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2007.01.29

悪夢の香港癬→彼の失敗、彼女の島(13)

ついに南の島でのクリスマスがはじまった。

 

 

目が覚めるとクリスマス・イブの朝だった。

我が友はまだ寝ているので、黙ってシャワーを浴び、トイレをすまし、シュガーフロストに牛乳を入れもぐもぐと食べる。

部屋の外に出ると朝とはいえ、けっこう熱い。

でも天気も良く、絶好のダイビング日和。

部屋に戻ると我が友チヒロが飯を食い終わったとこだった。

シャワーを浴びにバスルームに入る前に「冷房きつくするなよ」とのたまわる。

すでに室内の冷房は止められていた。

メッシュバックの中に忘れ物がないか再度チェックしていると、我が友チヒロがバスルームから出てきた。

「ドライヤーもってこさせてくれ。」

「はあ?」

「電話かけてドライヤーもってこさせてくれよ。」

「オレはドライヤーなんか必要ないぞ?」

「オレがいるんだよ!!」

「知るかっ!!自分でハウスキーピングに電話してヘアドライヤー プリーズって言えばいいだろう!!」

僕は自分が何かをするついでにやってあげるのはかまわないが、自分がする必要のないことをしてあげるのは嫌いだ。

もちろん本人ができないなら別だが、昨日はフロントに英語でタクシー頼んでいたのだから、ドライヤーを頼めないことはないはずだ。

結局我が友チヒロはドライヤーを頼まずにすませた。

どうせ1時間もすれば海に入って頭もびしょぬれなのだ。

でも、髪の毛が気になるのか、荷物をもって部屋を出るときに「あ~あ。円がドライヤー頼んでくれないから髪の毛がうざい」とかいいやがったのである。

おまえ、バリカンもってこさせて坊主頭にしてやろうか?

 

(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)

 

ボートは桟橋につくことになっているので、ホテルの一番端っこにある桟橋までメッシュバックを抱えたまま歩いた。

桟橋にはすでにチヨとサワムラさんが来ていた。

「おはよう」

「おはようさん。ええ天気やなあ~」

「チヨ。声だけ聞いていると凄くいいぞ。さすが京女」

「うれしくないわ。ようねれました?」

「ん?」僕は我が友チヒロの顔を見た。ヤツはサワムラさん相手に「今日耳ぬけるかなあ~」などと話している。

「まあまあかな。チヨはバナナ食ったか?」

「朝はサワムラさんと一緒にお湯を注いでつくるおにぎりですう。」

「そっか。でもチヨは京言葉なのに、サワムラさんは何故標準語なんだ?」

「サワムラさんは大学から京都やから。」

「え~っ!!そうなの?知らんかった!!元はどこの人?」

「宮崎やろか。」

なるほど。それで地黒なんだな。

ボートが来ると、舳先のところにヨシミさんが立っていた。

「ヨシミ師匠!!ご無沙汰しております!!」

僕は他の三人がびっくりするような大声で挨拶をして頭を下げた。

「うん。円さんも元気だったか?」

「はい!!師匠!!お陰様でポナペでも楽しく潜れました!!」

ヨシミ師匠は30代半ばのガイドで、体つきはかなりがっちりしている。

女プロレスラーもびっくりするような独特の威圧感があり、ぱっと見はかなり怖い。

だが僕が運動部の後輩のような態度で接するのは、その威圧感のせいではなかった。

ダイビングをはじめたころ、僕の講習を担当したインストラクターは、まだ経験が浅く、僕は10キロ近いウエイトをつけさせられていたのである。

まあ、体重からすればあり得ない数字ではないが、僕は同じ体重の連中と比べればはるかに筋肉質なのだ。

そんなわけで、ウエイトはオーバーウエイトで、タンクのエアもすぐ切れてしまっていた。

大瀬崎での講習では、砂煙を巻き立てて移動だ。

ようやくオープンウォーターをとって、我が友チヒロと八丈島いったときには、20分足らずでタンクのエアがなくなり、一人だけ先に戻らなければならなかった。

ぶっちゃけ皆ができることができないというのは激しいショックで、ダイビングをやめようかとおもったくらいだ。

だが4月にパラオに来たとき、シーズンオフなせいもあり、一週間の期間のうち3日ほどはヨシミ師匠とマンツーマンで潜ることになった。

経験豊富なヨシミ師匠は、僕のウエイトが過剰なことを一発で見抜き、毎回ウエイトを減らして、最終的には来たときの1/3の3キロが適性ウエイトであることを僕に教えてくれた。

