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2007.02.25

悪夢の香港癬→彼の失敗、彼女の島(16)

クリスマスの朝・・・・・

ベットで寝ていた僕は、いきなり我が友チヒロの蹴りでおこされた。

「クリスマスだぞ!!早く起きろ!!」

クリスマスって・・・・

おいらクリスチャンじゃないし・・・・

我が友チヒロはすでにバスルームに入り、シャワーを浴びていた。

僕はケロッグのシュガーフロストを器に入れ、牛乳をかけて食べ始めた。

時計を見ると、集合の時間まで、まだ一時間半もあるではないか・・・

まあ、七時半だから、決して早起きってわけではないが・・・

ケロッグを食べ終わった頃、バスルームからドライヤーの音がした。

昨日食事に出る前に、我が友チヒロはメモ用紙にヘアドライヤーを入れてくれるようメッセージを書いてテーブルにおいておいたため、帰ってきたらバスルームにはドライヤーがおいてあったのだった。

「よしっ!!これから今日の作戦会議をするぞっ!!」

バスルームから出てきた我が友チヒロは、髪の毛もきちんとしていて、やる気満々だった。

「まずこれだ。」

そういうと我が友チヒロはバックをあけ、赤いサンタクロースの帽子を二つだした。

「なんだそれ?」

僕はイヤな予感を感じつつ言った。

「みればわかるだろ?サワムラとクリスマスの日はみんなでサンタ帽かぶって潜ろうと約束したんだ。」

「いや、オレは約束してないから。」

モンチッチのようなチヨや、サワムラさんがサンタ帽かぶるのは似合うからよい。

我が友チヒロも、サンタらしくないやせ形だが、のんびりした顔と言えない事もないからクリスマスならいいだろう。

だが僕は、叔父から「人を殺しそうな顔だった」と一年後に言われるくらいの殺伐とした風貌なのだ。

サンタ帽は似合わなすぎる・・・・

「お前が約束したかどうかは関係ない。クリスマスにサンタ帽かぶってダイビングするのは、このツアー参加の条件だから。因みに帽子の代金は700円だから。日本に帰ってから徴収する。」

イツカラツアーニナッタデスカ?

我が友チヒロは全然乗り気ではない僕の手に、無理矢理真っ赤なサンタ帽を握らせた。

帽子一個とはいえ、コスプレダイビングさせられるとは・・・

「そして夕食だが。今日はクリスマスバイキングがあるからそれにしよう。あとルームサービスのメニューにこれを見つけた。レストランにもあるだろ?」

我が友が指さしたルームサービスメニューには「ドン・ペリニオン」と書かれていた。

「まあ、クリスマスだからいいかもね。あれば・・・・・」

「うん。やっぱり折角南の島にやってきてドンペリくらい飲まないとな。」

南の島とドンペリはあまり関係ない気がする。

クリスマスとは関係しそうだが・・・・

なんとなくそのドンペリ代は僕が払う事になりそうな予感を感じながらも、僕は了解した。この際、それは払うから、サンタ帽はチャラにしてくれよ・・・・

「で、食後だが、ゲーム大会だ。」

「ゲームなんかもってきてないぞ」

「安心しろ。おれがもってきた。」

我が友チヒロが二段になったバックの下の段をあけると、まるでおもちゃやさんの行商のようにUNOから、トランプから、訳のわからないゲームがどっさり出てきた。

お前、そんなに持ってるんなら、一人で寝てないで、サワムラさん達とゲームやってろよ・・・・

「オレ的にはおすすめはジェンガだ。これはめっちゃもりあがる。どこでも大成功だ。」

僕はそう言う我が友チヒロの目を見ていった。

「あのな、オレはともかく、お前は盛り上がるだけでいいのか?盛り上がると、なんというか楽しすぎて、それだけで終わっちゃうだろ?それよりも、これあたりをやってみて、サワムラさんの心の内を探りつつ、なんというか、夜中のプライベートビーチ散歩とかに持ち込んだほうがいいんじゃね?」

そういって僕は、「ドキドキ心理ゲーム」とかかれたカードを取り出した。

多少シモネタチックな質問もあるらしい。

「そ、そうだな。ありがとう。そうするよ。作戦会議してよかった。」

いや、どーいたしまして(-_-;)

 

(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)

