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2004.03.29

みのちゃんのココログ妖怪ハンター(その2)

みんなの平和なココログに潜む巨大な闇(?)ココログ妖怪系管理人。
21世紀の病める日本の縮図が、このバーチャルワールドにも?
不思議系友人みのちゃんの追撃はつづく!!

僕はみのちゃんの言うところの、C級妖怪系管理人のコメント欄を、新しいところから開いていった。

毎回4~5件のコメントがあり、どれも友達からのたわいのないコメントのようだ。
「風邪、早くなおしてくださいね」
「ありがとう」

「指を切ったんですか。そそっかしいですね」
「テヘッ!!気をつけま~す」(なんかかわいいかも)

だがその中に、毎回一件、なが~いコメントがあった。

「指をきったんですかいや~いたそうだなあ~ぼくがゆびを最後にきったのは13年前ですあのときもやっぱいたかったもんなあ(以下8行省略)」

こんな調子だが、まあ、友達同士、別に気にする事はない。
僕はどんどん日付をさかのぼり読んでいった。
そしてココログ開始から二日目の日記にたどり着いた。

すると・・・・・

「こんにちははじめましてびっくりした?ステキなサイト名
なのでコメントしてみました」

?????????

友達じゃないのか?

それは例の、長いコメントの主だった。

その名も「裸体に扇のお調子者」

ピピピピピ!!ピピピピピ!!

痛い!!痛いよお~!!僕の松果体がうずきまくっているよお~!!

僕はみのちゃんに、メールを送った。

『最初友達からのコメントってことで、別にかわった事ないと思ってたけれども、この「裸体に扇のお調子者」ってニックネームの人。この女の子の友達でも、なんでもないみたいですね。そう考えると、文章はそんな雰囲気でもないけど、ニックネームそのものが、セクハラチックな気がします。』

皆さんが女性なら考えてほしい。ある日、自分の日記ブログに「裸体に扇のお調子者」とか「ふんどし一丁男の証」とかいうペンネームの見も知らぬ男性がコメントつけてきたら?

男性なら、「血まみれタンポン」とか「赤いはんぺん」とかいうペンネームの人がコメントつけてきたら?

僕ならイヤだっ!!絶対イヤ!!

ブ~ッ ブ~ッ

いつもバイブレーションにしている、僕の携帯が、机の上でうなりをあげた。

みのちゃんからだ!!

「さすがは円さんです。やっぱり気が付きましたか・・・やっぱり僕が見込んだ一級プロファイラーだけの事はある!!彼が我々妖怪ハンターが最初に見つけた、危険度の高い妖怪(系管理人)。B級妖怪(系管理人)コードネーム「ラオウ」ですっ!!」

YOU ARE SHOCK!!

クリスタル・キングが歌う「北斗の拳」の主題歌が、僕の頭の中にいきなり響いた!!

「B級妖怪系管理人 ラオウ!!」

それは「体にのお調子者」というニックネームだからか?

「その通りです。「裸体のお調子者」略してラオウ。これ以外のコードネームありますか?」

僕は「北斗の拳」では、雲のジュウザの次にラオウが好きなのだが、そういわれると、確かにコードネームをつけるとしたら「ラオウ」かもしれない・・・・・

「このラオウの場合、書いていることはギリギリまともです。でもニックネームがセクハラチックなのと、何よりも、コイツ(みのちゃんの分際で他人をコイツ?)の文章には句読点がないっ!!これが妖怪(系管理人)の証です!!

た、たしかに・・・・正常な知性をもっているなら句点を省略しても、読点くらいは・・・・漢字はかけてるし・・・

「でも、なんでB級?この女の子のココログ、10日分書いたきりで、二週間前から、更新されてないよね?これって“ラオウ”に立て続けにコメント入れられて、怖くなっちゃったんで、やめちゃったんじゃないの?立派に人様の迷惑になってると思うけど・・・」

『くうっ!!。円さん!!あなたは本当に素晴らしいプロファイラーだ!!僕も最初は「来たぜ!!A級ど真ん中!!」って思ってたんです。でも、一応姉に「この裸体に扇のお調子者ってセクハラチックじゃない?」って言ってみたんですよ。そうしたら姉が「気にならなかったけど、そういわれてみれば、そうねえ~。」っていうので、円さん同様「このコメントがイヤでやめちゃったんじゃないかなあ?」って聞いたら、「そうかもねえ」っていうんです。で、「姉さん、この子に聞いてみてよ」って頼んだんですよ。もちろん最初姉は「ええっ!!」って言って嫌がりました。なんたって会社の問題児だし、C級といえども妖怪(系管理人)ですからね。僕たち特殊能力を持った妖怪ハンターならともかく、パンピーの人間にとっては、接触するだけでも危険なんです』

そんな、接触するだけで、危険だなんて・・・・

それよりも、僕達って・・・・しかも妖怪ハンター?

『でも、僕が必死に頼んだので姉も渋々引き受けてくれました。その為に僕、姉が買ってる「LALA」と「花とゆめ」を三ヶ月分払ってあげることになったんですけど。で、姉は彼女に「ねえ、最近インターネットの日記やめちゃったみたいだけど、どうしたの?うちの弟がなんか、“裸体に扇のお調子者”っていう人のコメントが怖いからじゃないかな?って言っていたんだけど」って聞いてくれたんです』

LALA?花とゆめ?

『そうしたら、彼女、いきなり目をウルウルさせたと思ったら、泣き出しちゃったそうなんですよ!!「そうなんです!!せっかく自分のHPもてたと思ったらいきなり変な名前の人がやってきて毎回コメントいれるし。しかも句読点がまったくないんですよ?村上龍の小説に出てくるちょっと頭のおかしい人みたいじゃないですか!!私、もうこわくてこわくて・・・」いきなり泣き出したので周囲の人が、姉が彼女の事いじめてるのか?って顔で見たそうです。「私、すっごい恥かいちゃったんだからね」って言われて、僕、結局、4ヶ月分のLALAと花ゆめ代払わさせられる事になったんですけど。』

はあ・・・

「あ、すいません。それでですね、何故ラオウがA級妖怪でなくてB級なのか説明する前に、我々妖怪ハンターの間で確認しておきたいことがあるんです。」

「何?」

このさい、「我々」と「妖怪ハンター」に関しては、先送りにすることにした。

「それは、この一件からみて、二つの法則が導かれると言うことです。」

法則・・・・

「ココログ妖怪(系管理人)法則その1!!」

ココログ妖怪法則?!

「妖怪(系管理人)のココログは、妖怪(系管理人)を呼ぶ!!」

(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)(-_-)

「ココログ妖怪(系管理人)法則その2!!」

まだあるのかっ!!

「上級妖怪(系管理人)は下級妖怪(系管理人)をコメント欄を利用して喰らう!!」

(-_-;)(-_-;)(-_-;)(-_-;)(-_-;)

「どうですかっ!!円さん!!凄いでしょ?ヤツ等の行動には法則性があるんです!!これは僕たち妖怪ハンターにとっては、極めて重要な事です!!それではこれから、ラオウがどうしてB級なのかを説明します!!ラオウのコメントのところの“裸体に扇のお調子者”ってところをクリックして下さい!!そうしたら、ラオウのココログに跳ぶ事ができます!!」

僕は「裸体に扇のお調子者」をクリックした。

するといきなり部屋中に「パオ~ン(ゾウ?!)ウキキキキ(サル?)ギャ~(恐竜?)」などという動物の鳴き声のようなものが響いた!!

何事かっ?!

そして僕の目の前に現れたのは・・・・・


『裸体の王国』!!


それこそが、コッポラの『地獄の黙示録』を思わせる、深い緑を基調にしながらも、何故か毒々しさを感じさせる、妙にショッキング且つカラフルな“ラオウ”のココログなのだった!!

みのちゃん!!これでもヤツは、B級妖怪なのかあ~っ?!

(To be continue)

NEXT 「みのちゃんの妖怪ココログハンター(その3)」
Uploads on coming monday!!
see you (^_-)

///////////////////////////////////////////////
今回、次回には、固有のサイト名及びニックネーム
がでてきます。しかし、これらの固有名詞は現時点
(2004年3月29日午前9時30分)でココログ内に
確認されておらず、完全に架空のものです。
以後同名のサイト及びニックネームが使用されても、
当方及び、この記事には、一切関係ないことを、ここ
に明記させていただきます。          円海


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2004.03.25

ゆんたくアクマちゃん02

こんちは!!円です。「ゆんたくアクマちゃん02」書いたんですが、
あまりに長く、このサイトにのせると、もてあます感じなので、
「B型悪魔のキモチ」と改名して別途サイトを作成しました。
左のIt’s My blog リンクから行けると思いますが、
http://tasteblood.cocolog-nifty.com/gekiken/がアドレスです。
今日、思いついて、さっきガシガシ!!ってはじめたんで、
まだ工事中に近い状態ですが、とりあえず読めます。コメントも
受け付けるにしましたが、コメントたどり着くまでに、挫折する人が
・・・・・・・長いです。

なんか目が痛くなりそうなんで、デザインもそのうち変えようと
思ってますがそれまでは、お見苦しいままで。更新は不定期
ですが、B型悪魔系より多いかも・・・・・・・

P.S「みのちゃんのココログ妖怪ハンター(前編)」ですが、多分
   数日中にこっそり「みのちゃんのココログ妖怪ハンター(その1)」
   に変更されると思います(-_-;)


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2004.03.22

みのちゃんのココログ妖怪ハンター(その1)

時は流れ今。不思議君なみのちゃんの、ココログの平和を守る為(?)の独断と偏見に満ちた不思議ワールドが花開く!!

