キャンプにまつわるエトセトラー1-
時に西暦2000年。千葉県某所のキャンプ場。魔人ケンチが彼女をつれて復活する?!
西暦2000年のお盆2週間前。
シュガケンから電話があった。
「円さんお盆はなにしていますか?」
「一昨日まで中国だったんですよ!!帰ってきたばっかりで予定なんて入ってる訳ないでしょっ(>_<)」
「隊長おぼえてます?」
シュガケンが隊長というときは、彼のダイビング仲間のマスダさんの事だ。
若い頃、陸上自衛隊最強といわれる習志野空挺師団に所属していた彼は、もう50代半ばだが、建築関係の本業の合間にダイビングサークルもやっており、皆から隊長と呼ばれている。
建築関係の親方らしく、器のでかそうな物腰は男女を問わず人気がある。
去年、僕とシュガケンとヒロポンはキャンプ場で隊長夫妻と合流した。
キャンピングカーで犬をつれてやってきた隊長が、「夕食は何時にする?」と聞いたので、ダッチオーブンでローストビーフを焼くつもりだった僕は「6時ですかね。」と答えた。
隊長はその時間に合わせて、豚骨を縦に割ってつくったスープで皆の分のカレーをつくりはじめたが、僕の料理の方は炭に火がつくのに時間がかかったりして、思ったより時間がかかりそうな状況になった。
思わず「隊長。30分くらいおくれるかもしれません!!」と僕がいうと、隊長は「円君。僕はキミの申告した時間に基づいて、準備をしているんだぞ。作戦で、同時に攻撃をしかける予定の部隊の一方が、30分もおくれたらどうなると思う?」と言った。
確かに・・・・
作戦が失敗して、時間通りに仕掛けた部隊が全滅もしくは多大な被害を被ってしまう。
「失礼しました!!自分が考え違いをしておりました!!かならず時間に間に合わせるよういたします!!」
マタ~リとした秋のキャンプは何故かキビキビとした戦場に変わったが、僕等は美味しいカレーとローストビーフ、ポテト、焼きリンゴなどを時間通りに食べることができたのだった。
「おぼえてますよ。もちろん。」
僕はシュガケンに言った。忘れるはずがない。
「その隊長がですね、お盆に千葉の海沿いでキャンプするから、みんなもこないかっていってるんですよ。」
「はあ。」
「ジェットスキーも何台か持ち込んで、水上スキーもできるそうです。」
「おもしろそうですね。」
「行きますか?」
「皆に聞いてみましょう。」
「お願いします。」
翌日かまやつとシュガケンの店で会う用事があった僕は、かまやつにこの話をメールして、魔女系三姉妹やら、彼氏の大杉君と友人の小田君に聞いてもらうよう頼んでおいた。
「いでっちや、841は予定があって来られないっていってましたけど、私も、大杉さんも小田さんも大丈夫ですよ。」
翌日、シュガケンがオーナーをしているトラットリアで会うとかまやつが楽しそうにそう言った。
「チヒロとヒロポンはダメだそうです。僕は大丈夫ですけど。ケンチはまだ返事がありませんね。」
シュガケンは、スペシャルゲストを連れてくるという。
「誰ですか?」
「当日のお楽しみですよ。」
「じゃあ、かまやつ、大杉、小田、シュガケンさん、スペシャルゲスト、私ですね。とりあえず。あとは魔人が来るかどうかで。」
「テントは足りるの?」
「私と大杉さんは前にキャンプ行ったのがあるし、小田さんも、いつも車にキャンプ道具一式もってますよ。」
「シュガケンさんは例のコールマンのティピーテントがあるでしょう。ケンチもよくテントもってツーリングしているから大丈夫だと思います。あとはウチに一人用のテントと二人用があるから、スペシャルゲストにテントがなくても大丈夫でしょう。」
「シュガケンさんのテント、コールマンなんですか?」
かまやつがシュガケンの顔をマジマジと見て言った。
「キャンプと言えばコールマンでしょっ!!」
そう得意げに言うシュガケンに、冷ややかなまなざしをおくるかまやつに僕は目配せをした。
そこはつっこむなという合図だ。
「えっと、あとニッセンでテーブル付き5600円で買った蚊帳付タープがあるから大丈夫。でも椅子が4つだから、それだけは足りない分用意してもらわないとダメですね。」
「食事は?」
僕はちょっと考えた。
作るのは一泊なら、当日昼、夜、翌日朝だ。
前回のキャンプでは、昼をシュガケン、夜を僕、朝をヒロポンと振り分け分担したのだが、シュガケンは「今日のお昼はこれ!!」と、キャンプ場近くのスーパーでパックのおでんとおにぎりを買って、それを温めて出した。
