円海兵士を送り出す
何故僕が、バブル期の日本を出て、豊かという言葉からはほど遠い80年代末から90年代前半の中国で5年間もの時間を過ごしたかに関してはいくつか理由がある。
そのうちの一つは、最初のプラントの建設立ち会いに行った時の事だ。
そこは日陰でも37度という気温で、大量に水分を摂取するにもかかわらず、トイレに行く事はほとんどなかった。
みな汗で流れるヒマもなく蒸発してしまうのだ。
そんな場所での2週間の設置作業がようやく終わったあと、掃除をする為に、工員として雇われた女の子達が10人ほどやってきた。
皆、10代後半か20代の始めといった女の子たちだが、誰もが、白いブラウスと、くろっぽい変に緩んだスパッツのようなものを着ていた。
そのころ僕等の国は、デザイナーズブランドがブームで、こんな終戦直前の日本のようなファッションの女の子は見たことがなかった。
それまでにも、バナナとタバコと怪しげなジュースしかない屋台の売店とか、買うとあきらかに油やけしているインスタントラーメンとか、日本の常識では考えられないものをたくさん見たが、この女の子たちの姿は、かなり考えさせられた。
外見だけみれば、彼女達も、僕も、さしてかわりがあるわけではない。
でも、生まれた場所が、ほんの少し違うというだけで、着ているもの一つとってもこれほどの差が・・・・
縫製もよくなさそうな白いブラウスとスパッツズボンで、けらけらと明るく笑いながら、掃除をする彼女たちの姿を見て、当時20代の半ばだった僕は、少しでも彼女たちに良い生活をさせてあげたいと思ったのだった。
(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)
それから一年半後。
僕は二番目のプラントを輸出した会社に勤め、中国に住んでいた。
僕が一階の工場事務所にいくと、工員のロッカー室の前に男子工員がたかっていた。
事務所に入って、工場長が品質管理課や、生産管理課のスタッフ相手にしている会議を横でききながら、僕は自分でウーロン茶をいれて飲んでいた。
「他に何かありますか?」
話し終わった工場長が僕にきいたので「特になし」と返事をすると、スタッフ達は工場の中に入っていた。
「あの人だかりは何?」
僕は事務所に残った工場長に聞いた
「ああ、あれですか・・・」
工場長は浮かぬ顔をして言った。
「軍隊ですよ。」
「何?それ。」
「管轄局の方から何人か軍隊に人を出すことになって、うちの会社からも1人か2人出すことになったんです。」
その時、三階の社長室から、書類をもって秘書兼通訳の王さんが降りてきた。
「ねえねえ、中国の軍隊って志願制じゃないの?」
僕は日本語で彼女に聞いた。
「志願する人もいますけど、徴兵もあります。」
「げ~っ 信じられない!!日本で徴兵なんてやったら、間違いなく反乱がおこるぜ。」
「日本は志願制なんですか?」
「戦前は徴兵でしょ。でも戦後は志願制。自衛隊に行きたい人がいく。韓国は戦前の日本と同じ徴兵制だけどね。」
「知らなかった・・・・」
オイオイ。あんた日本語学科卒だろ?