時は流れ、サトシ君は結婚し、真夜中の暴君も以前のような
破天荒さはなくなった。

今では、みのちゃんとも、年末の忘年会の時に顔を合わせる
くらいだが、月に一度くらいはメールをくれる。

あまり話すのが得意ではないみのちゃんだが、メール
ではなかなか饒舌だ。みのちゃんは、サバイバリスト
にあこがれ、格闘技マニアで、ミリタリーマニアなのだ
そうだ。

言うことも微妙にきつい。

「武蔵ダメですね。あんな武術の武の字も知らないような、
でかいだけの素人にやられちゃって。ルール違反だから、
K-1ファイターとしては、あとで怒ってもいいんでしょうが、
武蔵はK-1ファイターである以前に、武人であるべきだと
おもいます。怒る前に、素人にぶちのめされてしまう、武人
としての自分の至らなさを反省できないと、ダメでしょう」

K-1で武蔵がモンターニャ・シウバに反則でやられた
時のメールだ。まあ、確かに一理あると思うが、武蔵に
デコピンされただけでノックアウト確実な、みのちゃんに、
そんなこと言われたのを知ったら、武蔵も怒ると思うぞ。

「円さんまた入院ですか?一昨年は十二指腸潰瘍に
心臓カテーテル検査。去年は耳下腺腫瘍の手術。
今度は膵炎ですか?どの病気も関連性がまったくなくて、
呪われてるとしか思えないですね。でも、そんな自覚が
まったくなく、自分の不幸をネタにして世の中の笑いを取る
のは流石です。でも呪ってる人は救われませんね。
きっとこれからも、ますます激しい呪いをかけてくるんで
しょうね」

自覚がまったくない?あるよ!!最近は、毎日伊吹薬草堂の
御祈祷済み薬草湯はいってるんだいっ!!

そんなみのちゃんが、ある日携帯にメールをしてきた。
ヒマならネットに接続したPCの前でまってて欲しいという。
「円さん。ぼくは凄いこと考えましたよ。でもその話する
前に、円さんのパートナーとしての適正を試させて
もらいたいんです。いや、円さんなら、絶対大丈夫だと
思うんですが。念の為」

パートナー?みのちゃんの?僕は妙な事をいうなと
思いながら、準備ができたことを、みのちゃんの携帯に
メールした。

「まず、このココログのサイトを開いてください」

それは10日ぶんくらいの日記ブログだった。

「女の子の日記ブログじゃないの?」
「ええ、とりあえず、その日記を全部読んで欲しいんです。
そして、その人物に関して、プロファイリングをしてください
それが適正試験です。プロファイリングの結果は、僕のPC
にメールして下さい。じゃあ」

だったら、PCと携帯の二刀流なんてしなくても、最初から
このアドレス見て感想おくってくれって、いえばいいじゃん!!

僕はブログを読み始めた。
「ピピピピピッ」

僕の心のなかの、センサーが鳴った。

「ピピピピピピピピッ」

みのちゃんが言いたいのがこのことかどうかわからない。

だが、ずっと以前、僕はこのパターン認識を示す女の子と
関わったことがある。だからすぐわかった。僕はみのちゃん
にメールを書いた。

「この子は多分、周りの人からは迷惑な子だと思われて
いると思います。ある意味、非常に鋭い感性をもっていて
ズバリと核心をつく能力があり、単純に知性だけをとれば
かなり高いレベルにあります。だけど、言い回しや、この
相手にそれを言っていいかどうか?という事をまったく
考えずにズバリと誰にでも切り込んでしまうので、周囲は
この人のことを単純に、困ったちゃんだと思っているかと。
そのためこのタイプの人の周囲には人間関係でのトラブル
が絶えず、本人は常に自分は能力があるのに、周囲は
どうしてそれを認めず、自分を冷遇するのだろう?と
悩んでいると思います。まあ、単純にコミュニケーション
能力だけが極端に不足してるってことなんですが、それが
わからない人が最近は多いんで。僕は関わりたくないです。
合コンしようとかいわれても、僕はお断りですよ(^^;)」

10分もしないうちにみのちゃんから返事が来た。

「やっぱり僕の目に狂いはありませんでした!!円さんは間違いなくA級プロファイラーです!!」

はあ?なんだ?A級プロファイラーって?
僕の心中の疑問を知る由もなく、みのちゃんは続ける。

「流石は円さんです。僕は友達5人に同じ質問をしましたが、
円さんのように的確なプロファイリングを成し遂げた人は
いなかったです。僕も彼女のブログを読んだとき、ピピピピと
来るモノがあったんです。僕の心の中の、妖怪センサーが
反応したんです。実は彼女、僕の姉の会社の同僚なんです。
会社でも凄い問題になってるそうです。ブログ見ても、それは
感じますよね?円さんは悪魔系管理人を自称していますが、
僕は彼女みたいなのを、妖怪系管理人と名付ける
事にしたんです。」

妖怪系管理人!!いいのか?そんなこと決めつけて?!

「でもね、円さん。彼女は妖怪系管理人としてはまだまだ小物。
いってみれば3級妖怪管理人です。因みに3級というのは僕が
独自に考えた妖怪系管理人ランクで、基本的に自閉していて、
ほかの管理人に迷惑をかける可能性のない妖怪(系管理人)です。
ココログにはもっと凄いのがいるんです!!彼女のココログの
コメント欄を開いて、最新のものから順にコメントを見ていって下さい。
そうしたら、僕の凄い企画を、全部円さんにお話します!!」

A級プロファイラー?3級妖怪系管理人?みんなの平和な
ココログに、いったい何が起こっているんだ!!

僕は彼女へのココログのコメントを開くことにした。
まるで、原作デビルマンで、飛鳥了にデーモンの歴史が埋め込まれ
た石像をかぶることを要請された、不動明のような気分で・・・・

To be continue

NEXT 「みのちゃんのココログ妖怪ハンター(その2)」
Uploads on coming monday!!
see you (^_-)


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みのちゃんのココログ妖怪ハンター(プロローグ)

不思議系?それともアブナイ奴?なんとも奇妙な友人
“みのちゃん”の世界

みのちゃんは小さい。太ってはいないが、色白で
ぽっちゃりした感じだ。そして唇が赤い。

いつも緑色のモトクロスバイクにのってやってくる。
中学時代のあだ名は「とり」だったそうだ。

そういえば小鳥のヒナ(羽毛が生えそろう前の)
に似ているような気がする。無口というほどではないけど
僕等の仲間うちでは、おとなしい部類に属する。まあ、
年齢的にもまだ若いし、しょうがないかもなのだが。

数年前のある日、僕は、当時「真夜中の暴君」と呼ばれて
いた魔人ケンチとサトシ君とでお茶をしていた。

「真夜中の暴君」は、みのちゃんとは正反対で背が高く、
無精ヒゲが似合うなかなかの男だ。しかし、夜の10時を
すぎると、まず「極悪モード」にはいる。この時点で、すでに
一般の人なら「暴走」に近い状態だ。だが彼にとっては
それは単なる肩慣らしで、本当の「暴走」は、11時をすぎた
頃に始まる。人はその彼を、「真夜中の暴君」と呼ぶ。

前に僕の家で鍋パーティをやったときには、席をはずした
ので、トイレにいったのかと思ったら、戻ってきたときには、
全裸にキッチンにあったエプロンだけを纏って戻ってきた。

そして女の子もいる前で、怪しい踊りを披露した。もちろん
後ろを向けばおしりは丸見えだし、そのまま股を開けば
イチモツの先っぽも見えてしまう。鍋パーティは異常な
盛り上がりを見せ、伝説の鍋パーティと言われるまでに
なったが、まだ若かった魔人ケンチは常にそのテンションで
飲む。毎回となると、周りにいる方はつかれてしまう

だから夜の飲会は危険だ。太陽があるうちは、魔人ケンチ
も、ロシア文学を愛し、「自分を愛せないヤツに他人を愛せる
はずがない」という立場から、「I LOVE ME」哲学を訴える
すばらしい青年なのだ(多分)

3人が話すネタにつまり、沈黙が訪れたとき、サトシくんが
思い出したように言った。

「みのちゃんて、いっつもデイバックしょってきますよね?
しかもぺったんこではなくて、微妙にガサばってるじゃ
ないですか?あの中身って何がはいってるか円さん
知ってますか?」

「知らない。男のバックの中身なんて興味ないし」
僕は言った。

「昔の宅八郎みたいに、人形でも入れてるんじゃない?
まあ、みのちゃんなら、森高人形じゃなくて綾波人形だろうけど」
と魔神ケンチ。

みのちゃんに、綾波人形。なかなかありそうな選択だ。

「みのちゃんなら、綾波人形に森高人形の衣装きせてるかもよ」

僕がいうと、魔神ケンチが「ブッ!!」とコーヒーを吹いた。
僕の服に、もろにかかった。最悪だ。真夜中にならなくとも
十分迷惑な人間なのがはっきりした。僕が手ふきで服を拭いて
いると、サトシ君が外を見ていった「あ、みのちゃんだ」

「どうもどうも」外見に似合わず、みのちゃんの声は低い。
しかも大抵、無表情だ。口を開けて笑ったところは見たことがない。
笑うときはニヤリと笑う。肩にはいつものようにデイバックが下がって
いた。