もちろんタンクのエアも減らなくなり、一週間のパラオ滞在が終わる頃には、普通のダイバーと潜水時間も変わらなくなっていた。

ヨシミ師匠はガイドとしての腕もよく、ジャーマンでのマンタは50%以上の確立で見られたし、流れのない、小魚が落ち葉のように舞い狂うブルーコーナーも見せてもらった。

そして今年の夏にはマンタポイントのジャーマンで、2匹のハンマーヘッドを至近距離で見ることができたのである。

どちらかと言えば性格的に不器用な人なので誤解をうけることもあるが、ある程度の時間を一緒にすごすと、ぱっとみの怖い感じの奥に非常に繊細な感覚を持った人であることがわかる。

そんな訳で、僕にとってはヨシミさんは、唯一の絶対的な師匠なのである。

「もう一度忘れ物ないかメッシュバックの中を確認して下さい。」

ヨシミ師匠が僕等にいい、僕等は念のためもういちどメッシュバックのなかを確認してからボートに乗り込んだ。

ボートは10人ほどがのれ、僕等の他に、カップルが一組と、もう一人ヨシミ師匠に負けないくらいがっちりした茶髪の女の子がいた。

僕とチヨは、その子のとなりに座り、我が友チヒロとサワムラさんは反対側にカップルと座ってボートは走り出した。

カップルは体験ダイビングだということで、ヨシミ師匠とは別のガイドと共に途中の島で降りた。

するとやにわに、茶髪の女の子がうるさくなった。

「あの~スタッフさんですか?」

僕は思わず聞いた。

「え?違うよ!!カズミ19歳だしっ。ヨロシクね!!」

19?声がかすれているのは酒焼けじゃね~のか?

「え?ほんまですか?わたしも19や。」

チヨは身体を前にのりだし、カズミの顔を見ながらいった。

「え~っ 同級生じゃん!!」

「ほんまや。同級生やん。うれしいわあ。」

「よかったなチヨ。同級生がいて。」

なんと!!僕は19歳の女の子を両手に花だ!!

でもなんか小猿と小ゴリラに囲まれているような気がするのだが・・・・

「おにーさんも関西なの?」

カズミが僕の顔を見てきいた。

「東京だよ。」

「え~カズミも東京だよ。東京のどこ?」

僕は自宅近くのJRの駅名を言った。

「きゃ~っ!!カズミ隣の駅だよっ!!」

「あ、オレ、その駅のスポーツクラブ行ってる」

「え~っ!!カズミも行ってるよっ!!」

「すごいやんかあ~。円さんカズミさんと赤い糸でつながっとるんちゃう?」

一瞬僕は自分の小指を見てしまった。

確かにこれは危ない気がする。

「確かに。やばいよね」

カズミも自分の指を見た。

19歳とまさかの偶然というのはおいしいが、小ゴリラの19歳だ。

ああ、なんで折角の偶然なら小猿や小ゴリラでなく、もっと普通の19歳とお近づきになれないのだろう?

女運なさすぎっ(>_<)!!

そんなことを思っているうちにボートはウーロンドロップオフについた。

僕の心のなかのように海の中には何もいず、僕は4ヶ月ぶりのダイビングに身体を慣らすことに専念することができたのだった。

海からボートにあがると、昼食をとるべく、ボートはウーロン島に向かった。

ボートを出すときに我が友チヒロとふと目があった。

その目は「わかってるな?」と言っていた。

はいはい。わかってますよ(-_-;)

 

To be continue.