「でもなんでウチの会社から?中国人は10億以上いるから、志願兵だけで十分ジャン。大体、管轄局だって5000人近い人がいるでしょ?なんで合弁のウチから兵隊出すのさ?国営の企業から出せばいいじゃん。」
「う~ん。合弁だからじゃないでしょうか?兵隊の給料はすっごく安いから、どこの会社でも自分の社員出したがらないし。」
「安いんだ。」
「はい」
具体的にいくらかは忘れてしまったが、「ともかく、飯と着る服はタダでやるんだから、文句いうんじゃねえ~」というような金額だった。
「それは酷い。そんな金額で兵隊雇うから占領地で賄賂とったり、強盗まがいの事したりするんだ。」
「それは昔の国民党です。共産党ではありません。」
王さんの言葉に、工場長もうなずいた。
「そりゃ失礼。じゃあさ、オレが軍隊入って気合い入れ直したほうがいい奴選んでやるよ。」
「誰ですか?」
工場長が言った。
「とりあえず工場長。」
「はあ~(-_-) 言うと思った。」
「だって君たちの国の軍隊の仮想敵国はどこよ?ソ連はなくなっちゃったから、当然日本とアメリカだろ?日本国民のオレとしては、当然中国人民解放軍の弱体化を願っているから、きるだけ年寄りにいってもらいたい。本当は中国側副社長にいってもらいたいけど、あれはもう50過ぎだから検査にとおらないだろう?工場長は30代だから大丈夫。中華人民共和国の平和の為に、そして若き工員達の心の平安の為に、自ら立候補してくれ。頼む。」
「党幹部は徴兵対象にはなりませんから。」
「チェッ!!じゃあ、王さんいけ。日本語しゃべれるから情報部入りだ。弾が飛んできて死ぬことないぞ?俺は自分の部下が死ぬことには絶えられん。日本鬼子といわれた戦時中の日本人ではなく、戦争を放棄した心優しき戦後日本の国民だから。」
「今回は女子は募集してません。それに決めるのは軍のリクルーターです。」
「な~んだ。王さんの軍服姿見たかったのにぃ~。」
書類を工場長に渡すと、王さんはフン!!と鼻を鳴らして出て行った。
(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)
半月ほどして、一階の事務所にいる僕に館内電話がかかってきた。
王さんからで、社長室に来るようにということだった。
僕の机も、一応そこにあるのだが、僕はほとんどの時間を一階の工場事務所か工場の中で過ごした。
中国人には管理職は管理事務所に閉じこもるという悪い癖があり、工場が1,2階、事務所が3階というこの会社では、そんなことでは緊急時に間に合わない。
工場管理部門のスタッフは、基本的に一階事務所か工場内ということを、率先して示していたのだ。(って本当は50過ぎたおじさん二人と一日中一緒にいるのがイヤなだけだったりもしたが。)
「先日局の方から、徴兵の指示がでまして、当社からも1名を軍に出すことになりました。」
中国側の副社長が言った。
「で、軍のリクルーターが来て、色々と相談したのですが彼を出す事にしました。」
そういうと彼は、採用時の履歴書を出した。
「これって拒否はできないんですか?」
僕は一応聞いてみた。
「国民の義務ですから。」
「徴兵期間は?」
「2年から3年でしょう」
「徴兵期間終了後の現職場への復帰の保証。それと徴兵期間中、給与の一部をなんらかの名目で、本人に支払ってあげることができますか?」
「現職場への復帰の保証はそちらが良ければ問題ないでしょう。給与の一部を払ってあげれば家族も喜ぶと思いますが、社長の意見はいかがですか?」
中国側の副社長が、社長に尋ねた。
「こないだ聞いたけど、軍の給料は雀の涙ほどしかでないらしいです。」
僕は日本語で社長に言った。
「適当な名目がつきますか?」
「経理と相談しますが、問題ないかと思います。」
「じゃあ、基本給の6割を給付という方向で調整して下さい。円君それでいいですね?」
「はい。」
中国側の副社長は、部屋を出て行った。応接室には軍のリクルーターがまっているのだ。
「徴兵なんてまだあるんですねえ」
僕は社長に言った。
「う~ん。私が子供の時ですからねえ。日本に徴兵制があったのは。私もちょっとびっくりしました。」
「僕なんて、テレビの中の世界の話ですよ。徴兵なんて~のは。大体10億以上の人間がいて、なんで志願兵じゃ足りないんですかねえ?」
「まあ、いくら人口が多くたって、みんなが兵隊になれるほどの教養があるとは限らないんでしょう。彼がいくのは海軍だそうだから。銃の引き金をひければいい陸軍とは違うんですよ」
そういうものか?