瞬間、僕等は素早く視線を交わし、お互いの意志を確かめ
あった。

「あのさあ、みのちゃんいつもそのバッグもってるよね。
何はいってるのさ」サトシ君がみのちゃんに尋ねた。

「いえ、別に。特別なものははいってませんよ」
いつもと変わらない表情でみのちゃんが答えた。

話がつなぎにくい。すると、みのちゃんの隣に座っていた
魔人ケンチが、いきなり、みのちゃんのデイバックをひったくると
「みせてよ」とジッパーを開けて中身を引っ張り出した。

「あっ・・・・・」

僕等は魔神ケンチの引きずり出したものを見て言葉を失った。

それは8ミリくらいの太さのロープを束ねたものと、
ぶっといロウソクだったからだ。


「みのちゃん・・・・・・・」

それはどう考えてもSMチックな代物で・・・


「真夜中の暴君」と恐れられた魔人ケンチも、さすがにおとなし
そうなみのちゃんのバックからでてきた、太いロープの束と
ぶっといローソクには度肝を抜かれたようだった。

「これは・・・・・」
魔人といえども言葉をなくした。

アルバイトで、某清涼飲料水のCMにも出ているサトシ君だけが
楽しそうな顔をしていった「で、みのちゃんはどっち?縛る方?
縛られる方?」

僕は絶対、縛られる方だと思いながらみのちゃんの顔を見た。

雛鳥っぽく見えるみのちゃんが、マゾだったとしても僕的には
許容範囲だ。だが、Sだとしたら、それは倒錯している。
僕は友達が、同性愛者でも変態でもかまわないが(但し同性愛者の
場合、僕をターゲットにしなければだが)倒錯者は苦手だ。

「ち、ち、ちがいますよ!!」流石にみのちゃんはあわてたように
言った「僕はSMなんかじゃないです。ノーマルです!!」

「じゃあ、なんでこんなぶっといローソクやロープを持ち歩いて
るんだよ!!」気を取り直した魔人が、鋭く追求した。

「鞭も入ってるんじゃないですか?先の割れたヤツ?それとも
乗馬用のヤツ?全部引きずりだしてください!!」

サトシ君がそういうと、魔人ケンチがバッグを逆さにして、中身を
テーブルの上にぶちまけた。「あっ!!」みのちゃんが叫んだ。

僕は鞭だけでなく、ローターやら、極太バイブやら首輪やら
の怪しいものが、どどどっと真っ昼間からあふれ出すシーン
を想像して目をそらした。だが・・・・

「??????」
「??????」

二人の不可思議な沈黙を不審に思い、僕が視線を戻したテーブルの
上にあったのは・・・・・

8字環、携帯用のクッカー、SASサバイバルキット、小型ラジオ・・・

「この銀のは通販のカタログとかにあるNASAのブランケット
ですよね?」とサトシ君

「サバイバルグッズかよっ!!」魔神ケンチが怒ったような声でいった。

「だから言ったじゃないですか!!僕はSMなんかじゃないです。普通の人間です!!」

普通の人間ですって。サディストもマゾヒストも一応普通の人間
の枠内だと思うぞ。まあ、程度にもよるけど。

「これ、なんですか?」サトシ君が緑色の茶筒くらいある円筒形
のプラスティックを手にとっていった。

「EVAC。あけるとガスマスクになるんだよ。使い捨てだけど」
僕が言った。

みのちゃんの目がキラリと光った。
「円さん、やけにくわしいですねえ」

「いや、まあね。海外で仕事してると、安全対策は頭の隅に
おいてあるから。インターネットで、定期的にアメリカの
サバイバル用品の店とかもチェックしてるし。それよりなんで
こんなものを?いつも持ってるわけ?」

「日本だって、いつ、何が起こるかわかりませんよ。僕は
その時に備えているんです。これだけあれば、どこで
大地震にあっても大丈夫ですから」そういいながら、
みのちゃんはバッグにサバイバルグッズをしまいはじめた。
たしかに保存用の安倍川餅や、カロリーメイトまである。
2日間くらいは生きて行けそうだった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

みのちゃんは、流石にちょっと怒ったのか、すぐに帰ってしまった。

「でも、ロウソクとロープが出てきた時にはびっくりしましたよ。
オレ、思わず縛られたみのちゃんが、アナルに、あのぶっといロウソク火をつけて突き立てられて、歯をくいしばってるとこ想像しちゃいました」と魔神ケンチがいった。

「サトシ君が「どっち?」ってきいたときさあ、頼むからMって言って
くれっておもっちゃった。みのちゃんが、Sっぽい女性に縛られてる
ところは、なんとなく想像できるけど、弱そうなみのちゃんが、もっと
弱そうな女の子縛ってロウソク垂らしてるとこなんて想像したら、
まさに地獄絵図だもんなあ」と僕

「みのちゃんより弱そうな女の子っていったら小学校の低学年に
なっちゃいますよ。それはSMでなくて、児童虐待です。単なる」
サトシ君がめずらしくまともな事をいった

「でもさあ、円さん。みのちゃんがサバイバルグッズ持ち歩いている
理由はわかったけど、あれってサバイバルになるんですかねえ?
もし、東京に大地震がおきて、自分が何も持たずに避難所について、
となりに座った、みのちゃんみたいなヤツのデイバックに、いろんな
もんがはいってるのわかったら、オレなら殴り飛ばして、デイバック
ごと奪うな。あれもってることで、いざというとき、みのちゃんは襲撃
される確率が高くなって、危険になるんじゃないですかね?
そこまで考えてないとサバイバルにならないと思うけど」魔神ケンチ
が言った

たしかに・・・・・・

「あ、もうこんな時間だ。飲みにいきましょうよ!!」
僕もサトシ君もやばっ!!っと思った。

「いや、僕は、今日これから友達と会う約束してるんで。
サトシ君といってきなよ」サトシ君が断る前に、僕は、素早く
答えた。サトシ君が僕の顔を見た。僕は視線をそらした。

「しょうがないなあ~。じゃあ、サトシ!!いくぞ!!」
サトシ君をひきつれて魔神ケンチは出て行った。

夜のとばりが静かに降りてこようとしていた。

(To be continue.Uploads soon!!)


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2004.03.18

ゆんたくアクマちゃん 01

こんちは。円です(あ、まどかじゃないんで。プロフィール
の所見てもらえばわかるかと)いきなり日記調ででて
きちゃいましたけど(^^;)

カウンターみてたら、なんだか開始時見てくださった
方が引き続き見てくれているようなので、とりあえずは
御礼をと。

「いい年をした男が3人で」で書きましたけど、入院
しまして、ほとんど寝ないで勤務する研修医の先生や、
見たこともないおじいちゃんの、シモのお世話をする
看護師さんなんかを見て、「いや~えらいなあ~。
いくら給料もらってるとはいえ、見たことも聞いたことも
ない人の命救うためにこんなに・・」と感動した訳で。

まあ、私だけでなく、友人達も今回、そろって不調に
陥った事もあり、退院してから考えて、仕事がうまく
いかなくて落ち込んでたり、病気やケガで、ブルーな
気分の人が、ちょこっと笑ってくれたらいいなあと考えて、
このサイトはじめました。

最初2ヶ月で200いけばなあ~と思ってたんですが、
1ヶ月いかずに、1000に迫る感じで、率直にいって
嬉しいです。どうもありがとう御座います_(_^_)_

月曜日更新させて頂いてる、お馬鹿系ネタは年内一杯
更新できるだけのネタをすでにストックしてあるので、
今年一杯は引き続き楽しんで下さいませ。

ついでに不定期になると思いますが、木曜あたりに、
「ゆんたくアクマちゃん」という日記調のブログやってこう
と思います。

実は「日記調のもやりたいんだよねえ~」といってたら、
仲間内の一人が「僕にタイトルつけさせてください!!」
って言い出して、彼が出してきたのが、この
「ゆんたくアクマちゃん」な訳で。(-_-;)

「あのねえ、俺はダークで、スタイリッシュで、ちょこっと
ユーモラスなブログサイトめざしてんのよ。ティム・バートンの
監督した『バットマン』みたいなさ~」というと

「何いってんですか、今は柳生十兵衛だって『十兵衛ちゃん』
になる時代なんですよ。可愛さがないとダメなんです!!
それにフリーのTVディレクターの友達に教えたら「怪しさ満載
のデザインですな」って言われたって、しょげてたじゃないですか。」

『そりゃ、そうだけど。アクマちゃんはいいとして
「ゆんたく」は古すぎない?』

『方言にハヤリスタリはないんです。大体円さん「沖縄と北海道
の人に、俺の知る範囲で悪い人はいない」って、いつもいってる
じゃないですか。それに、前に沖縄料理みんなで行ったとき、
「毎日ラフティと豆腐チャンプルーでもいいな。俺」とか言ってた
でしょ!!考えてみてください。亭主に死に別れた未亡人や、
彼氏と別れた沖縄美人が、時間をもてあましてパソコンの前に
座って、意味もなく「ゆんたく」と検索してみる。そうすると、この
「ゆんたくアクマちゃん」がひっかかるんです。「ゆんたくアクマちゃん」
や、「B型悪魔系」読んだ沖縄美人の中には、円さんにラフティや
豆腐チャンプルーつくってあげたいっていう人もいるかもしれない
んですよ?食べたくないんですか?沖縄美人の手作りラフティや
豆腐チャンプルー』

沖縄美人の手作りラフティに豆腐チャンプルーと言われた瞬間、
まあいっかって、気分になってしまいました。ダメですね・・・

ダーク&スタイリッシュな世界が果てしなく遠のきます。

それはともかく、「ゆんたくアクマちゃん」考えた子が、21と29に
UP予定の「みのちゃんのココログ妖怪ハンター」の、みのちゃん
です。なんというか・・・・・・・私的には絶句です。


では、月曜日に!!