ぼくら二人は、南の島の焼けるような日差しの中、部屋を出た。

エンジンのかかった我が友チヒロは五分前行動で動いている。

ホテルの端にある桟橋まで僕等は歩き、桟橋のところにあるダイビングショップの前で腰掛けてボートがくるのを待った。

チヨとサワムラさんはまだ来ていない。

「何やってんだよっ!!早く帽子かぶれ!!」

我が友チヒロがサンタ帽を握ったままの僕を見て言った。

もちろんチヒロはすでにかぶっている。

「いや、別にこんなところでかぶらんでもよいだろう?」

これからドルフィンウオッチにいく客を迎えにくる船が続々と桟橋につき、それに乗り込む客がサンタ帽かぶったチヒロをジロジロと見ている。

恥ずかしい・・・

僕等がかぶる、かぶらないで言い争っていると、サンタ帽をしっかりかぶったチヨとサワムラさんがやってきた。

チヨがモンチッチなのはいつも通りだが、水着の上にボートジャケットを着て、赤いサンタ帽をかぶったサワムラさんを見て、僕ははじめてかわいいと思った。

「円さん。なんで帽子かぶらへんの?あかんやん」

チヨが僕を見て言った。

「いや、別にボートのってからでも・・・」

「なにいうとるのん?みんなかぶっとるやんか。はよかぶり!!」

「そうですよ。ちゃんとかぶらないと。」

サワムラさんが微笑みながらそう言うので、僕は渋々帽子をかぶった。

みるとピンポンパンのお兄さんの帽子みたいにゴムひもがついている。

「なんでゴム紐がついてるんだ?」

僕は我が友チヒロに聞いた。

「ん?それかぶって潜るんだから、紐つけてないと流されてしまうだろ?オレが前の日針仕事でつけたから」

そんなことまで・・・・

「ウチらもついとるもんね~。サワムラさん!!」

チヨがそういうと、サワムラさんが帽子の中にしまっていた黒いゴム紐を出して見せた。

「サワムラさん達のは黒いゴム紐だが、俺らのは白で、さらにパンツのゴムひものような気がするが、オレの気のせいか?」

『気のせいだ。気にするな。どうせ海に潜るときだけする紐だから。海の中では誰も「あいつの帽子の紐はパンツのゴム紐だ!!」なんて思わないし。』

やっぱし、パンツのゴムひもなのかっ(>_<)

4人でサンタ帽をかぶって並んで座っていると、外人の団体がとおった。

「ワ~オ!!キュート!!」

もちろんチヨや、サワムラさんを見て言っている。

チヨやサワムラさんと一緒に、写真を撮りたがる外人さんもいて、なかなか好評だ。

僕等にも「グッド!!」などと声をかけてくれる。

フレンドリーって素敵だね!!

外人さん達がボートに乗っていってしまうと、今度は日本人の家族連れがぼちぼちと前をとおっていく。

誰もが僕たちの事を冷たい目で見て通り過ぎていった。

「いるのよね。海外だとすぐああいうことしちゃう日本人。」

「恥ずかしいわよね。同じ日本人として。」

そんなことを胸の内でつぶやいているのが、ありありと見える冷たい表情だ。

日本人サイテー・・・・

ああ、僕はビーチの砂になって、この場から消えてしまいたい・・・・・

そんなことを思っていた時、一艘のボートがやってきた。

その船首には僕等同様、水着にTシャツの上に、サンタ帽をかぶった女性がすっくと仁王立ちしていた。

「あれうちらのショップのボートちゃう?」

チヨが言った。

僕はじぃ~っと見ていた。

間違いない。

あの女子プロレスラーのような体躯はヨシミさんだ!!

ぼくらは走って桟橋の先へと向かった。

「ヨシミ師匠~っ!!仲間ですねえ~っ!!」

「やっぱり円さん達だったか!!てっきり外人さんだと思ったんだけど、4人いるからもしかしたらって思ってたんだ!!よかった私一人でなくって。」

やっぱりこんな事するのはパラオでも外人さんだけなのかっ(-_-;)

ボートにはぼくらの知らないお客さんが他に6人いた。

みなにこやかな顔をして僕等サンタ帽の四人組を迎えてくれた。

だからダイバーって好きなんだ。

「今日は一本目にコーラルガーデンにいき、2本目はブルーコーナーを潜る予定です。」

ボートが走り出す前、ヨシミ師匠が皆にいった。

「ブルーコーナーや!!ウチ、ついとるなあ。ダイビング始めたばっかりやのにブルーコーナー潜れるなんて」

チヨが嬉しそうに言った。

クリスマスにブルーコーナー潜れるなんて、まさに最高!!