そんな話をしながら、社長室のソファでインスタントコーヒーを飲んでいると、秘書の王さんが入ってきた。
「軍に入る前に壮行会をやるんですけど、いつがいいでしょうか?」
「そうですね。別にいつでもいいですよ。どこでやるんですか?」
「会社の食堂の二階でいいそうです。」
「それでいいですけど、料理はきちんとしたもの出してあげてください」
「円さんは、いつがいいですか?」
「オレも?」
「当然です。直属の部下が軍隊にいくんですから。」
「いつでもいいけど、他に誰が来るの?」
「会社からは三人の他に工場長。あとは彼本人とご両親。軍のリクルーターです。」
「いつでもいいよ。でも料理には石班魚と龍蝦をつけてあげて。海軍なんだから。」
石班魚というのはハタの仲間で、中国の南方では日本におけるタイの様な位置着けをされている魚だ。龍蝦とは伊勢エビの事。このあたりの「豪華な食事」には欠かせない食材だ。
「海軍とは関係ないですけど、つけるように言われた事は言っておきます。」
「有事の徴兵ではないですけど、一応軍隊ですから。日本の習慣みたいなものだといっといて下さい。」
社長もそういうと、王さんはノートに書き留め、スケジュールを調整すべく部屋を出て行った。
『やっぱ最後は「ばんざ~い!!」とかやるんですかね?』
僕は社長に聞いた。
「日本だったらそうだけどなあ~。中国はどうなんでしょう?」
「まさかこんな歳の自分が、部下を軍隊に出す壮行会に出るとは思いもしませんでしたよ。」
「ははは。円君からすればそうでしょうねえ~」
「大体、人民解放軍の仮想的の中には日本も入っているでしょう?なんか複雑です。」
「確かに、自分の国を攻めるかもしれない軍隊に人間おくりだすんですからねえ。バンザイはないかもしれないなあ。」
僕等の工場の隣は、建設資材用の砂を内陸から運び込む為の港になっていた。
僕と社長は、窓から港に砂がつけられ、菜っ葉色の作業服を着た連中が、スコップで砂を船から港に降ろすのを見ながら、インスタントコーヒーを飲み干した。
(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)
彼の壮行会は一週間後の夕方に行われた。
勤務態度の立派さなんかで乾杯を何度かして、料理を食べた。
両親も本人も楽しそうにしていたが、僕はドラマの世界でしか見たことがない状況に、今、自分がいるのにとまどっていた。
そりゃあ、今は有事ではないし、彼が徴兵されている数年のうちに中国がどこかと戦争することもないだろう。
僕は徴兵というと有事の徴兵しかテレビや映画で見たことがないから、すぐに死ぬかもしれない戦場に送り込まれるような気がして、なんとなく両親の顔も見られなかった。
食事が終わって、僕は用意していた餞別を出した。
アルミニュウムのパッキング付の弁当箱にビクトリノックスの他用途ナイフや救急の絆創膏、マッチ、発火セットなどの入ったサバイバルセットだ。中国の田舎に出張でいくと、こういう物をもっていないと不便を感じることが多かったので、日本からもってきていたのだった。
配属が海軍と聞いていたので、一応日本から出張で来た人が使わないでおいていったコンドームと米ドル札で20ドルをいれておいた。
まあ、コンドームは本来の目的に使わなくても、緊急時に水を入れる事もできるわけだし。
海軍だからアジア地域にでかけることはあるかも知れない。
20ドルあれば記念のお土産くらいは買えるであろうと思ったのだ。
果たして人民解放軍の兵士がUSドルをもっていていいのか?という問題は一応考えたのだが、その辺は本人が最終決定すれば良いことで。
日本円よりはUSドルの方が使い勝手が良いと思ったのだ。
帰り際、軍のリクルーターと彼が敬礼したので、僕と社長も敬礼を返した。
彼らを乗せた会社の車をみおくってから工場長が日本語で言った。
「カワイソネエ」
(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)