P.S ところで『十兵衛ちゃん』て何????

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2004.03.16

恐怖!!鶴の湯旧道!!ーエピローグー

恐怖に満ちた(?)ブレアウイッチな森を踏破した
僕たちの東北パラダイスな夜は・・・・


食事まで、まだ少し時間があるが、外はすっかり
暗くなっていた。
もちろん部屋にはテレビなどない。

することもないので、僕は、露天風呂にはいっている
はずの、我が友を見に行くことにした。

きっと露天風呂の中、一人で目だけをだし、女の子が
来るのを待ちかまえているに違いない。

鶴の湯の露天は、旅館の庭にある、池のようだ。
水のかわりに白濁した湯がはいっていて、鯉のかわりに、
人間がはいっている。

僕が露天風呂の所にいくと、広い露天風呂には誰も
いなかった。

いや、いた。

暗闇の中に我が友が、たった一人、湯煙共々、ぼおっと
白い顔を浮き上がらせている。

「女の子来たか?」

頭を振る我が友

「おまえ、そうやって一人で露天独占してるけど、
楽しいか?」

「うるさいなっ!!今、出るところなんだよっ!!
あっちいけ!!」

風呂上がりの我が友は不機嫌そのものだった。

「ちっ!!こんな温泉しかないところで、温泉に
はいらないで、みんな何やってんだ!!ばっかじゃ
ね~のっ!!」

食事は母屋の板張りの広間に、四角くすべての
客が並び、各自の前に膳が出されて食べる。
川魚の焼き物、栗、山菜。まあ、そんなものだ。

若い女の子が3人いたが、みんなカップルだ。みんなで
集まって食べていても、二人だけの世界に入り込んで
出てこない。

ほかはおじさん、おばさんだけだ。

「おい、円。あの人達の言ってることわかるか?」

僕もさっきから気になっていたのだが、おじさん達の
しゃべっていることがまったくわからない。僕等が
東京できく、東北弁の片鱗すらない。大体、単語すら
まったく聞き取れないのだ。
「正直わからん。日本語なのか?少なくても中国語
でも英語でもミンナン語(台湾系の方言)でもないぞ」

注意深くきいていると、やっと一つだけわかる単語が
出てきた。おじさん達の会話のなかに「4WD」という
言葉が出てきたのだ。
「どうやら車の話してるらしいぞ」

食事が終わって、部屋に戻った我が友は、ますます機嫌が
悪くなっていた。
「なんだ!!あの食事は!!何もかも、裏山で拾ったもの
ばっかしじゃないかっ!!オヤジたちの話は、何いってん
だか、ちっともわかんないしっ!!若者は、ちっとも
フレンドリーじゃないし!!ここは本当に日本なのか?!
テレビもなければ、言葉も通じない、同年配の若者は
俺達を無視する!!いったいなんなんだ!!」

そんなこといっても、一泊二食つきで、5000円だからねえ~

「そこらでひろってきた」といっても、山の宿なんだから、
料理が川魚や、山菜になるのは当然であって、大体、秋田藩
の隠し湯なんだから、昼喰ったみたいなイクラ丼が出たら
そのほうが変だと思うのだが。

それに山奥の秘湯にしっぽり濡れに来た若い男女が、お互い
をほおっておいて、我々に話しかけて来るというのも・・・・
ユースホステルじゃないんだから。

「円!!大体おまえみたいな贅沢なヤツがなんでもっと文句
言わないんだ!!中国とはいえ、ホテルのスイートにすんで、
毎日ホテルのレストランで食事してる癖に、なんで頑張り棒
だけでカギもテレビもないところで、裏山で拾った栗や雑草
喰わされて文句いわないんだ!!」

僕が文句をいうのは、料金と中身が、極端に釣り合いがとれない
時だけだ。冷凍のハンバーグとフライドポテトを暖めて、ご飯
つけただけで、1000円も取る飛行場のレストランとか。

それにホテルのスイートといっても、ベットルームとは別に
リビングが付いているだけだし、ホテルのレストランといっても
中華レストランで毎日中華料理だから、この宿みたいなシンプルな
日本料理には別に文句はない。露天の温泉が24時間入り放題で
泊まれて2食付きで5000円なら、別に文句いう筋合いは・・・

前に新宿で夜遊びがすぎて、生まれてはじめてカプセルホテルに
とまったが、回り中からいびきが聞こえて、棺桶みたいなスペース
はいって、食事もなしで、5000円だったぞ。確か。

「くそっ!!偽善者め!!普段からいい生活しているおまえの
ようなヤツには、日本のサラリーマンが、何を求めて、こんなに
遠くまでくるかわからんのだっ!!もういい!!温泉はいるぞ!!」

打たせ湯を浴びてから露天風呂にはいると、下は砂利でなかなか
気持ちよかった。

「おいっ!!円!!なにしてるんだ!!」

「ワニだ」

「はあ?」

僕は両手を底につけて、身体を浮かせると、ワニのように身体を
うねらせて、露天中を移動した。

「こうやって身体を横にうねらせるのが、正しいワニのやり方だ。
あくまで優雅にふるまわんとな」
「バカかっ!!なんでこんなとこまで来て、ワニの物まねやってんだ!!
死ね!!死ね!!死んでしまえ!!それにしても24時間入り放題
なのに、何で誰もはいってこない?まだ8時だぞ?」
「みんな地元の人っぽかったから、もう寝ちゃったんじゃない?
田舎の人は、夜早いっていうから。ほれワ~ニ、ワニ。ワ~ニ、ワニ。」
「・・・・・・」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

その後10時過ぎに我が友は、一人でまた露天風呂にいった。
「エッチが終わったカップルは絶対露天に来るな。待ち伏せしてやる」

なんかいつの間にか、出会いを求めて旅をしてる男ではなく、
ただのデバガメになってるようなのだが・・・・

僕は布団をかぶって寝た。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌朝の朝食はハムが出た
僕は我が友に言った

「よかったな。山では拾えないものが出たぞ。キャベツにハムだ」

「・・・・・・・・」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

帰りのタクシーをまってる僕に、我が友はいった
「俺は絶対納得できん。新幹線代を払ってまで、テレビもない
地の果ての混浴露天風呂にきたのに、見れたのはおまえのワニ
だけだ!!俺はこれから、乳頭温泉を全部まわる。
断固として露天の美女を見る!!すべての温泉をまわりきるまでは
帰らんぞ!!」

そういうと彼はバスに乗って別の温泉に向かった

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

一ヶ月後。東京

「ってことは、円さん達は、別々に帰ってきたんですか?」

グレープフルーツサワーを飲みながらカナちゃんが言った

「当然だろ。こいつは温泉をまわる根性をなくして、タクシー
で帰ったんだから」と我が友が答えた。

「仲悪いじゃないですか・・・二人・・・」とカナちゃん

「ん?そうか?」

「別に」

「だって一緒に旅行へ行って、喧嘩して、帰りは別々に帰って
きたんでしょう?」

「喧嘩はしてない」

「別にしてないな」

「してるじゃないですか!!」

「喧嘩ではない。意見の相違だ。な?」

「行きは行き先が一緒だったから、一緒に行動した。途中で
行き先が別になったから、別行動した。ただそれだけ」

「へんなの~」

B型同士の旅はA型には理解できない

The End

NEXT 「みのちゃんのココログ妖怪ハンター」

Uploads on coming monday!!
see you (^_-)

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2004.03.15

恐怖!!鶴の湯旧道!!ーその4ー

道路にクマ不在!!安全を確認して我が友のもとに
戻ろうとした僕の背後で、茂みをかきわける音が!!

ガサガサッ ガサガサッ

その音は僕の後方4~5mの距離からした。

キミは、明らかにサイコな人に、いきなり
日本刀の切っ先で背中をススッとされた
ことがあるか?

その瞬間、僕の背中に、そんな感触が走り抜けた。

一瞬立ちすくむ僕。

そして振り向く僕。

お父さん、お母さんごめんなさい。
僕はもうダメです。
死ぬより先に発狂しそうです。

だって、だって。

振り向いた先にいたのはクマではなく。

後ろ姿の、もんぺみたいなのはいた、老婆だったんです・・・

僕の頭の中は、本当に真っ白になった。
何も考えられない。

一時間以上誰も見ることのなかった鶴の湯旧道に
いま、老婆が一人きりで、道のはじっこに座っているのだ

そんな事、ありえるか?
僕はクマよりも恐ろしいものに遭遇してしまった!!
それは山の悪夢!!山道に忽然と一人で現れる老婆。

「あなたの知らない世界」そのままの光景だ・・・・

僕は凍ついたまま、老婆から目が離せない。
金色から紅にかわろうとする山の空間に
ただ、時間だけが流れている

すると老婆が動き出した。
竹の背負いかごみたいなモノのなかに、小枝を入れている。

これはもしかして・・・・・

柴刈り?

日本昔話でしか見たことのない、柴刈りをしてる老婆
なのか?

って、ことは、幽霊でも、山姥でもない????

