めざせ!!ムシ成金!!(1)
注:弟のキャラは大幅にいじってあります。そして当然ですが、実在するかどうかは神のみぞ知る事です(^_^;)
「なんに~もない なんに~もない まったくなんに~もない」
去年の事。
弟が中国の出張からやさぐれて帰ってきた。
内陸部に新しい工場を建てるという話があり、現場を視察してきたのだった。
うちの会社はこれまでずっと、中国沿海部の会社との取引をしていたのだが、内陸部のインフラもここ数年でちょっとはマシになってきたし、このあたりでトライしてみようかという事になったのである。
片道車で10時間もかけて、中国の農村地帯を走り抜けようやくたどり着く約束の地(?)
弟はぐったりして戻ってきたのだった。
(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)
実は僕は6~7年前に、場所こそ違うが、同じ省に工場を見にいっている。
よせばいいのに、勢いをかって楊総と80億の男が、共同で出資して工場をたてたのだった。
その新工場には車で12時間かけていかなければならない。
飛行機だってあることはあるが、週に1便しかないし、飛行場についてからやはり車で4時間は走らなければならない。
しかもその飛行機ときたら、ちっさくてボロくて、こんなモノにのるなら自分で零戦でも操縦していった方が生存率は高そうと思えるような代物なのだ。
沿海部の仕事が軌道にのり、街も豊かになり、僕等日本人が生活していてもようやく不自由を感じなくなったのに、何故そんな思いまでして、内陸部の田舎までいかなければならん?
大体12時間といっても、高速をぶっとばしていくのとは違う。
中国のど田舎の荒い舗装をした道を、ひたすら走るのだ。
途中にはまっとうなトイレがあるかどうかさえ、わからない。
申し訳ないが、中国の農村の道ばたのトイレのおぞましさときたら・・・
僕が知っているのは、水田の脇にあって、「大」をすると水田に直接おちて、そのまま肥料になるようになっている奴だ。
まあ、それが日本の汲み取り式みたいに、水田に「ぽっちゃん」と落ちてくれれば、水田の上でおトイレとなり、何も不快なことはない(できた米を僕が食べる訳ではないし)
だが、中国では水田にぽっちゃんと落とさないで、岩でスロープをつけて落とすのだ。
しかし、岩は当然すべすべではない。
つまり、出たモノは岩にこびりつくわけで。
そこから先は思い出すのもイヤだ(-_-;)
従い、僕の中国における、車での移動許容時間は、「大」を我慢できる時間ということだ。
因みに便秘にまったく縁のない僕は、1日に2回から3回のお通じがある。
そうすると8時間が限界となる。
12時間は大幅にオーバーだ。
しかも田舎道をいくとなると、食事も道路の脇の、食べたら最後肝炎をうつされそうな食堂で、鮮度的に大丈夫なのか?と思うようなモノを食べなければならなくなる可能性が高い。
つまり腹を下して、いきたくない道ばたのトイレにイヤでも駆け込まなければならない可能性が高くなるということだ。
バナナとか、お菓子を買って乗り込むという手もあるが、当時の中国製のお菓子は、まだまだ不味い。
そして1日を果物だけで過ごすなどということは、僕には絶対にできないのだった。
で、イヤでも道ばたの食堂にお世話にならなければならなくなる。
食器に関しては、中国式に熱湯を自分が使う茶碗に注ぎ、箸を入れてガシャガシャとやる方法を用い、なおかつ僕はライターの炎で箸と茶碗を炙っていた。
料理に関しては、焼きそば、もしくはチャーハンと、卵焼き、そして豆腐料理(たいてい紅焼豆腐)しか口にしない。
これらは、しょっちゅう出る食材をつかっており、腐りかけの食材を用いられる可能性が低く、しかも食べられないくらい不味いということはまずない。
以前、炒めた野菜なら大丈夫だろうと思い追加で頼んだが、野菜だけでなく、虫も炒められて出てきた。
それぐらい気にしていては中国では何も食べられないが、根のほうにひっついていた虫くんは、火の通りも悪く、なかなかレアな状態だったので、流石に食べるのを控えた。
大体こんなものを食べて、東京生まれの東京育ちの僕が、訳のわからない寄生虫に寄生されたら恥ずかしい事、この上ない。
