

「その子ね、高校卒業してから、うちの会社にはいったんだけど、うちは半官半民みたいなもんじゃない?勤めている男性もおじさんが圧倒的に多いし、女子校から、恋もしないうちに、いつの間にか10年たっちゃって28になっちゃったのよ。どう?悲しいと思わない?」

「ふ~ん(-_-)」

「な、なによっ!!テンション低いわねっ!!私はそれきいて可愛そうになったのよ。だって男と違って女の快感はエンドレスだもの。そんな喜びをまったく知らないで28になっちゃうなんて悲し過ぎると思うの」

「エンドレスなんだ。女の快感」

「そう。しかも男より10倍はいいわね。女の方が。まあ、エンドレスというのは、男がエンドレスでせめてくれればだけど」

おまえは男になった事があるのかと小一時間問いつめたい。

「でもね、彼女の場合、ともかく同年代の男の子と話した事さえあんまりないの。そんな状態だからいきなり男の間にでていってもダメだと思うのね。だから円君に彼女の友達になって欲しいの」

「はあ(-_-)」

「あんたね~っ。もうちょっと乗り気になれないわけ?28よ?そりゃあ、若さピチピチって訳じゃないかもしれないかもしれないけど、これから女として熟す良い頃よ」

「はあ(-_-)」

「しかも世間知らずで男なれしてない処女なのよ?処女。あなた処女の友達いる?」

「知らない。一々女の子に処女ですか?なんてきかないし。男の友達は絶対処女じゃないし。それにおいらはどちらかといえばSだと思うけど、事の最中に「痛い!!痛い!!」なんて絶叫された日には役立たずになっちゃうもん。きっと。処女嫌いかも」

「ね~ね~円君。少しやる気出してよ。こういうことなの。育てて欲しいのよ。清らかな乙女を。それなりに男の間にでてもいいように」

みゆちゃんは僕のウイークポイントをついてきた。

父性愛あふれる僕は「育てる」という言葉に弱いのだ。だが、この前のメーテル髪の彼女を思い出すと・・・・

「ん~。まあねえ」

「お願い。彼女に女の喜びを教えてあげてとは言わない。でも、ちょっとでも男慣れして男の子のなかでも自然に振る舞えるようになれるよう協力してあげて」

「会社の同僚なの?」

僕はみゆちゃんにきいた。よく考えればみゆちゃんが勤めているのは、だれでも知っている一流企業だ。当然そこの人事課が面接をして採用している。前回の鉄朗メーテルのような事はないかもしれない。

「そう。やる気になってくれた?」

「まあ、ちょっとは」

「やっぱり円君はたよりになるわあ~。彼女、明菜ちゃんっていうんだけど・・」

明菜という名前を聞いて僕の心は大きく動いた。中森明菜はデビュー当時から好きだ。

きちんとした会社の人事課の採用試験やら面接を受けて、採用された28歳の男慣れしていない処女。明菜ちゃん・・・・

僕は合弁パートナーの一部上場水産会社に出入りしてたが、地味目の水産といえども、流石に一部上場。若い子はもちろん、おばさんに至るまで、「ひどい・・・」と思うような女性はいなかった。これは、意外な拾い物かも知れない・・・

僕の心の中で、マイ・フェア・レディな炎が燃えあがった。

そして金色の瞳がゆっくりと開き・・・

《喰っちゃえ!!その処女くっちゃえ!!そして、あんな事や、そんな事や、こんな事も教え込んで、メーテル髪の彼女の時の損失を償うのだっ!!悪魔系処女狩りだっ!!》


「わかった。その話、受けるよ。具体的に教えてくれる?明菜ちゃんの事」


(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)


その時の僕は、数分前の低いテンションがウソのように、とびっきりのハイテンションになっていた。

この一言が、先行きヘルニア友人や、モトちゃんとその奥さん。そして我が友チヒロまでを巻き込んだ、大事件に発展するとは知らずに・・・・


To be continue.

Uploads on coming monday!!

see you (^_-)

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2005.01.09

僕とヘルニア友人とみゆちゃんと(3)