Uploads on coming monday!!

see you (^_-)

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2007.01.22

悪夢の香港癬→彼の失敗、彼女の島(12)

今回から登場人物に京都の方が参入されますので、関西系の言葉がでてきます。でもずっと昔の事なので、「こんな京言葉はない!!」とか怒られても困ります。京言葉をご存知の方は脳内変換をお願いいたします<(_ _)>

 

12月とはいえ、南国パラオの締め切った真っ暗な室内で布団にくるまる我が友チヒロ。

なんのためにクリスマスに南の島にきたのかまったくわからん。

しかも室内は蒸し暑い。

お前はナメクジかっ?

僕はとりあえずサッシのガラス戸をあけ、室内の陰鬱な空気を追い出した。

「何をやっとるんだ?」

チヒロはベットの上にシーツと毛布にくるまったまま起き出した。

「いや、調子悪くてさあ。」

「じゃあ、外で寝ろ。」

「え?」

「外の方が温かいから。それに風邪がオレにうつったら困る。ダイビングなのに。」

「お前は鬼かっ!!なんで病人を外に寝かせる!!」

「病人なら東京で寝てればよかっただろ。オレの楽しいクリスマス休暇を邪魔する事はゆるさん!!京都のおねーさん達は二人とも引き受けるから、今夜は私に風邪うつさんように外で寝て、明日帰りなさい。」

もちろんチヒロはそんなことする訳もなく、全然同情してない僕を不満げに見ていた。

僕はとりあえずダイビングの機材をメッシュバックに移し、半袖のポロシャツに着替えた。

「市内に朝食の買い出しにいくけどどうする?」

「サワムラ達にも紹介しないといけないからいくよ。」

そういって我が友チヒロはようやくベットから起き出して来た。

なんということだ。これでは女の子達はシラけきって盛り上がりのかけらもないに違いない。

こいつには風邪の身を押しても、女の子達に、生まれてはじめての南の島でのクリスマスを楽しくすごさせてやろうという気持はないのか?

チヒロが館内電話で女の子達の部屋に電話をして10分後にフロントで落ち合うことになった。

 

(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)

 

フロントにいくと女の子達はすでに来ていた。

サワムラさんは子供の頃は腕白だったけど、大人になっておしとやかになりましたという感じの女の子だった。

確かに趣味としては悪くない。

でも物腰は柔らかだが、やるときはキッパリやるという意思の強さがにじんでいる気がする。

我が友のいう、ウエット脱ぐのも恥ずかしがるようなっていうのは、ちと違うな。

そう簡単には脱がないが、脱ぐとなったらババッと潔く脱ぐタイプに見える。

サワムラさんがチヨを僕に紹介した。

「こんばんわ」チヨが関西系のイントネーションで頭を下げた。

「か、かわいい・・・」僕は言った。

「え?わたしですか?ほんま?うれしいわあ。」

「うん。凄くかわいい。モンチッチとして。」

確かにチヨはあらゆる意味でモンチッチにそっくりだった。

まず髪型がそっくりだし、顔もそっくりだ。

元気の良さそうなところもそう。

僕の思う京都の女の子というイメージからは限りなくとおく、あえていえば鞍馬山のやんちゃ猿のお姫様みたいな感じだった。

で、僕はその通りの事を本人に言ってやった。

「うわ~ん。サワムラさ~ん。会ったばっかしなのにいきなり東京モンにイジメられたあ~(T_T)」

ノリもなかなかいいな。

「まあまあ、そう泣かないで。お兄さんが美味しいバナナ売ってる所に連れて行ってあげますからね。」

「いらないよっ!!バナナ昨日買ったモン!!」

「なるほど。やはりバナナは真っ先に仕入れないと生きていけないわけですね?」

「そんなことない!!」

「で、どう?やっぱ日本のバナナよりパラオのバナナの方が美味しい?モンチッチとしては?」

「き―――――っつ 誰がモンチッチやのん!!」

「そっか。鞍馬山には鏡がないからねえ。」

「鞍馬山じゃないですうっ!!市内ですっ!!」

そんな事をやっているうちに、我が友チヒロがフロントに頼んだタクシーがやってきた。

女の子の前だと良く働くね(-_-)

タクシーでメインストリートのスーパーについたころには、我が友チヒロも元気を取り戻していた。

デパート(?)の一階は食料品売り場になっていて、二階が食品以外の衣料やら雑貨が売っている。

「お前一階で買い物してろよ。俺達は昨日済ませたから、上行って来る」

いきなり元気になったチヒロがその場を仕切り、僕は一人だけ一階に取り残された。

それはあんまりでは?

