中国に真実の愛はあったか?(5)
ついにはじまった僕等の修羅場計画とは?
ホテルの部屋に入った僕はテレビをつけて、一週間ぶりに日本のニュースを見た。
このホテルのビジネスセンターには、日本の新聞がおいてある。
あとで見に行こう。
そんなことを考えながら、ルームバーの冷蔵庫から海南島特産の椰子の実ジュースを取り出してグラスに注いだ。
牛乳好きの僕は、中国で牛乳が手に入らないときは、これを飲む。
もちろん共通点は白い事くらいだが、コーラやペリエでは、気分的にも牛乳のかわりにはならない。
ベットにぐた~っとなって、BSのNHKニュースを見ていると、自分の部屋に荷物をおいただんじり君と、彼についていった鄭君が僕の部屋にやってきた。
「なんや。円ちゃんの部屋も外は工事現場か?」
僕の部屋の窓の外、通り一つ向こうでは高層ビルの建築がすすんでおり、床と柱の骨組みだけの殺風景なビルの骨格が広がっていた。
すでに今日の仕事は終わってしまったのか、人影はない。
「そっちも?」
だんじり君は窓際の椅子に腰掛けうなずいた。
「サクちゃんの部屋はどないやろ?」
「プールがひろがり、その向こうには湖ですね。時々プールサイドをビキニの外人さんが通ったり」
「何!!ビキニの金髪美人かっ!!」
「そういう時もあります。」
「むむ・・・でも窓の外をビキニの金髪美人が通らなくても、夜には可愛い女の子が遠い街からやってくるんやろ?」
「ですねえ。」
僕はだんじり君に答えながらもニュースを見ていた。
「そんなん・・・そんなんあかんでえ!!円ちゃん!!そんなの許してはあかん!!大体佐久間さんは50過ぎやんけ!!なんで50過ぎのおっさんが若い女とカリビアンルームで暑い夜を過ごし、儂等がつくりかけのビルみながら寝なあかんのや?」
「まあ、運命でしょう。」
「どないしたんや!!そんなことで男がたつかい!!ここは佐久間さんをギャフン!!といわしたらなあかんで!!」
そういわれると僕にもカリビアンルームを取られた(訳ではないけど気分的に)恨みがムラムラとわき上がってきた。
僕はベットからおきあがり、アルミのスーツケースをあけると中からコンドームを取り出した。
もちろん僕が個人的にエロい目的でもっていたわけではなく、昔一緒に仕事をしたM商事の商社マンから、「自分がやらなくても、お客さんがやる気になったとき、コンドームがなかったらどうする?海外にお客さんをアテンドして、そのお客さんを性病にして帰すのは商社マンの恥だ!!コンドームくらいいつももっていないと、夜中にコンドーム探して町中タクシー走らせることになるぞ!!」と厳しく指導されて以来、海外出張の時は常に標準装備としてもっているものだ。
コンドームを二つ取り出して、不気味に笑う僕を見てだんじり君が言った。
「コンドームやんか・・・どないするんや?」
僕はコンドームの封を切りながら、だんじり君に説明した。
「これからサクちゃんのところにカリビアンルームを見せて下さいといって見学にいきましょう。そして二手にわかれて、サクちゃんの部屋にコンドームをおいておくんです」
ごくりとだんじり君が唾を飲み込んだ。
「一個はバスルームのゴミ箱に。もう一個はサクちゃんが寝ていない方のベットのわきに落としておくのです。で、それが終わったらすばやくサクちゃんを食事に誘い出し、その後はカラオケでもサウナでも行って、サクちゃんの彼女が来るくらいの時間に戻ります。サクちゃんは軽くシャワーを浴びて彼女が来るまで一寝入りするはずですから、部屋に落とされたコンドームには気づかない。で、サクちゃんの彼女が600キロも離れたところからやってきて
気がつくと・・・・」
だんじり君と鄭君が同時に笑った。
「すでに他の女に使ったと思われるコンドームがベットわきとバスルームに計二個」
だんじり君が満面の笑みを浮かべて言った。
「修羅場や!!最高の修羅場やっ!!」
僕はパッケージから引っ張り出したコンドームをくるくると拡げると、両手でくちゃくちゃにした。
「これでよし」
三人とも狂ったように笑いだした。
600キロもの距離を乗り越えてきたリーリーとの愛のカリビアンルームが、たった二個のコンドームで、一瞬の間にベクトルが正反対になり、悪夢の修羅場にかわるのだ。
こんな見事なシナリオがあるだろうか?
まさに大どんでん返し!!