そんな訳で、僕はその内陸部の工場には関わるのを避けていたのだが、どうしても行きたいと言う人がいて泣く泣く突撃することになってしまったのだった。
僕は念の為、米軍のMREレーション(戦闘糧食)を3パックと蚊取り線香を鞄に入れ、さらにポケットのいっぱいついたサバイバルベストに、芯を抜いたトイレットペーパーやら、途中で事故に遭った場合に備えての医薬品やら、小型の懐中電灯(中国の農村ではホテルでさえもしょっちゅう停電するので必須)ビクトリノックスのナイフなどなどを身につけて、内陸部の町へと向かった。
思ったほど状況はひどくなく、たいしたこともなく現地についたのだが、そこにあったのは僕が中国に来たばかりの頃によく目にした風景だった。
つまり土埃の道路に、タバコと缶飲料と若干の果物をおいた小さな屋台。そして自転車で移動する人・人・人だ。
そこでは楊総の所の顔見知りの工場スタッフが待っていてくれ、工場や町を案内してくれた。
「ここはいい町だぞ~」ついた翌日、工場への車を運転しながら彼が僕に言った。
日本からつれてきたお客さんは、前をいく車のなかだ。
「なんでさ?」
「工場のオープニングの時に、町一番のホテルで、地元の有力者を招いてパーティすることになったんだ。で、見積もり頼んだら一人30元(当時のレートで450円くらい)っていうからさ、それじゃあまりにひどいだろってんで100元にしてくれって頼んだわけ。」
「ふむふむ。」
『そしたら料理長が泣きそうな顔できてさ~「す、すいません。私30元以上のコースってつくった事ないんです。100元の料理なんて何をお出しすれば良いのでしょう?」って聞くのさ。』
福建省あたりでも、山地の村には毎日ご飯に塩かけて食べるのがせいいっぱいで、お正月にだけ豆腐が一品つくというような所もあると聞いていたので、まあ、そんなところだろう。
「町一番のホテルの、最高級コース料理が30元か。まあ、物価が安いのはいいことだよな。でもホテルでそれじゃあ、ここの連中は一体何くってるんだ?」
「普通に喰ってるよ。単に物価が安いだけだ。」
確かに朝、ホテルの食堂でお粥と春巻き、叉焼包(チャーシューまん)の食事をすると、
たった1.5元だった。
安い・・・・
「だろ?まあ、ホテルはまだいいんだけどさ、街中の食堂は、ともかく辛いんだよ。四川あたりの連中ならともかく、オレ達には喰えないっつーの。食材は普通にあるんで、会社の食堂の料理人こっちにつれてきて、毎日料理させてるよ。」
たどりついた工場はこぎれいで、あとは日本に輸出するための陸送がきちっとしてるならば、なんとかなるかな?という感じではあった。
「でもさあ、何にもないところにいきなり工場もってきたりしただろ?原料処理するのに水も大量にいるしさ。で、この辺は地下水で、そのまま飲めるくらいのいい水が出るんだけど、こないだ一軒の家がいきなり5メートルも陥没しちゃってさ。で、調査したら周辺500m四方くらいが地下水抜いたおかげで地面の下がでっかい空洞になってやんの。どうなっちゃうのかね?2年くらいしたら、この町地下水抜きすぎて穴ぼこだらけになっちゃうんじゃねえ?」
「ってお前はどうするんだよ?」
「おれ?二年後にここにいるわけないじゃん。しらねーよそんな事。ここの市政府は、俺達が資本と技術もってきてくれたことに大喜びだしさ。地盤沈下がおこって、ここの連中が困ったって、どうするかは市政府の連中が考えることで、俺らが考える事じゃないもんね。」
あのな~。ウチの会社は10年前、キミ達がここと似たりよったりな状態にあったとき、まさに資本と技術もって君達の町にいったわけだが、なんとかキミ達を豊かにしてやろうとは思ってたけど、そんなひどい事は考えてなかったぞ?
お前等は鬼か(^_^;)
もちろん僕はあきれこそすれ、そんな内心の思いを口に出したり、本気で怒ったりはしない。
それが中国的なメンタリティだし、立場が逆なら、この内陸の町の連中が、今僕の隣にいる彼に対しておなじことを考えるし、するだろうから。
「あ、忘れてた。」
車を運転しながら、彼がいった。
「もう一つ安くて重宝してるものがあった。」
「何さ。」
「50元でできるぞ!!」
「?」
「お・ん・な!!女だよっ!!」
50元・・・やすっ!!