でも海外でひとりぼっちの食料品買い付けはいつもの事。

バイバイと三人を上に見送って僕は食料品コーナーに入っていった。

もちろんPPRホテルには、バイキング方式の朝食もルームサービスもあるのだが、ダイバーの僕等は朝、そんなに食べない。

とりわけパラオはポイントにいくまで、ボートで40分以上走らなければならないのだ。

朝、たらふく食べたら、潜る前にボートで船酔いして吐く事になりかねない。

そんな訳で、各自軽くフルーツやらスナックをつまんでいくのが普通だ。

僕はケロッグのシュガーフロストと牛乳を買った。

それにスポーツ飲料のゲータレードを二本。

朝食用の買い出しはこれで十分だが、他に何か面白いものがないかと見ていると後ろから「円さん」と声をかけられた。

振り向いてみるとサワムラさんとチヨだった。

まだ別れてから5分もたってないぞ?

「おやま。どうしたんですか?」

僕がサワムラさんに聞くと、二人は顔を見合わせた。

「特に欲しい物なかったんで」とサワムラさんが答えた。

あちゃ~。

日本からついたばかりの僕を一人っきりにするような仕切するからだよ。

仕方なく食品売り場を一回りしたが、チヒロが降りてこないので、三人で二階にあがった。

洋服売り場や雑貨売り場を見てもチヒロはいない。

最後におもちゃ売り場にいくと、サンタクロースが3人ほどの子供達に「ホッホッホ メリークリスマス」といっているのをぼんやりと見つめているチヒロの姿があった。

悲しいぞ!!

チヨが走ってサンタクロースのところにいく。

去年はまだ高校生だからね・・・・

僕は大はしゃぎしながらサワムラさんに写真を撮ってとせがむチヨと、それをほうけたような顔でみつめるチヒロを見ていた。

 

(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)

 

ホテルに戻り、そのままオープンエアのカフェに席をとった。

夕食は軽い機内食だった僕が、軽く夕食をとるついでにチヨにチョコレートサンデーをご馳走してあげるといったのだった。

カフェは大きなヤシの木で囲まれており、上空を吹く風にヤシの葉がザワザワと揺れていた。

僕はトリプルデッカーサンドウィッチとアイスティーを頼み、チヨはチョコレートサンデーを。サワムラさんと我が友はビールを飲んでいた。

「こうやって夜空に揺れているヤシの葉の音きいてると、ほんま南の国にきたんやなあって思うわ。」

チヨがニコニコしながら言った。

「ここのホテルはヤシの葉の音が聞こえるから好きだな。ビーチで寝ててもずっと聞こえるし。」

「ほんま?明日はダイビング終わったらいってみよっと。」

「それにしても、日本はいい国になったよなあ。19歳の女の子が普通に自分の稼ぎで、南の島でクリスマス過ごせるようになったんだから。」

「フフフ。同級生の間でも、外国でクリスマス過ごすの、わたしがはじめてです。」

「そりゃそうだろ。鞍馬山立おさる学校なんだから。」

「誰がおさる学校じゃっ!!」

「チョコレートサンデーがとけるぞ。」

「あ、ほんまや~っ どないしよ」

「おにーさんが喰ってやろうか?」

「誰がくわせるかっ!!それにおにーさんやのうておっさんやろっ!!」

「失礼な。自分が小学生だからって。」

「え~ん。サワムラさん、東京モンがいじめる~。嫌いや~」

「チヨちゃん・・・・」

二人のやりとりを見ていたサワムラさんが、笑いながら言った。

「チョコレートサンデーにバナナが入ってないからって泣かないでも・・・」

チヨがきょとんとした顔をした。

我が友、サワムラさん、僕の三人が大笑いした。

「サワムラさんまで~っ!!」

チヨは一人でむくれると黙々とチョコレートサンデーを食べ続けた。

 