さあ、風は吹いてきたぞ!!

我が友よ!!がんばれっ!!

 

 

To be continue.

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2007.02.12

悪夢の香港癬→彼の失敗、彼女の島(15)

2本目はウーロンチャネルを潜った。

ここは流れるとすっごく楽しいのだが、時間的に流れがなく、極めて平和な一本だった。

帰りのボートでヨシミさんが僕に聞いた。

「今夜他のお客さんと食事いくけど、円さん達はどうする?」

「う~ん。明日もあるし、今日はご一緒させてもらいますかね。」

「じゃあ初めての人がいるんで、あおしまでもいいかな?」

「それいいですね。やっぱここ来たら例のスープは飲んでおかないと。」

帰りはホテルの桟橋ではなく、ダイビングショップの方にボートがついた。

機材はお店の方にあずけ、三人に夕食は、あおしまでいいか確認した。

ホテルまでの送迎の車のなかで、チヨがきいた。

「あおしまって日本料理なん?」

「海鮮料理だ。マングローブカニとか、ロブスターとか、エビとか、京都ではくえない地場の材料をつかった料理だな。エビ、カニは好きか?」

「好きにきまっとるやん。」

「よかったな。でも食べ過ぎるなよ。小学生なんだから。」

「小学生やないっ!!全部くうたるっ!!円さんの分までくうたるっ!!」

まあ、僕は甲殻類はそれほど好きじゃないからいいけどね。

PPRはルームサービスもあるので、食われても問題ないもんね。

ホテルにつくと、チヨとサワムラさんは、ビーチのそばにある露天ジャグジーに入るという。

「円さんはどうします?」

サワムラさんが聞いた。

「ん?まだ一回もいったことないから行ってみようかな?」

すると我が友チヒロが「オレ調子悪いから部屋帰る」といい、一人で部屋の方へと歩いていった。

僕等三人は、ビーチサンダルをペタペタさせながら露天ジャグジーに向かい、ダイビングで硬くなった筋肉をほぐした。

「サワムラさん先にバスルームつかってください。私は円さんとビーチでよこになってからいきますから。」

サワムラさんとわかれて、僕とチヨはビーチに向かった。

途中のタオルハウスで二人分のタオルをもらい、ボーイにオレンジジュースを二つ頼み、ビーチチェアにタオルを敷くと、リクライニングさせて体を伸ばした。

まだ夕暮れには2時間以上ある。太陽の光は弱くなっているが、十分南の島だ。

頭のはるか上では、ヤシの葉が風に吹かれてサワサワと鳴っている。

「ほんま、ええなあ~。日本の海とは大違いや。」

チヨがオレンジジュースをストローで吸いながらいった。

「プライベートビーチはいいよな~。静かで。」

当時のPPRは日本人と欧米人の客が大半だった。

ホテルの規模がでかい割にはビーチにいる人はいつも皆無に等しい。

「ほんまや~。大人になるってええなあ~。うち、去年は高校生やろ?一年後にこんな南の島の静かなビーチで横になってオレンジジュース飲んでるなんて想像もできんかったわ。」

「よかったな。オレも一年前にはPPRのビーチで、19歳の美少女と二人でヤシの葉ずれの音を聞くことになるとは思ってもいなかったよ。」

「円さん。」

「はい?」

「なんか言葉に毒があらへん?」

「ないだろ?別に」

19歳の小猿といわずに、美少女と言ってやったではないかと言おうと思ったのだが、チヨはしみじみとしたムードにひたりきっていたのでやめた。

僕はムードを大事にしてやる男なのだ。

たとえ小猿のムードでも。

「サワムラさんと一緒やったらええのにとか思ってない?」

「それはチヒロくんが思う事で、私が思うことではない。キミは大人になるっていいと思ってるが、チヒロくんは大人になるってつらいと思ってると思うぞ。多分。」

僕は思わず意地悪そうな笑みを浮かべてしまった。

「はははは。でもなんで一人で部屋に帰るんやろなあ。もっとがんばったらええのに。」

「チヒロくんはナイーブな男なのだ。」

「そうは思えへんけどなあ。」

「それはしょうがない。私にとってもチヒロくんは謎な男だから。とりわけ女性に関しては。」

「変なこと考えずに、みんなで楽しく過ごすことだけ考えればええのになあ。そのあとでもじっくりできるやん。」

「チヨくん。それは非常に正しい見解だ。だが、クリスマスに女性を海外まで誘い出した男にはそういう発想の転換は無理なのだと思うぞ。煩悩の塊だから。個人的な見解だが。」