当時彼のいた沿海部の町では300元くらいが相場だし、僕がかつて住んでいた街では1000元前後が相場だった。
「むこうで1人買う金で6人買えるんだな。まあ、それぐらいなきゃ、こんな所でやってられね~けどな。」
「安すぎないか?いくらなんでも?」
「オレもそう思ったけど、単に物価の問題で、病気持ちとかってことは無いぜ。お前もやってく?」
「何が悲しくて、私が一発750円の女と寝なくてはならんのだ?」
「だって日本人は世界中の売春婦のもっともいい客だって、こないだ雑誌に書いてあったぜ。」
「それでも日本の人口は1億2000万くらいだからな。キミ達中国人の10分の1以下だろうが。キミ達中国人の方が、日本人より10倍好き者だってことだろうが。」
「でも日本人の客はみんなヤリたがるじゃね~か。」
「そりゃそうだけど、私は女に関しては美食主義者なの。喰えりゃなんでもいいって訳ではないの。」
「パオイー先生の癖にっ!!」
パオイー(鮑魚)というのは鮑の事だ。
僕が中国にいるとき、週に一度一人で紅焼鮑魚といわれる鮑の煮込みを食べることが知れ、それを知っている連中は影で僕の事を「鮑魚先生」と呼んでいやがるのである。
「私が喰うのは本物の鮑。キミのとは違うの。」
「どっちだって300元くらいじゃね~か。」
「今、キミが週に一度喰ってるのは50元だろうがっ!!」
「50元だって鮮度はいいっ!!それに週一度じゃねーぞ!!週三度だっ!!」
バカかお前は(-_-;)
「私は300元出して中国の食文化の極みともいえる紅焼鮑魚を食べ比べているのだよ。贅沢ではなくて、料理文化の研究をしているのだ。だがキミの鮑喰いは単なる性欲だろうっ!!しかも奥さんがいるくせに、週に三度もっ!!」
「うるさい!!500キロ以上離れた所にいたら女房だって抱けないだろっ!!」
「それにしても週三度は多すぎだろ?奥さんとだって週三度やらねーだろうがっ?まさか毎回とっかえひっかえ違う女買ってやってるんじゃねーだろうな?」
「そりゃ、こういう機会でもないと色々と比較できないだろ?収入の限られているサラリーマンなんだから。」
「比較とかいって、そのうち病気持ちの女にあたって恥かくからな。」
そういうと彼は急に真面目な顔をして僕を見た。
「お前さあ~。持ってるよな?日本製のコンドーム。」
「もってね~よっ!!」
「ウソつけっ!!客つれている時はいつも持ってるだろうがっ!!」
確かに僕はコンドームを持っている。海外で仕事している者のたしなみって奴だ。仕事を始めた頃、一緒に仕事をした大手商社の課長に、「せっかく海外までアテンドした客が、病気うつされて家庭問題になって担当はずれたりしたら水の泡だろ!!自分がやらなくても、コンドームはちゃんともっておけ!!」と説教された事もあるのだ。
「頼むよ。あとでわけてくれ。どうも中国製のコンドームは不安だ。」
僕は以前日本製のコンドームの優秀さを信じない彼の目の前で、水道の蛇口から日本製のコンドームに水をガンガン入れてみせた事がある。
素晴らしき日本の技術の象徴とも言えるコンドームは3リットル近い水を入れても割れる気配がなく、途中でイヤになって水入れるのをやめてしまった程だ。
「中国人には中国製で十分だろ。」
「十分だけどやっぱ危険だ。」
「大丈夫だ。鮮度はいいんだろ?」
「良く考えたら鮮度がよくても、細菌や寄生虫はいるかも知れない。」
「中国人だから大丈夫だ。中国人は世界で一番強固な胃腸をもっている民族だから。消化しろっ!!」
「オレの鮑は胃腸で食う鮑ではないからな・・むしろ喰われるといったほうが・・」
「じゃあ消化されろっ!!」
「・・・・・・・・」
(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)
長くなった。
時間は戻って去年。
「そりゃないでしょ。あるわけがない。」
僕は弟にいった。
「そうなんだけどさ~。本当に何もないんだよ。日本だと、田舎でも、なんらかの遺跡だとか、観光できるとことかあるじゃん。本当に何もないの。川、山、畑、田んぼ、人。それだけ。」
「いいところだな。きっと2000年前と違うのは、テレビを見れる事と電線がひいてある事と、馬車じゃなくてガソリンエンジン車が走ってることくらいなんだろうな。」
「マジでそうかもしれない。」
弟は大きくため息をついた。
「あ、でもさあ。一つだけあったよ。クワガタ。あそこは山で珍しいクワガタがとれるんだってさ。」
「クワガタ?」
僕の目がキラリと光った。
「うん。結構有名らしいよ。日本名も教えてもらったけどさ」
「思い出せる?」
「うん」
「検索しろ!!ネットで検索するんだっ!!」
「なんで?」
「きまってるだろ?今やムシキングでクワガタやカブトムシは子供達の人気者だぞ?それに珍しい種類なら、こっそり日本に持ち込めば、高い値段がつくかもしれん!!」
「え~?でも高い値段がつくのは、南米とかの虫なんじゃない?中国のクワガタなんて値段つかないんじゃない?」
「かもしれんが、日本名があるって事は、日本にも流通しているのかもしれん。小銭もうけのチャンスかもしれないぞ!!」
「そっか。検索かけてみるわ。」
それから30分後。
弟が階段をかけおりてきた。
「あ、あった・・・・」
僕と弟は、階段をあがり、弟のパソコンをのぞき込んだ。
確かにそこには中国産のクワガタの写真が出ていた。
そして値段も。
「イチ、ジュウ、ヒャク、セン・・・・・」
僕と弟が二ヶ月ぶりくらいに視線を合わせた瞬間だった。
To be continue.
Uploads on coming monday!!
see you (^_-)