立ちすくんで、老婆を見てる僕の後ろに人の気配がした。
道を曲がって見えないままの僕に、しびれを切らした我が友
が、僕のバッグを拾ってやってきたのだ。

彼も道に立ちすくむ僕の視線の先にいる老婆の後ろ姿を見て
「うっ」と息をのんだ。

その気配で、僕の体を支配してた凍り付く感触が消えた。
僕はおそるおそる老婆に近寄り、声をかけた

「あの~」
「ん?」振り向いた老婆の顔は、人の良さそうな顔だった
「鶴の湯に行くには、この道で宜しいのでしょうか?」

老婆の表情に、ちょっとだけ平静心を取り戻した僕は尋ねた

「ああ、そうだねえ。この道さ」
「僕達、鶴の湯旧道でバスを降りて、ずっと歩いてきたん
ですけど、鶴の湯は、近いですか?」
「ん。このまま行けば、もう少しだよ」
二重の意味でホッとした。
「有難う御座います」
僕等は再び歩き出した。

10分も歩かないうちに、建物の屋根がみえてきた。
そして露天風呂も

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

露天風呂には確かに女の子が入ってた。彼氏と一緒だったが。

でも、その露天風呂を普通に鶴の湯に来た観光客みたいな人が
旅館の池を見るように見ていく。露天風呂は白濁してるので
まあ、なんてことないといえば、なんてことないだろうが
少なくても太陽の昇ってるうちは、自分がはいるのは
御免こうむりたい感じだ

僕等は母屋と思われる場所にはいり「すいませ~ん」と
声をかけた。

「予約してたモノですが」
「あらあら、どこからきなさった」
「鶴の湯旧道からです」
「えっ?そんなところから?田沢湖高原で降りて電話下されば車で迎えに
いきましたのに」

僕は我が友の顔を見た。そっぽを向いてとぼけている

「あんなとこから来る人いませんよ」
「・・・・・・」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
僕等の部屋は離れの建物で、母屋からそこに行くとき、立派な
砂利敷の駐車場を見た。でっかい観光バスもとめられそうな
駐車場だ。

腹がたった。

部屋は畳敷きの六畳くらいの部屋だ。カギがなく棒が一本おいてある

無口になってる僕に我が友が、不自然なまでに陽気な声を
出していった

「おおっ!!これは時代劇で見る‘頑張り棒’ではないかっ!!」

僕はその棒を見ると、我が友を冷たい目で見て言った。

「心張り棒だよ。バカっ!!」

「わかってるよっ。ちょっとギャグとばしてみただけじゃんか」

我が友は黙ってバッグのなかをガサゴソとはじめると、
タオルを取り出しいった。

「夕食の前に露天風呂にはいってこよお~っと」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
こうして、僕等の鶴の湯旧道における恐怖体験は終わった。
まあ、我が友においては不愉快な一夜の、はじまりにすぎなかった
わけだけど・・・・・

The End

NEXT 「恐怖!!鶴の湯旧道!!エピローグ」

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恐怖!!鶴の湯旧道!!ーその3ー

山姥が出そうなススキの原を無事通過した僕たちの
前方12mで、その木は揺すられていた・・・・クマ?

土が固められただけの道は、前方10m程で左に
曲がっている。そして曲がり角の向こうの木が、一本だけ
不自然に揺れている。いや、揺すられているのだ。

魅入られたように、二人して揺れる木の幹を見ていた
僕等だが、いきなりスイッチがはいったように、二人同時に
片膝を地面につけて、姿勢を低くした

「クマがいるぞ・・・」僕は揺れる木の幹から目を離さずに
ささやくようにして隣の我が友に言った。
「う・・・うん。クマだな。」我が友も幹から目を離さずに
うなずいた。

ゆらゆらと幹は揺れているが、クマは見えない。道路が
曲がっている上、道の左側は崖だ。クマは道をはずれ、
崖の下のところで木を揺すっているらしい。

僕等は片膝をたてたまま、5メートルほど後退した。
まるで敵地に忍び込んだレインジャー部隊か何かの
ように。

「どうする?」僕は揺れる木から、目をはなさすずに
言った。
「どうするって・・・・引き返したら森のなかで確実に
日が沈むぞ・・・・」

僕等はようやく顔を見合わせた。我が友の顔もかつて
見たこともないくらいに真剣だ。間違いなく、僕の顔も
そうだろう。

「選択支は一つだ。クマを追い払って前に進む。」
「それしかないな。森で野宿する装備がないし、一晩の
うちに、きっとクマに襲われる。夜の森を一晩中クマから
逃げまどうのは御免だからな」

そういうと我が友はいきなり、不自然なまでにでかい声を
僕の隣で出した。

「ほれみろ円!!ススキの原にはクマも山姥も
いなかったじゃね~かっ!!この臆病ものめっ!!」

揺れていた幹の動きがぴたりと止まった。

「ほれみろ!!クマは逃げたぞ!!」と僕の隣で我が友は
得意げに言った。ちっさい声だったけど。

一方僕は、これまで以上の恐怖をおぼえていた

「あ、あのなあ、クマに俺達の存在が知られたぞ!!
逃げてくれればいいけど、崖に沿って迂回して、いきなり
側面から襲われたらど~すんだよ!!さっきまで、クマが
どこにいるか、わかってたのに、今じゃ何処にいるか
わかんなくなったじゃんかよお~っ」

我が友は、そこまでは考えていなかったらしい。

「だって、クマに襲われるのは出会い頭で、人間の声
きいたら逃げるって、おまえがさっき言っただろっ!!」
「そんな本に書いてあっただけの話、誰が信用するかっ!!」
「だったら、ススキの原での俺の努力はなんだったんだ!!
喉がかれるまで歌をうたったのは、クマに襲われる為
だったのかっ!?」

やばっ・・・・

「まて!!待つんだ。今はそんな話をしてるときじゃない。
崖側には落ち葉が一杯あった。クマは体毛をたてて、
ススキの穂が揺れる音を消すことはできても、落ち葉を
踏む音は消せないはずだ!!耳をすませ!!近づいて
くればわかるはずだ!!」

話の雲行きがヤバくなってきたので、僕は話を強制的に
中断させ、我が友の思考のすべてを、クマが落ち葉を
踏む音に、集中させるよう仕向けた。
腕の時計を見て時間を計る

1分・・・・2分・・・・・3分。

「逃げたと思うぞ」と我が友。

確かに3分の間、幹は揺れなかったし、落ち葉を踏む
音も、枯れ枝を踏んだ音もしなかった。僕等の目の前に
あるのは、夕暮れに金色からオレンジに染まりつつある、
山の風景だけだ。

「よし。行こう」と僕。
「うん。」と我が友。
二人は立ち上がり、前に進んだ。

いや、二人は立ち上がったが、前に進んだのは僕だけだ。

「どうした?」振り向き、我が友を見て僕はいった。

「いや。先に進むが、ここは円。おまえが5m、いや、
7m先をいけ」

「・・・・・・・・・・」

一瞬僕の頭が空白になった。

「おい、さっきまで、クマがいたんだぞ!!襲われたら
どうする!!」
僕は真剣に抗議した。

「だからおまえが前をいくんじゃないか。二人一緒に
襲われたら、鶴の湯を目前にして、この場で野垂れ
死にだ。どちらか一人が鶴の湯までたどり着けば、
きっと猟師がクマを退治してくれる」

猟師って・・・・そんなのいるのか?温泉宿に?

「いや、しかし・・・・それは」

我が友が、見たこともないような残酷な瞳でニヤリと
していった

「確かに鶴の湯旧道で降りたのはオレが悪い。
だから責任をとって、ススキの原でオレは5m前を行った。
それでおれの責任点はチャラだ。だから今度はおまえが
責任を果たせ。立派に親友の役に立ってみせろ」

鬼だ・・・・こいつは鬼だっ!!変態!!人殺し!!鬼畜!!

「ほら、いけよ。日が暮れると、襲い来るクマが視認できなく
なって、お前はますます危険になるぞ」

僕は泣きそうな顔をしながらも、頭の中では、必死でクマ対策
シミュレーションを組み立てた。

1.間合いはクマに思いっきり抱きついてしまうのが一番
  安全クマは自分の胸をかきむしれない
2.腕をかみつかれたら、腕を抜こうとせず、相手の喉の
  奥につっこんでやる。そしたらはき出してくれる。
  抜こうとすれば喰いちぎられる。
3.四つんばいではしってきたら、跳び箱のように飛び越える

思いつくのは、それぐらいだ。僕には、二年間、両腕に二キロ
ずつのパワーリストをつけて訓練した、必殺の手刀打ちがある。
でも、クマには絶対きかない。牛を殺したマス・大山や熊殺しの
ウイリーではないのだ。ああ、こんな事なら、合気道や柔道で
なく、極真空手を習っておけばよかった・・・・・

「おい、日が暮れる。早くいけ!!」

僕はいつの間にか捕虜になった兵隊のような立場になっていた。

何故だ?コイツに「ついてくればいいんだよ」といわれて
温泉に来ただけなのに、なんで人っ子一人いない山奥で、
熊への人身御供に、されなければならん?