「むずかしいなあ。」

それから30分ほど今日のダイビングの話をして、僕等はお互いの部屋に戻った。

僕が部屋のドアを開けると当然の如く冷房は効いておらず、我が友チヒロはベットに横たわっていた。

「おう・・・」

よどんだ熱気のなかでチヒロが死体のような声を僕にかけてきた。

僕は答えずに部屋の窓をすべてあけた。

海からの気持ちよい風が入ってきた。

「おまえな~。南の島にきてこんな死体置き場みたいな空気が濁った部屋にいるな!!海風でもあびてこい!!」

「無理。調子悪いから。」

調子が悪いのは体でなく、心だろうと言ってやろうと思ったがそれはやめた。

バスルームに入りシャワーを浴びてでてくると、部屋は暑いながらも風がはいり、いい気持ちだった。

ぼくはシーツでさなぎのようになっている我が友チヒロを横目にみながら、冷蔵庫からダイエットコークを出し、テレビを見ながら飲んだ。

 

(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)

 

時間が来たのでタクシーを呼んでもらい、4人であおしまに向かった。

我が友チヒロはゾンビのようなやる気のなさなので、仕方なく僕がフロントにタクシーを頼んだ。

一応今夜がクリスマスイブ。

明日はクリスマス。

これからが本番であろうに、ゴングが鳴る前からKOくらったような顔でどうするんだ?

あおしまではマングローブカニやらエビのコースだった。

チヨもサワムラさんも次から次へと更に盛られてくる料理を喜んで食べていた。

だが我が友チヒロは元気がない・・・・・・

そのうちステンレスの壺に入れられたスープがきた。

何も説明せずに、僕はウエイトレスからお玉をとりあげると、コンソメスープを皆にサーブした。

「これおいしいなあ。なんのスープやろ?」

チヨがスープを飲みながら聞いた。

「とっても上品な感じのコンソメですね・・・」

サワムラさんも喜んで飲みながら壺の方を見た。

「フフフ。では君達に教えてあげよう!!このスープの秘密をっ!!」

僕は立ち上がり、壺がお腹のあたりに来るようにして、両手を壺に突っ込んだ。

「トゥルルルットゥル~  フルーツバットス~プ!!」

そういって僕は壺の中におさまっていた、苦しそうな顔をしたコウモリの両翼のところを掴んで持ち上げた。

「えっ・・・・」

チヨとサワムラさんが同時にスプーンをとめた。

そう。フルーツバットというのは、このあたりにいるフルーツしか食べないとされているコウモリで、あおしまの名物は、このフルーツバットを毛もむかずにそのままどぼんと煮込んだフルーツバットスープなのだった。