僕とヘルニア友人とみゆちゃんの、銀座での長い夜がはじまった・・・・・

テーブルについた僕は、飲み物を注文し、みゆちゃんがすでにオーダーしておいた料理に手をつけた。

前の店では、しゃべるのに手一杯で、料理に手をつけるヒマがなかったのだ。

でも、もうヘルニア友人が来たから大丈夫。

僕は空腹を満たすべく、追加オーダーをして、ガンガン食べまくった。

ふと気づくと・・・・

周囲のざわめきのなか、僕等のテーブルは気まずい沈黙が支配していた。

その沈黙のなかを、時々みゆちゃんと、メーテル髪の彼女の声がする。

ヘルニア友人の声は「ああ」「うん」だけだ。

僕はヘルニア友人を見た。

彼は僕等の背後の窓に目を向けて、正面にいるメーテル髪の彼女の事は見ていなかった。

僕はみゆちゃんを見た。

苦々しい顔でヘルニア友人をちらりと見て、なんとかしろと僕に目配せする。

「あっ・・えっと、夏前に御蔵島にドルフィンスイムしに行こうと思っているんだ」

「あら、東京でイルカと泳げるの?」みゆちゃんがつなぐ。

「三宅島にいって、そっからマスクとフィンもってボートでドルフィンスイムにいくらしいんだけど」

「伊豆七島でできるんですか?」

気まずい沈黙に居場所をなくしていたメーテル髪の彼女も話しに乗ってきた。

「うん。夜、竹芝桟橋からでて、明け方早く三宅つくんだけど。で、当日は三宅でダイビングして、翌日日帰りで御蔵島にいくらしいよ」

「いいですねえ~イルカと泳げるのかしら」

「私も行ったことないけど、話聞く分にはけっこう近くまで来るらしいよ」

「いいなあ~ 私も行きたい」メーテル髪の彼女が言って、僕は思わず言葉をつまらせた。

「連れて行ってもらえばいいじゃない。うちも家族でいこうかな」

みゆちゃんが「誘え!!」という顔をする。

ちょっとまってくれ!!おまえ本当に家族でこれるんだろうな?僕が彼女一人を誘ったとなると、同行のメンバーのなかで、色々と問題がおこるんだぞ!!

「タカさんも行こうよ。イルカかわいいよ」

僕は保険の意味をこめてヘルニア友人を誘った。

「イカネ」

ヘルニア友人は冷たい目で僕をみると、凍り付きそうな無愛想な声で言った。

そしてポケットからタバコを出すと吸いはじめた。

一本・・・二本・・・三本・・・四本・・・

すごい勢いのチェーンスモークだった。

店の空調が良くないのか、彼の周囲は冗談抜きで、タバコの煙につつまれた。

姿が見えないのだ!!

「ゴホゴホゴホ」

メーテル髪の彼女が耐えきれずに咳をした。

「ちょっとタカ君!!」みゆちゃんが怒った声を出した。

「あっ?」

もの凄く横柄な声を出すとヘルニア友人は煙の中からみゆちゃんを見た。

「タバコ吸ってもいいからチェーンスモークはやめなさい!!」

「そう?」

ヘルニア友人はタバコをやめた。

「ねえ、円君。イルカはいつぐらいいくの?」

「ん?多分6月くらいじゃない?」

ヘルニア友人がウエイターを呼んだ。

「ウオッカ。ストレート。ダブルで」

僕もみゆちゃんもヘルニア友人の顔を見た。

すでに彼は、生ビールの中ジョッキを3杯は飲んでいる。

確かに酒には強いが・・・・

まさか酔い潰れる気じゃないだろうな?


(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)

店を出たとき、ヘルニア友人は全然酔っていなかった。

僕とみゆちゃんは、心配そうな顔をして出てきた。

ヘルニア友人もだが、メーテル髪の彼女がうなだれるような感じになってしまったからだ。

その姿を後ろから見ていると、何か自分の体の中にムクムクと立ちあがってくるものがあるような気がする。

「あっ。俺、あそこで飲んでいくわ」

スタンドバーを見つけたヘルニア友人がいった。

「ん?じゃあ、俺も一杯だけ付き合おうかな?」

僕がいうと、みゆちゃんもヘルニア友人に説教するつもりらしく、「私も」と言った。

するとメーテル髪の彼女も「じゃ、じゃあ、私も」

こうして僕等はまた4人で、しずか~に店の外にでたテーブルを囲む事となった。

「ウオッカ。ストレート。ダブル」

四杯目だぞ。ウオッカのダブル。

流石に途中で、ヘルニア友人の顔は青くなり、目も据わって来た。

こ、こわい(>_<)・・・

みゆちゃんもメーテル髪の彼女の前でヘルニア友人を説教する訳にはいかず、黙り込んでいる。

僕も流石に話すネタがなくなってきた。

メーテル髪の彼女はますます居づらい雰囲気にしょげてしまっていた。

正面からそのしょげた表情を見ると、僕の中でムクムクと立ち上がってきたものは、おとなしくなった。

時間も真夜中になった。

ヘルニア友人がグラスを開けたと同時に、僕は会計を頼み、全額払った。

自分の分を払おうとする三人に「いや、もう電車の時間があるし、今度で」

そういって駅に急いだ。

ヘルニア友人達はみな地下鉄。

僕はJRだった。

上野まで来ると電車は終電になった。

僕はタクシーをつかまえ、深夜料金もコミで6000円近く払って家に帰った。

シャワーをあびて、ベットに入った時には、3時近かった。

「一体、今日はなんの為に・・・・」

僕は終電過ぎるまで飲む事はない。

11時過ぎて満員電車にのるのがイヤでタクシーに乗ることはあっても終電を逃して乗ることはない。

なんだか人生で最大の無駄な時間を過ごしたような気分になっていた。

8時間前には、メーテル髪に、心を躍らせていたのだが・・・・

To be continue.

Uploads on coming monday!!

see you (^_-)

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