(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)

 

「よし!!うまくいったな!!」

部屋に戻ると我が友が僕に言った。

「何が?」

「チヨの隔離作戦だ。見事にチヨをなつかせたな。」

はあ・・・・

「これでおれは、サワムラ攻略に専念できるっ!!」

そういう問題か?チヨよりもお前が隔離されているように僕には見えるのだが。

でも流石にそれは言えない。少なくとも現時点では。

我が友が風呂に入ったので、僕は部屋の冷房をMAXにして部屋を冷やした。

やっぱ南の島のホテルの部屋は、別世界のように冷たく冷えていないとダメだ。

我が友がそろそろ出てくると思える時期を見計らい、冷房を止めた。

5分もせずにバスルームから出てきた我が友は、いきなり僕を睨みつけて言った。

「冷房つけただろう?」

「今は止めてるだろ。」

「なんで冷房つけるんだよ!!オレの風邪がひどくなるじゃないかっ!!」

僕等は20分ほど部屋の冷房について言い合いをし、結局27度に調整してつけることで同意して、それぞれベットに入った。

パラオの熱いクリスマスがはじまったのだ。

色々な意味で・・・・・

 

 

 

To be continue.

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2007.01.15

悪夢の香港癬→彼の失敗、彼女の島(11)

成田を飛び立った僕はグアムで飛行機を乗り換え、トランジット用のロビーでバイトの高校生が売ってるグラニタ・カフェラテを飲んでパラオに向かう飛行機に乗り換えた。

パラオの空港は4度目だ。

我が友がCカードとったとき、この年の4月、8月、そして今回。

飛行機からただのトラックにつまれた荷物が運ばれてくるのだが、機材がなかった初回はともかく、機材を持ってからは、毎回グアムできちんとトランジットされているか不安だ。

こなければこないで、レンタルで潜ることもできるのだが、機材が違うと微妙に勝手が違う。

レギュレーターがレンタルなのは不安だし、僕はスキューバプロのジェットフィンを使っていたが、他のメーカーのプラスティックフィンを使ったら、水中で全然進まず凄まじいストレスを味わった。

伊豆あたりでビーチエントリーをする分には、まだいいが、パラオのようにボートダイビングでドロップオフ(絶壁のように落ち込んでる上を飛ぶようにすすんでいくのである)が多いと、いざと言うときにフィンが進まないというのはめっちゃ怖いし、レギュレーター不調で、うまく浮上できたとしても陸は見えないし、どっかのボートがみつけてくれるまで海の上をぷかぷか浮いていなければならない。

4月の時はマンタ(オニイトマキエイ)を見るジャーマンというポイントでハンマーヘッドと5mくらいの距離で出くわした僕としては、サメがそんなにめったやたらと襲ってくるものではないというのはわかっているが、それは潜水中の話しで、ぷかぷか浮かんでいる時にどうかというと全然自信がない。

唯一言えるのは、ブルーコーナーのサメが、いきなり海面に向かってダッシュしていくのを以前見たが、恐ろしい早さで、浮いている時に真下からサメにこられたら、姿を見た時にはすでにアタックされているだろうということだ。

そんなわけで、僕はフィンとレギュレーターだけは手荷物のなかに押し込み、BCやウエットスーツだけを預けておいたのだが、やっぱり荷物がこないと落ち込む。

最初のトラックには荷物がなく、二回目のトラックにもやはりなく、限りなく不安になった頃来た最後のトラックの数個のなかに僕の荷物は見つかった。

ビジネスファーストの預かり荷物はすべてこのトラックにあったのだが、普通はこの荷物が最初だろ?