そう思いながらも、僕は全神経を聴覚に集中させ、少しずつ
前にすすんだ。曲がり角の手前5メートルくらいで、後ろを
見ると、我が友はまだ、さっきと同じ場所にいる。7メートル
どころじゃない。10メートルは離れている。

間違いなく、僕が曲がり角の向こうを確認するまで、あの
場所から動かないつもりだ。

僕はさらに前にすすみ、曲がり角の手前まで来た。
こわい。猛烈に怖い。もし、クマが僕等同様、その場を
動かずに様子を探ってたとしたら、僕とクマの距離はすでに
5m以下だ。今、この瞬間、道の左手から、クマが
襲いかかってきても、まったくおかしくはないのだ。

思わず、僕は後ろを振り向いた。我が友はやっぱりさっきから、まったく動かず、しかも僕に手振りで「行け!!行け!!」とやってる。泣きたい。マジ泣きたい。

僕は、曲がり角の手前で、荷物がはいったバックをおくこと
にした。こうしておけば、クマに襲われても素早く逃げられるし、
クマは走る僕を追わずに、このバックに気をとられるかも
しれない。完璧だ。

素手になると僕は、ありったけの集中力を耳と目に回し、
おそるおそる角を曲がった。

いない。

なにもいない!!

道だけだ!!

クマなんかいないぞ!!

これで温泉にたどり着ける!!やったあ~!!
僕はほっとして曲がり角の手前に戻り、バッグを拾って、
我が友に合図しようと道を戻りだした。

「ガサガサガサ!!」

しかしその時、僕の後ろ。道の左側の崖のなかで、
思いっきり藪をかきわける音がしたのだ・・・

本当の恐怖が、僕の背中を吹き抜けた瞬間だった

(To be continue.Uploads soon!!)

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2004.03.08

恐怖!!鶴の湯旧道!!ーその2ー

露天で混浴。東北桃源郷を目指す僕等に
森の試練が・
・・

さすがに二人とも言葉を失った。
東京生まれの東京育ちの二人が、人生ではじめて
文明の匂いのするのは、アスファルトの道路だけ
という状況にさらされたのだ。
しかも「鶴の湯旧道」という停車場なのに、
道なんかない。

「僕の前に道はない。僕の後に道はできる」

中学校だか小学校の国語の教科書のってた
高村光太郎の詩(だと思うけど、まちがって
たらごめんなさい)が僕の頭を飛び交った。

今、僕の前には森がある。だが、僕がすすんでも道はできそうもない。

先生。教科書は嘘をついてました・・・

共にたじろいでいた我が友だが、僕の冷たい
視線を感じたのか、きょろきょろと周囲を細かく
探り出した。

「で、ここで降りた訳だが、どの道をいくのだ」

キョロキョロ。キョロキョロ。

僕は、最悪、道にそって戻れば夜には人のいる
ところに出られると踏んだ。バスが往復してくる
可能性は高い。

だが、こういう田舎で、バスが何時まで走っている
のかは、皆目検討がつかないから、歩き続ける
覚悟は、したほうがいいだろう。

そして、鞄の中にあるはずの、当時はまだ珍しかった、
携帯電話をさがしはじめた。もちろん海外出張中の
オヤジのモノを勝手にもってきたのだ。

ごそごそと鞄の中を携帯をさがして、まさぐってる
僕に、いきなり我が友の得意げな声が聞こえた。

『ほら!!みろ!!円!!おれの判断は間違って
いなかったのだ!!そこに「鶴の湯旧道」と書いて
あるではないかっ!!』

たしかに道はないが、木に「鶴の湯旧道」と
書かれた板が、打ち付けてあった。
まあ、そこに至るまで、道らしい道はないが、
獣道みたいなのはある。

インディアンか、ベトナム戦争のLRP
(ロング・レンジ・パトロール)メンバーだったら、
確かに「道だ」というだろう。

僕には板きれがなかったら、ちっともわからないけど。

「いくぞ!!暗くなったら、混浴露天の意味がないからな。」

我が友は元気一杯で進み出した。僕は携帯を取り出すと
スイッチを入れた。感度を示すアンテナは三本立っている。
きっと我が友のアンテナも三本たってるだろう。
こっちは携帯の電波とは関係ないが。

進んでいくと、道はあいかわらずなのだが、所々に
「鶴の湯旧道」と書いた板きれが木にうちつけてある。
僕等はブレア・ウイッチな森を、この板きれをたどって、
進んでいった。

「鶴の湯旧道」「鶴の湯旧道」「鶴の湯旧道」「鶴の湯旧道」

僕たちは薄暗い森のなかを、板きれに書いた「鶴の湯旧道」
を読み上げながら進んだ。だが、二十分くらいすすんでも、
そこはやっぱり「鶴の湯旧道」だ。

「ちょっとまて!!」すでに道なき道と、声を出すのに
疲れ果て、何度目かの「鶴の湯旧道」をつぶやくように
声にだした我が友に、僕はいった。

「ここが鶴の湯旧道なのはわかった。おまえは正しい。
だが、この鶴の湯旧道は、鶴の湯にたどりつくまで、
あとどのくらいかかるのだ?旧道ってことは、秋田藩の
お殿様が使ってた頃からある道だとした場合、少なくとも
一里(約4キロ)はある可能性が高いぞ。もう一時間も
すれば、日が暮れはじめるだろうし。おまえ、懐中電灯か
なんかもってるのか?」

「オレは混浴露天にきたんだからそんなもんもってないぞ。
山登りしにきたんじゃないから。円こそもっってるのか?」

「俺はおまえが、ついてくればいいといったから、当然
そんなものもってきてない。懐中電灯もって泊まるのは
中国の田舎の宿だけで、十分だからな」

我が友は周囲を見渡した。「日がくれたら、看板が見えなく
なるから、完全に道に迷うな。やばい。急ごう」

僕はバッグのなかの携帯の感度を確認した。大丈夫だ。
「あと30分だ。30分進んで道らしい道にでなかったら
戻る。いいな?」僕は我が友にいった。
「しょうがない。こんなところで道に迷って野宿するよりは、
バスが通る道を歩いた方がマシだからな」我が友も同意した。

二人は「鶴の湯旧道」の看板を見つけながら歩いていった。
すると小川を渡る丸木橋のあたりから、道らしくなってきた。

「道だな」と我が友。
「道だ」と僕。

僕等は足早に歩いていった。そして、ついに陰鬱な森を出た。
そして僕等の前には明らかな道がっ!!

そう、傾いた太陽に黄金色に輝くススキの原のなかを、
うねうねとつづいているであろう道だ!!

「道だ」と我が友。
「道だな」と僕。

だが僕等は進まなかった。
道はあるが、五メートルもいかないところで折れている。
そこから先は見えない。

僕は子供の頃見た、「あなたの知らない世界」を思い出した。

たしか、一人で写真撮影をするために山奥をあるいていた
カメラマンが、いきなり道ばたですわってるおばあさんに
遭遇して・・・・というヤツだ。なんかこのススキの原を
すすんでいくと、おばあさんがかがんでいそうだ。マジで。

怖すぎる・・・・・

「う~ん」と我が友がうなった。
「円、ともかく先にすすもう。日が傾いてきてるし、
道なんだから鶴の湯は近いぞ」

確かにその通りだ。もう引き返すには遅すぎるし。僕は
もう一度、ススキの原を見渡した。そして、ススキの原に
すわっているかもしれないおばあさんよりも、現実的な
問題に気がついた。

「進もう。だけどキミ、5m前をいけ」と僕は我が友に言った。

「なっ、なんでだよっ!!」さすがに我が友は嫌がった。

「だって、ここは東北だろ?東京と違ってクマがでるじゃ
ないか。しかもこのススキの原では視界がきかないし。
クマは毛をたててせまってくるから、ススキの原を近づいて
きても、音がしないと西村寿行の小説で読んだぞ!!」

「って、なんでオレが前なんだ!!」

「だって、一緒に歩いてて、一度にクマに襲われて二人とも
あるけなくなったらどうする?二人そろって野垂れ死にだぞ?
五メートル離れていれば、片一方がクマに襲われているうちに、
もう一方が助けをよべるじゃねーかっ!!結果二人とも
助かるだろ?」

「いや、その理屈はわかってるけど、どうして俺が前なの
かって事をきいてるんだよっ!!」
「バカだなあ、クマは頭がいいから、正面からおそって
こないで、後ろに回っておそってくるんだよっ!!おまえが
少しでも安全にと思い、言ってるんじゃんか!!」
「うそくせーぞ!!それはっ!!」

僕の中にいる、金色の瞳をした悪魔が目を開いた。

『じゃあ言うが、責任点だ。おまえが鶴の湯旧道で降りたん
だし。運転手に一言「鶴の湯いくにはここでいいんですか?」
ときけばよかっただろ?』

「うっ・・・・」
「まあ、命が惜しければ、おまえが、五メートル前方を
進まなければいけないのは、間違いない。クマが、
後ろから襲うというのも、いくつもの本で見た。あと、
クマは人を襲わない、襲うのは出会い頭の時だと
いうのも本で見たから、心配ならおまえ、歌うたってけ」

そうして、「線路はつづくよどこまでも」をやけくそになって
歌う我が友を先頭に、ぼくらはススキの原横断をはじめた。

僕は冗談抜きでうしろばかり確認していた。前方はなにか
不審な事があったり、クマに襲われたりすれば、我が友の
歌が消えるだろうから、歌が聞こえてる限り警戒する必要は
ない。問題は後ろだ。冗談抜きに怖い。クマはでなくても、
包丁もった老婆が、走っておいかけてきそうな気がする。

「おおっ!!」我が友がいきなり叫んだ。

「ススキの原が終わったぞ!!円!!」

ススキの原が終わったところは、一車線くらいはありそうな
道幅の、道だった。舗装はされてないけど、あきらかに道だ。
これなら確実に鶴の湯は近い。僕等は顔を見合わせると、
最大限のスピードで歩き出した。その時・・・