ひとしきり笑い終わった時、だんじり君が口を開いた。
「いいアイデアや。でも東京の子は甘いの~。岸和田ではそんなんじゃツメが甘いいわれるわ。」
そういうとだんじり君はベットサイドにある僕の飲みかけの椰子の実ジュースを持ち、しわくちゃのコンドームをとりあげた。
そして白い椰子の実ジュースを慎重にコンドームのなかに小量注ぐと、自分の手の中でしわくちゃにした。
だんじり君が手を開いたときに、その手のひらの上にあったのはどう見ても使い終わったコンドームだった。
僕等は再度爆笑した。
そして、僕がバスルームに。だんじり君がベットわきにと分担をきめ、お互いに一個ずつ椰子の実ジュースがはいったコンドームをポケットに忍ばせるとサクちゃんの部屋に電話をかけ、カリビアンルームの視察へと向かったのだった。
(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)
ドアをノックして、僕等三人はサクちゃんのカリビアンルームへと突入した。
まずは僕が冷蔵庫をあけて中をのぞいた。
「ペリエに、サンキストオレンジ、椰子の実ジュース。ビールにコーラ。同じですね。僕等の部屋と。」
「当然ですよ。単にプール際にあるってだけじゃないですか。大体円さんは泊まってるでしょ?何度も。」
「そうですけど、ホテルって常にサービス向上に努めているじゃないですか。」
「そりゃそうだけど、ルームバーの内容なんて変わりませんよ。」
「うおっ!!さすがや、すごいなあ。」
だんじり君がプールに面したサッシのドアから外をのぞいて言った。
「佐久間さん。これどうやってあけるの?」
そういわれてサクちゃんはサッシのドアの方へと行った。
打ち合わせ通りだ。
僕はすかさず入り口わきのバスルームに入り込むと、ゴミ箱のなかに椰子の実ジュースのはいったくちゃくちゃのコンドームを入れた。
どう見ても一仕事終えて捨てられるのを待つばかりのコンドームだ。
僕がバスルームから顔を出すとサクちゃんとだんじり君はサッシドアからプールサイドへと出ていた。
鄭君が僕の顔を見るとポケットからコンドーム二個分のパッケージだけを取りだし、部屋のゴミ箱に笑いながら捨てた。
「佐久間さ~ん。やっぱアニメティなんかは違いますよ~」
僕が声をかけると、サクちゃんは部屋に戻ってきた。
バスルームに来ようとするサクちゃんに、同じく部屋に戻ってきただんじり君が声をかける。
「このドア、どうやって鍵かける?」
「ああ、こうです。」
サッシの鍵は閉められた。これで食事に出てしまえば、サクちゃんがサッシドアの前に来ることはないだろう。
だがカリビアンルームにはじめてとまるリーリーは、かならずライトアップされたプールを見ようとするはずだ。
「ほら、シャンプーなんかは一緒だけど、僕の部屋には爪ヤスリとかがないんですよ。それにバスローブも二つあるけど、僕の部屋は一つです。」
「そりゃ円さんが一人で泊まるからでしょう?」
「え?じゃあ、佐久間さんは二人で泊まるってあらかじめホテルに言ってあったんですか?」
「いってませんよ。カリビアンルームだからでしょ。」
「ほら!!やっぱりカリビアンルームとスタンダードツインは違うじゃないですか。」
「バスローブの数だけじゃないですか。」
「でも僕は今シャワー浴びて、バスローブ使ったから、濡れてるんです。夜寝る前にシャワー浴びるから二ついるんですよ。これ一個僕の部屋にもって帰っていいですか?」
「ダメですよ。どうせ、そうやって一個もって帰るつもりでしょう?私がホテルにバスローブ盗んだと思われるじゃないですかっ!!」
「リーリーが持っていった事にすればいいじゃないですか。」
「持っていったのは円さんでしょ!!人のせいにしない!!」
「チェッ!!」
「佐久間さん。なんか電話違いますよ」
部屋の方でだんじり君が言った。
部屋の方の仕込みが終わったのだ。
「違うわけないでしょう。同じです。みんな同じ!!」
そういいながらバスルームを出て行くサクちゃんに僕も続いた。
「そうかなあ~。鄭君なんか違うとおもわん?」
「はあ。いっしょですよきっと。」
「多少違っていても、電話にはかわりないからいいじゃないですかっ!!」
「まあ、そうやけどなあ。さあ、そろそろ六時や。日本料理食べにいこか?」
「そうですね。日本料理いきましょう。佐久間さんおごってくれるんですよね?」
「はあいいですよ。いきましょう。一階ですから。早くいきましょう。」
(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)
こうして仕込みを終えた僕たちは、夕食に久しぶりの日本食を食べ、そのあとサクちゃんをサウナに連れ出した。
サウナに入り、垢すりをしてもらい、90分のマッサージを終えると10時チョイ前で、僕等は再びコーヒーショップに戻り、サクちゃん、だんじり君、鄭君はビールを。僕はオレンジジュースを頼んだ。
三人で話しているとサクちゃんの携帯がなった。
リーリーだ。
「2時くらいにつくそうですよ」
サクちゃんが僕等に言った。
「なんや。せっかく佐久間さんの彼女見てから寝よう思ったのに」
だんじり君が残念そうに言った。
僕等も2時までは、まってはいられない。
「じゃあ明日の朝食一緒にしましょう。8時でどうです?」
僕はサクちゃんに言った。
「いいですよ。8時ですね?」
「はい。僕等は6階だから、三階のカリビアンルームにお迎えにいきますよ。8時に」
「またそんな・・・・」
僕等は一緒にエレベーターにのり、サクちゃんを降ろすと6階で降りた。
鄭君は会社の事務所に戻っていった。
事務所にはちゃんと従業員用の部屋があるのだ。
「明日は7時半にサクちゃんの部屋にガサ入れをかけましょう!!」
僕はだんじり君に言った。
「ほ、ほんまか?」
「もちろんです。二人の間に600キロの距離を超えるだけの愛があったかどうか、僕たち二人が見届けるのです。」
「部屋のなかまで押し込んでか?」
「大丈夫です。リーリーとは仲いいから。多少はおこるかも知れないけど。」
「すごいな。東京の子も。」
「明日は7時半ですから。寝坊しないで下さいよ」
「わかったわ!!はよ寝よっと。」
楽しそうな顔をして部屋に戻るだんじり君を見送って自分の部屋に入った僕は、テレビのチャンネルをNHKのBSにあわせてシャワーを浴びた。
出てきてペリエを飲みながら、海外のニュースを一通りみると眠くなり、モーニングコールを6時半に頼んで眠りについた。
To be continue.
Uploads on coming monday!!
see you (^_-)
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