ビクビクした分、怒りながら空港を出ると、ダイビングショップのヨシタニさんが迎えに来ていた。

彼は我が友の師匠であり、僕も4月に来たときウーロンチャネルをガイドしてもらった。

「円さん久しぶりですね。他にも二組お客さんがいるのでちょっとまって下さい。」

一組は若い夫婦で、もう一組はカメラ機材をもった男性だった。

夫婦をニッコーパラオ、男性をメインストリート沿いのホテルにおろすと、僕はまず手荷物のなかから、ヨシタニ師匠が大好きな某和食を取り出した。

「これ、みなさんでどうぞ」

「これはこれは。いつもながらかたじけない」

僕も海外生活者なので、海外生活での日本食差し入れのありがたさはよくわかる。

今ではパラオには日本食はなんでもあるが、当時はやっと冷凍大福が入ってきたというくらいだった。

すでにパラオに3年住んでいたヨシタニ師匠は、あまりの嬉しさに冷凍大福を毎日3個食べて、見事な中年太りになりファンを相当数失ったらしい。

「で、どうなんでしょう?チヒロのつれて来た女の子はかわいいんですか?」

「ああ、サワムラさん?まあ綺麗とかわいいの中間くらいですか?」

「ってことはどっちつかず?」

「いや、まあ、100点満点で82点ってとこでしょう。趣味いいですよ。チヒロさん」

「なるほど。で、落とせそうですか?」

「う~ん。今日は僕でなくヨシミがガイドしたんで。話によると円さんの強力なプッシュが必要な感じですが、直接はみてないのでなんとも。」

「強力なプッシュ?チヒロは日本でもうあとは告白をするばかりみたいなこと言ってましたよ?」

「そうですか?まあその辺はご自分で確かめられたら?」

ヨシタニ師匠は運転しながら複雑な笑みを浮かべた。

ぶっちゃけリゾートのダイビングインストラクターは女性に関してもやり手である。

ヨシタニ師匠に関しては、僕だってすでに5人くらい手をつけてしまった女性を知っている。

その彼が苦戦というなら多分そうなのだろう。

「因みにその子の会社の後輩の19歳という子が一緒だと聞きましたが」

「ああ、千代ちゃんね」

「そっちはどうでしょう?」

ヨシタニ師匠は僕の顔を見た。

「かわいいです。いろんな意味で」

「いろんな意味で?」

「そうです。詳しく説明しましょうか?」

「いや、いいです。自分で確かめる事にします。」

「そうそう。女性は自分の目で確かめるのが一番です。」

いったい何処を確かめているんだか・・・と言い返そうと思ったがやめた。

ガイドに逆らうと、いざというとき助けてくれないということはないが、怖い目にあわされる可能性があるのは確かなのだ。

ホテルに車がつくと、チェックイン手伝いましょうか?というヨシタニ師匠を断り、ポーターに荷物をもってもらってフロントに向かった。

どうせヨシタニ師匠の夜は忙しいにきまっている。

P.P.Rホテルは当時パラオ一のホテルで、唯一パラオでプライベートビーチがあった。

このホテルに決めたのは僕である。

ダイバーでこのホテルを使うのは、他のホテルに比べれば少ない。

ということは、ダイビングの時、他の客と知り合っても、ダイビングが終わったら顔を合わす事はまずないということだ。

オマケにプライベートビーチには人も少ないから、ダイビングが終わったあと、のんびりと砂浜をデートすることもできる。

これ以上、女性を落とすのに最適な環境があるだろうか?

フロントを抜けるとオープンエアのカフェテラスになっていて、その向こうがプライベートビーチだ。

そしてフロントの左右にコテージ式の部屋がひろがっている。

フロントを抜ける南の島の風を感じながら、チェックインの手続きをして、同室のチヒロはどうしているかときくと外出だという。

「ルームキーはあずけてあるの?」

「いえ。」

来る時間は大体わかってるんだから、普通はフロントで待ってたりするだろっ!!

なのにルームキーもったまま外出かっ!!やってくれるなっ!!

