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2004.12.06

僕とヘルニア友人とみゆちゃんと(プロローグ)

三カ国語をネイティブに話す才女。そして二児の母。立派な職場で働いているけど、それがどこかは言えないみゆちゃんと、ヘルニア友人&僕の物語。

みゆちゃんの家の近くにある、小料理屋のような、とてもおいしい中華料理店。

前菜の三品盛り合わせとともに、ヘルニア友人とみゆちゃんの生ビールと、4月の手術以来、飲むとジンマシンが出てしまう僕の為の、冷たいウーロン茶が運ばれて来た。

「じゃ、とりあずかんぱ~い!!」

みんなで乾杯するとみゆちゃんが言った。

「今日はモトちゃんどうしたの?」

「モトちゃんは日曜日バンドの練習。」

「また、パンクバンド復活させたの?」

「いまさらデビューを目指す訳でもあるまいし。三十も半ば過ぎてバンド活動を再開させるなんて、あの男、何を考えているんだか」

ヘルニア友人が、辛く味をつけたイカを食べながら言った。

結婚してから極めて真面目になったモトちゃんだが、若い頃は「山口のセックス・ピストルズ」と言われた男である。

その彼が今更ながら再開したバンド活動に、僕等は一抹の不安を感じていた。

なんといってもモトちゃんの奥さんはいい人である。

僕もヘルニア友人も、この二人が末永く幸せであってほしいと、心から祈っているのだ。

「そういえばさあ、モトちゃんがこの間メールで言ってたんだけど、男は毎日自分ですると、前立腺ガンとか、インポとかになりにくいんだってさ」

僕がそう言った時、隣のテーブルには30代前半と見える6人組みの男女が座った。

「げっ!!そうなの?」

ヘルニア友人が真顔になっていった。

「もう人生も下り坂ですからね。使わない機能からどんどん衰えていくのよ。女だけじゃなくて、男もね。」

みゆちゃんがイヂワルそうな顔をして言った。

去年僕のうちでやった新年鍋パーティで、みゆちゃんは娘をつれてきた。

そして僕に「こうやってならべるとさ、やっぱ肌とかにはっきり差が出るよね。親子でも」と言われ、「あなたねえ~!!まだ4歳の当然処女のうちの娘と、二人の子供産んだ母親の私とを、女として同じまな板にのせて比較しないでくれるっ(>_<)」とキレたのだった。

その時の事を、まだ根に持っているらしい。

「俺、自分でするの嫌いなんだけど・・・」

ヘルニア友人がとなりの席のグループの耳を気にして小さい声でいった。

「だったら風俗でもいけばいいじゃん。定期的に」

僕も同じような小さな声で言った。

「いや、風俗とかで、あったばっかりの女の子とするのもイヤなんだよ」

「じゃあ、彼女つくらないと」

「今のところアテがない。本当に使わないとインポや前立腺ガンになるのか?」

「こないだ新聞に出てたわよ。つかわないでいると、本当に彼女が出来たときに使い物にならなくなるわよっ!!」

何故かイライラしながら、みゆちゃんが言った。

10歳上の旦那を持つみゆちゃんが言うと、なんとなく現実味があるような・・・

「う~ん。でも、自分でやるのも、風俗にいくのも嫌いな俺はどうすればいいんだ・・・」

ヘルニア友人のその一言でみゆちゃんはキレた。

「やるのよ!!オナニーするの!!自分でゴシゴシとねっ!!イヤだろうが、なんだろうが、風俗行きたくないなら自分で出しなさい。私はもう友達紹介したりはしないからねっ!!そうしないと本当に立たなくなっちゃうわよっ!!」

みゆちゃんの声はとなりのテーブルの男女にも届いていた。

僕がそっと横目で隣のテーブルを見ると、六人全員が、みゆちゃんの過激な発言内容に、メニューを前にして固まっていた。


(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)


その日。

正月の初夢に、みゆちゃんのうちにある稲荷が深くかかわっていると確信させるような奇怪な初夢を見た僕は、ミユミユ稲荷(仮称)の調査(?)をしたついでに、ヘルニアが治り、再就職したヘルニア友人のお祝いをやっていたのだった。

ミユミユ稲荷というのは、みゆちゃんの実家の庭(まあ、そこにみゆちゃんの家もたっているのだが)にあるお稲荷さんの事だ。

話は5年ほど前にさかのぼる。

新築祝いをかねて、ぼくらはみゆちゃんの新居にお邪魔した。

冬の6時過ぎに、みゆちゃんの家に集合だったため、周囲はすでに暗くなっていた。

門から実家のわきを通り、庭に出た。

その庭の左側に、「お庭に子供のためのお勉強部屋をたてましたの」って感じで、みゆちゃんの家がたっているのだが、立っているのは六畳プレハブの勉強部屋ではなく、40畳はあろうかというリビングをもつ、一戸建である。