数年が過ぎて、合弁形式で運営していた僕等の会社も軌道に乗り、今後は日本側の経営に任せる形で運営をしていくという方向に話が進んでいた。
当初中国側には日本の経営システムを学ぶという目的があったのだが、中国側から派遣される経営管理者は、身内を優先して採用するなどという中国的な弊害を断ち切る事ができず、むしろ経営の阻害要因になっているということが董事会の中国人にも理解されはじめたのだった。
また、合弁契約上、中国側の副社長には日本側の副社長と同額の給与が支払われることになっていたが、本人には中国の国営会社の社長クラスの数万円分しか払われず、ほとんどは中国側の出資会社が没収する形になっていた。
そうしないと出資会社の社長の給与より、合弁会社に出向した人間の給与の方が何倍も高いという矛盾が生じるために、仕方のない処置だったのだが、これはなかなか厄介な問題だった。
また中国側の出資会社を通しておこなう原材料の供給に関しても、いくつかの問題があった。
それらをまとめてかたづける方法として、中国側は経営の一切を日本側にまかせるかわりに、配当だけ保証させるという請負制度を提案してきたのだった。
僕には、そのまま現地に現職のまま残るという選択も残された。
また非公式に、日本側の出資会社でもある大手企業に中途入社するという選択も与えられた。
大手企業の面倒さは、ここまでで十分わかっていたので、中途入社は最初から僕の選択肢にはなかった。
合弁契約から付き合った会社に愛着はあったが、今回の経営方針の変更により日本側の社長も変更になることが決まり、それは中国語も中国も知らない人物なのが、僕が残留という結論に至らない原因の一つだった。
中国のルールは日本とは違う。
でも実際は「弱肉強食」という極めてシンプルなルールで、力を行使できるときにはそれができるということを明確にしてやっていけばいいということなのだが、それが日本的な考えでやってきた人にはなかなか理解できないのだ。
謙虚にふるまっても、相手は「たいしたことないな」と図に乗り、最初から「やるぞ!!」といっておけば、余計な抵抗もなく進んだ事が、それを言わなかった為に、時間を浪費することが多々あった。
そのほかにも色々あるのだが、それを一から教えるのも激しく面倒だった。
そんなこんなで、今後どうするかを考えていたとき、軍隊に行った彼が戻ってきた。
さぞかし男らしくなって帰ってきただろうと迎えた僕の目に映ったのは、思いがけない彼の姿だった。
ビクビクと怯えるようにして、目が落ち着かず、顔も軍に行く前にあったおおらかな感じが消えて、凄まじく神経質な雰囲気になっていた。
まるで猫ばかりの檻に入れられたネズミのようだった。
話を聞くと、潜水艦勤務だったという。
僕の叔父が自衛隊で潜水艦勤務をしていたことがあり、潜水艦勤務の厳しさはちょこっと聞いていたので、徴兵された彼がどんな思いで徴兵期間を過ごしたかは、なんとなく理解できた。
中国において、「核施設」やら「潜水艦」などの軍事施設に関して、必要以上の興味をしめすと面倒なことになるというのは知っていたので、僕は「そう、それは大変だったね」と話をスルーして、彼を1ヶ月の準備期間をおいて、元の職場に復帰させるように人事課に書類を回した。
(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)
数週間後の早朝、朝の会議前に僕と工場長が一階の工場事務所で話していると、去年採用した、専門学校卒の子が入ってきて、新聞を読み出した。
幹部候補生として採用したのだが、一年間は工員と一緒に働かせて、今月から適性に応じて、各セクションに配属していた子だ。
彼は生産管理課に配属されていた。
朝の会議前でも、工場は動き始めている。
実際の加工処理がはじまるのはこの会議の後だが、その前処理はすでに始まっている。
また加工処理の準備もすでにはじまっている。
それらに立ち会い、今日の生産が問題なくはじめられるか事前にチェックするのは彼の重要な仕事だった。
生産管理課の課長は当然まだ工場の中だ。
