みのちゃんのココログ妖怪ハンター(プロローグ)
不思議系?それともアブナイ奴?なんとも奇妙な友人
“みのちゃん”の世界
みのちゃんは小さい。太ってはいないが、色白で
ぽっちゃりした感じだ。そして唇が赤い。
いつも緑色のモトクロスバイクにのってやってくる。
中学時代のあだ名は「とり」だったそうだ。
そういえば小鳥のヒナ(羽毛が生えそろう前の)
に似ているような気がする。無口というほどではないけど
僕等の仲間うちでは、おとなしい部類に属する。まあ、
年齢的にもまだ若いし、しょうがないかもなのだが。
数年前のある日、僕は、当時「真夜中の暴君」と呼ばれて
いた魔人ケンチとサトシ君とでお茶をしていた。
「真夜中の暴君」は、みのちゃんとは正反対で背が高く、
無精ヒゲが似合うなかなかの男だ。しかし、夜の10時を
すぎると、まず「極悪モード」にはいる。この時点で、すでに
一般の人なら「暴走」に近い状態だ。だが彼にとっては
それは単なる肩慣らしで、本当の「暴走」は、11時をすぎた
頃に始まる。人はその彼を、「真夜中の暴君」と呼ぶ。
前に僕の家で鍋パーティをやったときには、席をはずした
ので、トイレにいったのかと思ったら、戻ってきたときには、
全裸にキッチンにあったエプロンだけを纏って戻ってきた。
そして女の子もいる前で、怪しい踊りを披露した。もちろん
後ろを向けばおしりは丸見えだし、そのまま股を開けば
イチモツの先っぽも見えてしまう。鍋パーティは異常な
盛り上がりを見せ、伝説の鍋パーティと言われるまでに
なったが、まだ若かった魔人ケンチは常にそのテンションで
飲む。毎回となると、周りにいる方はつかれてしまう
だから夜の飲会は危険だ。太陽があるうちは、魔人ケンチ
も、ロシア文学を愛し、「自分を愛せないヤツに他人を愛せる
はずがない」という立場から、「I LOVE ME」哲学を訴える
すばらしい青年なのだ(多分)
3人が話すネタにつまり、沈黙が訪れたとき、サトシくんが
思い出したように言った。
「みのちゃんて、いっつもデイバックしょってきますよね?
しかもぺったんこではなくて、微妙にガサばってるじゃ
ないですか?あの中身って何がはいってるか円さん
知ってますか?」
「知らない。男のバックの中身なんて興味ないし」
僕は言った。
「昔の宅八郎みたいに、人形でも入れてるんじゃない?
まあ、みのちゃんなら、森高人形じゃなくて綾波人形だろうけど」
と魔神ケンチ。
みのちゃんに、綾波人形。なかなかありそうな選択だ。
「みのちゃんなら、綾波人形に森高人形の衣装きせてるかもよ」
僕がいうと、魔神ケンチが「ブッ!!」とコーヒーを吹いた。
僕の服に、もろにかかった。最悪だ。真夜中にならなくとも
十分迷惑な人間なのがはっきりした。僕が手ふきで服を拭いて
いると、サトシ君が外を見ていった「あ、みのちゃんだ」
「どうもどうも」外見に似合わず、みのちゃんの声は低い。
しかも大抵、無表情だ。口を開けて笑ったところは見たことがない。
笑うときはニヤリと笑う。肩にはいつものようにデイバックが下がって
いた。
瞬間、僕等は素早く視線を交わし、お互いの意志を確かめ
あった。
「あのさあ、みのちゃんいつもそのバッグもってるよね。
何はいってるのさ」サトシ君がみのちゃんに尋ねた。
「いえ、別に。特別なものははいってませんよ」
いつもと変わらない表情でみのちゃんが答えた。
話がつなぎにくい。すると、みのちゃんの隣に座っていた
魔人ケンチが、いきなり、みのちゃんのデイバックをひったくると
「みせてよ」とジッパーを開けて中身を引っ張り出した。
「あっ・・・・・」
僕等は魔神ケンチの引きずり出したものを見て言葉を失った。
それは8ミリくらいの太さのロープを束ねたものと、
ぶっといロウソクだったからだ。
「みのちゃん・・・・・・・」
それはどう考えてもSMチックな代物で・・・
「真夜中の暴君」と恐れられた魔人ケンチも、さすがにおとなし
そうなみのちゃんのバックからでてきた、太いロープの束と
ぶっといローソクには度肝を抜かれたようだった。
「これは・・・・・」
魔人といえども言葉をなくした。
アルバイトで、某清涼飲料水のCMにも出ているサトシ君だけが
楽しそうな顔をしていった「で、みのちゃんはどっち?縛る方?
