恐怖!!鶴の湯旧道!!ーその1ー
露天、混浴、秘湯。東北のパラダイスを目指した僕たちに
ブレアウイッチな森が・・・
「あのな、円。体調悪いんだろ?東京にいないで
温泉いこうぜ!!湯治だよ湯治!!絶対体にいいって!!」
中国での二年間の勤務の末、体をガタガタにして、一時帰国、
休養してる僕のもとに、中学時代から付き合いのある友人が、
電話をくれたのは、もう何年も前の事だ。
彼との長い付き合いに感謝の意をこめて、ここでは、
「我が友」とよばせていただく。
「おまえは中国いたから知らないだろうけど、今、日本は
温泉ブームなんだよ!!女子大生もOLも、連休には
みんな友達同士で、温泉にいくんだ!!。しかもな、俺
が今、おまえと行こうとしてるのは、秋田藩の殿様の
隠し湯だったところで露天なんだよ!!更に混浴!!
露天で混浴だぜ?!おまえ見たことある?露天で混浴!!
ないよな?俺と同じ東京生まれの東京育ちだもん。
しかもこのシーズンは、紅葉がきれいなんだよ!!紅葉に
露天で混浴なんだぜ!!もう、いくっきゃないでしょ!!」
確かに僕は、二年間中国にいたさ。だけど、そういう人
の為に、日本の新聞を3日遅れくらいで、国際郵便で運んで
くれるサービスがある。
だから日本の事情くらい、ちゃんと知ってるのだ。
「温泉ブームは去年の話だろ?しかも混浴目指して行った
都会の男共は、行ったはいいが、混浴していたのは、地元の
おばちゃんばっかしで、おもいっきし、視姦されて帰って
きたと聞いてるぞ」
「チッチッチッチッ!!」我が友は電話の向こうで、怪傑
ズバットのようにシュラッグした。
「円くん。このオレが、そんな凡ミスするわけがないでしょ。
それは淫欲にまみれた、未熟者の顛末な訳よ。オレのような
熟練者は、そういう淫欲にまみれた連中にはたどりつけない
所を狙う訳よ。だから、秋田藩の殿様の隠し湯。エロ男には
簡単にたどり着けない場所。しかも、一泊二食付きで5000
なんぼ。安いだろ?安くて、紅葉を楽しめて、露天で混浴。
ああ俺って、なんていい友達なんだっ!!」
でもなあ~往復新幹線でいったら、宿泊費は五千円でも、
それなりにするような・・・・それなら都内のホテルで
のんびりルームサービスと室内プール楽しんだほうが
いいような・・・・・
「バカかっ!!おまえは!!中国ではホテル住まいだろ?!
日本に帰ってきてまで、お金つかってホテル泊まって、
どーすんだよ!!日本で外泊するなら、日本情緒あふれる、
ジャパニーズ・トラディショナル・おやど。すなわち、旅館だろ!!
(ジャパニーズ・トラディショナル・ホテルじゃないのか?
ジャパニーズ・トラディショナル・お宿って・・・)
二年間も異国でがんばってきた親友の為に、オレが日本情緒を
たっぷり味あわせてやろうっていうのに、その乗り気のなさは、
なんだよっ!!」
何故か我が友はキレた。しかもマジ切れだ。まあ、中国では
一ヶ月五万円で暮らせたので、お金はたっぷりあるし。我が友の、
「すべての手配はオレがするから、おまえは一緒にくるだけだ」
という言葉もあったので、僕は「わかったよ。いくよ」と答えた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
はじめて乗る東北新幹線は、やけに座席が狭くて(東北新幹線
の工事に苦労なされたみなさんの名誉の為に、僕の肩幅は
平均的な日本人より広いことを断っておきます。普通の日本人なら
丁度良いかと)僕はウォークマンをききっぱなしだった。
となりの我が友は、ガイドブックを眺めながら、やけにご機嫌だ。
きっと紅葉の露天風呂で肌が紅葉色に染まった女の子の群れ
でも想像してるのだろう。
乗るとき、駅弁を買おうとしたら、「むこうについたら、この店で
昼くうぞ!!わかってるだろうな?」とガイドブックをみせられて
言われた。
僕は日本情緒あふれる駅弁をあきらめ、サンドイッチとカフェオレを買った。
新幹線だから一時間半くらいでつくのかと思ったら、全然そんなこと
はなく、喉がかわいたので、コーヒー飲んだら胃が痛くなった。
やっぱこなければ良かった。いや、来るなら、日本情緒たっぷりの
夜行電車で寝ながらくればよかった。新幹線が走ってる今、あるか
どうかしらないけど。
盛岡で新幹線を降りた僕等は、駅の近くの海鮮どんぶりやにいった。
我が友は、いくら丼を頼み、「うわっ!!こんなにイクラがのってるっ!!すげえ~!!さすが東北!!」とのたまわられた。
北海道でイクラが沢山のってたら、さっすが!!だけど、東北でも、
イクラが多いと、さっすが!!なのか?
いや、築地でイクラ丼頼んで「さすが築地!!イクラがこんなに!!」
はアリだろうから、まあ、いいんだろうな。
それから先の事は申し訳ないのだが、記憶がすっぽり抜け
落ちている。
記憶が戻るのは、乳頭温泉の鶴の湯に向かうバスにのった
あたりからだ。
すでに午後の半ば頃だった。ごく普通のワンマンバスに僕等は
のったが、バスは山道を走っていく。
「どこで降りるかわかってるんだろうな?」僕は外の景色を
見ながら、我が友に聞いた。「もちろんだよ。きまってんだろ」
僕は我が友の答える声のなかに、かすかな不安を感じた。
彼の顔を見たとき、「次は鶴の湯旧道」というアナウンスが
流れた。我が友は、すかさず降車ボタンを押した。
そして僕等は「鶴の湯旧道」で降りた。
だが、おりるのが、僕等二人だけなのはともかく、バスにのっていたすべての乗客が「おまえさん達、こんなところでおりるのかえ?」って顔で僕等二人を見ていたのを、僕は見逃さなかった。
そしてバスが去ったあと、僕等二人の前にあったのは、
ブレアウイッチな森だけだった・・・・
(To be continue.Uploads soon!!)
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