前方の曲がり角の向こうにある木が、大きく揺れた。

クマだ・・・・・

姿は見えないけど、クマだ・・・・・

クマ以外、一体誰が、あんな木を揺すれるのだ・・・・・

僕等は冗談抜きで、その場に凍り付いたのだった・・・


NEXT 「恐怖!!鶴の湯旧道!!ー後編ー」
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恐怖!!鶴の湯旧道!!ーその1ー

露天、混浴、秘湯。東北のパラダイスを目指した僕たちに
ブレアウイッチな森が・・・

「あのな、円。体調悪いんだろ?東京にいないで
温泉いこうぜ!!湯治だよ湯治!!絶対体にいいって!!」

中国での二年間の勤務の末、体をガタガタにして、一時帰国、
休養してる僕のもとに、中学時代から付き合いのある友人が、
電話をくれたのは、もう何年も前の事だ。

彼との長い付き合いに感謝の意をこめて、ここでは、
「我が友」とよばせていただく。

「おまえは中国いたから知らないだろうけど、今、日本は
温泉ブームなんだよ!!女子大生もOLも、連休には
みんな友達同士で、温泉にいくんだ!!。しかもな、俺
が今、おまえと行こうとしてるのは、秋田藩の殿様の
隠し湯だったところで露天なんだよ!!更に混浴!!
露天で混浴だぜ?!おまえ見たことある?露天で混浴!!
ないよな?俺と同じ東京生まれの東京育ちだもん。
しかもこのシーズンは、紅葉がきれいなんだよ!!紅葉に
露天で混浴なんだぜ!!もう、いくっきゃないでしょ!!」

確かに僕は、二年間中国にいたさ。だけど、そういう人
の為に、日本の新聞を3日遅れくらいで、国際郵便で運んで
くれるサービスがある。
だから日本の事情くらい、ちゃんと知ってるのだ。

「温泉ブームは去年の話だろ?しかも混浴目指して行った
都会の男共は、行ったはいいが、混浴していたのは、地元の
おばちゃんばっかしで、おもいっきし、視姦されて帰って
きたと聞いてるぞ」

「チッチッチッチッ!!」我が友は電話の向こうで、怪傑
ズバットのようにシュラッグした。

「円くん。このオレが、そんな凡ミスするわけがないでしょ。
それは淫欲にまみれた、未熟者の顛末な訳よ。オレのような
熟練者は、そういう淫欲にまみれた連中にはたどりつけない
所を狙う訳よ。だから、秋田藩の殿様の隠し湯。エロ男には
簡単にたどり着けない場所。しかも、一泊二食付きで5000
なんぼ。安いだろ?安くて、紅葉を楽しめて、露天で混浴。
ああ俺って、なんていい友達なんだっ!!」

でもなあ~往復新幹線でいったら、宿泊費は五千円でも、
それなりにするような・・・・それなら都内のホテルで
のんびりルームサービスと室内プール楽しんだほうが
いいような・・・・・

「バカかっ!!おまえは!!中国ではホテル住まいだろ?!
日本に帰ってきてまで、お金つかってホテル泊まって、
どーすんだよ!!日本で外泊するなら、日本情緒あふれる、
ジャパニーズ・トラディショナル・おやど。すなわち、旅館だろ!!
(ジャパニーズ・トラディショナル・ホテルじゃないのか?
ジャパニーズ・トラディショナル・お宿って・・・)
二年間も異国でがんばってきた親友の為に、オレが日本情緒を
たっぷり味あわせてやろうっていうのに、その乗り気のなさは、
なんだよっ!!」

何故か我が友はキレた。しかもマジ切れだ。まあ、中国では
一ヶ月五万円で暮らせたので、お金はたっぷりあるし。我が友の、

「すべての手配はオレがするから、おまえは一緒にくるだけだ」

という言葉もあったので、僕は「わかったよ。いくよ」と答えた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・
はじめて乗る東北新幹線は、やけに座席が狭くて(東北新幹線
の工事に苦労なされたみなさんの名誉の為に、僕の肩幅は
平均的な日本人より広いことを断っておきます。普通の日本人なら
丁度良いかと)僕はウォークマンをききっぱなしだった。

となりの我が友は、ガイドブックを眺めながら、やけにご機嫌だ。
きっと紅葉の露天風呂で肌が紅葉色に染まった女の子の群れ
でも想像してるのだろう。
乗るとき、駅弁を買おうとしたら、「むこうについたら、この店で
昼くうぞ!!わかってるだろうな?」とガイドブックをみせられて
言われた。

僕は日本情緒あふれる駅弁をあきらめ、サンドイッチとカフェオレを買った。

新幹線だから一時間半くらいでつくのかと思ったら、全然そんなこと
はなく、喉がかわいたので、コーヒー飲んだら胃が痛くなった。
やっぱこなければ良かった。いや、来るなら、日本情緒たっぷりの
夜行電車で寝ながらくればよかった。新幹線が走ってる今、あるか
どうかしらないけど。

盛岡で新幹線を降りた僕等は、駅の近くの海鮮どんぶりやにいった。
我が友は、いくら丼を頼み、「うわっ!!こんなにイクラがのってるっ!!すげえ~!!さすが東北!!」とのたまわられた。

北海道でイクラが沢山のってたら、さっすが!!だけど、東北でも、
イクラが多いと、さっすが!!なのか?

いや、築地でイクラ丼頼んで「さすが築地!!イクラがこんなに!!」
はアリだろうから、まあ、いいんだろうな。

それから先の事は申し訳ないのだが、記憶がすっぽり抜け
落ちている。

記憶が戻るのは、乳頭温泉の鶴の湯に向かうバスにのった
あたりからだ。

すでに午後の半ば頃だった。ごく普通のワンマンバスに僕等は
のったが、バスは山道を走っていく。
「どこで降りるかわかってるんだろうな?」僕は外の景色を
見ながら、我が友に聞いた。「もちろんだよ。きまってんだろ」

僕は我が友の答える声のなかに、かすかな不安を感じた。
彼の顔を見たとき、「次は鶴の湯旧道」というアナウンスが
流れた。我が友は、すかさず降車ボタンを押した。
そして僕等は「鶴の湯旧道」で降りた。

だが、おりるのが、僕等二人だけなのはともかく、バスにのっていたすべての乗客が「おまえさん達、こんなところでおりるのかえ?」って顔で僕等二人を見ていたのを、僕は見逃さなかった。

そしてバスが去ったあと、僕等二人の前にあったのは、
ブレアウイッチな森だけだった・・・・

(To be continue.Uploads soon!!)

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2004.03.02

いい年した男が三人でーおまけー

それから一週間。体も回復して仕事に出るように
なったが、僕は「牡丹と薔薇」の録画は忘れない。

ストーリーはどんどんすすみ、恋人が死んだ
ばっかしだというのに、ぼたんには新しい
彼氏ができた。しかし、今度は香世の悪巧みで、
ぼたんは処女だというのにレイプされてしまった。

///////////

だから「ラブホはイヤ!!」とかいってないで、
雅也に処女あげとけばよかったのに・・・・

//////////

でも処女で、濡れてもいないだろうに、神社で、
黒人をはじめとした、3人の男に力づくで
レイプされてしまったぼたんだが、お風呂に
はいってベットでちょっと横になっただけで、
香世にキレまくる立ち直りっぷり。

強すぎるぜっ!! ぼたん!!

でも脚本書いてる中島先生には、二時間くらいの
内視鏡検査を、体験してもらうべきだと思うぞ。

そんな早く立ち直れないの、なんとなく、わかるだろうから。

追記: それからさらに一週間たった今週は、モト
    ちゃんの好きなドロドロ、エロエロ系な展開に
    なってきています。まだ自宅療養中のモトちゃん。
    よかったね!!キミの好きな展開で!!

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いい年した男が三人でーその5-

結局僕の入院生活は、二週間におよんだものの、
無事退院することができた。

その頃モトちゃんも、無事退院し、同じく自宅療養。
ヘルニア友人の父も、後遺症なく退院できる
ことになった。

しかし、自宅療養といっても、やることがない。

最初は買いっぱなしで、こういうときにしか
読めない、分厚い学術書を読んでいたが、
学術書だけに、一日中は読めない。
僕はヘルニア友人にメールしてきいてみた。

「自宅療養でヒマなとき何すんの」
「プレステ2。俺は今、フロントミッション4やってる」

シーマンに傷つけられて以来、ゲームをやってない僕だが、
フロントミッションは、最初にはまったゲームだ。
3まではちゃんとやってる。4をアマゾンで取り寄せて
はじめる事にした。

でも目が痛くなって、やっぱり一日中は無理だ。(するな!!)