彼は新聞の株式欄を見て、どこそこの株があがったみたいなことを独り言のように言っていた。
僕のただならぬ気配に工場長が気づき、彼を工場に戻した。
「なんだ、あれは」
僕は工場長に言った。
「自分の仕事が終わったなら、先にここへきて、新聞を読んでいても俺は何もいわない。でもな、あいつの読んでいたのは株式欄だろ?大学で金融やら経済学んだ人間が朝一番に株式欄見るのは当然としても、技術職として専門学校いって、専門職として雇われた新人には株がもうかったもうからないなんて新聞で見る前に、なんかやることがあるんじゃないか?」
工場長は、ため息をついた。
「あのな、この国みたいに資本が余っているわけでもない国では、製造に関する能力がしっかりできて、はじめて外国からの資本も流れてくるし、金融や株式投資なんてのも成り立つんだぞ?なのにあのバカはなんだ?これからの国の根幹をつくる製造関係の管理をやる人間が、朝から自分のもっている株の値段のチェックか?そんなヒマあったら、プラントがまっとうに動いているかチェックしろ!!まったくこれがこの先10年、20年と国を支えていく若者のあるべき姿か?あいつらは、この国が、投資や株式だけで、手を汚すこともなくやっていけると思っているのかね?」
そういうと僕は一階の工場事務室を出た。
丁度一時間遅れてはじまる、一番最後の工程の女の子たちが出勤してくる時間で、僕たちは朝の挨拶を交わした。
すでに白いシャツに黒いスパッツなんていう姿の女の子は一人もいず、誰もが柄物のワンピースや、質感はよくないものの、華やかな色のセーターにジーンズという格好だった。
僕は会社を出て、近くのきれいとはいえない屋台のような店で、ワンタンと沙茶麺を頼んだ。二つで日本円にして40円のこの店には、女性はいないが、内陸から出てきて働いているのであろう男達が、五年前の女の子達と同じように、縫製の悪いズボンと白いシャツで食事をしていた。
僕はワンタンに胡椒を大量に入れながら、一年前に最初にプラントをたてた工場に招かれた時の事を思い出した。
そこでは僕のオヤジができた製品の販売をやっていたが、工場はすでに3つに増え、本社ビル、ホテル、レストランなどが会社の施設としてできていた。
当時自転車でプラントの設置を見に来ていた社長は、ベンツで僕とオヤジを迎えてくれた。
最初のプラント設置から6年が過ぎて、この会社は省でも有数の会社になっていたのだった。
僕は沙茶麺を食べながら、店の前を駆け足で工場に向かう、うちの会社の女の子と周囲の労働者を見比べた。
彼らの着ている服の差は、たしかに最初のプラントを設置したときの僕の決意が生み出したものだった。
だがその時の僕の心の中には、「自分はもう十分にやった」という気持とともに、「本当に自分のやったことは正しかったのだろうか?」という軽い後悔と訳のわからない苛立ちに似た気持ちが渦巻いていた。
3ヶ月後、僕は5年間の中国勤務を終わりにして、日本に戻った。
僕は怯えた顔はしていなかったが、誇らしい顔もしていなかったと思う。
ただ、死んだ祖父の仏壇に報告がてら、父方の実家(?)に顔を出した時に、叔父が言った。
「円は中国行く前は人を殺しそうな目をしていたけど、ずいぶん静かな目をするようになったなあ」
実家を出てタクシーにのったとき、はじめて涙が出た。
その結果がどうであれ、僕はあの国に与えられるものは総て与え、あの国も僕の人生にかけていた何かを与えてくれたのだということをはじめて理解したからだ。
僕は始めて自分はまだまだガキなのだと痛感した。
総てを惜しみなく与えても、自分の思い通りには他人も、世界もなってはいかない。
そのことはなんとか理解したものの、それを当然と受け止め、さらに楽しめるようになるには、あと三年もの時間が必要になるのだった。
The end.
Uploads on coming monday!!
see you (^_-)
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