だがその味は非常に繊細で、何もいわなければ「コンソメっておいしいんだね」という話しにしかならない。

もっとも本当にフルーツバットのダシだけでああいう味になっているのかどうかは僕にはわからないが。

「君達が飲んでいるのは、このコウモリ汁だ。」

「こ・・コウモリ汁・・・」

「円さん・・汁はやめましょう。フルーツバットスープのほうが・・」

サワムラさんが遠慮がちに言った。

「すごいなあ。こうもりそのまんま丸ごといれちゃうなんて。びっくりや。」

チヨはそういうとまたスープを飲み、お皿を空にすると言った。

「おかわりある?」

「なんと!!この壺茹地獄にあったコウモリの凄惨な顔を見て、なおもおかわりか?流石だな京都産フルーツ猿!!」

「誰がフルーツ猿やん!!おいしければなんだっていいやん!!うちはこのパラオクリスマスを徹底的に楽しむんや!!」

「あたしもおかわりっ!!」

「なんとサワムラさんまで!!」

僕は二人にスープをよそってあげた。

「チヨ。このスープのおいしさから想像がつくと思うのだが・・・」

僕はチヨの顔を見ながら言った。

「フルーツバットの肉はすこぶる旨いのだ。」

チヨは僕の顔をジーっと見た。

「それはウソや。だまされへんで・・・」

「いや、本当。世界三大珍味の一つなのだ。」

「やっぱりウソや!!世界三大珍味はトリュフとフォアグラとキャビアやないかっ!!」

「ちっ!!流石にそれくらいは知っていたか。」

「京女をバカにしとったらあかんでえ~」

「いや、バカにはしてない。三大珍味はウソだが、おいしいのは本当なのだ。」

そういうと僕は皮膚が破れたところの肉をちょっとだけつまんで口にいれた。

他のお客さんをはさんで反対側の席で、笑いながら見ていたヨシミさんがちょっと驚いた顔をした。

「ほら。すっごく旨い」

僕はそういうとチヨの顔を見た。

「ほんま食べたんか?」

口をあけて見せた。

「キミも試して見なさい。」

「ほなちょっとだけ。」

僕はチヨにフルーツバットの肉をちぎってあげた。

チヨが口に入れた。とたんに顔をしかめ、ゴックンと飲み干した。

「騙したな~っ!!臭いやんかあ~っ!!」

「でも肉質は悪くないだろ?」

「そんなんわかるかっ!!」

「だったらもう一切れどうだ?」

「いるかっ!!サワムラさん。東京モンにいじめられたあ~。」

「あははは。でも円さん不味いのわかってたんですか?」

「わかってたら食べませんよ。」

「じゃあ、チヨちゃん騙す為にわざわざコウモリ食べたんですか?」

「敵を欺くには自分からと言うでしょ?」

「いや、味方からだと思いますけど。」

「それは一般向けです。奥義書には自分からと書いてあります。」

「でたらめ言うな!!なんの本に書いてあるんやっ!!」

「鬼一法眼の兵法書にきまっとるだろ?」

「サワムラさんほんま?」

「ほんま臭いけど、多分ウソだと思う。」

「やっぱりウソやんかあ~。東京モンはウソつきやあ~」

これだけの騒ぎをしているのに、我が友チヒロはちっとものってこなかった。

仕方ない。ちょっと刺激してやるか。

「そうだ!!せっかくだからコウモリと一緒に写真とりましょう!!」

僕はチヨの後ろにまわり、フルーツバットをチヨの胸にあてた。

「サワムラさんとって。」

サワムラさんがシャッターをおしてくれた。

「よっしゃ。サワムラさん一緒にとりましょう。チヨ。お前シャッターおせ!!」

僕は自分の胸にフルーツバットを広げ、サワムラさんと仲良くならんで写真をとった。

「次はチヒロさんとサワムラさんや。」

カメラをもったままチヨが我が友チヒロに向かって言った。

「いいよ。俺は・・・」

チヒロが投げやりに言ったとたんチヨがキレた。

「なにがいいんやっ!!はよならびぃっ!!」

我が友よ。ガキに怒られてどうする(/_;)

いいよと言ってた割には、何故か我が友チヒロはテーブルの一輪挿しをサワムラさんとの間に置いて写真をとろうとしだした。

「そんなのはアングルとして面白くない!!せっかくならウケを狙って彼女に捧げてみせろっ!!」

そう僕がいうと、合点だとばかりに我が友チヒロは花瓶から花を抜き、恥ずかしげにサワムラさんに捧げようとした。

その時・・・・

「えっ ちょっとそれは・・・・」

サワムラさんのごめんなさい攻撃・・・・・

チヨと僕は一瞬視線を交わし、チヨは有無を言わせずシャッターを押した。

あとには気まずい静けさが残った。

あとでフィルムを現像してみると、我が友チヒロはフルーツバットよりひどい顔をしてうつっていた。

  

(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)

  

ホテルに戻り、チヨとサワムラさんを部屋に帰したとき、「円さん。チヒロさん。」と声をかけられた。

振り向くとヨシタニさんだった。

ヨシタニさんは我が友のOW講習の先生であり、ダイビングにおける師匠である。

「どうですか。PDDは。」

「う~ん。時間があったらヨシタニさん相談にのってあげてくださいよ。」

僕がそういうと30分くらいならというので、僕等三人はホテルのバーに入った。

「うまくいかないんですか?」

ヨシタニさんが我が友チヒロに聞いた。

「うまくいかないのはまだしも・・・・」

チヒロがゆっくりと僕の顔を見た。

「流れがこっちにいっちゃっているような気がするんですよ。」

そういうチヒロの目には危険な炎がチロチロと燃えていた。

「な、なんだそれは!!俺が流れをこっちにひっぱっている訳ではないだろう?お前が自分から外れてしまうから、流れがこっちに来てしまうだけだろ~がっ!!。俺はウーロン島でもサワムラさんとチヨをちゃんと切り離したし、ホテルに戻ってからも、サワムラさんを部屋に帰して、チヨと二人でビーチでジュースしてたぞ!!お前が一緒にジャグジーくれば、誘えたじゃないかっ!!」