縛られる方?」
僕は絶対、縛られる方だと思いながらみのちゃんの顔を見た。
雛鳥っぽく見えるみのちゃんが、マゾだったとしても僕的には
許容範囲だ。だが、Sだとしたら、それは倒錯している。
僕は友達が、同性愛者でも変態でもかまわないが(但し同性愛者の
場合、僕をターゲットにしなければだが)倒錯者は苦手だ。
「ち、ち、ちがいますよ!!」流石にみのちゃんはあわてたように
言った「僕はSMなんかじゃないです。ノーマルです!!」
「じゃあ、なんでこんなぶっといローソクやロープを持ち歩いて
るんだよ!!」気を取り直した魔人が、鋭く追求した。
「鞭も入ってるんじゃないですか?先の割れたヤツ?それとも
乗馬用のヤツ?全部引きずりだしてください!!」
サトシ君がそういうと、魔人ケンチがバッグを逆さにして、中身を
テーブルの上にぶちまけた。「あっ!!」みのちゃんが叫んだ。
僕は鞭だけでなく、ローターやら、極太バイブやら首輪やら
の怪しいものが、どどどっと真っ昼間からあふれ出すシーン
を想像して目をそらした。だが・・・・
「??????」
「??????」
二人の不可思議な沈黙を不審に思い、僕が視線を戻したテーブルの
上にあったのは・・・・・
8字環、携帯用のクッカー、SASサバイバルキット、小型ラジオ・・・
「この銀のは通販のカタログとかにあるNASAのブランケット
ですよね?」とサトシ君
「サバイバルグッズかよっ!!」魔神ケンチが怒ったような声でいった。
「だから言ったじゃないですか!!僕はSMなんかじゃないです。普通の人間です!!」
普通の人間ですって。サディストもマゾヒストも一応普通の人間
の枠内だと思うぞ。まあ、程度にもよるけど。
「これ、なんですか?」サトシ君が緑色の茶筒くらいある円筒形
のプラスティックを手にとっていった。
「EVAC。あけるとガスマスクになるんだよ。使い捨てだけど」
僕が言った。
みのちゃんの目がキラリと光った。
「円さん、やけにくわしいですねえ」
「いや、まあね。海外で仕事してると、安全対策は頭の隅に
おいてあるから。インターネットで、定期的にアメリカの
サバイバル用品の店とかもチェックしてるし。それよりなんで
こんなものを?いつも持ってるわけ?」
「日本だって、いつ、何が起こるかわかりませんよ。僕は
その時に備えているんです。これだけあれば、どこで
大地震にあっても大丈夫ですから」そういいながら、
みのちゃんはバッグにサバイバルグッズをしまいはじめた。
たしかに保存用の安倍川餅や、カロリーメイトまである。
2日間くらいは生きて行けそうだった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
みのちゃんは、流石にちょっと怒ったのか、すぐに帰ってしまった。
「でも、ロウソクとロープが出てきた時にはびっくりしましたよ。
オレ、思わず縛られたみのちゃんが、アナルに、あのぶっといロウソク火をつけて突き立てられて、歯をくいしばってるとこ想像しちゃいました」と魔神ケンチがいった。
「サトシ君が「どっち?」ってきいたときさあ、頼むからMって言って
くれっておもっちゃった。みのちゃんが、Sっぽい女性に縛られてる
ところは、なんとなく想像できるけど、弱そうなみのちゃんが、もっと
弱そうな女の子縛ってロウソク垂らしてるとこなんて想像したら、
まさに地獄絵図だもんなあ」と僕
「みのちゃんより弱そうな女の子っていったら小学校の低学年に
なっちゃいますよ。それはSMでなくて、児童虐待です。単なる」
サトシ君がめずらしくまともな事をいった
「でもさあ、円さん。みのちゃんがサバイバルグッズ持ち歩いている
理由はわかったけど、あれってサバイバルになるんですかねえ?
もし、東京に大地震がおきて、自分が何も持たずに避難所について、
となりに座った、みのちゃんみたいなヤツのデイバックに、いろんな
もんがはいってるのわかったら、オレなら殴り飛ばして、デイバック
ごと奪うな。あれもってることで、いざというとき、みのちゃんは襲撃
される確率が高くなって、危険になるんじゃないですかね?
そこまで考えてないとサバイバルにならないと思うけど」魔神ケンチ
が言った
たしかに・・・・・・
「あ、もうこんな時間だ。飲みにいきましょうよ!!」
僕もサトシ君もやばっ!!っと思った。
「いや、僕は、今日これから友達と会う約束してるんで。
サトシ君といってきなよ」サトシ君が断る前に、僕は、素早く
答えた。サトシ君が僕の顔を見た。僕は視線をそらした。
「しょうがないなあ~。じゃあ、サトシ!!いくぞ!!」
サトシ君をひきつれて魔神ケンチは出て行った。
夜のとばりが静かに降りてこようとしていた。
(To be continue.Uploads soon!!)