だが、僕の視線は、みゆちゃんの家にはほんのわずかに注意を払っただけで、庭の中央にある黒く沈んだ木々の茂みに集中した。

「あの木陰には何かある・・・」

若い頃、気功をかじったことのある僕は、幽霊が見えたりはしないものの、「気」は感じる事が出来る。

昔、混み合った大通りを信号待ちしていて渡ろうとしたところ、むこうから異様なまでに強力な気が近づいてくるのがわかった。

「何だこりゃ?」

そう思っていると、人混みの中からあらわれたのは、若き日(それでも現役はとっくに引退してたけど)のガッツ石松だった。

最近は試していないのでわからないが、昔はコンセントのところから、壁に手をあてると、壁のなかの電気配線がどこを通っているかわかったものだ。

その僕の鋭敏な感覚は、みゆ家の庭の一画にある茂みのなかに、なんらかの尋常でない存在をとらえていたのだった。

挨拶を終え、食事をして、ヘルニア友人ともども、みゆちゃんの家をガサ入れして、リビングにある薪ストーブをとりあえず「これくれない?」と頼んでみて、「これだけはダメ!!」と断られたあとで、僕等はおいとますることにした。

そして庭に出ると、やはり先ほどの一画から強烈な気を感じる。

あまりにも気になったので、僕はみゆちゃんにきいてみた。

「あのさ、来たときから感じていたんだけど、あの木の茂った所の向こう側に何かあるよね?」

「えっ?」みゆちゃんが驚いた顔をした。

「わかるの?」

「うん。結構すごい気が出てるような。何があるのかわからないけど」

「そうなんだ。実はね、あそこには、古いお稲荷さんがあるのよ。おじいちゃまの代からあるんで、そのまま祀ってあるんだけど。やっぱわかるんだ。」

「うっ!!学生時代から非常識にでかい家だと思っていたら、庭にそんな妖しげなものを祀っていたのか!!」

オカルトは大の苦手なヘルニア友人が、気味悪そうな顔をして、茂みを見た。

「でもさあ、俺の気功は独学だし、別に神社があるたびに感じる訳じゃないから、その稲荷は相当強力だと思うよ。だってこの庭に入って来た途端に感じたもん。こんなこと今まで一度もなかったし」

門のところでみゆちゃんと別れ、僕とヘルニア友人は歩き出した。

駅までぶらぶら歩きながらヘルニア友人が言った。

「あのさ、みゆちゃんてナニゲに友達甲斐がないと思わね?」

「ん?」

「普通さ、大学時代からの男友達が、30過ぎて結婚してなければ、適当に良さそうな友達見繕って、紹介してくれたりしないか?」

「まあね。でもしてくれた事あったじゃん。○さん気に入らなかっただけで」

ヘルニア友人は大学では同期だが、年齢的には僕よりも上だ。

従い、長幼の序をわきまえた礼儀正しい僕は、彼を「さん」付けで呼ぶ。

「銀座で会った女の子と明菜ちゃんだろ?あれはしょうがないジャン。悪いけどさあ、俺がこの歳になるまでに知り合った女の子のワースト2があの二人だぞ」

「でも、銀座で紹介してもらった子は性格よかったじゃん」

「でも、おまえ、『ドルフィンスイムですか?私もいきたいなあ~』って言われた時、誘わなかったじゃん」

「いや、それはみゆちゃんが、〇さんに紹介してくれた女の子だから悪いかなと思って・・・・」

この突っ込みは痛かった。

話が拡大しないうちにまとめなければヤバい感じだ。

「でも、まあ、みゆちゃんも俺達の好みはしってるはずだから、それなりに好みに合わせた女の子を紹介してくれてもいいよね(^_^;)」

「そうだろ?俺とみゆちゃんの付き合いはおまえとみゆちゃんより2年長いんだぞ?別に大好きな中山美穂みたいな女の子を紹介してくれとは、俺だって言ってないし。ごくごく普通の女の子を紹介してほしいんだよ。偏差値でいえば45、いや43以上でいいや。美人って訳ではないけど、見るのもイヤになるほど不細工でもない、性格もすっごく良いって訳でもないけど、あきらかに悪くもない。そういう普通の子を紹介して欲しい訳よ。俺としては。」

「まあ、普通は難しい事ではないよね」

「それでも、俺が女性の前でチェーンスモーキングしたりしたときには、文句言ってくれっていいたいわけよ。俺としては。」

電車にのり、10分ほどして僕等は別れた。

一人になった僕は、満員電車のなかで、周囲を知らない人達に囲まれ、することもないまま、思い出していた。

数年前の銀座でおこった「忍法隠れ身の術」事件を。

そして、今や仲間内で伝説にまでなっている「明菜ちゃん事件」を・・・


To be continue.

Uploads on coming monday!!

see you (^_-)

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