「それはそうだが・・・・」

「まあまあ。円さんはチヒロさんを助けてあげようとわざわざ1日おくれで来てくれたんじゃないですか。」

「そうだ!!しかもお前に強制されてきたんだぞ!!しかも19歳とかいって、人間じゃなく小猿の世話までさせられて!!因みにチヨのオレンジジュース代も俺が払った!!大体悪いのはお前が調子悪いといいつづけているからだろ?せっかくクリスマスを南の島で楽しくすごそうとやってきた女の子達に対するサービス精神がなっていない!!」

「ああ、それはそうですね。女の子達は皆、現実から逃れて南の島に夢をもとめて来ますから、そこで調子悪いって言っているのは。やはり女の子達を楽しませてあげるという気持がないと。」

流石は南の島の中年王子だな。ヨシタニ師匠。

「う・・・それはそうだが。」

「やっとわかったかっ!!俺が折角こんなとこまで来てお前の恋の成就の為に協力してやってるのに、お前がやる気がないからいかんのだっ!!」

「・・・・・・・」

「まあまあ円さんもそう責め立てないで。まだ二日あるわけですから。」

「・・・・・・・」

「で、明日の作戦はたててあるんですか?」

ヨシタニさんはそういって我が友の顔を見た。

「とりあえず明日は4人で食事をしようと・・・」

「よし!!ここで食事にしよう!!海風の吹くオープンエアのカフェで食事するのだ!!」

「そ・・・そうだな。」

「夜は流しのギターミュージシャンが来てますよ。」

「よし!!それも頼もう!!何にする?」

「やっぱワムのラストクリスマスかな・・・」

「海風にふかれながらおいしいもの食べて、ワムのラストクリスマスですか。いいですね。夢のような南の島のクリスマスです。」

僕等はヨシタニ師匠と別れてレストランに向かった。

「明日の晩の予約したいんだけど。」

「はい。中でございますか?」

「中?」

「あちらでは本格的なフランス料理を提供できますが?」

レストランの一画にVIPルームのように黒いガラスで仕切られた場所があった。

「いや、折角南の島にきたから、外のテーブルがいいんだけど。」

「かしこまりました。お時間は?」

僕は時間を言って予約をとると、5ドル札を渡した。

「できるだけ良いテーブルを。」

「かしこまりました。お任せ下さい。」

これで大丈夫なはず。まあ、本人が明日の晩のシフトに入っていればだが。

「あそこでチップを使うとは。」

我が友チヒロが僕の顔を見ながらいった。

「短期の人間関係は金でつくる。必要とあればだが。」

「そ、そうなのか・・・」

「勝利の為には使うべきときに使わねばならぬのだよ。」

「そ、そうだな。」

「キミも全力をつくして、明日をもりあげろっ!!」

「わかった。PDDに来たんだったな。俺達は。」

「そうだ!!PDDだ!!」

「うん!!PDD!!」

ロビーをよこぎると、ちらりとヨシタニ師匠の姿が見えた。

ん?まだいたのか・・・・

僕等がロビーの端から観察していると、僕等の横を通り過ぎていった女性がヨシタニ師匠と手をつなぎ、ホテルの外へと出て行った。

30前後のなかなかの美人だった。

「流石だな。ヨシタニ師匠。」

「客へのお手つきは厳禁といってたぞ?」

「アホか。こんな何にもないとこで、客に手をつけなければ、何をすればいいのだ?」

「それもそうだな。」

我が友チヒロは、すっかり師匠に洗脳されてしまっていたらしい。

「師と慕って損をしたっ!!」

チヒロはすっかり怒っていた。

いや、お前だって同じだろ・・・・(^_^;)

 
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2007.02.05

悪夢の香港癬→彼の失敗、彼女の島(14)