ヒロポンに至っては、居酒屋でバイトしてますからと自信たっぷりだった癖に、何故かベーコンエッグ一つできないで、隊長にむっとされたのだった。
7~8人となると、この連中に任せるのは危険だ。
「こないだ羽釜買ったので、当日の昼と翌日の朝は私がつくりますよ。昼は車の渋滞とかで皆が一緒に食べれるとは限らないのでご飯を炊いて丼ものにします。朝は最近輸入物の松茸が安いので、これで松茸ご飯と豚汁つくろうと思いますけど。」
「朝から松茸ご飯か~。リッチだなあ・・・」
シュガケンは満足そうだった。
「じゃあ、夜は、私と大杉君が中心になって考えます。大杉君の実家、おかあさんがちっちゃなフランス料理店やってて、彼も調理師免許もってるから大丈夫です。」
「じゃあそういう事にしましょう。あとはケンチの返事待ちって事で、隊長に連絡しといて下さい。」
「わかりました。」
「あの~全然別の話なんですけど・・・」
突然かまやつが声のトーンを下げて言い出した。
「あたしちょっと相談したいことがあるんです。」
僕とシュガケンはかまやつの顔を見た。
「何?」
「大杉さんなんですけど、最近疑われているみたいなんです。」
「何を?」
「円さんとの関係を。」
「(・_・;)エ? な、なんで?」
「最近よくシュガケンさんのお店に一緒に行くから。」
「それはないだろ?小田君が年末うちに泊まったとき、かまやつと大杉君のミレニアム婚プロジェクトを立ち上げたのは聞いているはずだから。」
そうは言ったものの、大杉君がなんとなく僕を疑っている雰囲気は感じていた。
「そうですかねえ~」
シュガケンが面白そうな顔をして言った。
『うちのシェフも、「あの二人、感じいいじゃない。そろそろ決まるんじゃないの?」と言ってましたからねえ。』
そういう顔は、思いっきりしてやったりといった表情だ。
なんという奴!!僕とかまやつが大杉君に疑われるほど頻繁に顔を合わせるようになったのは、シュガケンが引き起こした「ブレア大戦」(注:年末公開予定)が原因だというのにっ!!
「でも円さんだけじゃないんです。」
かまやつがシュガケンの顔を見ながら言った。
「シュガケンさんもです。」
「え?なんで俺が。」
「時々かまやつの事をエロい目で見てるからじゃないですか?」
「みてね~よ(-_-#)」
「みてますよ。シュガケンさんは私に限らず女の子を食い入るような目で時々見てます。」
かまやつが責めるような口調で言った。
「みんなシュガケンさんのホークアイって、言ってるって」
「なんだよ。それ」
「気がついてないんですね。今度したら教えてあげます」
「いいよっ!!円さんはともかく、俺は関係ないだろ!!っていうか、俺よりケンチでしょ。疑うなら」
「ええ、当然ケンチさんも疑われています」
僕とシュガケンは目を合わせた。
「大杉君、ジェラシー王なんじゃない?」
僕が言った。
「ちょっとそんな感じかも。」
「早く決めちゃいなさいよ!!いつまでも結婚決めないからそういう風になるんだよ」
シュガケンがそういったが、欲望は人一倍あっても責任をとるのは何よりも嫌いな彼にそう言われるのは・・・・
「そうですかねえ~(_ _。)・・・シュン」
かまやつが悲しそうに言ってうつむいた。
あぶない!!これは罠だ!!
僕は気づいた。
「あのさあ~」
僕はかまやつのうつむいた顔を見ながら言った。
「それって大杉君がジェラシー王っていうよりも、かまやつが男癖悪い女って思われてるだけなんじゃない?」
「・・・・・」
無言で顔をあげたかまやつの上唇が久しぶりにピクピクしているのを僕は見た。
内心怒っている証だ。
「私のどこが男癖悪いっていうんですか?」
僕はまだ使ってないフォークを取ると、テーブルに出ているシュリンプサラダのエビをフォークにさして、かまやつの口の前に出してやった。
「そんなに上唇ヒクヒクさせないで。折角最近やらなくなったんだから。ほらエビをお食べ。」
かまやつは僕を睨みつけながら、僕が差し出したエビにがぶっと食い付いた。
「調理師免許をもっている大杉君がキャンプでいいとこ見せたら、夜テントの中で、ゆっくり話し合えばいいじゃん。結婚の事も含めて」
家に帰ると、僕はケンチにキャンプに関して決まった事をメールして、どうする?来る?と尋ねた。
もちろん最後にはこう書くことを忘れなかった。
「大杉君がケンチとかまやつの事疑っているらしいよ。」
もちろん僕とシュガケンも疑われていることは何もいわなかったのだが・・・
To be continue.
Uploads on coming monday!!
see you (^_-)