モトちゃんにも「なにしてんのさ」と聞いてみる

「テレビしかねーだろっ!!歩けないんだから!!ゲーム?
 最近目が悪くて禁ゲームなんだよっ!!火曜の9時45分から
 教育テレビでやってる、ストレッチマンみろっ!!」

相当荒れている。

『いや、ストレッチマンより、フジで1時半からやってる
「牡丹と薔薇」のほうが笑えるよ。きっと。ドロドロエロエロ
好きでしょ?まあ、昼ドラだからエロエロは期待できないけど』

僕はヘルニア友人にもすすめてあげた。

「ん?なんか真珠婦人みたいに、凄いらしいな」

そこから僕等三人は「牡丹と薔薇」にはまりまくった。

二時に放送が終了すると、すぐに携帯メールで品評会だ。

「川上麻衣子がお母さん役とは・・」

「北原佐和子も昔、アイドルじゃなかったか?」

「そういえばそんな名前のアイドルいたよな」

「脚本の中島丈博って昔、ジャンプで朝太郎伝って漫画の
原作やってなかったか?」

「かもしれん。TVブロスって雑誌みたら高知在住みたいな
事書いてあったし。確か中学生の朝太郎が、火だるまで、
港につっこんでくるタンカーの火を消す為に、木箱入りの
ダイナマイトもってタンカーに乗り込むんだよな。
で、ダイナマイトを爆発させたときの爆風で、タンカー
の火災をとめるという・・・」

「火に油そそぐどころか、燃えさかるタンカーに、ダイナマイト
もってつっこむあたりの展開が、似てるな」

「他の俳優はみんな濃いのに、主役のぼたんは、なんであんなに
薄い上、セリフも学芸会みたいなんだ?」

「香世、急に気持ち悪いくらいに、いい子になったと思ったら
いきなりキレて、雛人形のクビちぎって投げ捨てたぞ!!」

「もう、小沢真珠は昼ドラにはかかせないな」

『10年は昼ドラだけで食えるな。他にテレビの仕事は
なくなって舞台だけになると思うけど。Mッ気のある
男性は、悪巧みするときの、キラキラした目に
萌えまくってると思うから、「香世の店」ってSM
クラブ始めたらテレビ出るより稼げると思うぞ』

「香世をいい子に、教育しなおすには、CCDを家中に
しかけて、香世の一日を録画しておいて、夜になったら
椅子にしばりつけて、それを見せたらどうかな?」

「いい子になる前に、激しく鬱になるんじゃないか?」

「ぼたん、雅也にあげてもいいなら、さっさと処女ささげろ!!
今時ラブホじゃイヤなんて、アリか?」

「雅也、普通のホテルか旅館を予約すればいいだけなのに、
何故、香世に智恵を借りようとする??」

もう滅茶苦茶なつっこみだ。でも僕等は「牡丹と薔薇」を愛して
いるのだ。
モトちゃんは「これからは俺も牡丹の刺繍したパンツはこうかな」
って、いってたし。

そして、ストーリーは牡丹に嫌われてしまったと思いこんだ
雅也が、いきなり上半身裸になり、腰のベルトを抜き、
「俺をぶってくれ!!」と周囲に懇願するシーンに。

すると、すさまじいまでに喜びの表情を浮かべた香世が、
「わたしがぶってあげるわよ!!」と名乗りをあげる。
そして雅也はビシバシと香世に鞭打たれたあげく、
道路に飛び出していき・・・

車にはねられ、いきなり死んじゃった。

そして、番組が終わったあと、僕の携帯には、二人から
まったく同じ内容のメールが!!

「俺をぶってくれ!!」

気持ちはわかる。働き盛りと言われる年齢だもんな。僕たちは。

The End

NEXT 「恐怖!!鶴の湯旧道!!」

Uploads on coming monday!!
see you (^_-)

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2004.03.01

いい年した男が三人でーその4-

結局の所、僕は病室で点滴につながれ、二日間、
一切のものを口にすることを禁じられた。

病名は急性膵炎。

僕は昔、アレルギー性鼻炎の治療のため、
体質改善をすべく、2~5日の断食に何度か
取り組んだことがある。
だから食べ物が食べられないのは、どおって
ことないのだが、飲み物もダメというのはキツイ。
いくら24時間点滴いれてもらっててもだ。

一日目ですでに力石徹のごとく、喉は水を求め、
二日目には、もう何か飲むことしか、考えられなく
なった。

そしてその夜

僕はひらめいてしまったのだ・・・・・・

この病院のどこかのフロアには、出産する人の
為のフロアがある・・・

そこでは、これから出産する妊婦や、出産を終えた
人妻がすやすやと眠っているに違いない。

そしてその乳房には、まさにあふれんばかりの母乳がっ!!

「苦しむ事なんてないぜベイビー!!」僕の中に眠る悪魔が、心の中で金色の瞳を開いてささやいた。

「本当に喉が渇いたら、点滴をはずして、階段つかって産婦人科病棟にいき、すやすやと眠っている妊婦の豊満な胸にかぶりつき、赤子のごとく、母乳をすいまくればいいのさ~。食欲と性欲、まとめて処理できるぜえ」

それは、この世に現れた、吸血鬼の新バージョン!!

妊婦ばかりねらい、母乳があふれんばかりのおっぱいにむしゃぶりつき、母乳を飲んではいずこともなくさっていく悪魔!!

21世紀、日本の妊婦の間に広がるミルク色のホラー伝説!!

その名も吸乳鬼!!

やばい、やばすぎるぞ・・・・・
三日目の朝、早朝の検温にきた親切な看護婦さんに、
自分が吸乳鬼になってしまうのでは?という妄想に怯える
僕は「なんとか飲み物だけでも・・・・」といってみた。

『う~ん。検査の数値自体は悪くないんですが、どうでしょうか・・
多分飲み物というと、ダメといわれるから、ここは「氷だけ
でもなめさせてもらいませんか?」と先生に聞いてみる
というのは。もしかすると、それくらいは許可されるかも』

僕は朝食前にやってきた、レジデントの先生に言ってみた。
「う~ん、氷を口に含んだだけでも、膵臓や肝臓が刺激されて
消化液を分泌するので、もう少し我慢していただかないと」

しかし、その後、回診に来た担当医は、検査の数値を確認
すると「うん。いいね。飲料だけでもいってみるかい?
その代わり、痛みが再発するような事があれば止めるけど」

「いや、痛みに耐えてまで飲もうとは思わないので、痛んだら
すぐに止めます」
もはや心の60%が吸乳鬼に変化してる僕は、すぐさま答えた。

「じゃあ、お茶とか水とか軽いものから。少しずつ口に
するように。ごくごく飲むのはダメだからね」
こうして僕は、三日目の午後から、飲み物だけ口にすることが
許された。

「普通、膵炎の患者さんは、一週間は何も口にいれさせて
もらえないんですよ。早くても五日間は点滴だけです。
飲み物だけとはいえ、三日目で許可されたなんて、私、
はじめてです」午後の検温のとき、無糖の紅茶をちびちび
飲む僕をみながら、看護婦さんがいった。

あぶない・・・マジで吸乳鬼になってしまうとこだった。

翌日は重湯が許可され、それが数日つづいたあと五分粥。
そして全粥。
経過は順調にすすんだと思われた。

しかし、最終検査の結果、僕の胆道には狭窄部分が
あることが判明した。順調な経過に、ニコニコしていた先生が、
いきなり深刻な顔で現れて言った。

「この狭窄は石がつまっているとかではなく、外側から
圧迫されているようです。胆石が十二指腸に落ちるときに、
傷つけた部分が、炎症おこしたのかもしれませんが、
腫瘍の可能性もあります。明日かあさって、内視鏡を入れて、
造影剤を投入して詳しくしらべると同時に、組織をとって、
検査にまわしますから」

そして二日後、検査のために、服を着替えた僕の前に
運んでこられたのは、キャスター付きのストレッチャーだった!!

「あの~。歩いて検査室までいけますけど」
「ストレッチャーでという指示ですから」
イヤな予感がした(--)

しかもストレッチャーで運ばれたのは、二階の内視鏡室では
なく、一階の鉄の扉の部屋だ。

検査室の看護婦に、患者受け渡しの手続きを終えて帰ろうと
する顔なじみの看護婦さんに、僕はいった。
「あの~まさか出てきた時は、ショッカーの怪人に改造
されてるなんて事はないですよね」

無視された。

検査室はまるで手術室のような物々しさだ。
「あの~時間的にどのくらいかかるんでしょうか?」

「それは人それぞれで。この前の人は一時間くらいでしたけど」
でも、2時の検査といわれて、絶食してた僕が呼び出されたのが、
すでに4時。
一時間で終わってるなら、2時間もおくれないのでは??

内視鏡を一時間以上つっこんだままにされるなんて、想像
しただけで死にそうだ。去年十二指腸潰瘍で、何回かのんだが、
20分くらいだってつらいのに。

いきなり黙り込んだ僕に、看護婦さんが「でも、眠くなるお薬を投与
しますから、想像するほどつらくないと思いますよ」と優しくいった。

のどの麻酔を口にふくまされ、それが終わると看護婦さんが
「じゃあ、これから眠くなる薬を点滴からいれますからねえ~」

担当医がやってきて、「じゃあ円くんはじめるから」と内視鏡を
噛みちぎったりしないように、口をダッチワイフのように広げる
マウスピース(僕は密かにエロピースと呼んでいる)を
かまされた僕の口に、内視鏡を入れだした

すみません。全然眠くならないんですけど・・・

作業はどんどん進む。確かに以前よりつらくない

でも全然眠くならないんですけど・・・・

ヨガの呼吸法を使って、精神と肉体を安定させていた僕にも
ついに限界が訪れた!!

全然眠くはならないですよ!!くるしいですっ!!

同時に僕はゲフッ!!と空えづきをはじめた。もちろん故意にではない。体がえづいたのだ。医師があわただしく反応する!!そして・・・・

それから10分。検査は終わった。
僕はぼろぼろに犯された女性のような気分(多分)で
検査室を出た。
吸乳鬼(ただし幼生。進化せず)は内視鏡をあやつる触手系医師に敗北したようだった。

確かにストレッチャーは必要だった

帰るときにはねっ

(To be continue)

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