ウーロン島にあがった僕等は、砂浜の上にすわってダイビングショップが用意してくれたお弁当を食べた。

食べ終わってしばらくすると、僕はチヨを誘って海に入る事にした。

浜辺のところでは、カズミが一人でしゃがんで、何かをしていた。

「ねえねえ。カズミがつくったゲージュツ作品見て!!」

みると砂で裸の女体をつくっていた。

「嫁入り前の娘が、そーゆーものをつくってんじゃねえっ!!」

僕はそう言うと、カズミの頭をいきなりどついてやった。

「チヨ!!お前にパラオの海辺での正しい過ごし方を教えてやろう。」

僕はチヨにそう言うと、膝くらいの深さのところで腹這いになり、両手を水底につけると顔を海面に出して、あとは波にあわせて体をゆらゆらとゆらした。

「それ何?」

「ワニにきまってんだろうがっ!!」

「どんな意味があるん?」

「意味?意味なんてあるかっ!!こうやって海のリズムに体をあわせると気持いいんじゃ!!」

「ほんま?ほなやってみよ。」

チヨも「ワニ!!」と叫んで腹這いになった。

「う~ん。確かに陸にいるより気持ええわあ。」

するとカズミがばしゃばしゃと騒がしく近づいて来て「何してるの?」と聞いた。

「ワニ!!」

チヨがカズミに元気よく言った。

「波のリズムに体をなじませる秘法だ」

僕も言った。

「え~っ!!カズミもやるよ。ワニ!!」

こうして三匹のワニが海から陸地をのぞく形になった。

サワムラさんは波打ち際のちょい後ろにいて、我が友チヒロは何故か裸の上半身にスキージャケットのようなものをきてサングラスをかけて、サワムラさんの4mほど後ろにいた。

 

何をしているのだ?せっかく陸地に二人きりにしてやったのに・・・・・

 

「あのさあ、あのおじさんとおねーさんってどういう関係?」

カズミが僕とチヨの顔を見て言った。

「私が見るに、チヒロの一方的な片思い関係。」

僕が言うと、チヨが「やっぱそうやったんか。」と言った。

『な~んだ!!カズミ、円さんがおとーさんで、あのおねーさんがおかーさんで、チヨが子供かと思っちゃった。でもそれにしては奥さん若いなって思ってたんだ。でもさあ、さっきボートの上でカズミと同じフィンがあったから「これ誰のですか~っ」て聞いたら、あのおじさんが「オレのツレのだよ」っていうからさ~。あれ~この4人どうなってんだろって不思議だったんだ。』

アホかっ お前は!!なんで私が19歳のチヨのオヤジなんだっ!!

その時、我が友チヒロがいきなり手元の防水バッグからカメラを取り出すと、こちらを眺めているサワムラさんを背後から撮りだした。

「すっごい望遠レンズみたいなのついとるけど、あれってわたしらはいってるんやろか?」

「いや、絶対サワムラさんの背中と青い海しかうつってないと思う。」

「そやろなあ~。でもどうせとるんやったら、正面から撮ったらええんとちゃう?」

「片思いだから正面から撮らせてくれと言えないのでは?」

僕とチヨがそう言っていると、カズミがいきなりサワムラさんに向かって大声をあげた。

「おくさ~ん!!4人の関係がやっとわかりましたよ~っ!!」

サワムラさんが、自分が話題にされていることに気づいて、こちらにやってきた。

う~ん。確かに中肉中背。身長は160前後。足も太からず細からず。なかなか良いですな。

「何してるんですか?」

サワムラさんがほほえみながら僕に聞いた。

「海のリズムに体のリズムをあわせる為の軽い瞑想です。まあ、私はワニといってますが。」

「じゃあ私もやろっと。」

サワムラさん、チヨ、僕、カズミの四人がワニになって陸上を見つめる形になった。

そして4人の視線の先には、12月とはいえ、皆が水着だけでいる南の島で、スキージャケットを来た我が友チヒロがサングラスをかけて体育座りをしている。

「チヒロさんはこんなに熱いのに、なんであんなジャケットきてるんだろ?」

サワムラさんが誰にともなくつぶやいた。

僕は静かに頭を海中にしずめて、このつぶやきが聞こえないふりをした。

島のお昼は、残酷な気配をはらみつつ、静かに過ぎていった。

 

To be continue.

 

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