「マスターキーをポーターに。」

「かしこまりました。」

こうして僕は差し出されたウエルカムドリンクを一気飲みすると、ポーターに荷物をひきずらせて部屋に向かった。

「こちらになります」

鍵をあけてもらうと部屋は真っ暗だ。

ようやくついたというのに、お迎えもなく、本当に外出中かっ!!

なんて友達甲斐のないヤツ!!

ポーターに玄関部分の電気をつけてもらい、チップを渡して僕が部屋の中に入ると、ふくらんだ布団がもぞもぞと動き出した。

僕はあせって部屋のライトをつけた。

まぶしそうな顔をして我が友チヒロが、12月とはいえ、日本の夏のような南の島の暑さの部屋の中で、しっかり布団にくるまりながら僕を見た。

「おお、ついたか・・・」

おまえ、なんで冷房もついてないのに布団にくるまってるの?????

 

To be continue.

Uploads on coming monday!!

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2007.01.07

ゆんたくアクマちゃん55ー叙々苑焼肉大報恩之儀おこなわれるー

先日の事です。

私が今年、最初の、そして最大のイベントとして去年から楽しみにしていた悪魔塾最大の業行「叙々苑焼肉大報恩之儀」がおこなわれました。

『叙々苑焼肉大報恩之儀』

30歳になった男子が、それまでお世話になったお兄様、お姉様に対して叙々苑で高級焼肉をご馳走し、以後は大人として何事もワリカンですますことを誓いつつこれまでの大報恩を行うという、悪魔塾屈指の業行。成人式が単に年齢的なものとすれば、叙々苑焼肉大報恩之儀は経済的にも自立し、真の意味で大人となった事を感謝と共に宣言する、誠の成人式と言える。

招待されたお兄様、お姉様方は、『特上』とついた肉以外を注文することは大変な非礼とされ、これまで大事に育ててきた弟分の財布がみるみる減る無惨さをこらえながら、腹一杯食べて食べて食べまくることをもって、男子の経済的自立を認めるものである。

この儀は成人の日の前後に執り行われる事が多いが、執行される場合、必ず雨天になるといわれている。次々と減っていく札に涙をこらえる本人にかわって、天が泣くのだと言われているが、真偽のほどは定かではない。しかし「叙情の雨」の語源は、このことによるとする説もある。

叙々苑での支払いが終わった後、本人が「大報恩!!」と大見得をきり、おにいさま、おねえさまが、「ゴチになります!!」と返礼してこの儀は終了する。

時に立会人として、お兄様もしくはお姉様の御子息、御息女の同席が許される事がある。

引用 民明書房刊「世界成人ハウマッチ」


・・・・・・・・・・

というわけで、伝説通りの凄い大雨のなか、都内某所の叙々苑にいき、焼肉をご馳走になりました。

しかも「特上」ではなく、「特選」!!

いや~おいしかった。

特に「特選薄切りロース」がおいしかったです。

私焼肉ではロースって頼まないのですが、すさまじく霜降り入ったお肉が。

かるく炙っておめしあがり下さいとあったので、表面が白くなる程度にあぶり、一口で食べたら、口のなかでとろけました。

翌日考えるに、これってしゃぶしゃぶからの発想だよねと。

霜降り肉を蛋白質変成させる一歩手前、脂の融点の上で加熱をとめると、口に入れたとき脂はとけ、それにともない赤身の部分ははらはらとばらけて、溶けるように胃の中におちていくという。

焼きすぎると蛋白質が硬くなってしまうので、この感覚は味わえません。

私、煮たお肉というのはあまり好きでないんで、しゃぶしゃぶはいままで数回しか食べた事ないけど、なるほどしゃぶしゃぶって、霜降り肉を美味しく味わう為の、もっとも確実な方法なんだろうなあと前日の軽くあぶった特選薄切りロースの味と食感を思い出しながら思った次第。

いやいや、今年はいい年になりそうです。

それでは。

(「悪夢の香港癬→彼の失敗、彼女の島」は来週から再開させていただきます)

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